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表題作星のない世界でも

作道準星
美大予備校夜間部に通う高校3年生
宮永陽斗
19歳,美大予備校昼間部に通う浪人生

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

未来の画家やデザイナーを目指し、
美大予備校に通う芸術家の卵たち──。
圧倒的な才能に憧れ、切磋琢磨する、
ほろ苦く甘い恋!

単なる鉛筆画のデッサンなのに、
迸る躍動感と圧倒的な熱量──
美大予備校に飾られた絵に、衝撃を受けた
浪人生の陽斗。しかも作者は、年下の現役高校生!!
周囲から距離を置かれる彼・準星に、
陽斗は一目で惹かれ、友達になるけれど…!?
不愛想な孤高の天才に懐かれる喜びと、
その稀有な才能に羨望と嫉妬を押し隠して
傍にいる苦痛──己の才能を信じて切磋琢磨する、
芸術家の卵たちの恋!!

作品情報

作品名
星のない世界でも
著者
北ミチノ 
イラスト
高久尚子 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784199010156
2.5

(23)

(1)

萌々

(5)

(5)

中立

(7)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
9
得点
47
評価数
23
平均
2.5 / 5
神率
4.3%

レビュー投稿数9

苦くて爽やかで熱い美術系の青春

初めて読む作家さんでした。
美術の予備校に通う浪人生と、同じ予備校に通う才能溢れた現役受験生

寮から予備校に通う中、よく描けたと思った絵が「光るものがない」と酷評されてしまった浪人生の陽斗。予備校の中である作品に惹きつけられて圧倒されてしまう。その作品の主は自分より歳下の現役生で、変わり者だと有名らしいが…。

陽斗は、のほほんと朗らか。現役生の準星は、作品に立ち向かう熱がすごく高くて、周りからは変わり者、そして嫉妬から煙たがられる存在。
準星の作品に衝撃を受けた陽斗が、準星に話しかけた事から2人の交流は始まります。

芸術家の卵たちの、苦悩と嫉妬と焦り、憧れと恋と…
作品に向かう生徒たちの情熱と苦悩がひりひりと描かれています。
恋も、予備校でのやりとりを通してゆっくり育まれるのがよかった。

ひりひりした青春と、学生の恋が好きな人にオススメです。

2

辿り着けないほどの遠い星に恋して

持てる者と持たざる者…

舞台は、美大入試のための予備校。
主人公は一浪してこの予備校に通う陽斗。
優しい性格の男の子で、絵を描くのが大好き、もっと上手く描きたいという意欲、絶対合格するんだという決意は本物なんだけど、講師の評価は「光るところがない」。
一方、同じ予備校の夜間部にすごい高校生が入ってきたという噂が駆け巡る。
その高校生・準星は、誰が見ても一目で圧倒される正に本物の「才能」を持っていて…
…と始まります。
誰もが遠巻きにしている準星に、単純に好奇心と絵への憧れのような気持ちで話しかける陽斗。少しずつ親しく話すようになっていきます。

私は絵や芸術は見るだけの門外漢ですが、そんな私でも準星の脇目もふらぬ製作へののめり込みや、激情をそのまま映すような画面であろうこと、尽きせぬ制作意欲、描けば描くほど湧いてくるインスピレーション、絵が絵を呼ぶという感じ…
そしてそんな天才的才能を目の当たりにして、自分達の平凡さを突きつけられる周囲の嫉妬ややっかみ、焦り、自己卑下、絶望…
その辺は理解できるし読んでいて引き込まれました。
しかし、羨望される準星の方も悩みも苦しみも葛藤もあるわけで。

本作はそこに加えて登場人物たちの家庭の問題、もう一人陽斗に恋心を寄せる友人、準星に激しく嫉妬しての攻撃も絡んで盛り沢山です。
また、陽斗の男度が少し低い気がするけれど…
準星は絵では誰もついてこれない孤高さを持っているけど、高校生/後輩としての年下わんこ的な素直さがあって、卑屈になりがちな陽斗を自然と持ち上げるというか立てるというか…
そんな2人の恋愛はとってもくすぐったい。
そして、男度低めに見えた陽斗は「聖母」という名の男前感を出してくる。
準星の想い、そしてはやる肉体を許し受け入れて、共に恋愛の次の段階へと登っていきます。
物語はハッピーエンド。でもまだまだ2人は若い!これから2人は、何より準星がどんな芸術家になっていくのか。そこが知りたい!

1

BL小説としてはちょっと…

前作「好奇心は蝶を殺す」でも思ったのですが、肝心のボーイズラブの方に読者を惹きつける要素が薄いところが気になります。
 
通常世界観やストーリーがしっかりした中で、魅力的なキャラ同士が惹かれあっていく過程は更に物語を盛り上げる…はずなのですが、かえって萎えました。いっそうBL要素が無かった方が楽しめたかもしれません。
 
 当方はBL要素が9対1の割合でも、その1のBL要素が印象に残るものであれば、OKな方なのですが、今回は6割くらいを占めるBL比重が話の面白さを逆に妨げているように感じました。

 美大生を目指す人達の青春ものという面ではなかなかリアリティもあって面白いんですが、ボーイズラブの方が安易すぎて、萌えませんでした。。
天性の才能を持って人と交わらない孤高の奇人がいとも簡単に主人公に懐いていく姿は物足りなかったです。ちょっとチョロ過ぎなのでは???
どの人物にも読者が共感できる要素が薄かったです。

