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表題作記憶の怪物 (2)

(仮)千晴/RE614
(仮)千澄

あらすじ

「俺のせいで兄さんが死んでしまった」と
兄・千晴に対する自責の念に苛まれている千澄。
RE614に向かって心に封じていた想いを吐き出し、
目の前にいるのは兄ではないと理解しつつも
自分を受け止めてくれる存在に救いを感じていた。

RE614への想いが少しずつ変化しはじめるも、
彼に与える「記憶を有するもの」をどんどん消費していき、
そして母のRE614への様子はおかしなものになっていく。

そんな中、兄の記憶を持つ者の体液を与えれば…と聞いた千澄は
戸惑いながらも自らの体液を差し出すことを決意しーー?


この関係に「いつまでも」は望めない
たとえ偽物でも、そばにいてくれるならーー
台湾で話題沸騰
究極の兄弟愛を描いた作品が1、2巻同時発売!!

作品情報

作品名
記憶の怪物 (2)
著者
MAE 
媒体
漫画(コミック)
出版社
竹書房
レーベル
バンブーコミックス Qpaコレクション
発売日
ISBN
9784801969599
3.7

(12)

(4)

萌々

(3)

(3)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
4
得点
43
評価数
12
平均
3.7 / 5
神率
33.3%

レビュー投稿数4

終わってません

一巻ではBL要素は皆無だったので、二巻も心配していました。でもぐっと面白くなっていました。

千晴の進路希望調査を見てしまった千澄は、サッカー関係でない事に気付いて千晴を責めてしまいます。
千晴は他にやりたい事が出来たからだと説明しますが、千澄は納得しません。

千澄は兄がいなければ意味はないから自分もサッカーを辞めると言い出すと「これ以上俺のために選択を間違えるな」と千晴は叱り、2人は喧嘩してしまうのです。

帰宅途中の駅のホームで千澄は千晴に話があると言われます。無視して逃げ出した千澄に人がぶつかって線路に落ちかけたところを、助けた千晴がホームから落ちて電車に轢かれて亡くなってしまったのです。
千澄がRE614にすべてを話して「ごめんなさい兄さん」と謝ると「謝るべきなのは自分のほうだ」と、兄の千晴にしか分からないような事を言います。
そしてRE614はずっと一緒にいるのが望みだと千澄に告げるのです。

この実験が1年限りなので、とても切ない展開になって来ました。

街中でRE614と一緒にいるところを見た千澄の友達が、ハピネスの第1期の実験に参加した話をしてくれました。友達は亡くなった父親のハピネスは食べる「記憶」が無くなって、一月も持たなかったと教えてくれました。

RE614は夢を見ると言い、母親はRE614を帰って来たと言い出して、千澄は違和感を感じ初めます。母親がRE614に「母さん」と呼ばせる理由には狂気を感じてしまいました。
そしてRE614は直ぐに空腹感を訴えるようになるのです。

千澄はRE614に食べさせる「記憶」が枯渇しないように、コピーした記憶媒体を食べさせますが効果はありません。焦った千澄は唾液を舐めさせ、そして自分の血液を飲ませました。RE614は血液を嘔吐した後に暴走してしまいます。千澄の服を食べて肌を吸い、しまいには噛んで来ました。でも報告すれば研究機関にRE614を処分されてしまうので、千澄は誰にも言えないのです。

本来なら千澄から渡した物しか食べないはずなのに、自ら千澄の服を食べたRE614に激しい違和感を感じて家に帰ります。
するとそこに血を流して倒れた母親と口に血を付けたRE614を見つけるのです。

BL要素は無いですが、RE614の夢がほんのりそれらしいです。
弟の千澄よりは兄の千晴にとって弟は特別だったように思います。
働いている母親に代わって弟に可愛いお弁当を作ったり、サッカーの試合を観に来た弟の姿を熱心に見つめていたりしています。

RE614の言動や仕草にもそれらしいものがあり、兄が弟を好きだったのではないかと思いました。

1年が期限の実験が終了したらRE614はどうなってしまうのか?ずっと一緒居たいと言う願いは叶うのかとても気になります。



2

結末が怖い…でも、見届けたい

Twitterでこの作品を知り、イラストがすごく好きだったので電子書籍で購入。1・2巻とあっという間に読んでしまいました!

