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人間社会に疲れた青年が始めたのは、様々な獣人達が暮らす森での「動物のお医者さん」でした。
と、メルヘンチックなストーリーになります。
いや、ストーリー自体はおとぎ話を思わせる可愛さなのに、ここに中原流捻りが大量にきかせてありまして!
もう爆笑ものなんですよ。
いちいちこれでもかと細かいネタがブッ込まれていて、もう完全に笑わせに来てるでしょー!!と。
あと、終始コミカルだったり痛快だったりと読者を楽しませてくれる作品なんですけど、その中で「食と命」と言う深いテーマだったり、産業廃棄物みたいな社会問題なんかも描かれているのがお見事でした。
う~ん・・・。
こういう難しいテーマを扱いつつも、読者に堅苦しい印象を与えずに、終始痛快に読ませてくれるのが上手いなぁと。
で、こちら既に素敵なレビューがたくさん挙がってますので、個人的に萌えた部分や感想のみ書かせていただきます。
まず、笑えて笑えて仕方なかった部分なんですけど。
ズバリ、獣人達のエピソードだったりします。
えーと、狼とか熊とかカピバラとかビーバーとか、動物園状態で様々な獣人が存在してる不思議な山が舞台なんですよ。
もうこれ本当に、細かいお笑いネタの宝庫でして。
熊の獣人はハチミツの瓶を片手に現れ、ビーバーは「安全第一」と書かれた黄色いヘルメットで土木工事。
で、カピバラは温泉の管理人でなんと名前が「草津」だの「別府」。
彼等が登場する度に、いちいち吹き出しちゃうじゃないかよ!
そしてそして、個人的に一番ニヤニヤしちゃった点なんですけど、彼等は可愛いモフモフでありながら、中身はオヤジ!
それも、オヤジくさいオヤジ!!
実は、一番お気に入りのオヤジがコアラの夕狩(ゆうかり)になるんですけど。
オマケのSSに出てくる、チョイ役もチョイ役なんですけど。
彼はですね、人間の姿だとでぶっちょの中年男性なのです。
登頂部が寂しい感じの。
それが、コアラ姿で「先生がどうしても抱いてくれと言ったから抱いてやったんや」みたいな。
「抱いてくれと言われて、男が断れるかいな。恥をかかせるわけにはいかんやろうが」みたいな!(≧∀≦)
えーと、岡村の「抱っこさせてくれ、です」みたいな訂正にも笑えて笑えて仕方ないんですけど。
いやさあ、この後、他の獣人をモフっていた岡村に対して、攻めである牙狼が「あんた、男なら誰でもいいのか」と責め始めるんですよね。
すると、ここでまたまた出てくる夕狩。
「おいおい、痴話喧嘩はやめんかい」と。
そして、最後に「今夜、可愛がってやってもええぞ」のセリフを残して立ち去るー。
オヤジーーー!
格好よすぎるだろーーーーー!!
と、脇キャラばかり熱く語ってしまいましたが、主役である牙狼(狼)や準主役である月夜見(熊)も渋くて格好いいオヤジ達でして。
もう、いちいちセリフがオヤジの色気に溢れていて萌えまくっちゃうんですよ。
「抱いてやるから来いよ」みたいな!!(≧∀≦)
これ、狼の姿で言ってるのです。
緊急事態で洞穴で寝る事になった岡村にですね、暖をとらせる為にモフモフになる牙狼。
が、「抱いて寝てやる」。そして、「先生は抱き心地がいいな」と!!
セリフがいちいち渋いんだよーーー!
モフモフがこれを言ってるんですよーーー!!
あとですね、おっとり穏やかなのに、怒らせると怖い岡村も大変魅力的なキャラでした。
作中で「食と命」と言う重いテーマが語られるんですよね。
仲良くしていたウサギの獣人が、肉食である他の獣人に食べられと。
生きる為に食べると言うのは当たり前の話で、理屈では納得がいくのです。
それでも、これまでおとぎ話のような優しい世界だっただけに、結構なショックを受けるんですよね。
ここで、目を逸らすのでは無く、感情を切り離すで無く、とことん悩む岡村に心を打たれて。
ついでに、悩む岡村に対して、牙狼の告げたセリフがとても優しくてあたたかいものでジーンと来ちゃいました。
中原先生の書くオヤジは、本当に懐が深くて格好いいなぁ・・・。
と、笑えて楽しいだけでは無く、ハラハラドキドキさせてくれたり心を打たれたりと、とても素敵な作品でした。
特に、山場でのスーツでビシッと決めたオヤジ達の、格好よくて痛快な事。
ぜひ、ここもご注目いただきたい!
『梟は烏を~』は『鳥政界』のお話でした。
今作は『動物任侠界』ですよ!
