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表題作エリート上司はお子さま!?

榎津隆昌,30歳,大手デベロッパー営業部企画開発課課長
福永実,22歳,榎津のアシスタントとなった中途採用者

その他の収録作品

  • エリート上司の部下もお子さま!?
  • あとがき

あらすじ

エリート街道まっしぐらだった男が、
稲荷狐の怒りを買って子供にされちゃった!!
しかも新人の後輩に面倒を見てもらうハメに
なって!?

この鳥居と稲荷狐を、動かすか取り壊せないものか――
買付したい土地に建つ社(やしろ)に頭を抱える、
不動産会社の課長・榎津(えのきづ)。
その隣で古びた狛狐に手を合わせるのは、
入社したての新人の福永(ふくなが)だ。
「お前、こんな狐を信じてるのか? 」
思わずバカにした瞬間、
神罰で子供の姿にされてしまった!?
台所のシンクも届かず、玄関ドアを開けるのも
一苦労――不本意だけれど、
福永に面倒を見てもらうハメになり!?

作品情報

作品名
エリート上司はお子さま!?
著者
火崎勇 
イラスト
金ひかる 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199009778
3.8

(11)

(1)

萌々

(7)

(3)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
4
得点
42
評価数
11
平均
3.8 / 5
神率
9.1%

レビュー投稿数4

お稲荷様を怒らせてはいけません(笑)

今回は企画開発課課長と中途採用のアシスタントのお話です。

俺様な攻様が目を付けた土地で稲荷の怒りを買い子供になる騒動と
攻様の恋人になった受様が稲荷の褒美で子供になる顛末を収録。

攻様は大手マンションデベロッパーで企画開発課課長を務めています。
企画開発とはマンションを建てるのに最適な土地を見つけ、どのよう
なマンションを建てるべきかを提案する部署です。

攻様は仕事が楽しく順調で会社にも認められ必要とされ、私生活でも
適度に遊び、正に順風満帆な毎日を送っていますが、そんな攻様の数
少ない不満の1つが先月から攻様についたアシスタントの青年でした。
この青年が今回の受様になります♪

攻様が欲しかったのは建築士の資格を持っているとまではいかなくて
も、過去に建築関係、不動産関係の仕事の経験があり、攻様のペース
を乱さない人間でした。

しかしながら受様は噂では社長の縁故入社で建築関係の仕事の経験が
なく、どこかのんびりしていて言葉数が少なく、命令には忠実ですが、
自分から意見を言うことがないのです。

また定時になるとさっさと帰るのも頂けないと思っていますが、会社
の決めた事ですし、真面目で字が綺麗なのは利点だと思っています。

もう1つの不満は攻様をライバル視している同期入社の同僚です。何
かにつけて攻様と争う姿勢を示すのですが、企画会議でも攻様がほぼ
連戦連勝で攻様にとって同等な相手ではなく、面倒なだけの相手なの
です。

そんな同僚ですが、今回のプレゼンにかなり自信があるようです。ど
うやら彼の見つけた場所は都心の土地のようで、攻様は念には念をと
受様の下調べさせた土地に自らも出向く事にします。

対象地は新宿まで10分ちょっとの私鉄沿線で駅から5分ほどの場所です。
造園業を営む地主の持ち物で、大きな屋敷の他に造園用の植木を置いて
いる農園があるかなり広い土地です。

攻様は近くにある病院や小学校までの距離などを受様に調べさせてい
ましたが、彼はその他に近くのマンションや歯科、スーパーなども調
べていたようです。攻様は受様の仕事を見直しますが、調べても報告
しないのは頂けません。

その上、前回来た時に稲荷の社を見つけたので次回はお供えを持って
くると約束したからと菓子を備えて稲荷に手を合わたのです。稲荷を
信仰しているのか問えば、祖母の教えで手を合わせているのだと言い、
そんな受様に攻様は苛立ちを覚えます。

稲荷なんて狐だろう。ただか動物じゃないか。
神格があるんだとしても神頼みなんてバカバカしい。
狐が何か出来るもんなら見てみたいもんだ。

思わず攻様が暴言を吐くと、次の瞬間、頭の中で『見てみたいなら見
せてやろう』という声が聞こえ、全身が燃え上がるような熱を感じま
す。振り返った受様の目に映ったのは子供になった攻様で、攻様はパ
ニックに陥ってしまいます。

攻様が子供になったのは稲荷の怒りを買ったせい!?
攻様が大人に戻る術はあるのか!?

