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表題作舞台裏のシンデレラ

宮原時生,ゲイナイトで知り会った大学3年
相沢佳衣史,ネットショップを経営する女装モデル

同時収録作品舞台裏のシンデレラ

加賀谷広郷,瀬戸の恋人で同じ会社の同期
瀬戸友哉,加賀谷の恋人で女装子

その他の収録作品

  • ガラスの靴の磨き方
  • あとがき
  • 年下の王子様

あらすじ

女装子カレンの名で女装グッズ専門サイトを運営する佳衣史。あるときお持ち帰りした大学生・時生とコトに及ぶ寸前、豪快に偽物のおっぱいを外して見せたところ、なぜか気に入られてしまう。可憐な見た目に反し性格は男前な佳衣史だが、早逝した姉・佳憐へのコンプレックスから自分に自信が持てず、時生の告白にも素直に頷けないでいた。時生は誠実で、身体の相性は最高にいい。彼を信じてみようと思った矢先…?

作品情報

作品名
舞台裏のシンデレラ
著者
安西リカ 
イラスト
伊東七つ生 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
シリーズ
人魚姫のハイヒール
発売日
ISBN
9784403524882
4.2

(110)

(54)

萌々

(35)

(14)

中立

(3)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
11
得点
455
評価数
110
平均
4.2 / 5
神率
49.1%

レビュー投稿数11

とても深くて優しいお話でした(´;ω;`)

「人魚姫のハイヒール」のスピンオフで、女装子カレンちゃんの物語になります。
今作だけで問題無く読めます。
ちなみに、「人魚姫~」の二人も、友人カップルとしてちょこちょこ登場します。
いや、加賀谷がね、もう瀬戸にデレデレとヤニ下がりまくっていて、瀬戸は瀬戸で「加賀谷が、加賀谷が」といちいち語る。
「平和なカップルだよ~!」と、脱力しちゃったワケですが。

で、こちら、女装すれば超美少女になる、バイタリティ溢れる明るい受けに、今時の大学生と言った感じのスマートな攻め。
始まり自体も、クラブパーティーで知り合った攻めを、受けがお持ち帰りと言うものなので、ライトなラブコメを想像しちゃったんですよね。
が、二人の恋愛を通して、心の傷や過去を昇華して行くと言う、とても深くて素敵なお話でした。


内容ですが、クラブで知り合った大学生・時生×女装子カレンとして女装グッズ専門サイトを運営する佳衣史による、切なくて優しいラブストーリーで年下攻めものです。

クラブパーティーで知り合った大学生・時生を、酔ってお持ち帰りした佳衣史。
女だと勘違いしたまま事に及ぼうとした時生に、明るく偽物のおっぱいを外して見せた所、何故か妙に気に入られてしまうんですね。
実は、若くして亡くなった姉に対して複雑な思いと心の傷を抱えている佳衣史は、時生から「付き合って欲しい」と口説かれても、素直に受けれられないままでー・・・と言うものです。

佳衣史ですが、好きになるのはいつもノンケで、しかも完璧な女装姿で相手を好きにさせるくせに、自身の「女装姿」が好きだと言う事に傷付いたりする。
そう、ものすごく複雑怪奇な面倒くさい性格の受けです。

で、そんな彼と知り合い、なつくようになる年下攻め・時生。
彼は彼で、今時の優しくスマートな大学生だと思っていたら、心臓病を患っていたと言う過去を持っていた。

と、最初こそ即物的な始まりだった二人が、共に過ごすうちに、優しい恋に落ちて行くー。

これ、佳衣史がここまで面倒くさい性格になった理由ですが、過去の経験からです。
生まれつき疾患を患う姉を持った事で、周囲の関心は全て姉に向けられ、寂しさを我慢するしかなかった。
また、そんな姉はとても優しく心のキレイな人で、恨んだりと負の感情をぶつける事も出来なかった。
そして、姉弟で過ごしたとても優しく幸せな時間ー。

私事ではあるのですが、主人公と同じ経験をしていたりします。
明るく充実した毎日を過ごしているように見えた佳衣史ですが、本当は矛盾の塊なんですよね。
そんな現在の彼が形成された「過去」と、とても複雑な心情と言うのがしっかり掘り下げられていて、読んでいてとても辛い。

と、ここから、時生の穏やかな愛情に触れ、傷つく事を恐れて一時の恋しかしてこなかった佳衣史が、彼を信じてみようと前向きに気持ちを変化させて行く。
そんな矢先、時生が隠してした衝撃の事実を知り・・・と続きます。