中原さん、お得意の世界をとことん詰め込んだ感じの1冊です。
モフモフと漢、自然の摂理と人情が満載されています。
つまり、癒されて惚れ惚れとし、人間社会への批評精神を感じ取った後にジンと来るという大盤振る舞いなのです。
これだけてんこ盛りなのに詰め込んでいる感じが一切せず、エンタテインメントとして笑わせながらさらりと読ませちゃうのが凄いと思うんですよ。以前から大好きな作家さんでしたけれど、昨年からの中原さんの大進撃は「神がかっている」としか言えないです。
加えて、奈良画伯のイラストもとても素敵。
悪そうな漢(奈良さんの描く『悪い男』も素敵ですが、今作はあくまでも『悪そうな漢』なのね)の色気に溢れているんですよねぇ……
獣医の岡村は職場での人間関係に疲れて仕事を退職し、しばらく街を離れて過ごそうと相続した山林に来るのですが、そこは獣人達が暮らす異世界と繋がる場所だったんですね。怪我をしたハスキーの子犬を助けたら、ちょっと目を離した隙に犬耳付きの男の子に変わっちゃっていて、おまけに銀髪の犬耳美丈夫が「うちの若い衆が世話になっているらしいな」と迎えに来て、オオカミ組の組長だと名乗り、ヤクザと思った岡村が恐怖のあまり失神する……始まりからたった20ページで、テンポ良くお話の世界観が説明されるこの手際の良さ!まさに中原さんの手のひらで転がされている様でした。
数々の動物が、オオカミを初めとして「日本の山林にはいないだろう……」という動物たちが獣人として『組』を作り『シマ』を広げるために命には関わらない程度の抗争を繰り広げつつも共存するための掟を守って暮らしているのですが、この獣人達の性格がそれぞれの動物の性質になぞらえてあるのがとても面白いのです。……中原さんって本当に動物好きなのね。この辺の『楽しんで書いてます』感も気持ちが良いのですよ、とても。
それと同時に、彼らが人間とは異なって気持ちをとても素直に表すことや、必要以上の殺生を避けること、共存していくための掟をとても大切にしていることが、お話が進むにつれ自然と理解出来る作りになっているんですよ。
これが、大上段に振りかざしたものではないからこそ『四つ足賛歌』になっていると思いました。
人間社会に渦巻く黒い感情に接した所為でストレスを溜め込んで来た岡村が、この世界にのめり込んでしまうのは必至だと思いましたです。
岡村がオオカミ組組長の牙狼に惹かれていく過程も、牙狼の素直でストレートな愛情表現から、自然なこととしてすんなり受け止められるんですね。
ゲイだとか、ヘテロだとかそういう事を考えなくてもすんなり。
私なんか以前飼っていた大型犬のことを激しく思い出しましたよ。
彼が私に寄せてくれた愛情とか、信頼とか、そういった全てのことを(涙)。
四つ足好きには天国の様な世界観で繰り広げられる『任侠話』。
笑えて、ほろりと来て、読み終わった後には『環境破壊について』なんてことまで思いを馳せてしまう、とてもとても『お得』な1冊です。
蛇足
巻末短編『浮気者』は大笑いしました。
姿が愛らしい動物って、得てして『コロンとしている』っていうことなんですよね。
ネタバレしません。
読んで、私と同様に腹の皮を捩れさせてください。
作家買い。
ここ最近、中原作品はどれを読んでもハズレがなくて萌えと爆笑に包まれつつ読破していますが、今作品も面白かった!
中原さんと言えば、「オヤジ」をイメージしますが、この作品もそのイメージを覆すことのない男の色香ダダ洩れの「オヤジ」が登場します。が、この「オヤジ」がただのおっさんに非ず。
狼です。
モフモフです。
組長です。
カッコいいのに、クソ可愛い。
これが両立できるのが中原作品の大きな魅力の一つかな、なんて思いつつ。
主人公は獣医の岡村くん。
昔から動物が好きで、獣医として優秀でありながら職場のドタバタに巻き込まれる形で就職。再就職する前に亡き母から受け継いだ森を訪れるが、そこで出会ったのは人の言葉を話し、そしてヒト型にも変化することが出来る動物たちで―?
