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猫と人狼と御曹司の溺愛子育て

neko to jinrou to onzoushi no dekiai kosodate

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表題作猫と人狼と御曹司の溺愛子育て

オレク・セドラーク10代後半〜20代,元伯爵家,大富豪,甥のヨナシュを育てている
沙智,10歳〜18歳,人狼と人間のハーフ

あらすじ

一冬だけ人間にしてもらった人狼の沙智。
愛するオレクさまと結ばれなければ、消えてしまう運命だったが……?
チェコが舞台の真実の恋物語♡

作品情報

作品名
猫と人狼と御曹司の溺愛子育て
著者
華藤えれな 
イラスト
Dite 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784403525186
4.2

(23)

(9)

萌々

(11)

(3)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
4
得点
98
評価数
23
平均
4.2 / 5
神率
39.1%

レビュー投稿数4

森の人魚姫は、人狼の生き残り テーマは子育て

森の人狼、人魚姫版。テーマは「子育て」
挿絵の画家Dite さんが好きで購入、綺麗な内容に沿った絵に感動。

エレナの森には、昔、人狼の王国があり、人と共存していた。
人が欲を出し、薬草を独り占めしようと、人狼狩りで人狼を火あぶりにしてから、
人狼はずっと絶滅したとされていた。

マミンカという猫人と暮らす、最後の人狼、沙智。
沙智は父が人狼、母が日本人、両親は森の人狼狩りに追われて5年前に亡くなる。
人狼であることを隠して、沙智が出会った貴族の子オルク。
大好きなオルクの役に立ちたくて、人狼しか行けない崖に生育する薬草を届ける沙智。

オルクの姉が生んだ男子の養育係に沙智が選ばれる。
昼間しか人型を保てない沙智は、ミミズクに魔法をかけてもらう、
でもその魔法の条件は、一年以内にオルクの愛を得られなければ、沙智は人狼の森の土になってしまう。
沙智は、オルクの愛をどうしても得たいとは思っていない。
諦めモードの沙智の様子に焦るマミンカ。

危ない展開で、やっと森の土にならずに済んだ沙智。
良かったよー!

1

人狼の設定が新鮮

大好きな華藤先生のヨーロッパ人外物です。今回はチョコが舞台だという事でとても楽しみにしてました。

主人公の沙智が人狼と人間の間に産まれたのですが、人狼の設定が今までのイメージを覆すもので先生の優しさが滲み出ていると思いました。

とにかく沙智が無垢でいじらしくて、涙腺ゆるゆるの私は途中で何度も涙ぐみました。
決して攻めのオレクが酷い訳では無くて、沙智のオレクに会うまでと再会する迄の境遇に対してなんですけど…。

それからオレクが沙智を人狼だと知ってすれ違った辺りからオレクが追いかけて愛を告げる辺りが最高に盛り上がりました。ハンカチ必須でした。

最終的にオレクが沙智の為にする決断にも感動しました。全体的には優しいお伽話です。

チョコ大好きなのでプラハ市内のカレル橋とクリスマスマーケットの描写はとてもワクワクして是非行ってみたいと思いました。

6

もっともっと幸せにしなきゃ許さんぞ。

 絵本に出てくるような不思議な生き達が今でもこっそりいるのかも、と思わせてもらえるとてもピュアなお話でした。
プラハの美しい風景も感じられて、クリスマスマーケットとか行ってみたいなぁ。

 受け様は、人狼の父と人間の母を持つ人狼の沙智。
日中は人間の姿だけど、月が出たら耳としっぽが出てしまう。
純粋な愛すべきバカ、なんて言われるような、本当に純粋で心がキレイすぎて心配になるレベルのお日さまみたいな子。

 親子3人で慎ましくも仲良く幸せに暮らしていたのに、両親が亡くなり、1人ぼっちになる沙智。
不思議な子猫のマミンカに慰められ、生きていく術を身につけていく。
 両親が残してくれたジャムやハーブティを、クリスマスマーケットでのお店で売る時に手伝ってくれたのが攻め様であるオレク。
それ以来、オレクに感謝して、オレクが喜ぶようオレクの家族の為に、人狼である沙智にしか摘めない薬になるハーブを主治医に届け続ける沙智。

