白銀のオオカミと森のお医者さん

hakugin no ookami to mori no oishasan

白銀のオオカミと森のお医者さん
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神16
  • 萌×211
  • 萌4
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

16

レビュー数
7
得点
136
評価数
31
平均
4.4 / 5
神率
51.6%
著者
中原一也 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
奈良千春 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
価格
¥657(税抜)  
ISBN
9784576190747

あらすじ

今度はどっちの姿でしようか

人間社会に疲れた獣医の岡村は、先祖から受け継いだ山で白銀の狼・牙狼に出会う。
牙狼は、「俺と子作りしよう」と口説いてくるが!?

人間社会に疲れた獣医の岡村は、先祖が代々受け継いできた山で動物のための診療所を開く。しかしそこは獣人が住む山だった。
普段は可愛い動物の姿をしているが、ひとたび縄張り争いとなると血気盛んな獣人オヤジたち。
中でも白銀のオオカミの牙狼は、雄のフェロモン垂れ流しで「俺と子作りしよう」と岡村を口説いてくるが…!?
狼の彼に舌で愛され、人の姿で激しく奥まで貫かれ――。
白銀の狼×獣医のドキドキ動物パラダイス☆

表題作白銀のオオカミと森のお医者さん

牙狼(獣人、オオカミ組組長)
岡村 頼朝(山奥で診療所を開く獣医、27歳)

その他の収録作品

  • 浮気者
  • あとがき

評価・レビューするAIの精度がアップいたします

レビュー投稿数7

可愛い姿だけど実は

森の獣人達が可愛いし面白いしで最高でした。

熊が蜂蜜の壺を持って二足歩行しながら話しかけて来てファンタジーなのに、人間の姿になると角刈りで強面でもろ極道とか何度もクスっとなりました。

神々しくもある牙狼の姿にときめく岡村の気持ちが分かりました。狼でも人間でも良いです。
洞窟の中で狼の牙狼にのしかかられている岡村のイラストに興奮してしまいました。獣姦にときめきさえ感じました。こんな作品初めてです。

豊かな森の薬草を使っての治療や、それぞれの獣人達の特性とか名前も良く考えていると思いました。

診療所の前で日向ぼっこする熊と狼を想像してにやけてしまいました。こんな土地なら私も相続してみたいです。

0

けも極道

先生買い。中原先生のコメディ系がお好きな方でしたらご安心くださいとお伝えしたい本編250Pほど+後日談11P+あとがき。今回はバラエティにとんだケモご登場です。神とするような圧倒的な何かは感じなかったので萌2にしました。

他人との距離感が今一つ上手くつかめないストレスにより勤めていた動物病院を辞めた岡村。母親から相続した山林の整理をしようと山小屋に来たのはいいものの、山道で拾ったケガした仔犬が手当てした後にいなくなり、なぜか耳しっぽ付きの子供が代わりに寝っ転がっていて・・と続きます。

攻め受け以外の登場人(?)物は
オオカミ組の若頭、若い衆複数、クマ組組長、カピバラ等々 いっぱい!動物天国!!!すっげー世界(爆笑)

**楽しかったところ

各動物たちが組を作っていて(オオカミ組、クマ組・・幼稚園か!)人間姿だと、その頭はみんな筋金入りのヤさん、しかもおっさん。動物姿になった途端、めちゃめちゃラブリーなのに、喋ると「てめぇこそ、ここでなにしてやがる!」といった具合に極道寄りなので、笑うしかなかったです。
さらに奈良先生の挿絵が秀逸!蜂蜜のツボ持ったクマさんが、診察受けに来て椅子座るシーンと、そのクマが人間化したシーン、両方の挿絵があるのですが、「奈良先生、天才!!!」と思わず唸る面白さです。

動物好きな受けさんは、中身おっさんと分かっていても、各動物を愛さずにはおられない様子で、攻めのオオカミはあれやこれやキリキリしてて、そこもまた楽しい。そう、受けが攻めを振り回してるんですね。楽しかった・・頭がよくて振り回してるんじゃなくって、自らの欲望のままに割合考え無しに突き進んで振り回しています。崖から落っこちそうになってたり、ススメバチの巣に激突したり(!)それを心配して攻めだけではなく周りのおっさん獣人たちはハラハラ。

お話自体は跡目相続や不法投棄話が絡んで、シリアスな部分もあるのですが、それよりなによりキツネ、カピバラ、ビーバー、コアラ等、いろんな動物が極道おっさんで出てくるお話で、楽しかったーという印象でした!