というお話。
最近中原作品は人外、もっと言うと「ケモノ」が登場する作品が多い気がしますが、今作品は沢山の動物たちが登場します。
森にすむ多種多様な動物たち。
彼らは弱肉強食の世界で生きながら、共存するために共通のルールをもって生活している。
野生の世界の厳しさと、けれど同じ場所で生き抜くための知恵と優しさもきちんと描かれていて、甘々なだけでもなく、厳しいだけでもなく、そのバランスが絶妙でした。
岡村くんは動物好きが高じて獣医になったという青年で、ゆえに登場する動物たちを心から愛でる姿にほっこりします。熊さんや、ウサギ、カピバラに始まり、やや解せぬのはコアラまで。いや、コアラって、野性としては日本にはおらんやろ!というツッコミもなんのその、なんでもありと思わせる中原作品の世界観に圧倒されます。
そして、森にふらりとやってきた岡村くんをサポートするのがオオカミ組の組長・牙狼。
牙狼の放つ、オッサンの魅力にKOされました。
何しろカッコいい。
組長として、締めるところは締め、守るべきものは守る。
そして、岡村くんに向ける一途な想いもよし。
肉球を触らせてくれたり、モフモフさせてくれたり、岡村くんが羨ましくて仕方なかったです。
私も触りたい…!
牙狼はオオカミ、というキーポイントは、二人の濡れ場でもがっつり生かされてます。
人の姿だったり、狼の姿だったり。
牙狼の尻尾や牙が岡村くんの快楽をより深めるファクターになっていて、これがクッソエロいわけですが、エロに特化していないものよかった。
どちらの姿であっても、お互いを愛おしく想い、愛する想いがあふれる濡れ場になっていて非常に萌えました。
「オヤジ」と「モフモフ」と「笑い」と「愛情」と「萌え」と。
そして、コミカルにテンポよく進むストーリー。
中原作品の真骨頂といえる作品ではなかろうかと、個人的には思うのです
で、特筆すべきは奈良さんの挿絵。
男の色香と優しさがにじみ出ている牙狼。
動物に対する愛情まできっちり描かれた岡村くん。
可愛くも、厳しい世界で生きる様々な動物たち。
そして、ヒールとして登場する「闇の目」までカッコいい。
闇の目が可哀想で…。
ぜひ、彼救済のスピンオフを描いてほしいな。
というか、この作品の世界観が非常にツボなので、スピンオフでぜひ続きを書いてほしいと切望しています。
最初から最後まで、そして挿絵まで、とにかく最高な一冊でした。
今回は森の結界内に住む獣人でオオカミ組組長と
先祖代々の土地を継承して森にやって来た獣医のお話です。
人間社会に疲れた獣医が獣人達と中に居場所を得るまでと
受様の浮気疑惑が浮上する後日談を収録。
受様は子供の頃から動物が大好きで、獣医か動物園の飼育係になる
のが夢でした。父が早くに亡くなり、母を助けて家事をしていた事
もあり対人スキルはあまりありませんでした。
成長するにつれて少しはましになりますが、勤めていた動物病院
で同僚医師とうまくやれず辞める道を選びます。調度急逝した母
から先祖代々護る山林が有り、様子見を兼ねて訪ねる事にします。
山林の地図を片手に山小屋を目指して山に入った受様でしたが、
途中で怪我を仔犬を助けて山小屋で手当てをします。しかし、受様
が助けた仔犬は、気が付くとオオカミの耳と尻尾を生やした人間の
子供の姿に変わっていたのです!!
受様が呆然としているとコンコンとドアをノックされます。この
状況なら子供の親が迎えに来たのかとも思えますが、耳と尻尾の
ある大人なんて恐怖以外の何者でもありません。
コンコンと再びノックされて恐る恐るドアを開けた受様が目にした
のは40才くらいの長身で猛々しい外見の偉丈夫でした。この偉丈夫
が今回の攻様です♪
攻様には耳と尻尾とオオカミの特徴に似た金目をもつ男臭い外見で、
自分はオオカミ組組長で若い衆を迎えに来たと挨拶されますが、
受様は組長、若い衆、ヤクザ、大麻、秘密の取引とパニック、混乱、
ストレス過多で目の前が次第に暗くなってしまうのです。
目を覚ました受様はベットに寝ていて飛び起きます。先ほどの事は
夢かと思うのですが、先ほどの子供と攻様は実在していて再びパニッ
クになりかけます。そんな受様に攻様はこの森の所有者一族なら自分
達の事を知っておいた方が良いと話をしたいと態度で示すのです。
攻様は、ここは攻様達のような獣人達住む結界に護られた特別な森で、
同じ種類の獣人達が集まって組をつくり、シマと呼ばれるテリトリー
で暮らしているそうで、シマの奪い合いは有っても、定期的に組長が
集い、重要な決め事などを話し合っていると言います。
しばらくはここにいるという受様に、攻様は若い衆を助けてくれた礼
にと山小屋の様子見を手伝ってくれ、獣人に興味津々の受様の前で
オオカミに変化してくれました。
