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表題作騎士と誓いの花

国の世継ぎに仕える騎士・グリファス
元奴隷・リィト

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

戦乱と飢饉によって衰えていくシャルハン皇国で、過酷な生活をおくる奴隷のリィト。
そんな彼を救ってくれたのは、端正な容貌の黒衣の騎士・グリファスだった。
両親亡き後、誰からも優しくされなかったリィトは、彼の包みこむような気持ちに惹かれていく。
そんな幸せな時を過ごしていたある日、リィトはグリファスから、彼が仕える皇子の身代わりを頼まれる。
命を救ってくれたグリファスのため、リィトは身代わりとなることを決意するが…。

作品情報

作品名
騎士と誓いの花
著者
六青みつみ 
イラスト
樋口ゆうり 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
シリーズ
騎士と誓いの花
発売日
ISBN
9784344805996
4.3

(98)

(51)

萌々

(33)

(9)

中立

(3)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
16
得点
417
評価数
98
平均
4.3 / 5
神率
52%

レビュー投稿数16

涙と鼻水にご注意を。

健気受けといえば…と知人からオススメされてて、ようやく読みました。
評判どおり、健気でした。健気すぎて痛々しいです(;ω;)

命を助けられ優しくして貰ったらそりゃあ懐くってなもんで、グリファスのために頑張るリィト。
グリファスが情に流されないよう厳しく接するにもかかわらず、ひたむきなリィトがいじらしいんです。
頑張ってるのに勘違いをされるリィトの不憫さに泣けました。

捕らわれ耳朶をちぎられ陵辱される痛々しいシーンはありますが、最終的にはハッピーエンドです。
しかし正直なところ、リィトが捕らわれたあたりから駆け足気味だったかな、と。
助けに来た時も「やっと!」という思いと共にアッサリした感じもしました。

とはいえ、とにかく泣けました。
リィトは個人的健気受けランキングでかなり上位です。
漫画化されているようなので、そちらも読んでみようかと思います。

2

切なくて泣ける!

グリファスに救われたリィトは、グリファスの役に立ちたい一身で命がけの身代わりを引き受けます。
リィトはグリファスや皇子・ルスランらと共に皇都を目指して旅に出ることになり・・・というお話です。

読みながら、リィトと一緒にぐずぐず泣いてしまいました。
グリファスのために、考えて頑張って努力して・・・だけど、それが全然報われないリィト。
リィトが身代わりを務める皇子・ルスランは、本当に皇子に相応しい聡明で非の打ちどころがない良い子です。
グリファスの一番大切な人がルスランでも、それでもグリファスの役に立ちたくて健気に頑張るリィトに、もう涙が止まりませんでした。

ショタ系は苦手なので、表紙絵から敬遠していたのですが、こういう健気なショタは良かったです。大好きでした!!
引っかかったのは、リィトがグリファスに抱く感情って恋愛感情なのかな?と・・・「大好きな人の役に立ちたい」に「グリファスの一番になりたい」が加わったあたりから恋愛感情に変わった、と解釈すればいいのでしょうか。
陵辱シーン以降も、それまではじっくりと二人の心情を書かれていたのに急にハッピーエンドに向かって纏められたような印象を受けてしまいました。
エロ無しでも良かったのでは・・・と思っていたのですが、OUT様のレヴューを拝読して、保護者愛を貫きそうなグリファスがリィトを抱く恋人エンドに持っていくために陵辱が必要だったんだ・・・と、すとんと納得しました。

全体を通して、リィトが健気で、その頑張る様子は何度読み返しても涙してしまいます。切なさに胸が痛む作品です。
だからこそ、最後に二人が恋人としてハッピーエンドを迎えることがこの物語の救いであり、必要なことだったんだと思います。
グリファスとリィトが恋人になった幸せな姿を、出来るならもう少し読みたかったです。そう思える程に引き込まれる魅力的な作品ですよ。

7

プラトニックラブで良かったのでは…

タイトルと表紙イラストのイメージどおりのファンタジー作品です。

主人公のリィトは奴隷として孤独で辛い境遇を生きてきた少年。ある日、不当な虐待を受けていたところを、通りがかった騎士・グリファスに救われ、国を左右する重要な使命を背負って彼と行動を共にすることになります。

