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――Jを食うのは僕だけだ。
「カニバリズム」という読み手を選ぶであろう斬新な設定の『MADK』で鮮烈なデビューを飾った硯さん。今作品はその『MADK』の続編です。1巻の表紙はどこまでも美しかったですが、2巻の表紙はやや怖め。「悪魔」が主人公、というバックボーンを見事に描き切ったホラー感満載な表紙です。
続編ということで前作未読だと理解できません。未読の方は1巻から読まれることをお勧めします。
特殊な性癖を持つマコトは家族からも拒絶されて生きてきた。
一度でいい。
「人間」を食べてみたい。
「殺し」てみたい。
その願いが叶うなら、死んでもいい。
そんな思いを胸に抱き、悪魔召喚の儀式を行ったマコト。
そして、その儀式は見事に成功し、マコトは悪魔の「J」を呼び出す。
人体を食べ、身体を引き裂き、そしてセックスする。
望みをかなえたマコトは死を覚悟するが、Jはマコトを魔界へと連れていき、悪魔にすることにするが―。
というのが1巻のお話。
マコトはJの指示で娼館で働いている。
というところから2巻はスタートします。
何を考えているのかわからないJですが、マコトへの執着心は透けて見えている。
そして一方のマコトも。
マコトが願うのはただ一つ。
Jの破滅。
Jを慕っているように見えるマコトが、なぜJの破滅を願うのか。
序盤分かりづらいのですが、少しずつ彼の想いが見えてくる。
Jを破滅させるためにマコトがまずしなくてはならないことは、Jのすべてを知ること。
Jの秘密。
Jの本名。
Jが大切にしている「何か」。
マコトの想いは、Jにはすべてお見通しなのかな。
Jを出し抜こうとするマコトと、そんなマコトの思考を読み取り先回りしようとするJとの攻防が、2巻で描かれています。
2巻では重要な人物が一人登場します。
それはJの兄、K。
Kもまた、Jを憎んでいる。
ゆえにマコトとタッグを組み、Jの秘密を二人で追うけれど。
KがJを憎んでいる、というその想いの裏にあるものは、何をしても勝つことのできなかったJという弟に対する羨望の思い。
そしてそこから、マコトのJに対する複雑な想いもまた、透けて見えてくるわけです。
可愛さ余って憎さ100倍。
ということなのだろうか。
マコトのJに向ける愛情は、愛と憎悪が表裏一体なんですね。
甘くて、優しくて、ほのぼのしたストーリーを好む方には全然お勧めできない作品です。
で。
2巻ではマコトがさらにバージョンアップしています。
1巻の序盤にマコトの未来を彷彿とさせる文句が書かれていましたが、マコトという青年はまさしく「悪魔」です。
彼が意図しているのか否かわかりませんが、飴と鞭の使い分けが非常にお上手。
悪魔の社会は契約社会ですが、相手を意のままに動かすためにマコトは時に自分をエサにし、甘い言葉を駆使し、自分に有利になるように事を運んでいく。
そのさまが非常に冷徹です。
Kが心の奥底で望んでいた言葉をさらりと言ってのけ、それによってKを味方に引き入れる。
おそらく無意識のうちにやってのけるところが彼の怖いところなんですが。
Kは、最後満足したのでしょうが、とにかく気の毒でした。
Kとのやり取りで圧倒されたのが、彼とのセックスシーン。
マコトがKにかける言葉はもちろんなのですが、裂けた首に射精してほしいとせがむシーンがあります。マコトにとって、首の傷はJと直結するモノだと思うんですよね。
誰に抱かれていてもJを想ってる。
そんなマコトの愛情の表現なのかなー、と少し思ったりしました。
そしてもう一人気の毒だったのが、マコトが働いていた娼館の堕天娼。
「愛」を知った悪魔の行く末と、Jを破滅させる方法を、彼の姿を通して読者に読ませる手法があっぱれでした。
序盤、娼館で働くマコトをJが呼び戻し、新たにさせる仕事があります。
人間と契約し、その人間の魂を回収してくること。
マコトがその仕事をはじめ、一番に出会った人間。
それはマコトの父親でした。
なんとも救いのない仕事で、序盤から最後まで、ずっとこの雰囲気でストーリは進みます。
設定。
キャラ。
ストーリー。
どれをとっても素晴らしく面白いのですが、いかんせんこの作品がBLかと問われたらあまりにラブが足りない。この作品の描く「愛」は、万人受けしないだろうな…、と思うのです。
2巻もグロ表記はそれなりにあります。
読み手を選びます。
心して、読んでください。
私の嗜好にはがっつり嵌まっていたものの、かなりハードルは高い作品だったので、なかなか2巻には手が出なくてためらってしまいましたが、読んでみると思っていたより衝撃は少なくすみました。
ですがそれは、絵面にグロさや想像してうっ…とくる場面が少なかったというだけで、言葉を最大限に活かし、相手を追いつめていく2巻の方がむしろ薄ら寒くて、悪魔が本来の悪魔らしさを発揮してきた感がありゾワゾワさせられました。
