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すごかった。
BLファンタジーにおいて、今現在夜行先生の右に出るものはいないんじゃないでしょうか?
コミカルに進んでいく前半から一転して、伊織と比丘尼が登場して一気に不穏かつ不気味な雰囲気になっていく後半。
息つく暇もなく、夢中で読みました。
比丘尼に関しては最後まで何者だったの?という感じで、とても気持ち悪かった。
〝悪気がない〟というところが一番怖かったです……
行方のわからなくなった草太を捜索する櫂と羅刹と雪は、草太の父と出会った出雲で草太を見つけます。
鬼による人間の惨殺事件が多発している時だったので、まさか草太が!?と心配しましたが、草太はずっと草太のままだった。
体は大きくなっても心と頭は5歳児でした。安心した^^
そして、みんなが楽しみにしていた夏祭りの日、遂に伊織と比丘尼が現れるのですが、ここで前作で描かれた「ブラックボックス」が活きてきます。
伊織の目的……それは、櫂を食うこと。
では、自分の肉体を櫂に喰らわせ、不老不死の肉体を与えようとする比丘尼の目的とは……?
比丘尼の血肉を口にした櫂が人としての感覚を失い、絶望の淵に立たされる姿はとにかく苦しい。
ここをどう乗り越えていくか?というのが一番の見どころです。
櫂を助ける千寿の父・慈空や高僧たち。
伊織の妨害を全身全霊で防ぐ羅刹と、自分のできることを探して奔走する草太。
それぞれの思いが深くて熱くて、胸がいっぱいになりました。
この死闘は本当に素晴らしくてドキドキさせられた。
「愛別離苦」は辛くても、辛いのは深く愛してるから。
〝人は必ず死ぬ〟という絶対不変の真理があるから、かけがえのない人生だと思えるし、今ある命を大切に生きることができるんだと思います。
だから、櫂が人間として羅刹を愛したいという気持ちが痛いほど分かった。ここが尊いと思いました。
ラストは意外な人物の手助けもあり、これも胸熱です。
伊織の末路は悲しくて苦しくなりましたが、引導を渡したのが櫂だったことが唯一の救いだったかもしれません。
長々書いてしまいました、なんだかんだ言っても櫂と羅刹のラブラブいちゃいちゃっぷりには萌えた♡
何であんなに羅刹は健気で献身的で可愛くなっちゃったの〜
櫂にべったりなところも、慈しみあうセックスも最高でした!
Hは少な目だったけど一回一回が濃くて、溢れる愛が止まらなかった。もうすごい!感動!!
あー、終わりが寂しいと思ったら、本作でも活躍した那都巳と草太の話が続くそうなので今から楽しみです♪
で、今回も笠井先生のイラストが素敵すぎて何度も見てしまいました。
口絵の夏祭りも、イケ鬼の草太も激アツでした〜♡
最後に、これだけはどうしても言いたかった!!
『式神の名は、鬼』の3巻目にして完結編。
続きものなので前作未読だと理解できません。前2巻が未読の方は、そちらから読まれることをお勧めします。
BL小説はそれだけで順番が分からないタイトルのものも多くありますが、今作品はタイトルは変わらず順番の数字だけついているのでわかりやすい。お洒落なタイトルはもちろん素敵ですが、こういう簡潔なものもわかりやすくて助かります。
ということでレビューを。前2巻含めてのネタバレ含んでいます。ご注意ください。
前作までで、まだまだ解けていない謎や問題は山積みでした。
失踪した伊織の謎。
鬼化してしまった草太。
ラスボスと言える八百比丘尼との対決。
そして、残りわずかとなった櫂の寿命。
それらをあと1巻で回収できるのかなー、なんて危惧しつつ読み始めましたが。はい、さすが夜光さん。素晴らしい完結編でした。
鬼に襲われた(と分かるのは櫂や那都巳といった陰陽師だけではありますが)人の遺体がそこかしこで発見される。
もしかして、人を襲ったのは鬼化してしまった草太ではないのか?
そんな恐怖心に駆られ、櫂は草太の母・雪と共に草太を必死で探し始めるが―。
今巻はそんな描写からスタートします。
「櫂」という青年は快楽に弱く、人と慣れあうことを良しとせず、口も悪く。
けれど、そんな櫂の内面が、羅刹を通して少しずつ見えてくる。
妖怪に付き纏われ、命の危機にさらされ、孤独に生きてきた、櫂。彼の蓮っ葉な態度は、彼の周囲の人たちを守るために彼が纏った鎧だったんですね。
が、羅刹と出会ったことで、櫂は少しずつ素をさらけ出していく。羅刹は強く、櫂が「守るべき存在」ではなかったから。けれどそれよりももっと大きな理由は、二人の間に愛情が育っていったから。だと思うのです。
そして羅刹も。
彼もまた、櫂と出会い、そして「人」だった自分を思い出す。
人としての優しさだったり、思いやりだったり。そういったものを、彼は取り戻していく。
ありのままの、そのままの自分をさらけ出しても、受け止めてくれる。そんな二人の愛情と信頼関係に激萌えしました。
伊織も非常にミステリアスな青年でした。
初恋の相手で、意識が回復しないまま入院していた伊織を献身的に見守り続けた櫂。彼の伊織への感情は、果たして愛情だったのか、それとも。
彼のブラックさが、今作品のキモになってるんです。が、そこがさらりと流されてしまったのが非常に残念でした。もっと読みたかった!
