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表題作罪と咎

三上晃成・昴を拾った男・起業家
中村昴・フリーター

同時収録作品色恋トライアングル

史哉・瞬の同級生
瞬・史哉のことが好きな高校生

同時収録作品いっしょにごはん

榊一眞・小説家
越智・一眞の隣人

その他の収録作品

  • 描き下ろし

あらすじ

愛を知らないサイコパス×人生に絶望した青年の狂おしいほどの愛憎劇…

片親で育った昴は、対人依存症の母とその愛人による不当な暴力に耐えながら、家賃を稼ぐために働かされていた。
ある日、前借りした給料を愛人に奪われた昴は、追い打ちをかけるように母と愛人が保険金目当てに自分を殺そうとしている会話を聞いてしまう。
「俺、なんのために生きてんだろ…」
生きる気力を失い、死を望む昴。
行動を起こそうとしたその時、見知らぬ男・晃成に、自殺するくらいなら自分のものになるよう迫られる。
絶望を前にした昴にとって、それは甘美な誘惑に思えて――

作品情報

作品名
罪と咎
著者
天河藍 
媒体
漫画(コミック)
出版社
三交社
レーベル
Charles Comics
発売日
ISBN
9784815501006
4.1

(112)

(59)

萌々

(29)

(15)

中立

(3)

趣味じゃない

(6)

レビュー数
12
得点
459
評価数
112
平均
4.1 / 5
神率
52.7%

レビュー投稿数12

救われ、癒されたのは果たしてどちらか。

電子で何話か読んでいて、コミックス化されたら買うと決めていた作品。

天河さんの描く、ドロドロでダークな世界観は好みが分かれそうですが、今作品はダークなだけではありません。人の孤独や、愛情を欲しもがく青年たちの姿が描かれていて、思わず落涙しました。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





主人公は昴。
父はなく、母子家庭で育ってきた。が、彼を保護すべき彼の母親は対人依存症。一人の時間を過ごすことができない。

働かない母親の代わりに中卒で働き、ずっと母親をサポートし続けてきた。が、母親の恋人の男に殴られ、金銭を奪われ、挙句の果てに保険金目当てに自分を殺そうとしている母親とその恋人の会話を聞いてしまった昴は失意のうちに自ら死のうとする。

が、そんな昴に声をかけてきた男が。

「死ぬならその身体、俺にくれ」。

そう言い、昴を自分の自宅に連れ帰ったその男・晃成は、昴を緊縛し抱くが、その手はどこか優しくてー。

というお話。

とにかく昴という青年がめっちゃ薄幸さんです。
母親のヒモの木下という男は紛うことなきクズ男なのですが、それに輪をかけるのが、昴の母親。
まさに、子を産んだ「だけ」の、母性のかけらもない救いのない人物です。

が、それでも母親を心配し彼女のために尽くす昴がなんとも切ない。
たった一言、「いい子」だと。
「愛してる」と。
そう言ってほしくて奮闘する昴が健気で泣ける。

そんな昴を拾ったのが晃成という男。
とんでもないお金持ちなのだろうということ以外、何も分からない謎の男。

「動いたり声を出されると萎える」という理由で、セックスの時は昴を縛り、猿轡を噛ませる。

非道な男に見えて、でも彼の行動には優しさも見える。

晃成の性癖。
昴を拾った理由。
時々垣間見える彼の優しさ。

そういったものの根源が、少しずつ見えてきます。

薄幸な昴が、晃成と出会いそして幸せになる。

序盤、そんなストーリーを思い描きつつ読み始めましたが。

いやはや、すんごいストーリーでした。
昴は晃成に救われましたが、晃成もまた、昴という存在を得て過酷な過去を昇華しつつある。

「晃成の過去」が非常に胸糞です。
晃成が悪いわけではない。
彼を巻き込んだ、大人のどす黒さが。

さらりと描かれていますが、かなりダークな内容なので心して読まれることをお勧めします。

主人公は昴、なんだと思ってました。
が、このストーリーは晃成の再生の物語です。

昴を愛してしまったから、手放した。
愛したからこそ、危険を承知で昴を救うために彼のもとに再びやってきた。
なのに、自分の「愛」という感情に気づいていない。

晃成という男の不器用さに萌えが滾り、そして落涙した。

彼らの間に育っていく愛情が、急に芽吹いてきたように感じます。
が、よくよく読み込むと、彼らの間にはそもそもベースがあったんですね。

母親からの愛情を欲しもがき続けた昴。
自らの手で、母親を失ってしまった晃成。
お互い同じものを欲したからこそ、お互いの求めるものを無意識に相手に差し出していたのかな。