これ、もう佳衣史の気持ちが痛いほど分かるんですよ。
何だろう・・・。
こういうのって、まさに足元から崩れてゆくって言うんだろうなぁと。

ただ、スレ違ってしまった二人が語り合い、その事により、心の傷から解放される。
この後に告げられる時生のセリフが、もうすごく優しいのです。
多分、同じような経験をされた方は、泣けちゃうんじゃないでしょうか。

とてもテーマが重いし、切ない部分もあるお話なんですよね。
でも同時に、そんな心の傷を昇華し、怖くても信じる事を始めた主人公に、とても嬉しかったりするんですよね。

と、ここまでが雑誌掲載作。
ここから、時生視点の書き下ろしでその後のお話。
あと、最後に佳衣史視点のSSが収録されています。

時生視点の書き下ろしですが、こちらはとにかく甘~い!
いかに佳衣史が、可愛くて色っぽくて素敵かと言う事が、これでもかと語られています。
付き合ってるカップルのイチャラブが大好きな身としては、もうひたすらニマニマしてしまう。
そして、佳衣史視点のSSですが、こちらは思わずホロリとしてしまう感じでしょうか。
未来を真っ直ぐ信じられるようになった佳衣史に、胸が熱くなりました。

22

いい男に成長確実の年下攻め様。

 「人魚姫のハイヒール」のスピンオフになります。
私にとってスピンオフの楽しみって、前作の2人の今を垣間見れるところなんですけど、今回、ちょいちょい加賀谷&瀬戸カップル登場してます。
2人してバカップル全開で甘々ムード撒き散らしてました。

 女装ネットシッョプ経営者のカレンちゃんが今回の受け様。

 クラブパーティーで出会って、タイプだな、と攻め様である時生くんをお持ち帰りしちゃってて、お!?いきなりそんな展開!?とドキドキ。
えっちな雰囲気になる中、「じゃーん☆」と女性の体型を作る矯正下着のジッパーを下げて、男性であるカラダを披露して、びっくりしても「騙されたー」と大爆笑してくれた時生くん。

 最初の数ページで楽しくて、明るいラブコメなのかな、と読み進めていったのですが、違いました。
ハートフルな優しいお話でした。

 女装子のカレンちゃん、本名佳衣史くんは、バイタリティあふれるパワフル男子。
若くして亡くなったお姉さんに対して、大好きなんだけど、周りの関心を持っていかれて複雑な感情を抱いていて。
時生は、そんなお姉さんの闘病仲間であり、健康になった今でも全力を出す事なく、省エネな生き方をしていて。
 時生に押し切られるようにお試しで付き合い始めた2人が、晴れて恋人になるまで。

 佳衣史のためだけなら全力疾走できるし、したい時生。
 
 ノンケなのに、男である自分に対しても優しくて、当たり前の恋人のように接してくれる時生を信じて一緒に生きていってみようと思う佳衣史。

 嬉しいも悲しいも一緒に人生歩いていこう、という2人を暖かく見守りたくなりました。

 
 書き下ろしでは時生が、年上の佳衣史に対してもっと頼ってほしい、頼れる男になりたい、と思っていて、にまにまです。
いいですねー、これぞ年下攻め。
 

 雑誌掲載作品は、受け様の佳衣史視点で、書き下ろしは攻め様の時生視点。
この順番、というかこの流れの作品、好きなんですよねー。
まず、恋人同士になるまでを受け視点で、その後に攻め様の、出会いはこう思ってた、とか、受け様への溺愛っぷりを披露してもらえるんですもの。


 イラストは伊東先生。
ラストのえちシーンがなんだかめっちゃエロくて、眼福でした。

 

7

年下攻め最高かな

以前から気になっていたので読んでみました。「人魚姫のハイヒール」は未読ですが、充分楽しめました。

なんと言っても時生くんが素敵ですよね。大学生で年下なのに、佳衣史の不安や鬱屈全てを包み込む余裕がありました。
時生の言動から佳衣史の姉の佳憐との関係性は何となく分かってしまうのです。でも、実際に佳衣史が知った時に、あれほどまで苛烈な反応をするとは思わず驚いてしまいました。

あんなにバイタリティ溢れて前向きな佳衣史がと、ちょっとガッカリしてしまったのも確かでした。時生の言動や態度は佳衣史の向こうに誰も見ていないし、佳衣史の事だけが好きなのが分かるだけに違和感さえ覚えてしまったんです。