物語の冒頭部分には非常に惹き込まれました。また、全編にわたって言葉が巧みで表現も豊富なので、ファンタジーの世界に浸ることができる作品だと思います。が、残念ながら後半に進むにつれて失速してしまった印象を受けました。

まず、肝心のリィトとグリファスの心情(特に恋愛感情)の変化に関する描写にあまり連続性がなく、長い物語の中で途切れ途切れに恋愛感情らしきものの説明が急にインサートされていて、普通のファンタジーでも成立するお話を強引にBLに仕上げているように感じました。

その極めつけは、物語が九割以上進んだところで急に陵辱シーンが出てきたことです。直前までキスどころか性的指向に関する描写すらなかったのでびっくりしました。規定の文字数に収まらなくて無理やり終わらせたのかな…と思ってしまったほどです。ここまで来たらプラトニックラブで良かったんじゃないかなー。BL作品にセックスの描写は必須ではないと思う派なので尚更そう感じました。

細かいことを言えば、ルスランやスカルド、マハ導師と言った魅力的かつ意味深なキャラクター達がいつの間にか途中退場しちゃったのも気になったし、サイラム王国の陰謀が結局どうなったか書かれていないのも気になりました。関連作品が多いようなので、そっちを読みなさいということかな…?

そんなこんなで評価は「中立」とします。

3

不憫健気好きにはたまらない

光の螺旋シリーズ1作目。
リンクスお得意のがっつり二段仕込みです。
大好きな六青さんですが、この本は序盤ちょっとつっかかりました。
中々内容が頭に入って来ず、読んでは辞めての繰り返しを。
それでも序盤を乗り切ると、やっぱり読ませてくれます、面白い。

奴隷のリィトがもう健気で健気で健気で。
涙と鼻水がテーマなだけあって、グリファスの服をしょっちゅうびしょびしょにします。
途中、泣き虫すぎてウザイなぁ……とチラと胸をよぎる事もありましたが、結局やっぱりいじらしいくらい健気なので、そんな気も吹っ飛びます。
安易に桃色に走らない所は非常にいいんですが、二人の桃色よりも輪○ンの方が遥かに濃厚っていうね……。
強○ン、輪○ンは六青デフォと思ってさらりと流すようにしてますが、こんだけページ割くなら、肝心のメインカプのふたりの桃色も盛大にやってほしかったです。

にしても、作品冒頭にリィトの身代わりシーンを持ってきたのは、上手いなーと。
気になって気になって仕方がなくて、ページを捲るのももどかしく、つんのめりながら読んでいった先にやっと、あぁ、あのシーンが、ここに繋がるのね、と切なさ倍増します。

3

せめて愛する人の役に立てるのなら…

健気な受けの話が読みたいと思っていたとことろ、こちらのレビューを参考に未読の作品だったので手に取りました。
同時に『12の月と、塔の上の約束』も読みましたが、この作品の方が肉体的に酷い責め苦があったためより痛みや健気度が高いように感じました。

リィトは、地獄のような奴隷生活から救ってくれた恩人であるグリファスを慕い、やがて恋情を覚え、恩と愛情の両方の意味で自分の命を危険にさらしても守りたい、役に立ちたい相手になります。

無邪気に慕っていた短い幸せな時間のあと、大好きなグリファスが一番大切に思う相手である少年の存在を知り、危険を承知で身代わりになる決心をする健気さに抱きしめてあげたくなりました。

最愛の相手に一番に想ってもらえないことは仕方がないことですが、それでも役に立ちたいと命がけで身代わりを全うしようとする姿は、見返りを求めない最上の愛情の示し方のようでリィトの真心を感じました。

初めは、成り行きでリィトを助けたグリファスが身代わり使う計画を立てたことと、リィトが断れないと知っていて頼むなんて残酷で酷い大人だと思いましたが、彼のリィトへの気持ちの変化を読んでいくと早く何とかしてあげてとじれったくなります。
そして、『捨駒にしてもいい身代わりの少年』から『誰よりも大切な少年』へと変化したことを自覚してもなお守るべき人のことが第一優先でリィトをみすみす危険にさらし心身ともに傷つけることになってしまうのです。

なんで、リィトを真っ先に助けてくれないのかとじれじれしてしまいましが、ここはやはりリィトが命がけで守った少年を彼のためにも助け計画を推し進めなければならないということがよくわかるだけに、悲惨な目に合わされているリィトを一刻も早く助けてほしいと祈らずにはいられませんでした。

5

表紙が美し過ぎる!

