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今回のテーマのひとつは「女装」
それも、特別女装好きというわけではなかった主人公の友哉が
なりゆきの勘違いから始まってしまった加賀谷との関係。
はじめは「え~女装・・?」とあんまり期待していなかった
今回のお話ですが、読み始めると
なるほどそういうことね・・・という展開に。
毎回のことながら安西先生の言葉の選び方と
表現の仕方にただただ感心して
「ん~やっぱり好きだわ」と思ってしまいました。
好きなシーンはいろいろあるのですが
中でも一番好きなのは、書き下ろしの
2人が海外赴任先で一緒に暮らしはじめてからのHシーン。
加賀谷が「出していいか?中に」と聞いて
「出して」というやり取りのあと
加賀谷が友哉の中に射精するまでと、し終わってからの様子が
安西先生らしい言葉で綴られており、ため息が出ました。
特に終わった後
「単純な快感と、恋人が欲望を受け入れてくれた精神的な満足感で
加賀谷は大きく息を吐きだした」という一節。
「精神的な満足感」すごくよくわかります。
読みながら「うんうん」とうなずいてしまい
加賀谷の心の内がそのまま出ている文章に感動しました。
言葉だけで読み手がここまで想像できるなんて、やっぱりすごい。
女装というジャンルは正直好きではありませんが
やっぱり安西先生の文章は好きなので
ちょっと甘めに神評価付けさせていただきました。
とにもかくにも、健気で努力家でやれることは全部やる、という頑張り屋さんな受け様の瀬戸さんがとてもかわいく、愛おしかった作品でした。
相手のことを思って身を引くって設定ならけっこう読んできたと思うんですけど、瀬戸さんみたいに相手を失わないよう頑張っちゃう、相手が喜んでくれるのなら頑張れちゃう、なんてポジティブな受け様、かわいくて私より全然女子力たけぇ。
くっつくまでの本編もいいけど、欧州に転勤した後の2人のらぶらぶ続編がまたいい。
私の好きな攻め様視点だったんですもの。
加賀谷は現地の女性からももててたし、モトカノとかも出てきたけど、瀬戸さん以外には目に入ってないし、自分の為に頑張ってくれちゃう瀬戸さんがスゲー愛しいってオス感出しまくってたしね。
最後のエロは、ちょっと変態入ってた加賀谷だったけど、めっちゃエロくてそれもまたよし。
パンスト買いに行ったようだし、また瀬戸さんの美しい勝負姿を拝める日があるんでしょうね。
この二人、いつまでも好き好きオーラ出しまくっていちゃいちゃしてるんだろうなぁ、と微笑ましく思いました。
安西さんの作品を全て読んでいるわけではないけど、登場人物の描かれ方に毎回ツボをつかれます。
登場人物のベースにあっけらかんとした明るさがあるんですよね。
そこが微笑ましかったり笑えたり心地良かったりするのですが、今回も主人公の瀬戸(受け)がとても好印象でした。
よりによってノンケの女好きモテ男に恋をしてしまったのに、悲壮感なく「せめて友達になりたい」と努力する受けです。
望みがなさ過ぎて逆に開き直れたのかもしれませんが、友達になる努力も空回り気味で可愛くて冒頭から心掴まれました。
攻めの加賀谷は、あっけらかんとした明るさというか能天気っぷりにヤキモキさせられました。
だらしないというわけではないけど女性から寄ってくるような隙のある男性です。
瀬戸の趣味に付き合ってる体で実は自分の欲望に忠実なだけだったり、誕生日のサプライズ失敗など絶妙な抜け作感がありました(笑)
どちらかというと受け身な生き方だけど、
瀬戸への恋情に気づいてからは努力して欲しい者をつかみにいくというカタルシスがあった気がします。
今作は女装がテーマです。
試しにしてみた女装が攻めに見つかって「瀬戸は女装趣味」と勘違いされてしまいます。
加賀谷の「誰にも言わないから安心しろ」という勘違いで寛大な心とか、瀬戸の女装を加賀谷が一番楽しんでる所が面白かったです。
その分、瀬戸の恋心と本心を隠すための嘘も大きくなりますよね。
苦しさを伴った切なさがありました。
女装物特有の自分の性を否定してしまう切なさが今作もありましが、
読み終わった後は、女装がお互いの仲を深めていくツールとして役にたったなという印象が残りました。
女装した瀬戸を好きになったのではなくて、女装が瀬戸の魅力の一つとして働いたからだと思います。
あげくに加賀谷の性的嗜好まで変わってしまったのですから人生何が起こるか分かりません。
何より、女装を武器にした瀬戸のたくましさがとても良い読後感になりました。
挿絵もとてもお上手で説得力がありました。
小説は読み始めたばかりでまだまだお気に入りの本が少ない状況ですが、そんな中、美しいことに続く大好きな本の仲間入りです。
CD「好きで、好きで」が気に入ったので原作の小説を読んで、安西先生の文章に違和感を感じなかったので積んであった山から掘り起こして読んでみました。
あらすじで読みたくなることってあんまりないんですが、「たまたました女装を好きな人に見られて、気に入られて…」というあらすじにすごく惹かれて購入、期待を裏切らない切なくて甘いお話でした。
序盤の、同僚の女装にすごく積極的な攻めに違和感を感じないでもなかったですが、受けの女装姿がものすごい美人さんらしいので、彼女ができたみたいで楽しかったのかな~と。メイクしてあげたり、ヒールをプレゼントしたり。
しかしその女性扱いに不安を感じずにはいられない受けでしたが、それでも好きな人だから嬉しくて頑張る…。受け健気すぎる…。
幸せを感じつつやっぱり不安や切なさを抱えていたとき海外に行くことになり、想いを断とうとします。
そこから紆余曲折(攻めからのアタックとか)あり、2人で海外に行くことに。
書き下ろしの「王子様のタキシード」では、その海外に行ってからの2人が攻め目線で書かれています。
受けがすごく健気で、かっこよくて、攻めも受け一筋なので、とても幸せな気持ちになりました。
瀬戸が読む前の印象ではもっと内気でおとなしい人かと思ったら、会社のイベントのかくし芸で上司の発案とはいえ率先して女装して踊っちゃうようなはっちゃけちゃう人というのが想像と違ってましたが、ウジウジ系の性格じゃないところが気に入りました。
メイク&女装の姿に「惚れそうになった」と言われた言葉を大事に心にしまって何度も思い出しては繰り返している姿が可愛かったです。
瀬戸はいたずら心で女装したところを加々谷に見られてしまい焦ったけれど、その後むしろ加々谷の方がノリノリでメイクや女装を手伝うところでなんか違う方向へいきそうな予感が…。
けど、元プラモ好き少年がフィギアに着色する感覚でメイクに夢中になる加々谷の姿に突拍子もない事というよりそんなこともあるかもと思わせる流れでした。
瀬戸の誕生日に加賀谷が女連れで現れた時、わーって逃げ出した瀬戸の気持ちが痛いほど伝わってきて胸が締めつけられました。
全体的にこうなったらいいのにとか、こうだったら面白いと思う展開で私の萌えポイントをことごとく突いてくれました。
後半の『王子様のタキシード』では頑張る瀬戸の美女ぶりが見られたし、最後すごくやる気が出るエンディングでした。
元気になりたい時や新しく何かを始めたい時にその気にさせてくれる作品だなと思ったので、そんな時にきっとこれからもなんども再読するだろうなと思います。