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作家買い。
月東さんの新刊はモフモフ&ファンタジー。今作品のモフモフはちょっぴり切なくって、でも温かい、そんなハートフルなお話でした。
ガルムザール王国、という国が舞台。
この国の第一王子・ダルガートは、黒獅子の頭を持って生まれてきた。「呪い」と言われ、彼の両親である王と王妃ですら彼を厭い、何とか亡き者にしようと策略している。それ故に彼は常に孤独で、食事に毒を入れられたり、厳しい戦況の戦に行かされるがダルガートは何とか生き延びてきた。
が、この国では第一王子が次期国王になるという法があるため現王ですら彼を差し置いて次男に王を継がせることができない。何とかダルガートを失脚させるために王たちが思いついたのは、ダルガートに「男」で、かつ「小人」を后としてあてがうこと。それに反意を示したら、それを反逆罪としてダルガートを処刑することができる。
そう考えた王たちによって、ダルガートのもとに小人族のリラが輿入れをするためにやってくるが―。
というお話。
もうね、ダルガートが気の毒で気の毒で。
彼が黒獅子の頭を持って生まれてきたのは彼が呪われているから、と言われていますが、これ、実は違うんですよね。序盤で彼が黒獅子頭で生まれてきた理由は書かれていますが、彼には全く非がないんです。
と、とにかく薄幸攻めさんなわけですが、彼のもとに嫁いでくるリラがね、もう最高に可愛いの。彼は彼自身望んでダルガートのもとに嫁いでくるわけですが、ダルガートが王宮で迫害されていることもあって、彼ら二人ともかなりひどい嫌がらせをされます。
ダルガートの薄幸さと、彼らへのひどい扱いもあって、ベースとしてはかなりシリアスなものに分類されると思うのですが、意外なほどコミカルでほのぼのベースで展開していきます。
それはなぜか。
リラという男の子がめちゃめちゃ明るく、前向きなんです。
彼はとある理由からダルガートに心酔していて、彼を尊敬してるんですね。ダルガートがネガティブな感情になっている時でも、リラは彼の明るさでもってダルガートをサポートしていく。このストーリー展開がめちゃめちゃ可愛くって、気持ちがほっこりするのです。
今作品にはターニングポイントがいくつかあります。
まず一つ目は、ダルガートの獅子頭はどうなるのか。という点。
彼はそのビジュアルから王宮でも、国民たちからも一歩引かれている。見た目で怖がられ、気持ちわるがられてしまうんですね。彼自身、そのことを気に病んでるんです。
その頭が、もしかしたら人間に戻ることができるかも?という希望が出てくる。
ダルガートが、人の頭に戻るのか、戻れるのか。ここが、まず大きなキモになっています。
そしてもう一点。
リラは小人族なんですよ。身体が小さいんですよ。
ということは、つまり、彼らは身体を繋げることができない、ってことなんですね。
えー、どうすんのかな?
とか思いつつ読み進めたのですが。
ほほう、なるほど!
という展開を見せます。上手いです。さすがベテラン作家さまです。
さらに身体を繋げられない(挿入できない)彼らがお互いを慈しむシーンがめっちゃエロい。なめてみたり、擦ってみたりね。
月東さんの圧倒的な文章力で、読んでいてこの作品が映像として目の裏に浮かび上がってくる、っていうのかな。
リラの体つき(エロい意味じゃないですよ!)とか、彼が太陽のもとで踊るシーンとか。
ダルガートのつやっつやの毛を、リラが毛づくろいするシーンとか。
そして、彼らが慈しむシーンとか。
もうさすがとしか言いようがないです。
薄幸で、過酷な環境の中にいた攻めさんが、明るく一途に想いを寄せる受けさんと出会い、そして幸せになりました。という、シンデレラストーリー(と言って良いのかな)なのですが、とにかく様々な伏線がまかれていて非常に読みごたえのある作品でした。
彼らが最後に選ぶ道も、すごくカッコよかった。
で、円陣さんの挿絵がね、これまた最高なんすよ。
可愛いし、綺麗だし、カッコいいし。
表紙の黒獅子さんなんて、黒獅子なのにイケメンなんですよ。
ダルガートが人の姿になるシーンがあるのですが、ヤバいくらいカッコいいのですよ。
ストーリー良し、キャラ良し、挿絵良し。
萌えと優しさが詰まった神作品。
読後、ほっこりします。文句なしの神作品でした。
初めましての作者さんでした。
すごかった!文句なしの神です!