ファンタジー苦手なわたしですが、答姐で教えていただき、六青作品の紹介をじっくりじっくり読みこちらをチョイス。
かなりドキドキしながら読みました。
二段組で、最初にこの世界の地図が掲載されています。
視点は攻めと受けが章ごととなっております。

**********************
攻めのグリファスは、身を隠し成長したシャルハン皇国の真の皇位継承者(ルスラン)を護る、28歳の騎士。

受けのリィトは15歳。
奴隷として働かされていたところを、グリファスによってある目的のため買いとられます。
**********************

その目的を遂行しながら都を目指すことになるのですが、その過程でリィトは生まれて初めて受けた庇護に、グリファスへの想いを徐々に恋心として育てていきます。
しかしグリファスはあとがきにも書かれていますが朴念仁(鈍感ともいう)なので、庇護欲と恋心とをゴッチャにしてなかなか自覚できないんですよね。
まあ、そんなところも真面目な騎士らしくて良いです(笑

リィトは多分健気キャラとして作られたとは思うのですが、途中途中にルスランへの嫉妬やグリファスの『皇子大事』な行動に不満を持ちます。
多分その方が精神年齢の低いリィトの設定にはリアルなのだとは思うのですが、もう思い切り健気、自分後回しキャラでも良かったかな。
その方がリィトが陥ることとなる不幸なシーンにも、心を震わせて涙することができる気がしました。

一般図書である『光と炎の歌シリーズ(海外ドラマ・ゲームオブスローンズの原作)』がわたしが読んだ中で一番きっつい容赦ないファンタジー作品です。
それに比べたら抜群に読みやすいですが、それでもBLファンタジーの作品群では六青さんはかなり痛いシーンも書かれて、確かに読み手を選びそうです。
なんとなくそうなる前に救出に来てくれるのではないか、それがセオリーだし…なんて思ってはいけないのですよ(苦笑
ただ、酷い目にあってしまっても最後は必ずハッピーエンドなり、助けてくれる手があるのが読んでいても救いですね。
ここがBLのLの存在の大きさかな。
だからBL大好きです。

イラストの樋口さんはカラーがうっとりとするほど。
カラーの美しいふたりを思い浮かべながら読みました。
表紙や口絵だけだと、見られてもBLとはちょっと思わないのではないかな。
リィトが儚くて実年齢よりも幼い様がよく伝わりますし、グリファスも黒衣の騎士という感じですごく素敵なのです。
飾りたい一冊ですね。

個人的に、萌×2よりの萌でした。
リィトが周囲へ向けての健気さを発揮する書かれ方をされていたら、神にしたくなったと思うのですが。
もしかしたらそれは別シリーズの方がそんな感じなのかな?
読んでみたくなりました!!

5

じ、じれったい!

六青さん初読みの作品です。
ちるちるさんで評価が高い作家さんのようだったので気になってはいました。
樋口さんも「純粋な恋が降る」を読んでから気になっていた絵師さんだったので、二重に期待しつつ読みました。

結論としては…六青さんのしっかりした文体も、健気な受け様も、朴念仁な攻め様も好みでございました(笑)。
育ってきた環境のみならず、外界からの(敵方からはもちろん、攻め様が無意識に与える)受け様への苛め(?)が、限りなくねっとりと、じわじわと展開する作品でした。
多少の暴力がOKで、可哀想な受け様がお好きな方にはお薦めかと思います。

じれったいと思ったのは、冒頭で語られるシーンから一旦過去に遡ってお話が語られるんですが、再び冒頭のシーンに戻るまで180ページ以上の項数を読まなければいけなかったこと。
ここが私にはちょっと長すぎて、途中で何度か挫折しそうになりました。^^;
その後の展開は早かったんですけどね…。
所々、展開に疑問を感じる箇所があったんですが、全体的には読みごたえのある作品だと思います。

4

これぞ健気!