でも避けて逃げる佳衣史を追い掛ける時生が、言葉を尽くして態度で示して誠意を見せる姿にキュンとしたんです。
時生が語る佳憐との思い出が佳衣史の姉への罪悪感と後悔を消して、再び姉弟を結び付けたことに涙が止まりませんでした。

そして、時生視点の「ガラスの靴の磨き方」も素敵でした。自然体で生きる時生が眩しくて、そんな息子だからこそ彼の両親も佳衣史との関係を自然に受け入れたのではないでしょうか?
ここでもイベント後に佳衣史の異変に気が付いて、佳憐の人形を取り戻すべく素早く行動した時生に感動しました。この時の佳衣史の反応にも感動して、涙が出てしまいました。

この年下攻めはどこまで良い男に成長するんだろうと恐ろしく思ったほどです。

出会いは偶然だったけど、ピタッとハマるようにお似合いの2人でした。
佳衣史を可愛いと思う時生の気持ちに凄く共感しました。

そして佳衣史のある部分に欲情する時生がとてもエッチです。

3

シンデレラ的な要素はないけれど舞台裏の苦労はよく見えました

新作が出たら必ず作家さまです。
なのであえて内容を確認せず読むのですが、あの人魚姫のスピンオフ作品だったと後半になって気がつきました。

佳衣史
女装専門通販サイト経営者
若くして亡くなった姉への複雑な感情を抱え、長続きしないノンケとの刹那の関係を持つ

時生
顔よし頭よしのモテるノンケ男子大学生
要領良くて器用だけれど子供の頃の出来事から満たされない思いを持て余している

そんな二人が出会って恋をしてちょっとすれ違って分かり合えてハッピーになっていくお話です。

女装家たちのパーティーを見て嫌悪し侮蔑的発言をするグループを追いかけてハイヒールを投げる瀬戸と啖呵きる佳衣史がかっこよかったです。

時生が「あなたが歩けない時はおんぶしていく」っていう言葉に感動した。その上「歩けなくなっても側にいる。…座って一緒に困ろう」にやられました。
共に歩いてくれる人がいて、時には支えてもらうこともある。支えきれない時も一緒にいて一緒に悩んでくれる人がいるというのはすごく幸せなことだと思えました。

モテモテ大学生の時生くんが同じ大学の女子に「美女の誉れ高い女たちが歩いた宮原時生の横を歩いて美女たちの見た風景を見てみたい」発言にはわかる〜と思わず同意してしまいました。

前作未読でもこの1冊だけで十分楽しめますし問題はないのですが、女装に興味がなかったという女装美女の瀬戸と加賀谷の女装することへの思いを読むとそこに至る二人の物語もきっと知りたくなると思うので未読の方は是非2冊揃えて読むことをお勧めしたいです。

1

時生が佳衣史の心に刺さる棘を溶かす

「人魚姫のハイヒール」・・この二人がまた登場。
加賀谷広郷, 瀬戸の恋人 同じ会社の同期
瀬戸友哉,  加賀谷に惚れた人 女装美女「瀬戸子」 

「舞台裏のシンデレラ」
相沢佳衣史, 女装子衣装を扱うネットショップを経営  姉に罪悪感を懐き続けている。
宮原時生,  ゲイナイトで知り会った大学3年 10歳まで佳憐と同じ病棟に入院をしていた。

「人魚姫のハイヒール」の関連本。早逝した姉、因果が巡る物語。 
女装子のトップリーダー的存在の佳衣史のビジネスネームは「カレン」、
「佳憐」とは病気で18才で亡くなった優しく綺麗だった姉の名前。

イベントで出会った恋人・時生は、佳憐と同じ病棟に居た子だった。
佳憐からもらった人形を佳衣史に見せて、二人が会話する場面は心に沁みて泣けてしまう。
無垢で美しい姉のようになりたい佳衣史は、姉姉に罪悪感を懐いている。
早逝した姉の為、姉の代わり・・と思い続ける佳衣史は、女装子(シンデレラ)の時と素のギャップが大きい多面性を持つ性格。
佳衣史の姉への気持ちが複雑で、姉の死を整理できずにいたのを、年下の時生に救われる。 

ただのBL,女装子の話ではないまとめ方が凄く良かった。
佳衣史と時生の会話で進む場面が自然。 著者は構成上手で、頭がいい人みたい。
この作品も読みやすくて、読後感が凄く良い。ハピエンまでの過程が良くて、泣けたBL。
派手さがないけれど、心に沁みる表現が上手。
読みやすいので、是非読んで。

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