SS付き電子限定版
夜光さんに笠井さんの挿絵。この時点ですでに最高なのですが、とにかく、めっちゃ、すっごく
面白かった…!
ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
主人公は陰陽師の櫂。
彼は子どものころから、月に一度の満月の夜、数多の魑魅魍魎から命を狙われ続けている。理由は、彼の一族は人魚の肉を食べて不老不死になった八百比丘尼の子孫だからだ。だから、彼を喰らう事で、妖力を高めようとする妖たちが櫂を食べようと襲ってくる。
そんな日々に決別すべく櫂が思いついたのは、かつて封印された強力な力を持つ鬼の羅刹をボディーガードにすること。羅刹の封印を解いて、自分のみを守ってもらう事にするのだが―。
というお話。
あらすじだけ読むとシリアスな作品をイメージしますが、実にコミカルな描写でストーリーは展開していきます。
櫂という青年は麗しいビジュアルを持ち、陰陽師としての能力もずば抜けている。
彼の力を見込んで鬼×人間のハーフ(っていうのかな?)の子である草太を預かったりするし、妖を滅する力も本物。
なのでクールビューティーな人物かと思いきや、かなりの守銭奴です。
そして、羅刹を自分のボディーガードにする方法も斬新。
術をかけたうえで性行為をする事で、羅刹を自分に惚れさせる。
羅刹は鬼さんなので、彼の一物はかなりおっきいわけですが、それをもろともせずに行為に及ぶ。
鬼である羅刹が、櫂の思惑通りに自分の味方になってくれるのか。
昔とは違う現代の生活になじむことが出来るのか。
そういったところが、時に痛い描写も含みつつ基本的にコミカルな雰囲気で展開していきます。
とにかく破天荒。
豪胆。
外見のイメージを裏切る櫂という人物が非常にツボに入るのです。
そして、この作品は「鬼にボディーガードをしてもらう」というだけにとどまりません。
鬼と人間の子である草太に加え、櫂の家に住む人物がもう一人。
食事を作り、掃除をし、お手伝いさんのような立ち位置にいる伊織という青年。
記憶を失い、櫂に拾われ、家政婦のようなことをしながら櫂とともに暮らしている。
彼の存在が非常にミステリアスなのですが、伊織という人物はこの作品の大きなキーパーソンでもあります。草太曰く「伊織の顔が認識できず、のっぺらぼうのよう」という描写が、後々大きな意味を持ちます。
とにかくあらゆるところに伏線がまかれ、どういうことなのか知りたくてページを捲る手が止められませんでした。
櫂は陰陽師なので、妖を滅する、というシーンは多く出てきます。
ホラー的なおどろおどろしい描写は少ないですが、(妖を)殺めるとか、出血するとか、そういうシーンは多いので苦手な方は注意が必要かもです。
櫂と伊織の過去、現在、そしてこれから。
羅刹は櫂のボディーガードとして、成長していくのか。
そして何より、羅刹と櫂の恋愛面での感情はどう移行していくのか。
羅刹を自分の思い通りに動かすために櫂は羅刹と性行為をしますが、現段階ではそこに愛はない。羅刹は櫂に術をかけられているだけだし、櫂は羅刹に身を守ってもらう代わりに抱かれているだけ。
そして伊織との関係も。
BLとしてのキモの部分が今後どう展開していくのか非常に楽しみです。
で、笠井さんの挿絵は今回も神だった…。
櫂の、美しいビジュアルに相反するようなお茶目な内面とか。
羅刹のカッコ良さとか。
濡れ場の、綺麗さとかエロさとか。
そういったものがきちんと描きこまれているのは当たり前として、凄いなと思ったのが伊織の描き方。
序盤、完全にモブキャラとして描かれています。
なのに、後半へと移行し彼の秘密がわかり始めた途端に、
イケメンになっとるやん…。
モブキャラじゃないじゃん…。
夜光さんの描く世界観がきちんと描きこまれていて悶絶します。
ちょっと中途半端な終わり方ですが、これ、きっと続編があるよね…?
あるでしょ?
草太もイケメンかつ櫂の優秀な仲間になりそうだし、敵キャラも登場してるし、櫂の数少ない友人の千寿さんといった魅力的な脇キャラもいるし、続編を正座して待っていようと思います。
夜光先生の作品を全て読んでるワケではありませんが、これだけコミカルと言うかギャグ寄りで、笑えるお話は初めてでした。
いや、かなり規格外な受けが、飛ばしまくりなんですよ!
やる事なす事裏目に出ちゃってトホホな受けが、気の毒ながら面白くて仕方ないんですよ。
「何でだ・・・?」って、目先の損得に流されすぎだからだよ!