漫画から入り、先が気になって小説を買ったのですが、これがもう大当たりしました!
漫画を買って少しでも気に入った方で小説を読む方は読んだ方がいいです!
視点がグリファス(攻め)とリィト(受け)の交互で書かれているので、漫画ではかかれなかったお互いの気持ちがわかります。

最初は幼く庇護されるだけの立場だったリィトがどんどん成長していき内面から大人になっていく様子がわかりますので最終的にはショタという幼さはなくなったかな?と思います。
そして身代わりという役目の中でグリファスのために、そして自分のためにグリファスの役にたとうとします!リィトは自分ために相手に幸せになって欲しいのです。相手の幸せが自分の幸せになるから。
そんな気持ちが小説の間ずっと伝わってきます。

最初のグリファスの言葉が足りなかったり、皇子のためという気持ちからの二人のすれ違い、ほとんど終盤の場面のリィトが皇子の代わりにさらわれてしまい、後悔するグリファスと、グリファスの役に立てたと思うリィト(さらわれてる間も考えるのは役にたとうとすることとグリファスことです。)ここまでずっと切なくて、リィトがさらわれてからずっと涙が止まらずグリファスが後悔するシーンは涙が大暴走でした。
しかしここまでの切なさがあったからこそ二人が心も体も結ばれた時は本当に良かった!という気持ちが大きかったです。

これは健気が好きな方で少し受けがかわいそうな目にあっても大丈夫(輪姦があります)という方には最初にも書きましたが本当にオススメしたい、またできる小説でした。

萌えた一言(受け)
「あなたの夢を叶える礎になり、あなたの記憶に残る最期でありたい。」
どこまでも健気…!!!

私事ではありますが、今回が始めてのレビューですので、至らない点ばかりだと思います。
また萌えた一言はこれからも書いていきたいのですが、セリフまで書いてはいけないという意見がありましたら、ぜひお願いします。訂正します。

25

読み応えありw

漫画を読んでソッコー買ってしまいましたよ(ノ∀`)サキヨミ
漫画を待つ楽しみを自ら潰す。ドM!!いや、ドS.!?
おいといて
面白かったです。というか、巧い!と思える部分が多かった。
難しい単語~というか、言葉の使い方が巧みにされておりまして
この人すごいなぁと素直に関心してしまいました。
簡単な単語しか使えない自分がまず恥ずかしい。。。。

お話は、皇子だの、騎士だの、なんだの~となファンタジーものです。
皇都を奪還せよと動く、皇子とその周囲で巻き起こる~を中心に据えた物語。
奴隷として酷い仕打ちを受けていた受を助けてくれたのは攻
その攻のためならと皇子の身代わりを引き受ける受。
初めて優しくされた相手に心も身体も~な流れなわけです。
面白いのは、奴隷として虐げられていた時には持ち得なかった、「嫉妬」「恋」そして「劣等感」~と、少しずつ人間らしい気持ちの変化や、行動、能力が急速に育っていく~という段階が面白いなぁと思いました。
それが嫌味じゃないんだよ。
コミックスでは、だいぶ端折られた部分も細かく丁寧に描かれているので
なるほどなぁ。。と思う部分も多々。
特に、攻に関していえば、コミックスでは描かれていなかった攻の本当の気持ち。
言葉を発した後、前、どういうつもりで。きちんと描かれているので
受が受け取った言葉と攻が発したつもりの言葉。それが上手にすれ違っているのが歯がゆく、また、それがすれ違っているのがわかるからこそ切なく胸にキュンとくる部分も多々。やぁ、うまいよ。
受のリィト。15才というわりには、幼く、素直で健気。これがまた可愛い。
ショタというのには年齢はいっているのだけれど、ショタのいい味がwジュルリ

陵辱~はじめての交合。
エロ部分としては、最後だけ。というところなのですが
これがなんだかなまめかしくてエロスでした(〃▽〃)テレテレ
自分の体の変化に戸惑い、逃げ惑う姿もまたオイシイ。
年の差、体格差。全て含めてオイシイ作品でした。