白銀のオオカミ姿の攻様はかなりの大型で、人に飼いならされた事の
ない雄々しさを感じます。その上おしゃべりもできる攻様をもふらせ
てもらった受様は攻様の毛並みの良さや肉球に匂いに心が胸がキュン
となります。
動物好きな受様にとって不思議の森は天国!?それとも・・・
不思議な結界に包まれた獣人達の暮らす森を舞台に繰り広げられる
もふもふ獣人ファンタジーになります♪
もふもふもファンタジーも大好きなのですが、それに中原先生お得意
のオヤジ要素&任侠要素が加わったら、どんなお話になるのかとワク
ワクで手に取りましたら、期待以上に面白かったです (^O^)/
受様が相続した土地の森にはオオカミ、クマ、ウサギ、キツネなどの
いかにもな獣人の他にカビパラとかコアラなんて獣人も暮らしていま
す。彼らは種族ごとに人間のヤクザよろしくシマ組織をつくり、抗争
を繰り広げながらも、一定のルールを護って平和に暮らしています。
動物好きが高じて獣医になった受様は、オオカミの攻様をもふったり、
蜂蜜壺と一心同体なクマ組の組長と一緒にお散歩したいとキラキラ
したり、温泉持ちのカピバラ組の組長さんと温泉に入ってワフワフ
したり、正に極楽気分を満喫しております♪
受様はお医者さんとしてもすこぶる優秀で、人間に良い感情のない
獣人達の信頼も勝ち取っていくのです。
しかし、受様が獣人達の治療をするのを快く思わない者もいました。
というのも獣人達は弱っている者を捕食する弱肉強食を当然の権利で
あり、自然の摂理として受け止めていたからです。
そしてオオカミ組の前組長の息子でありながら、跡目を継げずナンバー
スリーとなった男は受様を苦々しく思っている1人であり、彼はやがて
森を揺るがす事件を起こす事になるのです。
受様と攻様の恋の進展に絡めて、獣人同士の喧嘩あり、抗争あり、最後
は本物のヤクザとの戦いにまで世界が広がり、終始ドキドキ&ワクワク
で予想がつかない展開を楽ませて頂きました♪
生きることについて獣人達は実にシビアです。自分達種族の益を優先し
て縄張り争いしたり、弱った獣人は捕食の対象となったり。でもそれら
を自然な事としてあるがままに受け止めている姿に考えさせられました。
奈良さんのイラストですと、ちょっと攻様のオヤジ感が足りないかなって
感じがしましたが、受様が満面の笑みで獣姿の獣人達をもふったり、抱き
ついたり、抱っこしたりするけど人間姿の彼らは「オヤジ」なんだよね~
というギャップがすっごく美味しかったです (^m^)v
今回はオヤジ繋がりで中原さんの既刊『よくある話。』をおススメです。
こちらはちょっと枯れちゃってる(笑)オヤジ受になります。
先生買い。中原先生のコメディ系がお好きな方でしたらご安心くださいとお伝えしたい本編250Pほど+後日談11P+あとがき。今回はバラエティにとんだケモご登場です。神とするような圧倒的な何かは感じなかったので萌2にしました。
他人との距離感が今一つ上手くつかめないストレスにより勤めていた動物病院を辞めた岡村。母親から相続した山林の整理をしようと山小屋に来たのはいいものの、山道で拾ったケガした仔犬が手当てした後にいなくなり、なぜか耳しっぽ付きの子供が代わりに寝っ転がっていて・・と続きます。
攻め受け以外の登場人(?)物は
オオカミ組の若頭、若い衆複数、クマ組組長、カピバラ等々 いっぱい!動物天国!!!すっげー世界(爆笑)
**楽しかったところ
各動物たちが組を作っていて(オオカミ組、クマ組・・幼稚園か!)人間姿だと、その頭はみんな筋金入りのヤさん、しかもおっさん。動物姿になった途端、めちゃめちゃラブリーなのに、喋ると「てめぇこそ、ここでなにしてやがる!」といった具合に極道寄りなので、笑うしかなかったです。
さらに奈良先生の挿絵が秀逸!蜂蜜のツボ持ったクマさんが、診察受けに来て椅子座るシーンと、そのクマが人間化したシーン、両方の挿絵があるのですが、「奈良先生、天才!!!」と思わず唸る面白さです。
動物好きな受けさんは、中身おっさんと分かっていても、各動物を愛さずにはおられない様子で、攻めのオオカミはあれやこれやキリキリしてて、そこもまた楽しい。そう、受けが攻めを振り回してるんですね。楽しかった・・頭がよくて振り回してるんじゃなくって、自らの欲望のままに割合考え無しに突き進んで振り回しています。崖から落っこちそうになってたり、ススメバチの巣に激突したり(!)それを心配して攻めだけではなく周りのおっさん獣人たちはハラハラ。
お話自体は跡目相続や不法投棄話が絡んで、シリアスな部分もあるのですが、それよりなによりキツネ、カピバラ、ビーバー、コアラ等、いろんな動物が極道おっさんで出てくるお話で、楽しかったーという印象でした!