4

可愛いもふもふ天国の実態はオヤジな極道界!?

今回は森の結界内に住む獣人でオオカミ組組長と
先祖代々の土地を継承して森にやって来た獣医のお話です。

人間社会に疲れた獣医が獣人達と中に居場所を得るまでと
受様の浮気疑惑が浮上する後日談を収録。

受様は子供の頃から動物が大好きで、獣医か動物園の飼育係になるのが
夢でした。父が早くに亡くなり、母を助けて家事をしていたこともあり
対人スキルはあまりありませんでした。

成長するにつれて少しはましになりますが、勤めていた動物病院で同僚
医師とうまくやれず辞める道を選びます。調度、急逝した母から先祖
代々護ってきた山林が有り、様子見を兼ねて訪ねてみる事にします。

山林は私有地で地図にある山小屋を目指して山に入った受様でしたが、
途中で怪我を仔犬を助けて山小屋で手当てをします。しかし、受様が
助けた仔犬は、気が付くとオオカミの耳と尻尾を生やした人間の子供の
姿に変わっていたのです!!

受様が呆然としているとコンコンとドアをノックされます。この状況
なら子供の親が迎えに来たのかとも思えますが、耳と尻尾のある大人
なんて恐怖以外の何者でもありません。

コンコンと再びノックされて恐る恐るドアを開けた受様が目にしたのは
40才くらいの長身で猛々しい外見の偉丈夫で、今回の攻様になります♪

攻様には耳と尻尾とオオカミの特徴に似た金目をもつ男臭い外見で、
自分はオオカミ組組長で若い衆を迎えに来たと挨拶されますが、受様は
組長、若い衆、ヤクザ、大麻、秘密の取引とパニック、混乱、ストレス
過多で目の前が次第に暗くなってしまうのです。

目を覚ました受様はベットに寝ていて飛び起きます。先ほどの事は夢か
と思うのですが、先ほどの子供と攻様は実在していて再びパニックに
なりかけます。そんな受様に攻様はこの森の所有者一族なら自分達の
事を知っておいた方が良いからと話をしたいと態度て示すのです。

攻様はここは攻様達のような獣人達住む結界に護られた特別な森で、
同じ種類の獣人達が集まって組をつくり、シマと呼ばれるテリトリーで
暮らしているそうで、シマの奪い合いは有っても、定期的に組長が集い、
重要な決め事などを話し合っていると言います。

しばらくはここにいるという受様に、攻様は若い衆を助けてくれた礼に
山小屋の様子見を手伝ってくれ、獣人に興味津々の受様の前でオオカミ
に変化してくれました。

白銀のオオカミ姿の攻様はかなりの大型で、人に飼いならされた事のない
雄々しさを感じます。その上おしゃべりもできる攻様をもふらせてもらっ
た受様は攻様の毛並みの良さや肉球に匂いに心が胸がキュンとなります。

動物好きな受様にとって不思議の森は天国!?それとも・・・

不思議な結界に包まれた獣人達の暮らす森を舞台に繰り広げられる
もふもふ獣人ファンタジーになります♪

もふもふもファンタジーも大好きなのですが、それに中原先生お得意の
オヤジ要素&任侠要素が加わったら、どんなお話になるのかとワクワク
して手に取りましたら、期待以上に面白かったです (^O^)/

受様が相続した土地の森にはオオカミ、クマ、ウサギ、キツネなどの
いかにもな獣人の他にカビパラとかコアラなんて獣人も暮らしています。
彼らは種族ごとに人間のヤクザよろしくシマ組織をつくり、抗争を繰り
広げながらも、一定のルールを護って平和に暮らしています。

動物好きが高じて獣医になった受様は、オオカミの攻様のもふもふを始め
蜂蜜壺と一心同体なクマ組の組長と一緒にお散歩したいとキラキラしたり、
温泉持ちのカピバラ組の組長さんと温泉に入ってワフワフしたり、正に
極楽気分を満喫しております♪

受様はお医者さんとしてもすこぶる優秀で、人間に良い感情のない獣人達
の信頼も勝ち取っていくのです。

しかし、受様が獣人達の治療をするのを快く思わない者もいました。
というのも獣人達は弱っている者を捕食する弱肉強食を当然の権利であり
自然の摂理として受け止めていました。

そしてオオカミ組の前組長の息子でありながら、跡目を継げずにナンバー
スリーとななった男は受様を苦々しく思っている1人であり、彼はやがて
森を揺るがす事件を起こす事になるのです。