見た目は儚げな麗人でありながら、中身は完全に三流芸人じゃん・・・。
いや、一応、誉めてるんですけど。
大筋としましては、先祖が八百比丘尼と言われ、妖怪にその肉を喰おうとつき纏われる主人公・櫂がですね、なんと鬼に身を守らせようと思い付き、封印を解いて最強の人喰い鬼・羅刹を解放する。
しかし、羅刹は思い通りにちっとも動かず、更に次々厄介事を起こして振り回される羽目になる。
そんな鬼をふうふう言いながら制御しつつ、襲ってくる妖怪共と戦い、ついでに陰陽師として依頼を片付け癖の強い依頼人達からお金を巻き上げるー。
と、そんな主人公の活躍と受難を、コミカルテイストで楽しむ作品でしょうかね。
こちら、ラブ度としてはほぼほぼゼロなのに、不思議な事に萌えまくっちゃうんですよねぇ。
何だろう・・・。
攻めといい、「伊織」といい、もうキャラ設定だけで腐心を刺激しまくってくれると言いますか。
人喰い鬼だけあり、人間の常識が全く通じず傍若無人、なのに妙に素直な所もあって憎めない羅刹。
そして、記憶が無く、穏やかで真面目。なのに、櫂に対して不思議な執着を見せる伊織。
今後この三人で、ガッツリ三角関係を繰り広げてくれる確信しかないんですよね。
夜光先生の書かれる三角関係が、死ぬほど好きなんですよね。
あと、実はストーリーがですね、すごく巧妙に作り込まれてまして。
謎が謎を呼ぶと言った形で進むのです。
無邪気で可愛い少年のモノローグに、いきなり「僕は大きくなったら先生を食べようと思う」みたいな、ヒヤッとするセリフが入る。
人で無い少年からは、何故かのっぺらぼうのように見える伊織。
そして、櫂がこれほどまでに、ガメつくお金を集める理由ー。
ラストのどんでん返しで、かなり驚かされましたよ。
いや、伏線はしっかり張られてるんですけど、まさかこう来たかって感じで。
そして、櫂が背負っていたものー。
ただ単に、行き当たりばったりの守銭奴では無かったんですよね。
なんて、不器用な男なんでしょうね、と。
まだ物語としては始まったばかりで、これからが本番って感じですけど。
櫂と、羅刹、そして「伊織」の関係。
今回はご挨拶と言った感じでかましてくれた「安倍那都巳」の狙い。
続きが楽しみで仕方ないです。
ところで、ちょい役もちょい役である河童。
なんか、妙に愛嬌があって、お気に入りになっちゃいまして。
「なんで苛めるんじゃあ」と、情けない顔でボロボロ泣いてるのにトスッとやられちゃったんですよ。
ちゃんと腕を届けに来てと、律儀ですしね。
彼が今後も活躍してくれる事を、大いに期待したいです。
まぁ、毎月魚を届けにくるって約束してたしね。
大好きだった少年神シリーズも、とうとうアナザーストーリーまで終わってしまい、ちょっと寂しくなっていたところに、この作品。陰陽師と鬼ってだけでも期待大なのに、笠井あゆみさんとのタッグ。まず表紙を堪能、にやにや、うきうきしながら読みました。
力関係からいって鬼が主導で見目麗しい陰陽師を振り回していくんだろうなぁ~なんて勝手に想像していたのですが、さすが夜光さん、そんな安易な話とは違う。
陰陽師の櫂は、見た目は日本人形のような美人さんなので、どんな可憐で、上品な人物かと思いきや、そこは夜光作品の受け様だけあって一筋縄ではいきません(笑)楚々としたとは美しさとは裏腹に、中身は基本怠け者だし、守銭奴だし、口は汚いし、そのうえなかなかのビッチ。効率よく自らの命を守るためとはいえ、房中術を使って、力のある鬼を惚れさせて従えようとするなんて…たまんないなぁ~。襲い受け、誘い受け等々、受け様主導のエロ大好物な私としては、めちゃくちゃ悶えました。
一方の鬼の羅刹の方は、快楽といえば、挿れて、出す動物レベルかと思いきや、櫂のご褒美キスを『柔らかい』ってお子ちゃまの感想を述べていたとは思えないほど、着々と愛撫は巧みになってみたり、オネダリを要求してみたりと、櫂を翻弄していく過程は堪らなく萌えます。お互い、まだ自分の気持ちの変化に気づかずに、術に嵌まっているだけだと考えている辺りも、めちゃくちゃイイ。
将来、一波乱おこしてくれそうな小鬼くんや、いわくつきのイケメン同居人(?)、強敵陰陽師まで出てくるし、さらには櫂のタイムリミット設定まであって今後の展開がすごい楽しみ!目が離せないシリーズ開幕です!
夜光花先生の新刊は、鬼×陰陽師の現代ファンタジー。
笠井あゆみ先生の挿絵イメージそのままに、力強い鬼(攻め)と強気な陰陽師(受け)の、強い×強いCPで、個人的にすっっごく好きでした!