呪われた巨漢の黒獅子頭の王様と小人族の青年。
二人が出会えた奇跡にひたすら感動と感謝です。
孤独なダルガートがリラによって様々な感情を知っていく様子。
また忌み嫌われ口も聞いてもらえず蔑まれ続けても、腐らずまっすぐたくましく二十歳まで生きてきて。
呪いの理由を知ってもリラがいてくれたから…。
お話も巧みですね。
ダルガートが王として認められていくところに、こちらもグッときます。またリラがダルガートを照らすところ。
本当に最高の二人です。たった一人の従者も。
そして東の隣国の皇帝もいい人物でした。
心配だった体格差は逆に萌えの宝庫でしたし、そうくるか!な展開もあったり。
リラが優秀な戦士だったり。
孤独だったダルガートに絶対的な味方が現れて支えてくれて。ダルガートとリラはお互いの太陽ですね。
愛しいという感情、嬉しい楽しい泣きたい守りたい、全てをリラによって知ることができて本当に良かった。
最初は離宮でリラの存在が落ち着かなかったダルガートが、最後にはリラがいて心が落ち着くのも。
とても楽しみにしていた作品でしたが、想像以上に良かったです。
人一倍逞しい黒獅子王と幼児くらいの大きさしか無い小人族が、プラトニック以外にどうやって愛し合うのかと疑問でした。
でも読んで行くうちに身体の関係とかどうでも良くなって行く面白さがありました。(でもちゃんとそうしたシーンはあります)
リラのどんな事があっても自分だけはダルガートの味方であろうとする愛し方がとても素敵なんです。
そしてそんなリラと出会った事によって、どんなに辛くて気持ちが堕ちそうになっても、立て直すダルガートの気持ちに涙が出ました。
リラがダルガートに腰入れした事によって、全てが上手く回り出す様子がとても読み応えがあるんです。
リラがダルガートの為に怒る姿も好ましくて、何度もスカッとしました。
忌避される存在だった呪われた黒獅子王から、皆が徐々に慕って行く伝説の黒獅子王になるまでがとても見事でした。
雑誌掲載分も面白かったですが、書き下ろしがあっての完成形だと思います。書き下ろしに登場する人物達がとても魅力的でした。
ファンタジーは選り好みが激しく冒険しない読者なのですが、月東湊先生のファンタジーだけは必ず拝読しています。毎回人間味溢れるキャラクターがとても魅力的で、ストーリーもサラッと読めるけれどしっかりと説得力がある。わたしがファンタジーに望むものを諸々満たしてくださっているので、裏切られることがありません。
なんといっても受けが理想的なんです。本作においてもリラのちっちゃくて可愛いのに男前!なところにメロメロでした♡
呪術師による呪いのせいで黒獅子の頭を持ってこの世に生まれたダルガート。実父はもちろん、継母、義弟、果ては臣民からも忌み嫌われていました。二十歳になったダルガートは小人族の族長の息子を妃に迎えることとなり、リラと出会います。実はリラの方は以前から彼のことを知っていて…
ストーリーは相変わらず無駄なく起伏に富んでいて、時にしんみりとさせられながらも楽しく読み進められました。王国ものらしく領土をめぐる争いや隣国との交流を背景に、国王となったダルガートは王妃リラと手を携えて「呪い」に対峙していくことになり……その先はどんな展開が?ドキドキです!
歴史ものとメルヘンが見事に融合しているんですよね(ウットリ…♡)
個人的に受けも攻めも好感度の塊でしかなくて、しかも円陣闇丸先生のイラストがピッタリ‼︎ 麗しい‼︎ 凛々しい獅子頭のダルガートがなんとなく可愛らしくて、リラが惚れ込んじゃう気持ちがよ〜くわかります笑
読後は、優しい気持ちと強い気持ちの両方を分けていただいたような気分になれました…。ファンタジーの受けは"漢"であって欲しいわたしとしては、今回も大満足です!
雑誌掲載作品がこのような完成形で刊行されたのは、ひとえに当時の読者様のお陰だと思います。感謝の気持ち、お伝えしたい‼︎
陽が出たら踊ってみようか!と、思えるほどに、その情景が楽しく想像できてしまう。
ずっと暖かく優しい陽射しに包まれているような気分で読み終えました。
ダルガートの心根の美しい事。
悪意にさらされ続けても誰もかれもが歪んでしまうわけではないと思うのですよ。
ダルガートの様なキャラには心から幸せになって欲しいと願いながら読み進められました。
そしてリラの天真爛漫さも馬鹿っぽいというタイプでは無くて良かったです。心地よい明るさと前向きさで、ダルガートと一緒に私を安心させてくれました。
2人ともとにかくかわいいんです。
適度に厚みがあるんですけど、一気読みしちゃいました。
これは良い買い物をした!って思います。