受様と攻様の恋の進展に絡めて、獣人同士の喧嘩あり、抗争あり、最後は
本物のヤクザとの戦いにまで世界が広がり、終始ドキドキ&ワクワクで
予想がつかない展開を楽ませて頂きました♪

生きることについて獣人達は実にシビアです。自分達種族の益を優先して
縄張り争いしたり、弱った獣人は捕食の対象となったり。でもそれらを
自然な事としてあるがままに受け止めている姿に考えさせられました。

奈良さんのイラストですと、ちょっと攻様のオヤジ感が足りないかなって
感じがしましたが、受様が満面の笑みで獣姿の獣人達をもふったり、抱き
ついたり、抱っこしたりするけど、人間姿の彼らはオヤジなんだよね~
というギャップもすごく美味しかったです (^m^)v

今回はオヤジ繋がりで中原さんの既刊『よくある話。』をおススメです。
こちらはちょっと枯れちゃってる(笑)オヤジ受になります。

5

オヤジー! 格好よすぎるだろーーー!!

人間社会に疲れた青年が始めたのは、様々な獣人達が暮らす森での「動物のお医者さん」でした。

と、メルヘンチックなストーリーになります。
いや、ストーリー自体はおとぎ話を思わせる可愛さなのに、ここに中原流捻りが大量にきかせてありまして!
もう爆笑ものなんですよ。
いちいちこれでもかと細かいネタがブッ込まれていて、もう完全に笑わせに来てるでしょー!!と。

あと、終始コミカルだったり痛快だったりと読者を楽しませてくれる作品なんですけど、その中で「食と命」と言う深いテーマだったり、産業廃棄物みたいな社会問題なんかも描かれているのがお見事でした。

う~ん・・・。
こういう難しいテーマを扱いつつも、読者に堅苦しい印象を与えずに、終始痛快に読ませてくれるのが上手いなぁと。


で、こちら既に素敵なレビューがたくさん挙がってますので、個人的に萌えた部分や感想のみ書かせていただきます。

まず、笑えて笑えて仕方なかった部分なんですけど。
ズバリ、獣人達のエピソードだったりします。
えーと、狼とか熊とかカピバラとかビーバーとか、動物園状態で様々な獣人が存在してる不思議な山が舞台なんですよ。

もうこれ本当に、細かいお笑いネタの宝庫でして。
熊の獣人はハチミツの瓶を片手に現れ、ビーバーは「安全第一」と書かれた黄色いヘルメットで土木工事。
で、カピバラは温泉の管理人でなんと名前が「草津」だの「別府」。
彼等が登場する度に、いちいち吹き出しちゃうじゃないかよ!
そしてそして、個人的に一番ニヤニヤしちゃった点なんですけど、彼等は可愛いモフモフでありながら、中身はオヤジ!
それも、オヤジくさいオヤジ!!

実は、一番お気に入りのオヤジがコアラの夕狩(ゆうかり)になるんですけど。
オマケのSSに出てくる、チョイ役もチョイ役なんですけど。
彼はですね、人間の姿だとでぶっちょの中年男性なのです。
登頂部が寂しい感じの。
それが、コアラ姿で「先生がどうしても抱いてくれと言ったから抱いてやったんや」みたいな。
「抱いてくれと言われて、男が断れるかいな。恥をかかせるわけにはいかんやろうが」みたいな!(≧∀≦)
えーと、岡村の「抱っこさせてくれ、です」みたいな訂正にも笑えて笑えて仕方ないんですけど。
いやさあ、この後、他の獣人をモフっていた岡村に対して、攻めである牙狼が「あんた、男なら誰でもいいのか」と責め始めるんですよね。
すると、ここでまたまた出てくる夕狩。
「おいおい、痴話喧嘩はやめんかい」と。
そして、最後に「今夜、可愛がってやってもええぞ」のセリフを残して立ち去るー。
オヤジーーー!
格好よすぎるだろーーーーー!!

と、脇キャラばかり熱く語ってしまいましたが、主役である牙狼(狼)や準主役である月夜見(熊)も渋くて格好いいオヤジ達でして。
もう、いちいちセリフがオヤジの色気に溢れていて萌えまくっちゃうんですよ。
「抱いてやるから来いよ」みたいな!!(≧∀≦)

これ、狼の姿で言ってるのです。
緊急事態で洞穴で寝る事になった岡村にですね、暖をとらせる為にモフモフになる牙狼。
が、「抱いて寝てやる」。そして、「先生は抱き心地がいいな」と!!
セリフがいちいち渋いんだよーーー!
モフモフがこれを言ってるんですよーーー!!