雑誌掲載作であるタイトル作に続編を書き下ろしての文庫化で、ひょ
んな事から稲荷の怒りを買った攻様が子供になってしまうという不思
議体験記になります♪

火崎先生の久しぶりのBLなので、それだけでワクワクと手にしまして
とっても楽しく読ませて頂きました (^O^)/

攻様はできる男であるが故に、できる自分基準で物事を見るためかな
り俺様なタイプです。そのため、資格もなくこの業界の仕事も未経験
な受様の事もあまりよく思っていませんでした。

しかし、稲荷の怒りで小学低学年サイズになってしまった攻様にはス
タイリッシュなマンションドアは重くて開けにくく、家具類は全て大
きすぎました。

受様は1人では買い物もままならない攻様をアパートに連れ帰り、いろ
いろと世話をしてくれます。攻様は連れられて行った狭いアパートで
受様の家族の事や中途採用された訳を知る事になります。

会社には攻様は緊急入院したという偽り、受様の助けを借りて暮らし
て行く中で、攻様は健気に生きる受様を助けてやりたい、守ってやり
たいと思うようになっていきますが、子供のままではどうすることも
できません。

攻様視点なので攻様が元の大人に戻るまでグルグルしつつも、受様を
幸せにするために努力も反省も謝罪もしっかりするけど、稲荷様への
対処の無鉄砲さに俺様攻の傍若無人さが出ていて面白かったです♪

続編も攻様視点ですが、受様に良く思われたい攻様の言動が空回りし
て、今度は受様が子供になってしまいます。カッコつけな攻様がまた
また反省することになる展開でこちらも楽しませて頂きました。

次はぜひ完全新作を!! お待ちしています (>_<)/

4

お子様可愛い

表紙のお子様に惹かれて購入。途中「ふふっ」と2か所ほど笑ってしまった、期待通りのほんわかコメディと感じました。捻り無し王道かなと思うので萌にしましたが、表紙に惹かれている方でしたらおススメです!その印象通り、可愛いお話です!雑誌掲載分140Pほど+その続き140P弱+あとがき。

大手デベロッパーで、土地を見つけてきてはマンション建築を企画するというお仕事をしている榎津(えのきづ)。めっちゃ優秀で社内コンペでは連戦連勝。ある日、要望していたアシスタントが配属されたのですが、高校生のような風貌で、ややのんびりおっとりした様子。ちょっと物足りなさを感じていたのですが・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
お稲荷様(こわーい)、原田(攻めのライバル)、飯田(チャラ男、後半ご活躍)、横田(♀、大地主)ぐらいかな。お稲荷様こわいこわい(笑)。

**以下内容に触れる感想

攻めさんの語りによるお話という構成になっていて、しかもその語り口が尊大!なので、電子なんかの試し読みなどで一度ご確認いただいた方がよいかもしれません。火崎先生の文体がこんな感じだったような気もします。ちょっと特徴あると思うんですよね・・・

お話は、傲岸不遜なエリートリーマンが、神の怒りも恐れず「お稲荷さんを壊すかも」なんて言うもんですから、お子様にされちゃうというもの。そのお子様になってからの記載が楽しい。スタイリッシュなマンションに住んでるんですが、玄関ドアが重くて開けられないだの、キッチンカウンターに背が届かなくて何にもできないだの、ソファに座ろうとしても登れないだの、あー子供ってそうよね!とめちゃ楽しいです。(攻めにとっては災難なのですが)

なんとかお稲荷様と話をつけて大人に戻り、面倒みてくれていた受けさんをばっちり口説き落としたものの、後半では、ある事情により受けさんがお子様になっちゃうというもので、思わず「えええ!」でした。その受けさんのお子様絵も超絶キュート。そう、金先生の手になるお子様絵がめっちゃ良いんです!風呂上りで、受けさんにタオルでゴシゴシされている攻めさん子供絵も良かったし、カラー口絵のお子様絵もめっちゃ可愛い。試しに見ても損はしないと思います。

イタイところやキツイところはなく、お仕事話はそこそこありますが、基本ほんわり優しいテイストで、安心して読めるお話でした!

