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表題作葡萄畑で蜜月を

カーター・グランウォルド,30歳,ワイナリー経営者
倉田寧緒,20代半ば,天涯孤独のイラストレーター

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

心に傷を抱えた天涯孤独のイラストレーターと、ワイナリーのオーナーのカントリーLOVE♡

作品情報

作品名
葡萄畑で蜜月を
著者
神香うらら 
イラスト
みずかねりょう 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199009518
3.7

(40)

(7)

萌々

(17)

(14)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
8
得点
147
評価数
40
平均
3.7 / 5
神率
17.5%

レビュー投稿数8

心配性な攻め

アメリカのナパバレーというワインの産地らしい町のワイナリー経営者、カーターと天涯孤独でやってきた日本人青年、寧緒のお話です。

町で結婚したい男No.1のカーターの一目惚れと清楚で儚げ美人な寧緒の男性恐怖症と事件と…。
神香さんの王道もの?
現実を忘れて甘いお話の世界にひたれます。

カーターの心配性が寧緒を2度も救って!
ひき逃げを目撃しただけなのに!

あとは寧緒がひたすらカーターとの妄想に忙しいです。
お約束のパンツの中で射精も、カーターから見たら、なんてこった!な可愛さで。

田舎町が舞台なのもいいですね!

0

ゆっくり恋心を育むお2人さん。

 終始にまにましっぱなしのお話でした。

 受け様はゲイでありながら、思春期を迎える頃から男性から性的に嫌なめにあってきたせいで、男性恐怖症になっている寧緒。
肉親が亡くなり、心機一転してカリフォルニアのナパバレーに引っ越して来たばかり。

 攻め様はナパバレーでワイナリーを営むカーター。
実直で誠実で紳士、とステキな攻め様でした。
寧緒にひとめ惚れして、警戒心いっぱいの寧緒との距離を縮めようと頑張ってます。

 カーターが、自分とこの畑で取れたての人参を"おいしいよ"と差し出して、ぽりぽりかじる寧緒の姿に、脅かさないようゆっくり近づいてきてくれた人から人参をもらうウサギの姿が重なりました。

 一度は想いがぐわーっとふくれあがって性急にオス感出しちゃったカーターだけど、寧緒がそれに怯えた姿を見せたら、すぐに反省して、それからはゆっくり距離を縮めていく2人。
 ワイナリーだけあって、まさに成熟していく2人の恋心や関係がとっても甘くてよかったです。

 大柄なカーターに対して、性的な事はちょっと怖い、なんて感じてた寧緒だけど、カーターに対して好きな想いがふくらんだら、カーターを想像しながらエロい自慰をしていて、対してカーターが自慰をする姿がなくてちょっと残念。
絶対カーターも寧緒を思ってしてたんだろうなー、と行間で感じることにしました。

 寧緒が轢き逃げ犯を見ていた事からトラブルに巻き込まれますが、寧緒のピンチにはすかさずカーターが助けに来て、寧緒を胸に抱きしめる。

 ラストのやっとのえちシーンでは、初めての寧緒を慮って挿入したのは自身の3分の1。
最後まで、どこまでも紳士なカーターに"えっ"でしたが、まぁそんな紳士でいてくれたカーターだから、寧緒もゆっくり近づいて腕の中に飛び込めたんだしね。
 恋人同士になる前から、寧緒に対して溺愛気味だったカーター。
これからは溺愛に拍車がかかっていくんだろうなぁ。
妄想が楽しいです。


 みずかねりょう先生の描かれた人参をかじる寧緒がとってもキュート。
そして、カーターの、シャツの胸の当たりのとこに寄ったシワに、胸筋を感じてめっちゃ萌えでした。

2

ワインのように熟成されていく恋

両視点ものの良いところは、お互いがどう思っているのかがいち早く読者だけに伝わるところですよね。
今作も、良い大人2人が早い段階でどうしようもなく惹かれ合っているというのに、なかなかくっつかずに悶々としている姿を「もう好きでしかないじゃん…!」なんて思いながら大いに楽しむ事が出来ます。
デートをして、何気ない話をして、手を繋いで、ドライブをして、家の前で「おやすみ」と言って別れる。
ゆっくりと進む2人の恋がとても微笑ましかったです。

