イラストあり・電子限定ショートストーリーつき
不器用と健気の話。
屋敷の中だけで織り成される、閉鎖的な舞台だが、展開にマンネリを感じない。
二人が体を重ねるシーンは、二人の声と衣擦れの音だけが響いてるのが想像出来るくらい、静かな空気が伝わってくる。
ずっと屋敷の中で暮らしていた蒼生が、ラストでは外の世界で律たちと一緒に社会に出る。
はっきり恋人になる、って明言されてないのもまた良い。
電子限定ショートストーリーも、じっくり読み味わえる。
律の嫉妬も素直正直な蒼生を前にすると、一瞬でなくなるのがかわいい。
こんな時代にそんな事有り得るのか、って言ってる人が居ますが、この作品に限らず、商業BLの9.9割のBL小説漫画はフィクションなんですが。
人身売買といっても内臓ではなくそのままの肉体を売っているだけだし。
隠蔽だってできる。リークされなきゃバレない。死体だって簡単に見つからない。
ちなみにこれはミステリーでもサスペンスでもないし。フィクションを楽しみましょう。
中立寄りです。
前々からカバーイラストに惹かれていつか読みたいと思っていた作品。最近、新作が刊行されたので思い出し、試し読みをしたらなにこれすごく好きそうとそのまま正規購入して最後まで一気に読み終えました。
一番の魅力は文章でしたね。物語のモチーフが庭というのもとてもロマンティックだし、テーマも退廃的かつ無垢な魂最強説がベースにあって、最後はハッピーエンドとBL的には満足でした。
でもやっぱり、史実的な裏付けは欲しい。うーん、このご時世、日本で子供の人身売買なんて闇が深すぎる案件、週刊誌が取り上げるようなレベルでしょうか?フィクションであってもファンタジーじゃないかぎり、ある程度リアリティがないと読者は読む気がそがれてしまいます…。
律にあまり魅力がなかったのも残念かなぁ。おそらくお育ちからしてエリートくんなんだと思うけど、いきなり男抱けるのか?と引っかかってしまいました。(彼の男女関係や性的指向について言及がない。)腹いせのように蒼生を犯したのはもちろん、蒼生に対する気持ちの変化がいまいち掴めず、2度目も悶々としながらそーなるか…と。もうちょっと律側の心の動きが知りたかったです。
蒼生には好感が持てました。でもエッチの時の喘ぎ声のギャップに引きました。想像とちょっと違いましたね笑
物語に幻想的な雰囲気を醸し出したかったのなら、成功しているかもしれません。もちろんyoco先生のイラスト込みで!これほどマッチしたイラストはないなぁと思いました。
Yocoさんが挿絵を受けた作品を集めているので、購入。表紙の絵が、本当にきれい。神秘的な満開の白薔薇が咲く庭に、たたずむ蒼生。
この作品は、著書の初商業本。
「初本」だから仕方ないと諦めるべきなのか、挿絵に随分助けてもらっているように感じた読後感。
庭の情景は、バーネットの「秘密の花園」を連想する描写。
花屋を営んでいた父。
両親と住んでいた家は、瀟洒な洋館で、白い蔓バラが咲く美しい庭。
律は一人息子。美しく、無学で、料理もできない母はただ優しい人だった。
母が父の言いつけで温室で花を育てていた、その温室に父の秘密があった。
ある日、勉強が嫌で逃げ出した律は、温室で同じ年ごろの美しい少年・蒼生と出会う。
蒼生と一緒に隠れた律は、蒼生を探しに来た男に見つかり、父に酷く叱られ、律が蒼生と二度と会うことが無かった。
父が首吊り自殺をして、父の遺産を引き継いだ律は、戸籍が無い「父の商品だった少年」と引き合わされる。
父の裏稼業を知った律は、父を許せない。父への怒りを律は、父の商品だった蒼生にぶつけて虐待に等しい態度をとる。
・・律の行動は凄く幼い。本来なら、被害者の蒼生が律を咎めるのが道理。でも蒼生は逆らわない
美しい洋館の庭、謎の火事、謎の母の死、謎の父の死、謎の美少年蒼生、
・・といったミステリアスな出だし。
蒼生と再会した後の律の非常識な行動は、ある日を境に突然変わる。
蒼生を思い切り不憫に仕立てて、無理やりハピエンに決着する構成も不自然。
未熟な構成をyocoさんの挿絵の補完で救われた作品だと思います。
Yocoさんの絵を評価して萌2。
もしかなうなら、もう一度加筆修正して素敵な作品に仕立て直してほしい。
yoko先生の表紙に惹かれて買ったものの、読まずに積んでいた本;
表紙がねー、ホント素敵♡
本編中にも花いっぱいの庭園が出てきて、イメージとぴったり!
ただですね、ストーリーが若干陳腐。
人身売買され、性奴隷として売られてきた少年たち……
その中の一人、蒼生が主人公。
まず、蒼生の生い立ちが辛すぎる。
学校も行かずに性技だけを仕込まれ、男たちに奉仕してきた不憫な子。
飼い主が死に、のちに再会した主人の息子・律からは蔑まれ、酷い扱いを受けます、
あまりに酷い……
だって、蒼生の落ち度はひとつもないんだから。
律の会社の共同経営者・達海が本作の良心。
むしろ、達海と結ばれる流れでも良かったんじゃないかと思うほど、律が嫌なやつでした。
そんな律が改心するポイントがあるのですが、そこがどうにも納得いかない。
そんな急に?という感じ。
だから、そっから好意全開の溺愛ぶりも腑に落ちないのです。
戸籍もない蒼生は屋敷に囲われ、一歩も外に出たことがない。
なのに、ラストは戸籍を得て律の会社の事務員に?!
なら初めから戸籍作ってやれよ!と、思わずにはいられませんでした;
雰囲気は良く、不幸な蒼生が幸せを掴んでいく姿は素敵です。
時代背景がもっと昔とか、どこか架空の国の話だとか、もう一捻りあると良かったかな。
現代社会の設定の中では、リアリティを全く感じられませんでした。
気になっていたのです(表紙が…)、設定(人身売買)という重さから、
なかなか読み始められなかったんですが…読んでしまいました。
前半、受けの生い立ちというか境遇がひどすぎるとゆーのと、攻めの態度がひどすぎるというのでしんどかったです。ただ、薄幸健気受けが好きなので、この境遇から、絶対最後には幸せなラストが~と励ましながら(とYoco先生の美麗なイラストで)読み進めることができました。情景描写がきれいですよね。お庭の様子が目に浮かぶようでした。
全体的な流れは好きなテンプレだと思ったのですが、、攻めの気持ちの変化が読み取りづらかったかなぁと。ちょっと急に(嫌悪→愛)に転じる印象がありました。弱いものに劣情をおぼえるというのは理解できますけど、そこから”守ってやりたい”まで昇華する過程はもう少し説明がほしかったかも。ハーブティー1杯で人格まで変わってしまったような唐突さはぬぐえず…。とはいえ、そこからの展開は佳きでした!