あとですね、おっとり穏やかなのに、怒らせると怖い岡村も大変魅力的なキャラでした。
作中で「食と命」と言う重いテーマが語られるんですよね。
仲良くしていたウサギの獣人が、肉食である他の獣人に食べられと。
生きる為に食べると言うのは当たり前の話で、理屈では納得がいくのです。
それでも、これまでおとぎ話のような優しい世界だっただけに、結構なショックを受けるんですよね。
ここで、目を逸らすのでは無く、感情を切り離すで無く、とことん悩む岡村に心を打たれて。
ついでに、悩む岡村に対して、牙狼の告げたセリフがとても優しくてあたたかいものでジーンと来ちゃいました。
中原先生の書くオヤジは、本当に懐が深くて格好いいなぁ・・・。

と、笑えて楽しいだけでは無く、ハラハラドキドキさせてくれたり心を打たれたりと、とても素敵な作品でした。
特に、山場でのスーツでビシッと決めたオヤジ達の、格好よくて痛快な事。
ぜひ、ここもご注目いただきたい!

10

モフモフあり、笑いあり、でもそれだけじゃない

作家買い。

ここ最近、中原作品はどれを読んでもハズレがなくて萌えと爆笑に包まれつつ読破していますが、今作品も面白かった!

中原さんと言えば、「オヤジ」をイメージしますが、この作品もそのイメージを覆すことのない男の色香ダダ洩れの「オヤジ」が登場します。が、この「オヤジ」がただのおっさんに非ず。

狼です。
モフモフです。
組長です。

カッコいいのに、クソ可愛い。
これが両立できるのが中原作品の大きな魅力の一つかな、なんて思いつつ。



主人公は獣医の岡村くん。
昔から動物が好きで、獣医として優秀でありながら職場のドタバタに巻き込まれる形で就職。再就職する前に亡き母から受け継いだ森を訪れるが、そこで出会ったのは人の言葉を話し、そしてヒト型にも変化することが出来る動物たちで―?

というお話。

最近中原作品は人外、もっと言うと「ケモノ」が登場する作品が多い気がしますが、今作品は沢山の動物たちが登場します。

森にすむ多種多様な動物たち。
彼らは弱肉強食の世界で生きながら、共存するために共通のルールをもって生活している。

野生の世界の厳しさと、けれど同じ場所で生き抜くための知恵と優しさもきちんと描かれていて、甘々なだけでもなく、厳しいだけでもなく、そのバランスが絶妙でした。

岡村くんは動物好きが高じて獣医になったという青年で、ゆえに登場する動物たちを心から愛でる姿にほっこりします。熊さんや、ウサギ、カピバラに始まり、やや解せぬのはコアラまで。いや、コアラって、野性としては日本にはおらんやろ!というツッコミもなんのその、なんでもありと思わせる中原作品の世界観に圧倒されます。

そして、森にふらりとやってきた岡村くんをサポートするのがオオカミ組の組長・牙狼。

牙狼の放つ、オッサンの魅力にKOされました。

何しろカッコいい。
組長として、締めるところは締め、守るべきものは守る。
そして、岡村くんに向ける一途な想いもよし。

肉球を触らせてくれたり、モフモフさせてくれたり、岡村くんが羨ましくて仕方なかったです。
私も触りたい…!

牙狼はオオカミ、というキーポイントは、二人の濡れ場でもがっつり生かされてます。
人の姿だったり、狼の姿だったり。
牙狼の尻尾や牙が岡村くんの快楽をより深めるファクターになっていて、これがクッソエロいわけですが、エロに特化していないものよかった。
どちらの姿であっても、お互いを愛おしく想い、愛する想いがあふれる濡れ場になっていて非常に萌えました。

「オヤジ」と「モフモフ」と「笑い」と「愛情」と「萌え」と。
そして、コミカルにテンポよく進むストーリー。
中原作品の真骨頂といえる作品ではなかろうかと、個人的には思うのです

で、特筆すべきは奈良さんの挿絵。
男の色香と優しさがにじみ出ている牙狼。
動物に対する愛情まできっちり描かれた岡村くん。
可愛くも、厳しい世界で生きる様々な動物たち。
そして、ヒールとして登場する「闇の目」までカッコいい。

