旅の道づれは名もなき竜

tabi no michizure wa namonaki ryu

旅の道づれは名もなき竜
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神24
  • 萌×213
  • 萌2
  • 中立1
  • しゅみじゃない5

36

レビュー数
9
得点
179
評価数
45
平均
4.1 / 5
神率
53.3%
著者
月東湊 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
テクノサマタ 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
価格
¥650(税抜)  
ISBN
9784199009938

あらすじ

あいつに復讐ができるなら、たとえ死んでもかまわない。復讐だけが生きる理由だった青年が、竜との旅で見つけた大切なもの――

竜を捕らえ串刺しにしていた伝説の剣が、
500年ぶりに引き抜かれた!! 抜いたのは、
力自慢とは程遠い華奢な美青年・シルヴィエル。
「祖国を滅ぼした敵に、この剣で復讐するんだ」
決意と覚悟を胸に旅するシルヴィエルを、
剣から解放された竜が追いかけてきた!?
「俺はお前に興味がある。
暇潰しに復讐を手伝ってやる」
凶暴で人間を餌としか思っていないはずの竜が、
旅に同行すると言い出して…!?

表題作旅の道づれは名もなき竜

竜,伝説の剣に串刺しにされていたドラゴン
シルヴィエル=フロイエ,19歳,祖国を滅ぼされた青年

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数9

心に沁みる、感動のファンタジー

祖国を滅ぼされて復讐を誓う青年と、500年もの間、生き捕らえとなっていた竜。
二人が旅をする中で、大切なものを得て行くと言う、とても感動的で心に沁みる壮大なファンタジーでした。

もうこれ、ストーリーといいキャラといい、エピソードの数々といい、とにかくめっちゃいい話!
感動でボロボロ泣きましたよ~。
いや、単純に、復讐を果たして祖国を救ってってだけじゃなく、その裏に様々なドラマがあるのがいい。
孤独な魂が、救われるのがいい。
互いの存在で。

ちなみに、やれやれと油断した所でグッサリとやられる(かもしれない)ので、気を抜かれないよう、ご注意下さい。
嘘でしょーーー!しか出てこなかったですよ。
展開にも、攻めの真実にも。
いや、ストーリーとしては文句無しに面白いんですけど、ここでその隠し玉は勘弁してよってな感じで。
もうこの時点で二人に感情移入しまくりだから、早く幸せにしてやってよしか出てこないんですよね。
ストーリーとしての面白さそっちのけで。
ダメな読者だ。


内容です。
祖国を謎の黒い霧「黒影」に滅ぼされ、復讐を誓うシルヴィエル。
500年もの間、最後の一匹と言われる竜を串刺しにしていた伝説の剣を引き抜き、復讐の旅に出るんですね。
しかし、剣から解放された竜が、何故か追いかけて来てー・・・と言うものです。

まずこちら、序盤ですが、頑なに復讐を誓うシルヴィエルと、そんな彼を「暇だから」と追いかけて来た竜が、共に旅を始めると言うほのぼのな展開。

えーと、シルヴィエルですが、元々精霊が見え、国の救い子と可愛がられた人物なんですよ。
それが国を黒影に襲われ、自分一人だけ生き残ってしまった・・・。
その事で強い罪悪感を抱えて、復讐する事のみを目標に生きてきたと言いますか。
真面目で不器用で、痛々しい受けなのです。

で、そんな彼に「暇だから」と調子良く付きまとい、飄々としているのに頼り甲斐のある竜。

これ、二人の関係性の変化と言うのが萌えるのです。
最初の軽い調子から、少しずつ少しずつ思いやり深い本心を晒して行く竜。
この旅のパートで、二人が徐々に徐々に心を通わせてゆく様が丁寧に綴られるんですね。
や、竜がシルヴィエルの復讐を手伝う理由に、シルヴィエルの心に隠した深い傷。
二人のバックボーンがしっかり語られる事によって、ストーリーに深みが出ると言いますか。
そうじゃなくとも、少しずつ育って行く淡い恋心に、萌えて萌えて仕方ないじゃないかよ!と。