強さがベースにあると、ふとした弱さがとても際立つので、そうした描写にコロっと落とされちゃう。落差に弱い私です。
埼玉の山中、古く広い邸宅に住む陰陽師の櫂。
家には櫂の他に、家事を担う伊織という青年と、人間社会に馴染むよう親から育成を依頼された鬼と人間のハーフの小学生・草太が暮らしています。
櫂は妖怪たちの間で、不老不死伝説を持つ八尾比丘尼の子孫と噂され、満月の夜にはその櫂を食べようとする妖怪たちに邸宅を囲まれ、次々と襲われてしまう。
強い陰陽師の力を持つ櫂は、加持祈祷をし、毎回何とかそれを凌いでいますが、そんな生活にもほとほと疲れ果ててきて…。
櫂は山奥の祠に封印された鬼を呼び起こし、自分を守らせることにします。
そして、数百年もの間封印されていた鬼・羅刹を解き放ち、術をかけることに成功し、共に暮らし、守ってもらうこととなるのですが…?
櫂は陰陽師の力を使って、自分の身を守らせるために封印されていた危険な鬼を解き放ってしまうという、目的のためには手段を選ばないような自己中で強引な面もある、強気で少々性格に難のある受けです。
鬼に跨り、自分の中に精液を放たせて鬼の心を自分に向ける術(房中術)をかける…。
羅刹は術にかかって側にはいるものの、完全に制御出来る相手ではありません。
度々命令に背いたり、櫂を食おうとしたり、自由になろうとしたり、櫂を求めて関係を迫ってきたりもします。
愛のない交わりをすると波動が下がるため、羅刹とのセックスは出来るだけ避けたい櫂ですが、鬼である彼に本気で迫られると、その圧倒的な力の差に恐怖をも感じ、受け入れてしまう。
そして、果てることない羅刹に何度も貫かれ、気を失うほどの快感を与えられ、ボロボロの朝を迎える…までがお約束(笑)
強い陰陽師の力で羅刹を従える櫂と、鬼本来が持つ人間を圧倒する力強さでときに櫂を恐れさせる羅刹。
この2人のパワーバランスが絶妙!
食うか食われるかの関係から、どう心が近づき、どう愛し合うようになるのか?と、展開が気になって気になって!
2人の愛の行方やエロティックな関係も大変気になるのですが、陰陽師のお仕事のほうもスリリングで面白い!
陰陽師ものは初めて読みましたが、一時期この職業のことが話題になったのも頷けます。
本来の陰陽師とは違いエンターテイメント化されたものですが、早口で呪文や真言を唱え、不動明王を呼び出し、式神を操り、魑魅魍魎を退治していく様は、いかにも映像映えしそうで、ゾクゾクする格好良さがあります。
主人公が美形の櫂なら尚のこと。
物語にはいくつか謎が散りばめられています。
櫂の寿命の謎。彼が受けている呪いとは?
何度か記憶を失っているという謎めいた青年・伊織とは一体何者なのか?
腹黒な資産家の顧客に浄化を依頼された「ドス黒い瘴気」を放つ箱の中身の正体は、本当にただの河童の怨念なのか?
上記の気になる謎が徐々に解き明かされる終盤。
伊織の話と櫂にかけられた呪いのエピソードがリンクして、切なさをもたらします。
箱の正体についても、序盤に引っかかりを覚えた人物・陰陽師の安倍那都巳が絡んできたりと、とにかく伏線の張り方と回収の仕方が見事でした。
気になった点がすべて、取りこぼしなくきちんと明かされていく気持ち良さ。
さて、完結ものだと思い込んで読んでいましたが、すごくいいところで物語は終わり、次巻へと続くようです。
まだまだ2人の仲は食うか食われるかの駆け引きめいたものだし、伊織の謎も残っています。
伊織と櫂の関係はどう着地するのか。
安倍との陰陽師対決はどうなるのか?
櫂と羅刹は本物の愛で結ばれるのか…?
お互い強いながらも、過去に背負うもののある櫂の持つ優しさや、人間らしい心を垣間見せる羅刹。
その2人の行く末が幸せであるといいな…。
あとがきにて、先生曰く「羅刹にはいい執着攻めになってほしい」とのこと。
執着攻めが大好物な私にとっては最高に期待が高まるお言葉です!ありがとうございます!
途中までは萌2くらいの感覚で読んでいましたが、最後に畳み掛けてくださいました!
ホント今すぐ続きが読みたーい!!!
楽しみに次巻を待ちたいと思います。
さすが夜光先生でした。ちょっとだけ読むつもりがあれよあれよと引き込まれてました。
最初は草太目線、次に伊織(式神)目線と進み、ワクワクしながら羅刹はまだなの?って思いながら読み進めました。
主人公の櫂が美しい容姿なのに横暴で豪胆でお金に汚いしで、陰陽師なのにツメが甘くてクールとはほど遠いのも魅力です。
そして羅刹があくまでも鬼の道理でしか動かないのも、焦ったくて面白いんです。
でも後半に変化して来ているので羅刹天になったりしてと期待してます。
まだ続くようですが、草太の将来、本物の伊織の魂魄、不気味な安倍那都巳、櫂の呪いの正体と羅刹との間に愛は芽生えるのかと楽しみがいっぱいです。
早く続巻お願いします!