闇の目が可哀想で…。
ぜひ、彼救済のスピンオフを描いてほしいな。
というか、この作品の世界観が非常にツボなので、スピンオフでぜひ続きを書いてほしいと切望しています。

最初から最後まで、そして挿絵まで、とにかく最高な一冊でした。

7

この世界観『天国』としか言いようがない

『梟は烏を~』は『鳥政界』のお話でした。
今作は『動物任侠界』ですよ!
中原さん、お得意の世界をとことん詰め込んだ感じの1冊です。
モフモフと漢、自然の摂理と人情が満載されています。
つまり、癒されて惚れ惚れとし、人間社会への批評精神を感じ取った後にジンと来るという大盤振る舞いなのです。
これだけてんこ盛りなのに詰め込んでいる感じが一切せず、エンタテインメントとして笑わせながらさらりと読ませちゃうのが凄いと思うんですよ。以前から大好きな作家さんでしたけれど、昨年からの中原さんの大進撃は「神がかっている」としか言えないです。
加えて、奈良画伯のイラストもとても素敵。
悪そうな漢(奈良さんの描く『悪い男』も素敵ですが、今作はあくまでも『悪そうな漢』なのね)の色気に溢れているんですよねぇ……

獣医の岡村は職場での人間関係に疲れて仕事を退職し、しばらく街を離れて過ごそうと相続した山林に来るのですが、そこは獣人達が暮らす異世界と繋がる場所だったんですね。怪我をしたハスキーの子犬を助けたら、ちょっと目を離した隙に犬耳付きの男の子に変わっちゃっていて、おまけに銀髪の犬耳美丈夫が「うちの若い衆が世話になっているらしいな」と迎えに来て、オオカミ組の組長だと名乗り、ヤクザと思った岡村が恐怖のあまり失神する……始まりからたった20ページで、テンポ良くお話の世界観が説明されるこの手際の良さ!まさに中原さんの手のひらで転がされている様でした。

数々の動物が、オオカミを初めとして「日本の山林にはいないだろう……」という動物たちが獣人として『組』を作り『シマ』を広げるために命には関わらない程度の抗争を繰り広げつつも共存するための掟を守って暮らしているのですが、この獣人達の性格がそれぞれの動物の性質になぞらえてあるのがとても面白いのです。……中原さんって本当に動物好きなのね。この辺の『楽しんで書いてます』感も気持ちが良いのですよ、とても。

それと同時に、彼らが人間とは異なって気持ちをとても素直に表すことや、必要以上の殺生を避けること、共存していくための掟をとても大切にしていることが、お話が進むにつれ自然と理解出来る作りになっているんですよ。
これが、大上段に振りかざしたものではないからこそ『四つ足賛歌』になっていると思いました。
人間社会に渦巻く黒い感情に接した所為でストレスを溜め込んで来た岡村が、この世界にのめり込んでしまうのは必至だと思いましたです。

岡村がオオカミ組組長の牙狼に惹かれていく過程も、牙狼の素直でストレートな愛情表現から、自然なこととしてすんなり受け止められるんですね。
ゲイだとか、ヘテロだとかそういう事を考えなくてもすんなり。
私なんか以前飼っていた大型犬のことを激しく思い出しましたよ。
彼が私に寄せてくれた愛情とか、信頼とか、そういった全てのことを(涙)。

四つ足好きには天国の様な世界観で繰り広げられる『任侠話』。
笑えて、ほろりと来て、読み終わった後には『環境破壊について』なんてことまで思いを馳せてしまう、とてもとても『お得』な1冊です。

蛇足
巻末短編『浮気者』は大笑いしました。
姿が愛らしい動物って、得てして『コロンとしている』っていうことなんですよね。
ネタバレしません。
読んで、私と同様に腹の皮を捩れさせてください。

9

ほのぼのモフモフ幸せBL♪考えさせられる展開も。

インタビュー記事で気になったこの作品。
中原一也先生は初読みになります。
作者様の情報を拝見すると、既刊はハードボイルドやオヤジものが多いのでしょうか。
こちらは、ほのぼの&もふもふ、そしてちょっぴりシリアスな展開ありの獣人ファンタジーでした。

人間関係に疲れた獣医の岡村は、しばらく人間社会から離れて暮らすため、相続した山奥の小屋にやってきます。
そこで傷付いた仔犬の手当てをして寝かせておいたところ、いつの間にかベッドの上のそれはケモノの耳と尻尾を生やした人間の子供の姿に変わっていて…。
混乱する岡村ですが、さらにその子供を迎えに、狼の耳と尻尾と美しい『wolf eyes(金眼)』を持つ男が現れます。
彼はオオカミ組組長・牙狼と名乗り、この山奥の森が正しい複雑なルートを通らなければ入ることの出来ない結界に守られた〔獣人たちの棲む森〕であることを告げるのです。