と、二人は旅をする事で、大事なものを得て行くと言う心に沁みる展開の後、黒影との直接対決と怒涛の展開が訪れます。

これね、ハラハラドキドキと手に汗握らせてくれるんですよ。
互いに協力しあい、知恵と勇気で勝利を得ると言う、ファンタジー好きには堪らない展開。
めちゃくちゃ面白い。
とにかく面白い。

が、この作品の凄い所は、ここから隠し玉が出てくる所。
こちら、350P超えと大ボリュームなのです。
ここまで読んできて、やっと二人は幸せに!と、読者はすっかり油断すると思うのですよ。
それが、嘘でしょ!?しか出てこない、衝撃の展開。

これ、攻めの真実が分かった時に、とにかく悲しくて悲しくて仕方なかったんですよね。
彼は前向きに生きていける強いキャラだと思っていたけど、そんなワケないよなぁと。
竜だろうと人間だろうと、心に傷を負うし孤独を感じるよねと。

だからこそ、孤独を癒しあえて、互いの存在で幸せに出来る二人が出会えた事に、すごく感動しちゃうんですよ。
なんかもう、後半からはしょっちゅう涙腺に来ちゃう作品でして。

切なくて泣き、悲しくて泣き、感動して泣きてな具合で。

また、とても優しさが沁みる作品でもあるんですよね。
竜を育てた村人しかり、シルヴィエルを慈しんだ王族しかり。
えーと、語彙力が無いので、なんていい話だ~!しか出てこないんですけど。

まぁそんなワケで、とにかく素晴らしい作品だと思います。
二人が抱き締めあって笑顔を見せると言うラストにも、やたらジーンときちゃいましたよ

10

攻めがとても可愛い!

序盤のからっとした明るい雰囲気と、終盤のハラハラする重たい決意が対照的でした。
受けのエルが最初はツンツンなのに、次第にデレが加わってきたかと思うと最後はツンはなりを潜めて可愛いったらないです。
月東先生もあとがきでおっしゃってましたが、テクノサマタ先生のイラストでも心を開いていくと表情がどんどん柔らかくなりほっこりしました。
しっかりとした長さがあるので、二人の気持ちが寄り添っていくことや、心を閉ざしていたエルが、徐々に竜を信じて柔らかくなっていくことが丁寧に描かれているので唐突に置いていかれることもなかったです。

そしてなんと言っても格好いい攻めの竜までもがめちゃくちゃ可愛い!
意地悪したり怖かったりしないで常に飄々と優しいんですが、竜になったときの食事というかお花パクーっが可愛くて、更に終盤全てを晒してエルと向き合ってからの竜の甘えたりがすごく良かったです。

6

全部好き

全部好きだったので神にしました。ちょっと長かったけど、お話もキャラも好きじゃない所が無く、読後感も良くて、とても嬉しかったです。色っぽいシーンは少な目ですが竜や精霊等の出てくるファンタジーが大丈夫な方でしたら是非。本編350Pほど+あとがき。

広場の真ん中で背中を剣に刺されて「暇だ・・」とぼやく竜。578年もの間、そうやって、誰かが剣を抜いてくれるのではと待っています。ある日、強い意志を秘めた瞳を持つ、細っこい金髪の少年が、誰も抜けなかった剣を抜いて「この剣はもらっていく」と言い・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
ガブリン(竜のいる広場を掃除し竜の話相手も務めていた爺さん)、王子様、国王(フロイエ国王族)、ガラダ族の方々。でもほとんど二人だけで進むお話です。

++ 好きだったところ

攻めの竜。可愛い。とにかく可愛い。野に咲く花の群生を見つけたら「食べたい!」って駄々をこね始め、食べている間は超ご機嫌!最初シルヴィエルに「ついてくるな」と言われたら「えー」なんて言うちょっと軽めな、陽気な様子!可愛いなあと思っていたのですが、竜の最後の生き残りだし、かばってもらった村の人には迷惑かけたしと、辛い過去もあって長い間孤独を感じていたのだと思います。ふとしたことで泣いちゃって、あーっもう母性本能くすぐられまくり。