2

身体は子供でも中身は大人←うん、確かに他所でも頻繁に聞く台詞だね

2020年刊。
火崎さんの小説を読むのは久々になるなと感じて購入。
一冊内に主人公・榎津が突然子供の姿にされた表題作と、その後彼の下に就いている新人社員・福永と恋人同士になった?後日談が収録されている。
どちらも榎津視点で書かれていてテンポ良く読める。
設定では榎津は30歳のやり手管理職なのだが、見た目(金さんの挿絵)の印象からしてアラフォーでも良かった気がする。

マンション建設予定地の下見の際に残っていた鳥居と社を発見した二人。
心の中で信仰をバカにした榎津は、お稲さまの怒りを買った仕返しに子供の姿にされてしまう。
その場に居合わせた福永に庇ってもらい、数週間の休職と不自由になった生活の面倒を見てもらう中で、榎津は彼本来の人柄に気付いていくのだった。

実は福永は父親を交通事故で亡くし、身体を壊した母親とまだ幼い弟妹の為に仕送りする傍らで、突然社会に出て不馴れな仕事を懸命に覚えようと努力している。
こうして黙って頑張る福永の健気さに絆された榎津だが、どうやって元の大人の姿に戻れたかは実際に読んでもらうのがいいね。

『身体は子供でも中身は大人』って他所で頻繁に聞くキャッチフレーズが浮かぶが、それは榎津も同じだった。
身の回りに戸惑いを感じ、福永の協力に感謝しつつも元の性格は心折れるどころかオレ様のままで、こうなった原因のお稲荷さまにも喰ってかかる勢いがあるので、心配は無用だ。
出番は少ないがお稲荷さまも"売られたケンカは買ってやるぜ!!"的ないい性格している(笑)

榎津の見た目が子供になっても大人に戻っても、職場の上司としての面倒見のよさがあるのには感心した。
後半から登場する飯田も好青年で、脇役としてのキャラが立っているのでお仕事BLとしても安心して読める。

色っぽさは物足りないが、ほっこり観のほうは申し分ない。
榎津と福永も、今後公私共に付き合っていくうえでの絆について考えていて堅実な内容だった。

1

「甘やかしたい」vs「役に立ちたい」


神さまのいたずら?が何とも不可思議な話でした。


比較的珍しい攻め視点の話。
表題作と「エリート上司の部下もお子さま」の2編になります。

<あらすじ>
大手デベロッパーで企画開発課課長を勤める榎津(攻め)はアシスタントになった福永(受け)を伴って次のプレゼンで提案する開発予定地の下見に来た際、小さなお稲荷さんがあることに気が付きます。
お稲荷さんに敬意を示す福永に対して、榎津は取り壊したり移転させたりするのは面倒だと思ってつい悪態をついてしまいます。
すると、不思議な声が頭に響いて・・
苦しいと思った直後、榎津の身体は子供に戻っていたのでした。
この姿では仕事に行くこともできず、一人で生活もできず、仕方なく全面的に福永の世話になることになるのです。


表題作は榎津が子供に戻ってしまってから、大人に返り咲き、二人が恋人になるまで。
後半は二人が恋人になり、仕事面でお互いの想いがすれ違う話。


榎津はアシスタントとして付けられた福永があまり使えないのにがっかりしています。
子供になって初めて、福永の生い立ちを知り、何故いつもぼんやりしているのか、全く経験がないにもかかわらず自分のもとに配属されたのか、福永の素の姿を知り、知らないうちに惹かれていくのです。
挫折もなく明るい道を歩いてきた榎津は終始上から目線でちょっと偉そうなのですが、良く思っていない時でも福永の良いところを見つけたり仕事の仕方を教えたりと人としては悪くない人だと思いました。
福永に世話してもらわなければ生活できなくなっても、偉そうな態度は変わらないのがちょっと面白いです。
そして、その態度がお稲荷さんに対しても変わらないのも面白いです。
自分を大人に戻すのにも、自分のためじゃなく福永のためにと交渉するのも、約束を守ったことに対してきちんと礼を忘れないのも、それでも偉そうな態度が標準装備されているのがお稲荷さんもなんだかんだで気に入ったんじゃないかしら。

福永の生い立ちは気の毒でした。
父親は自損事故で亡くなり大学は中退しなければならなくなるし、母親は病気で入院、幼い兄弟が二人もいて、家の面倒をみてくれている祖母も福永頼りだし、甘える場所がないのです。
榎津と恋人になっても素直に甘えることができず、甘えさせたい榎津が突っ走った結果、お稲荷さんの介入(今度は福永が子供に!)で不信感に拍車がかかり、あわや破局寸前!?
お互いが思っていることを恥ずかしがらずに話していればよかっただけなのですが、それがなかなかできないのもわかるので、お稲荷さんには感謝・・なのかな。

お稲荷さんの斜め上な行動に振り回された感もありますが、二人がお互いのことをよく知ることができ、ちゃんと話し合わないといけないというのがわかり、終わり良ければ総て良しという感じでした。
これからも、榎津には福永を存分に甘やかしてほしいものです。

1

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