1巻では大物の片鱗は見せていたものの、まだ子どもっぽいところを残していたマコトですが、3年後から始まる2巻では、あまりにも悪魔らしく成長した彼の言動に、この描かれていなかった期間に娼館で何があったのかゾクゾクしながら読み始めました。ですが、今までは愛情さえも感じていたJをひどく憎むマコトの原動力がピンとこなくて…う~ん、悪魔の考えることは本心なのか陽動なのかわからない。
娼館からJに呼び戻され、やっとスタートラインに立ったと考えていたマコトにさらに揺さぶりをかけるJ。悪魔と契約した魂を回収するという仕事を任せるのですが、初の対象者がマコトの父親。
1巻で、自分の普通ではない性癖に、誰にも迷惑をかけたくない、罪を犯しそうな自分を終わりにしたいと願い、悪魔との契約に満足し、死を受け入れたマコト。死んだ後のことは、人間たちの仕事だというJの言葉に、マコト自身はすでに現世での自分は完結し、とりあえず自分は罪を犯さずに済んだと考えていたんではないかと思います。
にもかかわらず2巻では、自分が猟奇的な死に方をしたことで、30年もの長い間、父親が苦しみ、恨み、息子を殺したいとまで追い詰められていた事実に今さらながら直面させられ、憎い息子を刺し殺すことで満たされていく父親を目の当たりにすることに。
そんな父親に対面し、刺されながらマコトが涙を流した理由は、自分が死を選んだのはなんだったんだろうって虚しさや、悪魔の甘言を鵜呑みにしていた自分の甘さや、周到に準備されたJの仕打ちを身に染みて感じたゆえで、父親に刺されたという理由も多少はあったにしても、大きな要因ではなかったんじゃないかと思う。なので業火に焼き尽くされ、金に変わった父親の魂の回収をさせられたという事柄だけが、Jへの激しい怒りの源ではないように感じました。
そう考えていくと、期待や、安堵や、ときにやすらぎさえもを感じさせておいて、実は手痛く返ってくるというのがJの手法のようなので、その度ごとにマコトは裏切られ、不信感を募らせ、苦しむ一方で、ときに見せる優しさや見守られている愛情には心揺さぶられてしまう。
愛情が過ぎると憎しみに変わるパターンなのか、そんな風に自分を翻弄しているJを自分が乱したい、自分だけの悪魔にしたい=自分が破滅させたいと強く願うことが、J以外のものには心を波立たせることなく、冷静に物事を判断し、ときに手段も選ばず、情さえもただの道具にすぎず、冷酷とも思える仕打ちにも戸惑いもみせない、言葉を巧みに操るさらに強い悪魔として成長させているように見えました。
これこそがJの望む進化していく姿なんだと思いますが、根底にあるもの、最終形が何なのか…。何人も失敗してもなお育てたいとJが心から求めているもの。
ただ自分の名を呼ばせられる程の強い悪魔ということではないとは思うけれど、できうれば自らも相手をも身を焦がし尽くすほどの激しい愛情で絡め尽くされて、名を呼びあって満たされ消滅したいとか、意外にも純粋な愛情を軸にしたところに着地点があったらいいなぁ。でも悪魔の考えることなので、最後まで裏切られ続けるんだろうなぁ。3巻でどう決着をつけるのかすごい楽しみです!
悪魔になれば人間的な悩みなんてないのかと思ったら、むしろより複雑な悩みが生じる世界観。面白いです。
人気シリーズだと思ってましたが、割にちるちるでは点数伸びてないんですね。特殊な層向けで、BL好きと完全に重なる訳ではないからか。特に先生のXは英語圏の方に人気があるのかな?とファンアートなどみて思ってました。いま先生のアカウント無くなっちゃったの…?セルフパロがあったと記憶してて見返したかったんだけど…
追記:MADK学園はpixivから見られました。個人サイトもあります。
キーランが可愛い。コロッとキーランに絆されちゃったので、こりゃ自分は悪魔の世界で生きていけないなと思いました。情で動けちゃう、まさにキーランみたいなタイプは成り上がれないよなぁ。成り上がらなくても別にそこそこで生きていければ…このそこそことか言ってるのがまたこの世界に不向き笑
続巻です。
前巻で悪魔となった主人公が、どのうように成長していき、悪魔Jとの関係がどのように変化していくのかのお話なんですが、結構、前のお話を忘れてて、っていうか、なんか、マコト君って、随分いい性格に成長したというか、なんというか、お話がどんどん壮大な方向へ展開していって、ついて行くのにかなり戸惑ったんですけど、、、。
前巻探し出してきて、通して再読すればもっと理解が深まると思うので、とりあえず暫定評価です。
絵はやっぱりすごくきれいだし、お上手なんですが、何が起こっているのかが時々わからない。
いや、私自身が、自分で、グロいのをわかりたくないフィルターをかけちゃっているのかな?
どっちだろう?
せめて、堕天娼さんがどうなっているのか、もうちょっとわかりたい。