少しだけ作品の導入部分にも触れて感想書きます。

主人公は中学生の千澄くん。千澄くんにはお兄さんがいて、高校生の千晴さん。千晴さんは事故で亡くなっています。お兄さんの死という現実があまりにも厳しく、受け入れられない千澄くん。後述しますが、千晴さんは千澄くんを庇って亡くなってるんですよね。不慮の事故だけど…。

もう一度お兄さんに会いたい。そんな千澄くんが申し込んだのがAIによる擬態生物『ハピネス』。これを使って亡き兄の千晴さんの擬態を作るところから始まります。そして、ハピネスが有効なのは1年限定なんです。

ここ、どんな感じなのかな?どうやって千晴さん出てくるのかな?Androidみたいなのかな?って思ったら、DNAのスライドみたいのを差し込むと、小さな箱くらいのAIからしゅるしゅるしゅる~って人の形が飛び出して裸の千晴さんが出てくるんです!ファンタジー!

私はあまり設定とかは気にならないタイプで、あ、そゆことなのね、みたいな感じだったのですが、ほんとにこんなことあったらすごいなーって思いました(笑)

ハピネス申請者である千澄が、千晴が使ったものや千晴の記憶にあるだろうモノを食べさせて、ハピネスに記憶をインプットさせ、だんだんと元の千晴に近づけていく、という感じ。

最初、どうやって食べさせるのかな?って思ってたら、携帯や家具や本なんかを、バリバリ口から食べさせるんです!斬新!

人間の食事も『食べているふりだけ』という形ではありますが、一応、食事ができるんです。食べたものはいずこへ…?とも思いますが(笑)そういうことは考えてはいけないですよね(笑)

目の前に大好きな兄、千晴がいる。でもそれは千晴じゃなくて、ハピネスの登録番号RE614でしかない。名前もRE614と呼ばなければ反応しない。千澄はハピネスを申請したことが本当に正しかったのか、苦悩し、苛まれていきます。

1巻と2巻の途中くらいまでは、千澄が千晴≠RE614であることに苦悩しながらも、どれだけ兄の千晴が千澄にとって憧れの存在であったのか、また、サッカーをめぐる千晴の秘めたる行動や、千澄や千晴の生い立ちなどの話がメインで、よく言えば丁寧だけど、少し展開が遅いかな?とも思いました。

千澄の友達なんかも出てきて、丁寧にストーリーを組み立てているんだけど、サッカーの話がめちゃくちゃ多くて、途中で、これ、サッカー少年の悲劇のヒーローマンガか何かかい?と思うほど。
千晴がサッカーできなくなったとか、千澄が兄に憧れてサッカーやりはじめたとか、とにかくサッカーに関する諸々のくだりが、(ストーリーの中では重要なのかもしれないけど)そこまでいるかい?ってくらいの延々感でした。

そんなこんで2巻を費やして、千晴→千澄への想い?がようやく、なんとなーーく出てきたけど、正直、ながーーー!!と思いました(笑)

物語の中で、なるほどなーと思ったのは、友人、直のお父さんのハピネスの話。
ハピネスには亡き人の記憶にあるだろうモノを食べさせるから、いずれは遺品がなくなる。食べさせるものがなくなるからハピネスは動かなくなる(消えるのかな?)
やっぱり、擬態生物でしかないことを再認識させられ、亡くなった人を甦らすことの虚しさを語る直の言葉にはものすごく納得しました。

ここの視点は鋭く現実的で、確かにな…とハッとさせられました。作者様すごい!!

