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美味しい恋を召し上がれ☆
主人公の小谷視点で描かれる話は、ギャルソンとして誠実に働いていた小谷が
ある事情で職場を辞めざる得なくなり、更に気の合う同僚や上司と思っていた
店の人間全てが小谷の言うことを信じてくれない、気の合う同僚も職場も失っていたが、
大学時代の先輩で同じくギャルソンをしていた先輩に相談し、先輩が田舎に帰るので
その後を引き継いで先輩が働いていた店に雇われることになる。
その店の人間たちは皆いい人だけれど、一人だけ不愛想で露骨に自分が嫌われていると
思える態度をするシェフが一人、そのシェフ九曜との関わりがあったから
結果的に最後は全てが上手くいくような話です。
かなり中盤まで小谷が何故前職を辞めなければならなかったのか、
なかなか解らないのですが、表面的に良い人を演じるのがかなり苦痛に見える小谷
優しくされれば相手にも同じように返さなければならない、でも相手が自分を嫌うなら
自分もそれなりの対応をするだけ、それが小谷と九曜との初めの間柄。
でも実は九曜はかなり不器用で寡黙、男は黙って背中で語れタイプみたいです。
でも、パニックになるほどゲイが嫌いな小谷にはそんなものが伝わる訳も無く
それでも、だからこそ相手に気を使って神経をすり減らす事が無いだけに小谷にとっては
成行で同居する事になった九曜との生活は楽に感じる。
本当は小谷が思うよりも細やかに九曜が気を使っていたりしますが。
小谷が心に抱えているものは現在進行形で続いているある男からの接触で、
言葉が通じないストーカーはやっぱり怖すぎです。
小谷のゲイ嫌いはこのストーカーのせいなんですが、エスカレートした男に
恐怖し、でも前職で誰も小谷の言い分を信じてくれなかったことで、
新しい店の人間たちまで信じてくれないかもと言う不安で押しつぶされそうな小谷。
それを九曜が知り、信じ、店の人間全てが小谷を守ろうとしてくれる。
ゲイが嫌いなのではなく、言葉が通じない相手が嫌なのだと小谷が皆といて理解する。
結果的に自分も男と付き合う事になりますが、ゲイストーカーから逃げていた小谷が
幸せと安心を手に入れることになる店の人間全てがゲイだったと言うのも設定として
かなり面白いと感じます。
登場キャラそれぞれが個性的で、他にキャラ達でも続編か、スピンオフを読みたいと
思うような素敵な内容でした。
今回のこの火崎作品、ものすごく良かった~☆☆☆
いつもラストに怒涛の謎解きがあるのですが、それは今回は若干ゆる~く。
主人公を怯えさせる原因になった出来事と、彼の勤めるレストランの様子や人々が実に対照的で上手く作用し
何と言っても自分が一番惹かれたのは攻めのキャラクター!!
ぶっきらぼうで、すぐ「バカ」と言い、何か言われると「ちっ」って舌打ちして、でもすごく男らしくて決して不器用というのではないのですが、この妙に硬派でクール(?)で熱くて優しい様々な面がとっても魅力なのです。
主人公の心の変遷もとても読ませます。
本当、毎度毎度言ってますがうまいなーと関心しきり。
またレストランが舞台だけに、食事も登場しますがメニューと材料から味を想像するのも楽しいですヨ。
小谷が先輩の紹介で転職したのには何か訳がありそう。
いい人達でよかったと安堵する小谷だが、シェフの九曜だけは無愛想で嫌われているのかと思い好きになれない。
しかし、小谷の住むアパートが火事で焼けてしまい仕方なく九耀の部屋にしばらく世話になることになるのです。
大きく全ての事態が動くきっかけは、店の常連客が小谷の手を触り誘ってきた時。
激しい拒絶を示して同性愛であることを批難するのですが、かなりパニックになりヒステリー状態を起こしてしまっています。
更に店に送られてきた薔薇の花束、九曜の家に届いた小谷宛てのワイン、次いで店に現れた絶対に会いたくない、その人物の為に仕事を辞めて転職せざるを得なかった元凶の男・小暮の登場。
それによって小谷の同性愛嫌いの原因、人に対する接しかたへの恐怖が明らかになるのです。
小谷がすごくネガティブな思考をしているな、と、そしてちょっぴり人との付き合い方に用心しているような部分の原因、とっても酷いのです!