八百比丘尼にしても、伊織にしても、彼らには彼らの正義がある。
傍から見たらとんでもなく恐ろしいけれど、人それぞれ、正義とか愛情とか、そういうものがあるんだなあとしみじみ感じました。
人の心の深淵を、上っ面だけで終わらせない。
そこが夜光作品の大きな魅力の一つだと思います。
さて。
飄々としていて掴みどころのない陰陽師仲間の那都巳。
彼も非常に魅力的なキャラクターでした。ぜひとも彼メインのスピンオフを描いていただきたい。
この作品の放つ世界観が非常に好きで、今巻で完結なのが寂しい限りですが、またどこかで彼らに会えるといいな。
笠井さんは言うに及ばず、素晴らしかった。
文句なく、神評価です。
実はこの巻が最終巻だと知らなくて。
笠井画伯の表紙絵を見て「あら、これで終りなのかしら」って思ったんですね。
このシリーズの表紙絵って2人の関係を如実に表していると思うんですよ。で、羅刹に抱かれている櫂がやたら安らかな表情だったんで「この巻で終りなんだろう」と思ったんですね。
ところがねぇ、読み始めましたら「いや、これは続くのか?」と思い直したんですよ。だって、次から次へと難題が櫂に襲いかかってくるのですもの。
大人になって逃げだした草太は見つからない。おまけに鬼に喰われて死んだと思われるバラバラ殺人事件が勃発してしまう。
方や伊織は失踪したまま。大蛇の物の怪を倒しても、櫂にかけられた呪詛は消えずに残ったまま……始まりの部分だけでも、もうかなり厳しい状況です。で、この厳しい状況がどんどん膨れ上がりながら最後まで続くのね。
それも凄いスピードで。たたみかけるように。
これがねぇ、最高に面白いんですよ。
『息をもつかせぬ面白さ』ってこういう事を言うんでしょうね。
そしてね、ちゃんと美しく着地するの。
最終巻でした。お見事な大団円!
櫂と羅刹だけではなく草太と雪、それに那都巳や千寿、千寿の父の慈空など、主人公の周りを固める登場人物が増えていって群像劇的になると、やっぱり夜光さんは上手だなぁと思います。
櫂はこのお話のクライマックスで八百比丘尼に『命の理』に係る科白を吐きます。それは櫂の羅刹に対する愛情を宣言する言葉でもあります。ひょっとしたら櫂の『自分に対する愛情の表明』でもあるかもしれない。
この言葉が重みを持って響くのは、周りのキャラクターとの言動によって、私が櫂をより深く知ることが出来たからなんだと思うのですよ。
もうひとつ、やっぱり上手だなぁと思うのは状況や情景の説明なんですね。
特別な言葉を使わずに、平易な表現で的確に表してくれる。おかげでアクションシーンはすぐに目の裏に映像として浮かぶし、陰陽師や寺についての説明も『短いのにちゃんとわかる』という素晴らしさ。
こういうさりげない上手さが『次から次へと襲ってくるハラハラドキドキ』を矛盾なく展開させ、色々詰め込んでいるにも関わらずそれでもなお読者を疲れさせないお話づくりの土台だと思ったんですよ。
お話そのものにも感動したんですけど、それを作り上げる手腕にも、激しく感心いたしました。
いや、ホントに面白いよ。
巻が進むたびに羅刹が良い鬼(男)になって行って、なんだスパダリ攻めだったのかと…
三巻で本当に終わるの?って思ってたら嘘では無くて、それでも夜光先生が後書きに那都巳と草太で書きたいお話があると書いていたので狂喜乱舞しました。
櫂が本当にポンコツ過ぎて夏祭りに伊織にクラっとよろめいてしまった結果、喰われそうになったのには焦りました。羅刹の事はどう思っているのよ!と
八百比丘尼の不気味さと六角堂での邪気加持のシーンがとても面白くて、ハラハラしました。
しらっと現れて助けた那都巳に拍手でした。
羅刹が櫂の力に縛られてなくても側に居続けていた事実や、櫂を抱く羅刹に愛情が見えたのにも萌えまくりました。
那都巳と草太編でも2人の様子が分かるといいな
徐々に、徐々に縮まってきた陰陽師櫂と鬼の羅刹の距離。
胸の呪いを解くべくあれこれやってたはずが、
比丘尼のはからい(驚いたことに、比丘尼は全ての行いを邪気なく良かれと思ってやってきてた!)により、鬼になるか不老不死になるかの瀬戸際に立たされる。
極限状態で櫂が自分の素の部分に向き合い、羅刹にも全てを曝け出し、どんどん人間味が出てきたのがよかった。
並行して羅刹も内面はどんどん人間化。
いざという時はめちゃくちゃかっこいいんだけど、食べ物貪ってる姿はかわいいしかないw
いたるところでププっと笑えるのも好きなポイント。