ただ、、、、ただな
攻が自分の気持ちを自覚した後の、「家族になろう」な話
「家族になるのに?」と両手を広げて肩をすくませて見せた
的表現が、なんだか陽気なアメリカ人みたいでイメージが・・
と中盤思ってしまったのですが、どうなのでしょう。
あのへんの攻が気持ち悪かった。。。。。。

11

泣きすぎて目が痛い・・・

雑誌で漫画化されていて、続きが気になったので買いました。
読み終わってからも何度も読み返し、その度に泣いてしまったので目と頭が痛いです。
漫画を読んだ時はグリファスの態度が冷たく感じて、どうやって恋が始まるんだろう?と思っていたんですが、冷たいのではなくて不器用な人だったんですね。
一人の人に集中しちゃうと他に目が行きにくいみたいなので、最後はルスランがちょっとかわいそうでした。
でもこれからはリィトしか目にはいらず、溺愛されるんだろうなぁと思うと今までのリィトの健気さや報われなさに涙していたので、ラブラブ好きにはうれしい展開です。

それにしてもあの量の小説を漫画化するのは細かい心情とかがどうしても入りきらないので、少ないページで描くのは大変そうですがコミックスになるのが楽しみです。

9

健気受け!

奴隷としてムチ打たれながら働く日々を健気に、と言うより幸せを知らないが故に何の疑問も持たず受け入れていたリィト。
しかしそんな毎日から、騎士であるグリファスに救い出される。
ところがグリファスの方にも実はある思惑があり…
というあらすじ。

何と言っても健気受け!という感じで萌えまくりました!!
リィトが無知で無垢なために、王子の身代わりという命を脅かすような大役をたのまれても何の躊躇いもなく受け入れたのが可哀想で悲しくて泣けました。
それがどれ程危険なことかを考えることもできずに、年齢以上の幼さでもってただ助けてくれたグリファスの役にたちたい一心なのが痛々しかったです

3

泣いてしまいました。

私はどうも六青さんの作品に弱いです。

途中まで主人公のリィトが自分のことを「オイラ」と言っていたり、父親のことを「父ちゃん」と連呼していて、ちょっとこの言い回しにひいたところもあったり、すぐにリィトが涙と鼻水グチャグチャで泣いてイライラしましたが、しかし六青さん!押さえるところは押さえてあるのが本当にうまいと感じました。

幼い頃からの奴隷生活、それに伴う慢性的な栄養失調、無知無学、大変な苦境を背負った主人公がよく書き込まれています。

常識など何も知ることが出来なかった主人公が、初めて自分を救ってくれ擁護してくれる存在に出会い、一生懸命にその人の為に尽くそう、厳しいことを言われたり、無知故に良かれと思いしたことが裏目に出て叱られたりすることも多々あり、非常に辛い目に遭います。
我慢に我慢を重ね、とうとうグリファスに爆発する場面。
切ない!健気!いじらしい!

このお話は六青作品によく見られる二段組み。
大変読み応えもありますが、後半の後半にくるまでエロがありません。
でもそれが、この話にはとてもいい感じです。

4

供給過剰なシチュエーション

至る所で評判が良く、健気受けといえば!な触れ込みで手に取りましたが…ひでぶー!
文章も上手く世界観作りもしっかりしていて読ませるとは思うのですが、リィトどグリフィス二人が庇護から恋愛へと変化してゆく心の交流がメインというよりも、小説そのものがリィトがいかに健気で可哀想かということに主軸がおかれ過ぎている印象を受けました。

著者の意図というのはどの作品にもあって当然のものですが、それが透けすぎている気がします。物語に入り込めず妙に冷静に読んでしまいました。
端的に言うと、著者の涙腺のツボと自分の涙腺のツボが違うんだな、というのを痛感。
がしかし、作者とチャンネルが合う方にはたまらんのだろうなぁと思います。
繰り返しますが、お話自体はとても完成されていて読みごたえがあるので、要するに好みの問題ですね。