昴、そして晃成。
彼ら二人には背負っていかなければならない「罪」がある。
そしてその罪を、彼らは彼ら自身が「咎」として自身に課している。

温かくって優しいストーリーを好まれる方にはお勧めできない作品ですが、「愛することとは」という壮大なテーマを突き付けられた作品でした。

表題作以外に、2つの短編が収録されています。

『色恋トライアングル』
「薔薇とヘドロ」に収録されている『色恋トライアングル』の続編。

親友のことが好きなのに、近所の子どもとセックスしてしまい、あろうことかそのシーンをその親友に見られてしまった瞬。

というところまでが前話。

今作品は、その親友・史哉と瞬の関係はどうなる?といったストーリー。

史哉と瞬は両想いだったわけですが、京太が瞬のことを好きという想いも本物なわけで。

『色恋トライアングル』というタイトルに偽りなしの三角関係ものになりそう。続編を正座して待っていようと思います。

『いっしょにごはん』
生活能力ゼロの作家×隣人のおっさん、のCP。
この作品、たった4Pしかないんですよ。
なのに、彼らの過去とか、関係とか、そういったものがきっちり読み取れます。

甘々、ラブラブなお話。
ドシリアスな本編のお口直しにどうぞ。

終盤に『罪と咎』の描き下ろしが、そしてカバー下に2P分の漫画が印刷されています。

視点は昴ですが、昴の目を通して描かれているのは晃成の懺悔と贖罪の想いです。

かつて彼がしてしまった「こと」により、彼は壊れてしまった。
が、昴という存在を得たことで、少しずつ彼は再生しようとしている。

そんな晃成を見守る昴もしんどいだろうけれど、手を放すことなく彼を見守り続けている。

そんな二人の姿にエールを送りたい。

好みが分かれそうな作品ではありますが、人の闇と、孤独を描いた衝撃作。

文句なく、神評価です。

25

愛に飢えている人々の愛のカタチ

表題作『罪と咎』のみレビューします。

作者様の絵が好きで購入しました。攻も受もイケメンでとにかく絵がキレイです。とくに、攻のミステリアスな表情はこの作品の象徴的なところかも。とにかく、攻も受も本当に不憫な人たちで、胸が苦しくなりますが、そんなバックグラウンドがあるからこそ、愛し合うことで自分たちの欠落した部分を補い合うかのような二人が美しいです。

以下、ネタバレ含みます。

唯一の家族である母親にネグレクトされながらも必死で母親を助ける昴。本当に優しい子なのに、不憫すぎる追い打ちがこれでもかー!と降りかかります。自分の生きている意味を見失い、いっそ死んでしまおうと思っていた矢先、晃成に拾われます。
このときの晃成のサイコパスっぷりが半端ない!

自宅につれていかれた昴は、晃成のさらなるサイコパスっぷりに驚愕の連続。このときの晃成の淡々としてるんだけど、感情がまったくない感じが、すごいです。目が!目がまったく笑わないし、感情がないんです!(同作者様の別作品、薔薇とヘドロの理人を彷彿とさせます)
そんな晃成は『動かないものにしか興奮しない』と言い、昴を拘束させてセックスします。しかしセックスの最中、大切に扱う晃成。最初は戸惑いしかない昴も、だんだんと晃成の心の闇を心配し、気持ちを寄せていきます。
晃成も本当に不憫な人で、晃成がなぜ、無機質な人間になってしまったのか、その過酷な過去が明らかになっていきます。

最後の展開がやや、駆け足ぎみだったので、晃成が昴を手放した場面や最終回の二人の場面などは、もう少し深く描いてもらいたかったなぁ、と思いました。コミック書き下ろしやカバー下でも、晃成はまだ、昴への愛情に本格的には目覚めておらず、昴が包み込むような無償の愛で寄り添っているなかで、晃成が少しずつ人間らしさを取り戻す入口に立った、という感じなので、昴への愛情を認識した晃成が、心も身体もお互いに愛し合って本当の意味で救われたところを、ぜひ続編で読みたいです!