受けさんは受けさんで、とんでもなくツライ過去を持っていて、よくここまで耐え忍んで頑張ったよなあああ・・・と驚くメンタルの強さ。強いんです。守られるタイプというよりかは自ら前に出て闘う印象。(実際剣で切り刻んでいる)一人っきりでずっと頑張ってきたのを、竜と一緒に旅するうちに少しずつ竜に助けられて信頼していくようになって、竜の陽気さもあってか、表情をとりもどし・・・と嬉しい次第。

どうなる?というタイプのお話なので、ラブラブ度満点な甘い甘いお話というものではありませんが、ガブリン爺さんも国王、王妃夫妻も、王子様も本当に良い方々で涙しかありませんでした。最後は「本当に良かった・・」という思いでいっぱいです。

敵役として出てくるものについての謎解きという点は少し?でしたが、無器用っぽい二人の幸せそうな様子が読めて本当に嬉しかったです。ファンタジーが大丈夫な方でしたら、本当に是非是非是非!!!!テクノサマタ先生の手になるカラー口絵の竜だけでも確認してください。本当に可愛いんです・・・

6

いつか名前を呼びたい竜と一緒に旅を。

とってもハラハラドキドキの冒険ファンタジーでした。

 攻め様は578年間「英雄の剣」によって串刺しにされていた竜。
この最後の竜を封じた事で勇者は神となったそうなんだけど、どこに目をつけてたんだっ勇者を神にしたもっと上の神様Σ( ̄皿 ̄;;
と訴えたくなりました。

 受け様は、「英雄の剣」を抜いたシルヴィエル。
故郷フロイア国を滅ぼした「黒影」への敵討ちの為、英雄の剣を携えてフロイアへ向かう。

 自由になった竜は、シルヴィエルについてきて、一緒に旅をすることに。
不信感満載のシルヴィエルに対しても気にする事なく、竜は道中いつだって上機嫌。
竜だけど花喰いの竜なので、花には目がなくて、花を見つけたら「食べたい、食べたい」とちゃんと許可を取って嬉々として花を食べる竜はめっちゃかわいい。

 初めは頑なだったシルヴィエルだけど、旅をする中で、竜の気遣いや優しさ誠実さにふれて、少しずつ気持ちを許していく。

 2人は自分の昔話をするのだけど、どちらも自分の大事な人や仲間を理不尽に奪われていて。

 それでも、自分は花喰いの竜だから、と今目の前にある幸せを大事に生きていく、と穏やかに笑う竜が切なくてぎゅーってしたくなりました。
自分を自由にしてくれたシルヴィエルを助けたい、と励まして力を貸してくれる竜。

 2人で力を合わせて「黒影」を倒して、これでやっと、とホッとしたのもつかの間、驚愕の事態に!Σ(×_×;)!

えーっ乗り越えなきゃいけないこと、まだあったの!?
ハラハラさせられましたが、やっと2人がお互いに、相手に会えたから幸せになれた、と抱きしめあったシーンでは、よかったね〜と心からホッとしました。


 ストーリーとしてはとっても面白かったのですが、ちょっと残念だったのは、2人のえちシーン。
最初は、治療と称して致してたから甘さが足りない。
晴れて相思相愛になっての初めては思い出話だし、宿でのシーンは他の人を気にしながらの遠慮遠慮しいだったし。
竜は甘えたでかわいかったですけどね。

 これから2人、いろんな所へ旅をして、たくさんの幸せを抱えて生きていってね。
いつか竜の名前も呼べるといいね。


 イラストはテクノサマタ先生。
嬉しげに花を食べてる竜の口絵のイラストがとってもかわいくてかわいくて、うわぁって微笑ましくなりました。


3

剣に込めた受様の悲願と自由を得た攻様の秘めた望み

今回は英雄の剣で広場から動けない竜と復讐を誓う青年騎士のお話です。

故国の復讐のために生きる受様が攻様の助力を得て念願を果たすまで

とある大国の山の麓には龍の町と呼ばれる町があります。その町の広場
には、何百年も前に滅びたとされる竜族の最後の1匹が生きたまま捕えら
れているのです。

所かまわず暴れて人や動物達を喰らう恐い怪物である竜は力自慢の人間
達に徐々に倒されていきますが、この広場にいる竜は最後の竜であり、
死闘の末に竜殺しの勇者が使った1本の剣で封じられる事になります。