受けの寧緒は、恋愛対象は男性なのに男性恐怖症気味という難儀なものを抱えていて、恋をしたいと思いつつも過去の数々の恐怖体験からのトラウマで警戒心が強い。
そんな彼のお相手は、いつもさり気ない気遣いをしてくれる大人なワイナリー経営者・カーター。
…なのですが、実際はと言うと30歳にして初恋を迎え、とんでもなく浮き足立っている自分を必死に律している190cmを超える長身を持つ男前です。
決して好みではないはずのカーターに惹かれていく自分に戸惑ったり、電話をしただけで胸がときめいてしまう寧緒の初心さもなかなかですが、夕食に誘えた!とガッツポーズをして舞い上がるカーターが可愛らしい事この上ない。
この2人、ティーンの間違いなのでは(笑)
こちらのカーター。大柄な体躯とは裏腹に可愛らしい部分もあるのですが、寧緒の過去のトラウマについても理解を示し、告白後も決して無理強いをせずに相手の気持ちを尊重する。
誠実で礼儀正しく真面目、そしてピンチには頼りになる…と、非常に紳士的な良い男前です。
これは惚れるなと言われても無理でしょう。
カーターから告白された時点で、もう答えはイエスと決まっていたというのに、どうにもあと1歩が踏み出せていなかったところでとある事件に巻き込まれ、事件をきっかけに自らカーターの元へ飛び込む寧緒なのでした。
ハラハラ要素もしっかりと入っているのがまた良いのですよね。

性的な事は苦手だったはずの寧緒が、カーターを想って自慰に励んでいたり、乳首にキスをされただけで達してしまったり、意外とベッドでは積極的というギャップのある姿が、カーターの言葉を借りるのならば「なんてこった…」でした。
それから個人的な趣味となってしまうのですが、とても大きくご立派なものをお持ちの攻めが「まだちょっとしか入っていない」と言いながら身体に馴染むまで待ったり、それを聞いた受けが驚いて無意識に攻めを煽る描写がこれぞ体格差カップルの様式美!という感じがして好きです。
カーターに身も心ももっと溺愛されてほしい。


一目惚れをした両片思いの2人が楽しいお話でした。
寧緒のお仕事話も良かったですし、あらゆるものの色の美しさや、ナパバレーの美しい風景を感じられるような、絵描きならではの視点での語り口がとても面白いです。
欲を言えば、せっかくのアメリカのワイナリーや葡萄畑という設定があるので、もうちょっとワイナリー要素が欲しかったかななんて。
野菜畑のシーンがすごく好きなので、葡萄畑のシーンももうちょっと読みたかった…!
寧緒が男性から狙われ過ぎていたり、短期間で事件に巻き込まれて拘束されやすかったりと、属性がもりもりっとしている所も少し気になりました。
でも、これからはヒーローが助けに来てくれますし、恋人という最高のセキュリティで守られているのでひと安心ですね。

みずかねりょう先生の描かれるカーターがすごく男前で、がっしりとした身体と胸筋がたまりませんでした。
色気たっぷりで本当に眼福です。美しい。

3

番外編は読むんじゃなかった

あらすじは姐様達が語って下さったので私は私的な感想だけ書いておきます。
電子書籍で購入。
電子限定番外編『金曜の夜の蜜月』ネタバレあり。

*

カーターさん(攻め)はほぼ最初から一目惚れだったので倉田さん(受け)のことを溺愛してるし、倉田さんも昔のトラウマと「(カーターさんのことを)好みじゃない」と言ってる割には素早く恋に落ちるので(笑)、作品の雰囲気は甘々で暖かいです。時々起こる事件もむしろ恋が実るための踏み台にみえるので気楽に楽しめました。

一番心に残ったシーンは、カーターさんが今までの悩みを語るところです。

ずっと女の人と交際してきたが何故か本気になれなくて、自分に問題があるんじゃないのか相当悩んでいたが、倉田さんに出会って、一目惚れして、ようやく性的指向に気が付いて、自分がゲイだったという衝撃よりも誰かを普通に愛せる人だったことにほっとするんです。

なんかこんなことは受けさんの専売特許だと思い込んでいたので結構新鮮でしたし、カーターさんが一時の火遊びじゃなくて本気だとはっきり感じ取ることが出来てとてもいいシーンでした。