獣人たちはヤクザさながらに「オオカミ組」「クマ組」「ウサギ組」…などの組織に分かれ、それぞれ組長やら若頭(可愛い!)やらの名称までつけてシマを守り、時に抗争などがありつつも、ルールを設けて平和に暮らしています。
そんな獣人の森は、動物好きの獣医・岡村にとってはまさにパラダイス!
ある日、クマ組組長・月夜見(つくよみ)と牙狼が、取っ組み合いの喧嘩の末に怪我をしたことがキッカケとなり、診療所を開いてこの山の中で自給自足の生活をしていくことを決意するのですが…!?

喋る動物との暮らしが可愛らしい♪
診療所に訪れる可愛い子供たち。温泉をシマとするカピバラ組。土木工事はお任せあれなビーバー組など、まぁかわゆい♡実態はほとんどオヤジなのだけど。ふふ。

恋愛のほうは、わりと序盤でお互いが惹かれ合う様子が、心理描写や会話等に表れています。
そこまでの過程は若干あっさりめ。
作中に女性や雌の主だったキャラクターは出てこないし、岡村のセクシャリティも特には語られていないので、そのへんの葛藤はなく、至って自然に恋に落ちていた雰囲気です。でも想いを伝え合うのはもう少し先のこと^ ^

中盤まではそのまま、動物大好きな岡村が、森中の動物たちにきゅんきゅんトキメいている姿を見ては牙狼が嫉妬したりする様子が、ほのぼのと可愛らしく描かれています。
獣人界でも地位の高いほうにあるオオカミ組を束ねる牙狼はめちゃくちゃカッコいいんだけど、岡村のこととなるとすっごく子供っぽくヤキモチを焼くんです。
私はそんな素直な彼のキャラが結構好きでした♪
野生の動物らしく強引なところと、人間らしい思慮深い優しさを併せ持つ牙狼ですが、口説き文句は、
「子作りしよう」と「交尾したい」。
そこは随分直截的だな!牙狼さん(笑)

そんな中、岡村が親しくしていた森一番の高齢者であるウサギの布知奈じいさんが何者かに捕食されてしまいます。
それにより、弱肉強食の自然の摂理と、人間としての感情の間で悩むことになる岡村。
さらにオオカミ組のはみ出し者である“闇の目”に「布知奈を食ったのは牙狼かもしれない」という疑心暗鬼を植え付けられたことにより、種の違いへの葛藤が続き…。

結局堪え兼ねて話し合うことにした2人ですが、このときの牙狼がカッコよかったー!
自然の摂理を受け入れなきゃ…と感情を抑える岡村に対し、「先生は自分が知った相手、たとえば自分のペットを喰えるか?」と。
「俺は知った相手は喰えねえよ」と。
岡村の持つ悼みの感情は自然な感情なんだと、悩みを否定せずにそのまま受け止めてくれるんです。
さらには先生のことが好きだから、もう捕食はしないとまで。このへんのくだりが切なくも考えさせられ、とても好きでした。

後半は闇の目の暗躍や、追放、トラブルに見舞われる獣人山など、動きのある展開が続きますが、それにより絆も深まっていったラストでした。

帯に書かれた『今度はどっちの姿でしようか』という扇情的な一文にも惹かれた私ですが、人間の姿でのセックスと獣姦どちらもあり、エロ面でも楽しませて頂きました。
大人しい顔をした岡村が、獣姦というタブーを犯す背徳感や野生の狼の持つ荒々しさに欲情する描写には私までゾクゾク。

オヤジものが得意だという中原先生。
牙狼は見た目は40くらいということですが、挿絵や口調から受けるイメージは30代くらい。
ですが、周りの動物(人間の姿含め)たちのオヤジっぷりは、まさにオヤジ!という、いい感じの重厚感がありました。

全体的にボリューム感はそれほど感じなくあっさりした読感でしたので個人的には萌評価ですが、大変読みやすく、程よく萌えやエロもあり、ほのぼのしたモフ系がお好きな方にオススメ出来る作品だと思います♪

冒頭に出てきた子供狼の空くんが可愛かったので、もう少し登場して欲しかったなぁ^ - ^

13

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