茶鬼さんのレビュー一覧

秘して花咲く 小説

なかむら悠香  小路龍流 

そこに隠された熱い魂

作者さんの初単行本。
能楽師と面打ちの伝統芸能を舞台にしたその小説は、大変にシンプルで解りやすくなおかつ丁寧な作品という印象を与えました。


能面に魅せられて弟子入りして七年、師匠について能の稽古場で聖が出会ったのは、イケメンで次々と相手を変えるという節操のない噂もある人気若手能楽師の桑折。
彼に声をかけられ提案されたのは、彼ら若手が計画している舞台で使用する面の作成。
打ち合わせの…

1

「ある執事の話」王様と二人の料理人の話 初回特典書き下ろしペーパー 特典

主従の固いきずな

匂坂サイドのお話があるといいな~とおもっていたのですが、書き下ろしペーパーは執事である五十嵐サイドのお話でした。

男爵家に住み込みで働く両親の姿を見て育った五十嵐は自然な流れで高等小学校を卒業後、同じように使用人として働き、成人してからは当主の男爵の書生として忙しい日々を過ごしている。
まだ匂坂が中学生だった時の五十嵐とのやり取り。
ケンカして帰ってきた志重に注意する五十嵐と反発する志重…

3

王様と二人の料理人の話 小説

鳩村衣杏  エンゾウ 

彼の声が聞きたい

鳩村衣杏さん初Hollyノベルスは、今までの作品とがらっと趣向の変わった実に奥深く味わい深い作品でした。
この話の意図するところ、帯の言葉「性愛を超えたい、超えた場所に辿り付きたい」は、男同志独特の友情以上恋人未満の、我々がそこから萌えと妄想を見出す根源の関係なのかもしれないと、それを描いた作品になっていたと思います。
なので、通常の恋愛モノを期待してしまうと肩すかしをくらう部分があるかもしれ…

5

ラブレター 神様も知らない(3) 小説

高遠琉加  高階佑 

光を求める人達

完結しました。
1巻で謎を提起し、2巻で流と事件の関わりの過去を見せ、そしてこのラスト巻は全てに決着がつくのではありますが、事件には何か必ず理由がある。
これは佐季編と呼んでもいいのかもしれません。

執念を持って佐季を洗うために長野へ出かけた流と、司が脅されていることを知り彼を心配して調べ始めた慧介のそれぞれの線が結びつき、当時13歳の子供2人の繋がりの可能性を見出した時。
佐季の姿が…

7

君の秘密 小説

谷崎泉  高橋悠 

それはまるでマ○コのような♪

人気の女装家タレント(実はエコノミスト)のマネージャーをしている元刑事の伊吹と、タレントのファンだと接近してきた実はさる事件の容疑者を追っている刑事の組み合わせのお話なのだが、この物語を影でぐいぐいと引っ張って言っているのは実はその女装タレントのタケコさん!!
滅茶インパクトあるんですが、高橋悠さんのイラストもキョーレツですよ(爆)
読んでいて、あのマ○コがしゃべってるんじゃないか!?って脳内…

6

背中で恋を語るな 小説

火崎勇  砂河深紅 

お前は中学生かはたまた健さんかっ!と突っ込みたくなった好みのタイプの攻めでした

今回のこの火崎作品、ものすごく良かった~☆☆☆
いつもラストに怒涛の謎解きがあるのですが、それは今回は若干ゆる~く。
主人公を怯えさせる原因になった出来事と、彼の勤めるレストランの様子や人々が実に対照的で上手く作用し
何と言っても自分が一番惹かれたのは攻めのキャラクター!!
ぶっきらぼうで、すぐ「バカ」と言い、何か言われると「ちっ」って舌打ちして、でもすごく男らしくて決して不器用というので…

8

くらやみにストロボ コミック

ハヤカワノジコ 

青春のキュン萌え作品に入れます!

正直、ここまで萌え萌えするとおもいませんでした。
私の今までの学生モノBESTは「同級生シリーズ」「スローリズム」の2冊なのですが、この『くらやみにストロボ』も加えたいと思います♪

一体ドコがよかったのか、それはもう作家さんの感性の部分が魅せるキャラクターの動きにあります!

新は幼馴染の正太朗が好きなんだけど、その想いを隠している。
それがね、題名にも繋がるのですが、自らの恋心を感…

10

スーパーラブ 小説

桂生青依  木下けい子 

スーパーの王子様

健気なで誠実な受けには木下けい子さんのイラストはイメージにぴったりです。
最初あらすじを知らずに題名を見ていた時”スーパー”って何だろう?って思っていたらスーパーマーケットの事だったのですね。

父親の具合が悪くなった為に勤めていた会社を辞めて地元に戻り、両親が経営していた地元のスーパーマーケットの店長となった恵が主人公。
会社員から突然畑違いのスーパーマーケット、だけど小さい頃両親を失い…

4

海とヘビースモーカー コミック

榎田尤利  峰島なわこ 

心に残る風景

また独自の自分的カテゴライズを述べてもいいだろうか?
1冊を読み終えて雰囲気や展開等々、饒舌な桃山なおこ作品、という印象を持った。
いや、桃山なおこ作品に似ているというわけではなく、そこの仲間に位置付ける作品だと思ったということです。
原作が榎田尤利ということで、きっとその原作自体があるからこその雰囲気なのだとは思うのだが、絶対間違いなく原作を隠したらわからないくらいに作者さんの作品として昇…

11

らら、うららか コミック

コガマユミ 

ちょっぴり不発でした。

表題は、恋人になってからのお話。その前に、なるまでのいきさつの話しがあります。
その一連を読むに多分 ”想いが実って恋人になってよかったね” 的な筋立ての話しなのでしょうが、今一つ上澄みだけをすくい取った感じで、根本は解決していないような気がするのです。
多分重くしない為だとは思うのですが、前半のお話の根本にシリアスな言葉や環境があらわされるだけに、妙にそれがひっかかってこれでいいのかな?って…

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