勇者はその功績で神となり、竜の背中を貫いて地面に縫い留めている彼
の剣は「英雄の剣」と呼ばれるようになります。この剣を抜いて名を上
げようと力自慢の男達が次々に訪れますが、未だに誰にも抜く事ができ
ません。

この世界最後の竜こそが今回の攻様になります♪ 攻様が英雄の剣で大地
に縫い留められてから既に578年が過ぎていました。その間、攻様は
飲まず食わずですが、元々人のように食べ喰いしない攻様は暇を持て余
していたのです。

動く事ができない竜にとってここ最近の楽しみは、竜の周りを掃除し続
ける老人との会話くらいしかありませんでした。そんなある日、町長が
いかにも力自慢という風の赤紙の大男と、細身の繊細そうな金髪の青年
を挑戦者として連れきます。この青年こそが今回の受様になります♪

2人が名乗りをあげ、竜にも「剣が抜けても人々に害をなさない」という
宣誓をさせて挑戦が始まりますが、間見守っていた誰もが剣が抜けると
は思っていませんでした。

ところが受様は静かだった緑の瞳に思いがけないほどの強い意志を籠め
て剣の柄を握り、強い雄たけびと竜の体から剣を引き抜いたのです!!
広場は受様は歓声に包まれ、受様は引き抜いた剣を手にしてその場を去
ろうとしますが、直後に町長は彼に剣を戻すように懇願するのです。

町長が最後の竜は動けないから大人しくしていただけで、抑えが無くな
ったら竜が暴れ出すと思ったのですが、受様は抜いた剣は持ち帰れると
いう約束だから挑んだのであり、町長の嘆願はすげなく断られます。

受様が去った後の広間に残されたのは竜と町長だけでした。町長は慌て
て町と人々の助命を乞いますが、攻様の返答は呆れたような口ぶりの
「そんなことしねえよ」と言うものでした。

攻様は宣誓は守ると言い、いつも話をしていた老人すらも信じてくれな
かったのかと嘆きます。せっかく自由になったのに、誰も旅立ちを見送
ってくれないと言う攻様に町長は花向けの言葉を与え、老人も遅れて駆
けつけて攻様が飛び立つ姿を見送ってくれました。

そんな攻様が目指した先は受様の元でした。受様は大きすぎる英雄の剣
を背負って故郷を目指していました。受様の故郷は原因不明の黒い霧に
よっ年前に一夜にして滅んだフロイア国でした。受様は最後のフロイア
国民だったのです。

受様は国を逃げ出す事しかできなかった12才の時から7年、未だに国を
覆っている正体不明のモノを倒す為、死に物狂いで生き延び、剣の腕を
磨いてきたのです。

攻様はそんな受様を追っていき、受様に問答無用で剣を向けられますが、
全くひるまず受様に同行を申し出るのです。曰く、仲間はおらず、故郷
もない攻様には行くところ無く、受様に興味があるから暇つぶしを兼ね
て受様についていくと言い出すのです!!

果たして受様を追ってきた攻様の真意とは!?
そして剣を得た受様は復讐を果たす事ができるのか!?

魔法こそでてきませんが、竜や妖精や精霊たちが存在する世界を舞台に
故国を滅ぼされた受様が竜である攻様の助力を得て旅の果てに敵を倒す
までのファンタジックで壮大な物語となります♪

月東先生のお話は受様の不憫率がかなり高くて、けっこう痛いシーンが
多いのですが、そんな状況にあっても未来を諦めず、前を向いて立ち上
がっていく受様の強さにいつも胸を熱くさせて頂いています。

今回もどんなお話なのかな♪ と発売をワクワクして待っていたのですが、
期待以上にハラハラさせられ、ワクワクさせられ、沢山泣かされました。
とってもとっても良かったです ๐·°(৹˃ᗝ˂৹)°·๐

攻様は人間よりも強大な力を持つ竜ですが、竜としては小型種で花のみ
を好んで食べる「花喰いの竜」でした。乱暴者で厄介者の代表格のよう
に言われている竜にも色々な竜がいたけれど、人にとっては所詮は竜と
言うだけで同じだったのだったのだと言います。