 前作「好奇心は」の方はミステリー要素が強かったので楽しめましたが、こちらは日常描写が多いので正直退屈しました。
美大生ものも既に多くの作家さんが描かれているので差異化が必要なのですが、そういう面でも個性が薄く感じました。
 美大を目指している人には参考になるのかもしれませんが、それ以外の人がエンタメとして楽しむには、惹きつけられる要素が少な目かも。
何かをテーマに掘り下げる能力は高い作家さんなので、このジャンルで一番大切なもの、BL面、のブラッシュアップを望みます。

2

青春小説

この作品は、天才と凡才の葛藤がリアルなまでに描かれている作品で、芸術に一時でも身を置いていた人ならあるあるすぎて地面にめり込みたくなるかもしれません(私もその1人です 笑)
美大を目指す青年たちのひたむきなまでの努力や一喜一憂、嫉妬と羨望、迷走が瑞々しく描かれています。芸術を目指す人を題材にするとドロドロなシチュエーションになりがちですが、受けが一貫して心根が真っ直ぐなので終始爽やかな印象です。

恋愛面に関しては微妙な三角関係にときめきましたが、BLレーベルの中でもかなり薄味です。最後にほんの少しだけエッチな場面がありますが、失礼ながらやっつけ感が否めない……。いっそ振り切ってエッチは入れなくても良かったのではと思いました。

読了した感覚はBLではなく一般文芸に限りなく近かったので、申し訳ありませんが中立とさせていただきました。

1

惹かれたのは

今回は美大予備校夜間部の高校3生と昼間部の浪人生のお話です。

受様が親友や攻様と交流を通して恋と未来を掴むまで。

弟妹のいる受様は
子供達のおもちゃのデザイナーを目指しています。

通信で予備校に通い、美大を受験しますが、
本命の美大はもちろん滑り止めの多の大学も惨敗、
現実の非情さを思い知ります。

しかし夢を諦めきれない受様は親を説得して
都内の画塾であるコミ美(小湊美術学院)デザイン課に入学、
提携しているドミトリーで生活することとなります。

昨年の夏期講習で意気投合して
昨年の受験では涙をのんだ気の合う友人とともに
今年こそは合格をと絵筆を握る毎日を送っています。

コミ美は受様のような浪人生向けの昼間部の他に
現役である高校生向けの夜間部もあります。

コミ美の正面ホールの壁には
参考作品として生徒の作品が展示されています。
受様はその前を通るたびにあるデッサン画に
惹きつけられていました。

それは卓越した立体感、ずっしりした重量感、
無数の鉛筆の線が生み出す躍動感、
どれをとっても尋常ではない熱を感じさせます。

友人は夜間部の油彩課に入った現役高校生が
描いたものかもしれないと言い、
さらに受様を驚愕させます。

彼は性格も見た目もかなり独特で
入学早々注目の的で先生達ですら一目置く
名実ともにコミ美のスターだとまで言われます。

受様は友人の話に心をかき乱されつつも
どんな人が描いたのか興味を掻き立てたられます。

そんなある日、受様は
本館地下の画材店で見かけたひょろりとした
つなぎ姿の男性があの絵の作者ではと思います。

彼の醸し出す雰囲気が
参考作品のイメージそのままだったのです。
そして彼こそが今回の攻様になります♪

受様が意を決して話しかけると
ぎょっとした顔をしながらも受様の話に
付き合ってくれますが、話は弾みません。

友人は攻様は教室でも1人でスケッチブックに向かい
誰ともしゃべらないらしいと攻様と自分たちでは
人種違うから諦めるよう言いますが
受様はまた機会を見つけて話をしたいと思うのです。

受様は攻様が嫌がるなら近づかないつもりでしたが
攻様はとっつきにくいけれど来る者は拒まない性格らしく
会うたびに少しづつ親しくなっていきます。

しかしやがて桁違いの才能をもつ攻様と
自分の能力の違いを如実に感じるようになり・・・

美大受験のための予備校を舞台に
現役性であり天才肌の攻様と浪人生で努力型の受様の
交流を描いた青春ラブストーリーになります。

絵を描くために生まれてきたような天才肌の攻様と出会い、
最初はそのすごさに無邪気に焦れていた受様ですが
攻様の人柄を知っていくことで恋をし、
憧れが羨望から嫉妬、劣等感へと変わっていきます。

そしてそれは受様の自信を懐疑させることとなり
受様は疑心暗鬼に陥っていくのです。

そんな受様に受様に好意をもつ友人の恋も絡まって
受様の恋と受験がどういう結末になるのか
と楽しく読ませて頂きました。

人は自分を基準にして他人を測ります。
幸せで仲の良い家庭に育ったと思われた受様にも
語られない過去があります。

美術予備校らしく才能ある生徒への憧れや嫉妬、
そんな彼らより劣る自身への憤り、
そしてより高みを目指して努力する姿が
丁寧に描かれて厚み分の読み応えは有りましたが

恋愛部分での駆け引きや絡みは三角関係もどきなのに
受様が良くも悪くもブレなすぎてドキドキシーンが
少な過ぎたので「萌」評価としました。

BL読みとしては厚さがある分、
萌シーンや絡みシーンの多い事を期待しています。
リアルのための背景書き込みも大切だと思いますが
恋愛シーンに厚みが欲しかったです。

3

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