やはり店の常連客だった小暮が小谷に懸想して思い込みの激しい妄執を抱いたストーカーになったのに、元の店の仲間は小谷の苦しみをわかってくれなくてやっかみ、耳を貸してくれなった。
不本意な男からの執拗な求愛と、上手くやれていたと思っていた仲間の冷たさに、用心深くなってしまうのはしかたないでしょう。
また、同性愛車への偏見と嫌悪ができてしまうのも同時ということで、この二つが結びついているので厄介なのですよ。
それにしても、小暮は本当に気持ち悪いストーカーで、今世の中でストーカー犯罪というのが多々ありますが、周囲の理解がないと、という良い一例のようなこの物語での設定の仕方だったのです。
さて、肝心の恋愛のほうです。
九曜の魅力は冒頭に書いたので、おいておいて、小谷が彼が自分を嫌っていると思うことに一番のポイントがあったように…
人に好かれようと表面を作ろう必要がない、相手が自分を嫌いとおもうようなら、そういう風に接すればいい、この自分が「素」でいられる存在というのが、人間への不信と恐怖を持っている小谷に必要な要素だったとわかるからスゴイ。
後に明かされる九曜のちょいツンデレ部分(笑)
好きなタイプだったけど、同性愛が嫌いと言われていたから好きにならないようにしてたって・・・かわいすぎるじゃないですか!!
それが癖ではあるようだが「ちっ」とか舌打ちになってるなんて~お前はどこの中学生だ!って♪
それにさりげない優しさが、男前だよね~って惚れてまうやろ!!(自分が惚れてどうするんだw)
最後は店のスタッフのおかげで無事ストーカーの事も解決するような流れです。
事件も絡めながら、人の心 というものをとても上手く演出して読ませました。
この本、滅茶好きですっ☆☆☆
一生懸命なのにいろんなことがうまくいかない小谷。
仲間だと思っていた同僚たちに信じてもらえず辞めるしかなかった前の職場での辛い出来事がトラウマとなって、対人関係に臆病になったいた。
けれど、次の職場で事件に巻き込まれそうになったとき信じて助けてくれた同僚や癒してくれた仲間の存在に救われるというストーリーでした。
同僚の中で、シェフの九曜だけはいつも感じ悪く近寄りがたい空気で話しかけると舌打ちをするという訳もわからず絶対嫌われてると思われる態度に萎縮してしまいます。
けれどそれは九曜が一目で惹かれたノンケの小谷を好きにならないように近寄らないようにしていたとか、理由が分かればなんとも大人げないです。
結構優しくて親身になってくれるんですがなかなかその心情を理解するまで時間がかかります。
九曜のほうにも同性を愛することで家族間にわだかまっている感情があり臆病になる気持ちもわからないではありませんが不器用過ぎです。
九曜に嫌われていると思った時すごく傷ついて悲しそうにしていた小谷。
お互いひと目で惹かれてしまったんですね。だから嫌われて悲しくて親切にされてうれしくて…
お互い不器用でかわいらしい恋愛です。
人間関係がうまくいかなくて考えすぎてぐるぐるしてしまうところや、人にやさしくするのは自分が嫌われないために人の気持ちを探っている自分の偽善的なところを嫌悪している小谷に共感できました。
いくら努力しても報われないのに、何の努力もなしに周りが気を使って好かれているようにみえる九曜が憎らしく思う八つ当たり気味な本音や、そう考える自分を嫌う小谷に、あるよねそういうことってと言ってあげたくなりました。
このレストランのみなさん実は見栄え抜群のゲイなんですよね。
だとしたら他の方々の恋バナなんかもありそうだななんて思ったらあるんですね『見つめ合って恋を語れ』で派手目なイケメン宮崎さんの登場です。
本の裏にあるあらすじを見て何気なく手に取ったのですが…
予想以上に受け様が酷い目にあってたなんて!!
最初にそんな感じの雰囲気は出てたけど・・・やっぱり吐いちゃったよね(;´Д`)
精神的に追い込まれちゃって可愛そうだったけど
武等派の攻め様の不器用すぎる愛情とお店のみんなのおかげで立ち直れるのでよかったです!
それにしても攻め様・・・昔やんちゃしてたのもあるけど
不器用すぎるw 不器用すぎて可愛素すぎるし
「可愛過ぎて近寄れない」と言った時の攻め様の顔がみたい!!!
そして周りホモまみれ・・・続編ですか!?(*´∀`*)
火崎さんの文章は読んでてすぐに分かります
『~で。』でよく終わる、改行多め、独白多めで密度が薄い
紙よりネット向きの文体だと思います
初めて読んだときは違和感の塊でした 今は慣れてきましたが…
元々そういう作風なのか、
多作な方なので一作に掛ける時間が短いのか、いまだに分かりません
ヘビーなネタだと逆に薄っぺらくみえてしまう文体なので
コメディテイストだったり
事件も悲劇も起こらない恋愛メインの方がハマると個人的に思ってます
今回は受けにサイコパスなストーカー男が纏わりついていて
受けがそれによってトラウマを抱え、追い詰められている設定なので
もうちょっと丁寧に描いてほしかった、というのが本音
でも火崎さんのお話はそういう時でもふっと心に残るようなやり取りがあり
読んで失敗したなって思うことは少ないです
また火崎さんの別のお話を読みたいなと思いました