11

やっぱり先生はツボだわぁ~♡

表題作は勿論最高でしたが、【薔薇とヘドロ】に収録されていた「片恋トライアングル」の続編も収録されていたので2倍最高でした♡

表題作「罪と咎」は、薔薇とヘドロとはまた違ったダーク系。
感情の全く読み取れない攻めの晃成のサイコパスっぷりも引き込まれるし、不遇なのに優しい昴にも惹かれるし。
一応ハピエンですが、リリカルハッピー好きさんにはちょっと向かないかも?
まぁそういう方は表紙で既に買わないか(笑)

同時収録に「色恋トライアングル」!!
まさかの「片恋トライアングル」続編♪
今回の展開を持って本当のトライアングルが完成した感♡
このお話はまだまだ続くと信じたい♪

6

このまま罪を背負って幸せに。

仄暗くて、2人だけの世界を暗示させるような表紙です。無表情の晃成と怯えた表情の昴が印象的でした。

子供の頃の昴が、アザだらけの顔でテレビを見ていて、母親からの愛情もなく孤独に過ごしてきたのかなと思うと辛くて切ないです。

母親は常に男に依存状態の中で昴は懸命に働いていますが、すぐにお金を奪われてしまいます。家を出て行かないのは母親を見捨てる事が出来ない昴の優しさですね。

母親と男が自分への殺害計画を立てている事を知って絶望する昴。思わず道路に飛び出してしまうところに晃成が救いの手を。

晃成がただの年上の金持ちの良い人じゃないと分かっていても、昴に触れている時はただ優しくて「おいで、昴」の言葉には逆らえないです。カッコ良いですし。

昴の純粋さ、健気さが晃成の過去の消えない罪による病んだ心を少しだけ和らげているような気がしました。

最終的に母親よりも晃成を選んだ昴。今まで散々苦労してきて不幸な目にしかあっていない上に母親から刃物向けられたらもうこうするしかないです。

カバー下のお話までずっとシリアス展開で少しだけ、甘さが欲しかったですけど、昴、ずっと晃成のそばにいてあげてと切に思いました。

まるごと一冊のお話じゃなかったのは残念です。突然知らないコミカルなお話が入っていたので驚きました。


6

ヘビー!だけどそれが好き。

重い感情が渦巻くストーリーですが、ここまで描かれているのはとても素晴らしい!
ダーク大好きなので、大変滾りました。
作中にかなり過激な回想等(直接描写は無)もありますので「大好き最高!」と書くとやや語弊があるかもしれませんが……大好きです…とても良かったです!
心臓がギュギュっとなりながら読みました。


罪と咎、それぞれの周りの大人達によってそれを背負わされてしまった二人が切なすぎます。
不憫過ぎる生活をしているのにスレた様子もなく凄く良い子な昴が自決しそうな時に、晃成から拾われるシーンでゾクゾクしました。
下剤飲んで中洗われて~の初エロから拘束具を付けられますが、どこか優しさがあるように感じました。
どのエロもとてもエロでした…エロい!

極道者?!キャラの子も好きです。
可愛い顔なのに容赦なくて(笑)状況把握が早く、はいオッケーてな具合に注射ブスッ。
晃成が咄嗟に身を呈して昴を庇った所とかも凄く良かったです!

本当にもう身勝手過ぎる親たちの被害者ですよ二人は。不憫過ぎる。
同じものを背負って共に生きていく二人それぞれの愛がゆっくり育ってくれたらいいなぁと思います。

晃成の闇は果たして癒せるのだろうか…闇の終わりが想像出来ないけれど、昴くんがいるからきっと大丈夫ですね!

2

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