本編自体は萌2ですが、限定番外編『金曜の夜の蜜月』が趣味じゃなかったので萌にしました。

*

私は基本的に、攻めさんと受けさん以外には全く興味がないのです。だからカーターさんの友人であるヘザーとかケイレブが二人のことを見守りながら色々しゃべっても「…だから何?」って感じちゃう。番外編だと他人のことより、カーターさんと倉田さんがいちゃいちゃしてるところとか、『大☆成☆功・初夜は1/3だったけど、今回は根元まで合体出来たよ!』とか期待してたので残念。

そして、友人の二人があまりにも嫌いなタイプでした。ケイレブは親友の性的指向を「俺は今でもカーターはゲイじゃないと思う。」、「カーターに性別はあんまり重要じゃない」って自己完結してるし、ヘザーはさらに加えて、もう…… ヘザーが語ってることを要約すると、こうなります。

『私も以前女に一目惚れしたことがある → 私はレズビアンじゃない。彼女が特別だっただけ → だからカーターもゲイじゃないと思う。倉田さんが特別だっただけ』

……は?

あのですね、二人ともまだ中二病直ってないですか?w見てるこっちが恥ずかしくて死にそうですがw本編でカーターさんが性的指向を認めた時の感動が台無しだよ。どうしてくれるwああ、もう……

カーターさんの友人の二人がこうしているとなんだか苦笑いが止まらなかったんです。ゲイなのか、ゲイじゃないのか。これを言える人はカーターさん自身であって、他人が芸能人のゴシップのように軽々しく言えるものじゃない。親友のことをそのまま認めず、自分勝手にしゃべってるところを読みながらあまりいい気分じゃなかった。

限定番外編は不愉快でした。

1

甘々!

「蜜月を」というタイトル通り甘々で小難しい展開はないので、疲れたときの癒しの一冊に最適でした。
カリフォルニアのナパバレーが舞台なので、瑞々しい風景描写も心に癒しを与えてくれます。

読後にちるちるのあらすじを見て思わず吹きました。
「心に傷を抱えた天涯孤独のイラストレーターと、ワイナリーのオーナーのカントリーLOVE♡」

えっ?!そんだけ?

究極のあらすじに近いわ……と思うんだけど、「LOVE♡」からお察ししてねという圧の通り、甘々です。
攻めが受けに一目惚れしちゃってて、メロメロです。

受けはゲイなんだけど、可哀想な事に幼い頃から変態男達に付け狙われたせいで、大人の男に恐怖心を覚えてしまうという青年。
だから逞しい攻めに最初こそビビってるけど、今までの変態男とは全く違う…でも………と心が行き来しつつも、穏やかで優しい攻めに惹かれていきます。
攻めも、ハリネズミ状態でビビってる受けを心の底から大切にしたいと思う一方で、魅惑的な唇やらあれこれに目をついつい奪われて手を出したい気持ちを、何とか理性で抑え込んでる状態。

側から見ると、相思相愛でもはや恋人同士といってほぼ間違いない地点に到達してるのに、あと残り1割という地点でモダモダしてる二人にニヤニヤしまくりというか、おーい!早くくっついちまえよ!!状態なんだけど、そこが美味しい。

受けがひき逃げ事件の唯一の目撃者となってしまった事から命の危険に晒されますが、攻めの第六感という名の過保護センサーによって無事救出されるんだろうなぁという安心感があるので、ハラハラ感はなく心おだやかに読める。
(だからハラハラしすぎて眠れなくなるみたいな事もないので、寝る前の一冊にぴったりです。)

神香うらら先生の本はこれで読むのが3冊目なんだけど、ちるちるプロフィールにある「童貞受けに強いこだわりを持ち、初々しいのに妄想たくましい受けを書くと右に出る者はいない。」という思わず吹きそうになる一文をまさに実感しました。

奥手でウブでもちろん処女なのに、受けが攻めのを受け入れる日を想像してせっせとアナニーをする。

ギャップ!!

ちょいとした不満をあげるとしたら、せっかくアナニーに励んでいたのに攻めのが予想以上に大きくて初めてのエッチで全部挿らないんです。
全部だと思ったら、まだ1/3だよ…と言われてビックリ!なんだけど、今はこれで充分だ、これから時間をかけてゆっくり進んでいけばいい……で終わってしまう……。
そりゃ彼らにはこれから長い人生が待ち受けてますが、読者からするとあ、ページ終わっちゃった……全部挿ったところまで読みたかったよー!みたいな。

でも1/3でも受けが乱れまくってたので、全部挿った日の乱れっぷりについては、神香先生の書く受けに倣って、読者も妄想たくましくいきましょう!という感じでしょうか。

8

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