小さな竜では神となった優者には敵わないし、かつての仲間達は攻様に
復讐しろとは言わないだろうと言うのです。それでも故郷を亡くした
受様の復讐に付き合ってくれようとするのです。

受様は徐々に攻様に心を赦し、彼を信頼していきます。そして旅の果て
に辿り着いて故郷でも攻様の助けを借りて復讐を果たすのですが、こ
こでめでたしめでたしとはならないのですよ♪

ここから先もさらにまた泣かされて、2人がお互いの手を取って幸せな
日々を手に入れるまで、ホントに沢山泣かされました。いつ何時泣かさ
れてもいいようにハンカチかタオル必携です。

テクノサマタ先生のイラストも物語世界のイメージぴったりでとっても
良かったです♪

2

ファンタジーをあまり読まない方にも

なんて優しくてあたたかいお話なんだろうか。
読み進めながら大好きになってしまったな。

350P超とやや厚みがあるのですが、月東湊先生の細やかでスッと馴染むような文章で丁寧に綴られていて読みやすいのです。
テクノサマタ先生のイラストも作品の雰囲気と良相性でした。
内容を含む詳しいレビューは他レビュアー様が書かれているので、未読の方向けにネタバレ無しのレビューを。

竜と、剣と、青年と、そして復讐と。
あらすじを読むと、手に汗握るような王道ファンタジーものなのかな?と思ってしまいそうですよね。
確かに手に汗握るシーンもあるのですが、それよりも優しさだったり、胸にジンと来るエピソードだったり、物語全体に穏やかで小さな幸せのようなものが沢山散りばめられているんです。
妖精や精霊は出て来ますが、全く難しい内容のお話ではないですし、登場人物の人数も多くありません。
BLもののファンタジーが初めての方でも本当に読みやすい作品だと思います。
そして、何よりもお話が面白い上に読後感がとても良くて。
これはね、ファンタジー好きの方には勿論おすすめなのですが、普段ファンタジーを読まれない方にもおすすめ出来る…というよりも、ぜひ多くの方に読んで頂きたくなるような1作かも。

はるか昔、勇者の手によって「伝説の剣」に串刺しにされ、同じ場所から動けずに長い時を生きながらえていた竜と、かつて祖国を滅ぼしたものに復讐をするために「伝説の剣」を手に入れようと竜の元へ訪れた青年・シルヴィエル。
と、あらすじの通り、500年ぶりに伝説の剣を抜いた青年と伝説の剣に囚われていた竜が出逢い、共に旅をするお話です。
旅をしながら、シルヴィエルが復讐をしたい相手についてや、竜が長年囚われていた理由が判明していきます。

繰り返しになりますが、本当にあたたかくて優しいお話なのです。
王道のファンタジーでありながら、決して単純ではなく、中弛みのない展開で読者を飽きさせず、それでいて行動を共にする2人の心の距離や関係が変化していく様子が丁寧に描かれている。
雰囲気的には大人向けの児童書のBL版といった感じかな。
とにかく、お話もキャラクターもすごく魅力的なんですよ。
細かなエピソードによって、読んでいる内に登場人物達のことがどんどん愛おしくなっていくような感覚というのでしょうか。
竜と人間の組み合わせではありますが、きちんとBL小説らしさもあります。
カバーイラストを見ると、このファンタジー全開のイメージからどうやってBLに持っていくの?という感じもあるかと思います。
けれど、そちらも無理のない自然な流れで描かれていますので、まずは流れるままにお話に身を任せて読んで頂きたいな。
全体的にバランス良く描かれているのがお見事なのです。
なんだか難しいことは言えませんね。
多くの方に読んで欲しいです。

読後は心穏やかな気持ちでいっぱいになり、この作品を読めた事に嬉しくなる。
良いお話を読んだなあと思える、そんな素敵な作品でした。
日常に癒しが欲しい方や、優しいお話が読みたい方におすすめの1冊です。