ただ一つだけ。
過酷な奴隷生活を何年も過ごしてきたリィトが、なぜこんなにも無防備であどけないかな?と思いました。
明日も生きているかどうかも知れない厳しい境遇の中でリィトを生き延びさせてきた「何か」(警戒心や利口さ、あるいはタフさでも何でもいい)があるはずなのに、あまりにもスレてないキャラクター作りにやや違和感が拭えなかったかな。

2

不幸慣れしてきたのか・・・

最初からラスト直前まで、85%くらいの不幸率が続いてました。なんかこう、「えっ、それはヒドイ!」というまでの酷さがなかったので、私の切なさもずーーーーっと85%くらいのままジリジリと維持され続けていたというか。つまりドカーンと涙腺決壊、というとこまでには至りませんでした。でも確かに「KING OF KENAGE」でした。とにかくリィトが泣く泣く!私の代わりにぐちゃぐちゃです。ああ、これも微妙だったのかも。私の好みとしては我慢して我慢して・・・ぽろっ、ていうのが好きなんですよねー。

騎士グリファスが奴隷のリィトを助けて連れ帰って、皇子の身代わりに仕立て上げるうちに情が湧いちゃう、というあらすじなのですが(もちろんそこまでの間いっぱいいろんなことはあるんですが)、このグリファスの「情」が結構最後の方まで「これは保護者的な愛から進展するのか?」という感じで、どうやって恋愛に持っていくんだろう・・・と、そっちのほうでドキドキしてました。私の読みが浅いせいかもしれませんが。

もちろんちゃんとグリファスが拉致られたリィトを助けにくる!という見せ場で(間に合いませんでしたが)盛り上がるんですが。
この凌辱拷問がなければ、そのままグリファスは保護者愛を貫いてしまいそうですね。朴念仁だし!リィトも生涯キュンキュンで満足してしまいそう。

なんか体温低い感じのレビューですが、ちゃんと萌えてました。とにかくこっちが「/////」となっちゃうくらい、古風な言い回し、セリフにやられました!「青い蕾を手折り」とか「たゆたうような揺籃」とか・・・「覚悟はいいか?」とか!ギャッ!こっちも真っ赤ですよ~。

怒り心頭のはずの凌辱シーンも「意外とこの敵の人たちやさしいじゃん」とか思ってしまいました。いや私がおかしいのかな。きっとそうですね。
リィトが拉致られた敵国から届いた血濡れの書状、脅迫状の中身・・・私もっとすごいものを想像してました(鬼)。これが私の望みのものだったら神だったかも。

3

健気受けといえば、この作品

六青さんとの初出会いがこちらの作品でした。
BL本を読んでいて、初めて泣いてしまいました。
健気受けが好きな方に、お勧めです。

俺が命をかけて守るというグリファスの言葉も、それも王子の身代わりをつとめるからこそ与えられたもので。
全てに身代わりであるからこそ、自分を大事にする、してくれる。
元奴隷の立場のリィトに初めて温かい好意を見せてくれたグリファスの為に、頑張るリィトの姿が健気でいじしくてなりませんでした。
攻めのグリファスがそういう好意に鈍いから、余計に可哀想で切なかったです。
何度かグリファスにイラっとしたことも、ちょっとあったりも。

グリファスの為にと必死なリィトに、そんなに頑張らなくてもいいのにと思わずにいられかったです。
辛くて切ない展開が怒涛のように押し寄せるのですが、非常に読み応えがある話です。

6

これも健気受け!

六青さんのデフォルト、受けがよってたかって酷い目に遭う。これもそうです~。
育っていく間でさえ、なかなか可哀想な目に遭っているリィトなのに、死にかけていたリィトを助け一緒に旅をすることになった大好きなグリフィスにも、身代わりを頼まれるんですね、命をかけた……。このことが、二人をすれ違わせちゃうし。
ホント“言葉の足りない攻め”は、困りものです。
そこに“健気な受け”と来れば、切ない設定に輪がかかって泣ける泣ける。苦笑

受けであるリィトの年齢が、多少苦手なショタっぽいのが、気になると言えば気になるポイントです。

5

この作品が収納されている本棚

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