 祖先が人狼狩りをしていた攻め様のオレクの家系は、人間では行くことが難しい森の奥にしかないハーブでしか治らない病気になる呪いを受けた、と言い伝えられていて。
事実、オレクの姉や、姉の忘れ形見でオレクの甥にあたるヨナシュがその病で苦しんでいる。

 ヨナシュの住み込みベビーシッターになった沙智は、人間の姿になれる薬を飲んで2人の元へ。
でも、その人間になる薬を飲んだら、春までに人間に永遠の愛を誓ってもらわないと森の土になってしまう。
たとえ森の土になったとしても、オレクの側で過ごせたら幸せだと笑う沙智。

 人狼版の人魚姫ですね。
人魚姫を読んだ時のの2人の感想が、対照的でした。
人魚姫は幸せだった、と笑う沙智と、バカ王子だと反論するオレク。 

 些細なことでも優しい、幸せだ、と感じる沙智がいじらしくて、オレクと一緒に私まで優しい気持ちになれるようでした。

 1度は愛をささやいたのに、沙智が人狼だと知ったら目を背けるオレクにはぶん殴りたくなりました(*`Д´)ノ!!!
おめーは人魚姫のバカ王子と一緒だ!!
あのセリフ、自分自身にブーメランだからなι(`ロ´)ノ

 真実の愛を知り、沙智が幸せになってよかったのですが、どうせならオレクにはもっともっと大慌てして懺悔してほしかった。
後悔するがいい、な攻め様ザマァ姿をもっと見たかったな、なんて( ☆∀☆)


 イラストは、Dite先生。
緑あふれる表紙、口絵の冬景色の中での2人のキス。
とてもキレイです。

4

生きる空気清浄機のような受けが、とことん尊い!!

前半部分、雑誌で既読だったけど、ほとんど覚えておらず。
華藤えれなさんにしては、そんなに辛い展開ではなかったと思ってポチったけど、いやいやいや途中で受けが味わった気分は、お約束とはいえ辛いものだったわ。
でも辛いのはそこだけ。

人狼は負の感情を一切持たないとされているというところが、新鮮だった。
最後たった一人の生き残りである人狼の沙智。
純粋な愛すべきバカとまで言われてしまうほど、つまり浮世離れしちゃうくらいに汚れなき魂の持ち主の沙智。
なんていうか、思考回路の全てが尊くてめちゃくちゃいじらしいんですよね。

オレクの役に立ちたくて、人狼しか辿り着けない谷にある特別な薬草を摘んではせっせと届けるんだけど、見返りを期待するとか一切ない。

やがて、オレクの甥っ子の住み込みベビーシッターに採用された沙智。
人狼だから日が沈むと尻尾と耳が出てしまうので、森の長老に一冬限定で人間にしてもらうんだけど、オレクの愛が得られなければ森の土へと還る定めが……。

普通だったら「愛される」ことを目標にすると思うんですよね。
だって、愛されなかったらこの世から消えてしまうのだから。
だけど沙智は、とことん無欲で、「誰かの役に立って誰かを愛することができる人生を選ぶ」ために人間にしてもらったと思っている。

とにかく沙智が生きる空気清浄機のようで尊い。
ボヘミアの森で愛情に包まれて育った(でも、途中で両親が亡くなってしまったけど)天然の空気清浄機。
とことん純粋な沙智の姿に、心の澱が消えていくというのかしら。

人狼狩りをしていた祖先を持ち、人狼の呪いによって家族を奪われたと信じているオレクと、人狼であることを隠している沙智。
真実を知ったオレクが「……ちょっと……考えさせてくれ…」ともならずに、即断してる姿に、このやろーーー!!とも思いましたが、まぁ許す。

最後の幸せそうな三人+一匹の姿がとても良かったので、森で暮らすこの一家の様子の番外編を読みたいなぁ。


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