2

竜の名前が知りたい

月東湊先生好きなので楽しみにしてました。

冒頭で竜に刺さった「英雄の剣」を引き抜くチャレンジをした大男、ボルグのシーンで一笑いしたあと、竜のキャラクターもいい感じだし、どんなお話になるのかとワクワク。

祖国のフロイア国を滅ぼされ、その復讐に燃えるシルヴィエル。シルヴィエルに助けられた竜がお礼がてら暇つぶし解消のためにと後からついてきて、冒険の旅が始まります。

二人とも、それぞれの愛する故郷から理由があって追われた者同士、辛い思いを胸に秘めています。愛すべき人たちが得体の知れない「黒影」に命を奪われたり、花喰いの竜は人を襲わないのに、竜殺しの餌食にされたり…。それも、勇者たちの自己満足のために。

シルヴィエルも竜も、一国と一種族の最後の生き残りとして、黒影に侵食されてしまったフロイア国を取り戻そうと闘います。彼らを助けてくれる存在や、闘いの後に訪れる大きな代償に涙しながら、最後は本当に安堵しました。

テクノサマタさんのイラストがこれでもかってくらいぴったりなんです、特にシルヴィエルが。竜はさすがに578歳の竜らしい?キャラクターが、そのまま人間の姿の時も変わらずで、屈託なくひょうきんなのが好感度高かったです。大好物のお花をたらふく食べて嬉々としているシーンもかわいらしくて。

今作は泣けるし、素敵なお話だったなぁと思いました。長く生きてきた分知恵が備わり、人間への恩と思いやりを示す竜。幼さゆえに無力さを思い知り、強い信念と謙虚さを身につけたシルヴィエル。二人がお互いのために存在したいと思いあっていく過程が、ときにほのぼの、ときにキュンっと描かれていきます。それと、ガラダ族が守ってきた「幸せの竜の教え」が素朴だからこそ深かった。

BL作品のリベロを目指すべく、「一作一萌え」、萌えはもれなく拾います!が信条なんですが、ことアレなシーンについて盛大に萌えたかというと怪しいです。シルヴィエルと竜は思いが清らかで、エロス!っていう感じで読んではいけないような気がして。

あッでもなぜか竜と、竜の恩人で友人ジニエル、この関係性には萌えましたね。彼の姿に似せて人間に変身するなんて、邪な妄想が…。まずはメインカプに萌えろよって話なんですけど、どうも脱線癖があって、変なところで道草を食っちゃいます。

3

おとぎばなしのような

ファンタジー小説を読んだ! その世界観にどっぷり浸れて、とても素敵な時間でした。電子書籍だったから気づかなかったけれど、分厚かったんですね。表紙も素敵です。

孤独な二人が、お互いを大事に思い、癒されてゆくのが本当に良かったです。号泣という感じではなかったけれど、後半は何度もウルウルしました。

素敵な物語を読んだな〜としみじみ思いました。もっとイチャラブも読みたかったです!

1

出会うべくして出会った2人の物語

好きな作家さんと大好きなファンタジー!!なので、楽しみに読みました。おまけにページ数も355ページと分厚く、読み応えもありました。

…が、自分にはその分厚さが仇となったのか、途中で読むのが疲れてしまって…。

いえ、感動する場面はたくさんあるんです。
500年間孤独を抱えて生きてきた最後の竜と、復讐だけを支えに生きてきた村最後の生き残りの青年が心を通わせながら、生きていこうと思えるようになった心の変化とか。村人と竜の、ずっと続いていた心の絆も。
もちろん、2人が好きなのを隠してイチャイチャするシーンとかも萌えるし、一緒に国づくりをしながら一生傍にいる未来が見えてホッコリしたり。

ただ、竜を殺そうとしたり、ずっと見世物にしたままとか、神様ならこの竜が人を殺さない優しい竜って分からなかったのかな…と思ってしまって。竜への仕打ちが酷過ぎて、人外好きとしてはモヤモヤしました。
おまけに、この主人公のシルヴィエルってば、悪者にやられ過ぎです(汗)。ほんと、竜がいなかったら、あっという間にジ・エンドでしたね。

死にたい竜と、復讐のために助けが必要だった青年。だから、出会うべくして出会った、2人の壮大な物語でした。

ですが、あまり自分には合わず残念です。こちらでもAmazonでも、高評価なんですが…。

3

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