そこからさらに、すごい!と思ったのは、(千晴にとって)1番の記憶にあるものは、弟の自分(千澄)だ→だから自分の体液を食べさせればいいのでは?の展開。ここはなるほどーーーっと大いに唸りました。すごい。

そこから千澄が自分の血液を飲ませてからRE614の様子がおかしくなり、2巻の最後では、母親が頭から血を流して倒れているところに黙って佇むRE614を見つける千澄…というところで続きます。気になるなー、次の展開!

不慮の事故とは言え、自分の大好きな人が、自分を庇うために自分の目の前であっという間に亡くなってしまうなんて、想像すらできないし、もしそんなことが現実にあったら、一生立ち直れないかもしれないと思います。

そういう意味では、千澄の苦悩はほんとによくわかるし、苦しんでいるのもわかる。ハピネスがあったら、もう一度会いたいって、私だってきっとそう思う。

でも、やっぱり、亡くなった人を甦らすことなんてできないってことを頭のなかで理解し、その突きつけられる現実に、耐えられなくなるんだろうなぁとも思います。考えただけで、苦しいです。そういう意味では考えさせられる作品だなーと思います。亡くなった大切な人ともう一度会いたい。誰しもが叶えたいと思う、普遍的な叶わぬ願いですからね…。

話の展開としては、ようやく、ようやく、BLらしい展開も見えてきて、兄弟BLとか大好物の私なのに、このあとの展開が怖いです。

RE614はいずれいなくなる…。RE614は千晴じゃない…。これ、最初からわかっているだけに、なんかバッドエンドを予感させて、なんだかもうすでに泣きそうです…。でも、最後まで見届けたいです。

2

羨望…?

千晴が事故にあった理由が判明した2巻でした。
千晴と千澄の関係もやっぱり、普通の兄弟よりはお互いの依存度が高かったのかな?と感じました。
でもそこに恋心のようなものはあったのかはまだわかりませんでした。
千澄がRE614を兄の代わりだとは思いたくないという気持ちと同じくらいに、兄とよく似たソレを独り占めすることで心は満たされていくんですよね…
なんとも言えない不思議な関係なので、結末が読めなくて面白いです。
RE614がこれから感情を持つのか?母親はどうなるのか?
気になるところがまだまだあるので、どんな着地の仕方をするのか楽しみです。

0

サイエンス・フィクションととるか ヒューマンドラマととるか

いくら弟を慰めるつもりでも ガムで遊んだアレはダメだったな…
と 1巻のダメポイントがソレくらいしか見当たらないくらい 話にのめり込んだ続き


兄とはまるで違う生き物に兄を重ね 兄が抱えていた苦しみがわかり始める

幾度となく夢に見るあの日の光景 自分の記憶の中の兄の思い


兄弟喧嘩したままで二度と会えなくなれば 引きずる未練は誰よりも大きいし
兄弟としての独占欲とは違うものが自分にはあったのかも?って思い始めるんですよ 兄を模した擬態を前に

自分のせいじゃないと言い聞かせることも 自分を許すことも 殺すこともできず
八方塞がりな感情で自分を追い詰めることしかできない苛立ち

兄の記憶を喰らいながら存在する 兄の擬態がそれを受け止める

『限られた期限』の中で



記憶を喰らう人工知能だから 記憶がなくなったらどうなるのか?
が 気になるところだったんだけど 友人からその事実を聞かされる形で知ることになろうとは……

ただ『無』になる瞬間に何を思うか が更なる苦しみに繋がる

二人と1体 誰が何に固執し 執着しているのか?


兄の記憶をたどる擬態が 設定のキャパをかなり越えてきてるように見えるけど うまく回収できるのか?と 心配するこっちをよそに サラッと投入されるBL方面への誘発因子と兄弟愛やブラコンを越えた情

あぁ なるほどね 上手いこと出してきたな…… ←変に感心



まだまだ サイエンス・フィクション感強めだけど 兄の記憶を持つモノに願ったその先
記憶を辿れるものはすべて試す哀れさと 禁止事項にちかい行為への後悔


[人でもなく 死者の再生でもない]
そこを意識できなくなった彼らの 思いの先の手にする未来

いい具合に熟してきたわ

1

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