センチネルの運命のつがいだなんて受け入れたくない。

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センチネルバース 蜜愛のつがい

sentinel birth mitsuai no tsugai

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表題作センチネルバース 蜜愛のつがい

藍染丈瑠、最近島にやって来た青年
涼風唱、島に移住してきたプログラマーでガイド、21

その他の収録作品

  • Trust me
  • あとがき

あらすじ

特殊能力者センチネルのつがい的存在・ガイドの涼風は、正体を隠して働く島でセレブ然とした藍染に世話を焼かれて可愛がられて!?

作品情報

作品名
センチネルバース 蜜愛のつがい
著者
今城けい 
イラスト
麻々原絵里依 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784344845749
3.5

(16)

(3)

萌々

(5)

(6)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
5
得点
55
評価数
16
平均
3.5 / 5
神率
18.8%

レビュー投稿数5

BL界では攻めって、肝心な事を隠す傾向にあるよね

この、話し合わずに一人で抱え込む(そして相手を不安にする)って、夫婦なら離婚案件ですよ。
ベラベラ喋っちゃうと、話が成り立たないのも分かるけど。

いや今回、どうにも攻めが黙ってる事がもどかしくて。
普通に話せばいいじゃん?と。
そのくせ、一番話しちゃダメな事実をストレートに言っちゃって、受けを深く傷付ける。
先に話すべき事があるだろ~?
こいつ、センチネルなのにアホじゃなかろうか。
まぁ、そういう不器用な所が可愛くもあるんですけど。

内容ですが、謎の男・藍染×ガイドである事を隠して島で生活するプログラマー・涼風による、センチネルバースで王道のスレ違いものです。

突然ガイドの能力に目覚め、恐怖心からのどかな島に移住してきた涼風。
正体を隠したまま静かな生活を送りますが、そこにセレブ然とした男・藍染が現れるんですね。
彼が居ると何故か緊張してしまうのに、不思議に気になって仕方ない涼風。
二人は少しずつ距離を縮めて行きますが、藍染が隠していたとある事実を知ってしまいー・・・と言うものです。

まずこちら、個人的に初読みになる、センチネルバースです。
このセンチネルバースですが、五感に突出した能力を持ち社会的に成功者が多いセンチネルと、一般人であるミュート。
そして、センチネルのつがい的存在で補助する事が出来、更に彼等の能力を上げる事が出来るガイド。
で、ガイドは希少な存在で、センチネルは自身のガイドを得ようと必死。
と言った感じの世界観になるんですけど。

個人的に、このセンチネルバースがめっちゃ気になってて。
それをなんと、今城先生が書いてくださると言う事で、発売をとても楽しみにしてたワケです。
ワケですが、なんか微妙に腑に落ちない部分なんかがあって。

えーと、繰り返しになりますが、藍染は謎の男として涼風の前に現れます。
彼はですね、とても頼りがいがあり、また穏やかで優しいのです。
ガイドとしての能力に突然目覚め、まだその事を受け入れられない涼風。
一人、殻に閉じ籠りがちの彼を、少しずつ少しずつ外の世界に連れ出す。
共に出掛け、一緒に食事を作り、涼風の笑顔を引き出してゆくんですね。
丁寧に綴られる、ここの部分はとっても素敵。

また、藍染はかなりの溺愛攻めだったりします。
いや、この溺愛ぶりは二人が結ばれてからしか発揮されませんが、分かりにくながらも、かなりの健気さで涼風を想ってきた。
先に藍染をアホかと書きましたが、要はめちゃくちゃ不器用な男なのです。
何でもかんでも一人で抱え込んで、自分を犠牲にして、涼風を守ろうとしてきた。
その上、この不器用さで涼風を傷付けちゃう。
おおおーーーい!
言い方ってものがあるだろ~?
何故そんな、無駄に冷たい言い方を!Σ( ̄□ ̄;)

そう、微妙に引っ掛かる部分ですけど、藍染が頑なに事情を話そうとしない点だったりします。
いや、怯えて不安がってる涼風を、これ以上傷付けない為ってのは分かるのです。
でも、それを避ける為とは言え、「能力が上がるからエッチしたい」では一番最悪だと思うんですよ。
これ、不安にはさせないかもしれないけど、めっちゃ傷付けてるがな。
えーと、そんな結論だけストレートに言っちゃうんじゃ無く、先に事情をちゃんと話そうよ!!

あと、センチネルバースって事で、サイキックバトル的なものを期待してましたが。
これがわりとアッサリで、個人的には物足りなかった。
そもそも、超能力と霊能力と言うのは全く別物だと思ってまして。
五感が超発達してる超能力者でありながら、展開としては第六感的なオカルト系だったりします。
世界観が理解出来てないだけかもしれないけど、なんか違和感があるよ。

まぁそんな感じで、若干引っ掛かる部分もあるのです。
話が動き出すまでの前半は、ちょっともって回ってる気もするし。
こう、丁寧だと取るか、間延びだと取るか、人によって違うとは思うんですけど。

とは言え、怯えながらも自分に打ち克とうと努力する受けには好感を持つし、結ばれてからの藍染の溺愛ぶりにはニヤケが止まらない。
また、彼のめちゃくちゃ健気な所には、胸を打たれますしね。
あと、センチネルバースの醍醐味!
特別な絆を持つ二人の深い繋がりには、萌えまくってしまう。
だって、ガチで言葉が無くても通じ合えちゃう!
そんなワケで、評価が難しいですが「萌」です。

※訂正です。
センチネルバースをザックリしか理解してませんでしたが、どうも解釈を間違ってました。
勝手に思い込んでましたが、サイキックと言う感じでは無いような。
大変失礼しました。
半端な知識でベラベラと申し訳ない(>_<)
作家さんによる細かい設定等も自由度が高いみたいですし、勝手な思い込みを除いて読べば、この部分も面白かったです。
もうちょっと派手な方が好みと言うのは変わりませんが、事件自体はこう繋がるかって感じで。
あと、何だかんだ言いつつ、藍染の不器用さだったり終盤での溺愛っぷり、と言うかデレデレっぷりも大変好みな為、勝手ながら「萌2」に変更させていただきます。
失礼しました。

8

一部を除けばとても趣味なのです

センチネルバース……「初耳?」と思い用語解説を読んだら思い出しましたよ。
あー、ドラマの『センチネル』かぁ!一話だけ(それも途中の)流し見したことある。
『センチネル』という特殊能力を持つ人類がおるのですが、その能力を使い過ぎちゃうとこの人たち、バーンアウトしちゃうんです。それを救えるのは『ガイド』という人たちだけで、燃え尽きちゃって他所の世界(これ、精神世界なのかな?何にしても辛い世界なのは間違いない模様)を彷徨っているセンチネルに力を与えてこの世に連れ戻す役割を持っているんです。
で、センチネルとガイドの間には肉体的にも精神的にも強いつながりがあると、2人ともより大きな力を持てるという設定の世界(だと思う。拙い説明で申し訳ありません)。

一般的な『バース』物語というのは、実はあまり得意じゃないのです。
運命に翻弄される人たちの話は好きなんですけれども『運命ってものは偶然の産物で、人の動向によってはそれが大きく変わってしまう』っていう世界観の方が好きなんですよね。
「でも最近は『その運命に抗う』っていうオメガバースも多いし、それほど読んでいないけど今城さんの『お仕事もの』って割と好きだし」ということで手に取りました。

で、その結果どうだったかと言えば「割と好きかも」というのが大雑把な感想。
まず、田舎暮らしと言うか『便利で快適なのが必ずしも楽しい訳じゃない』ということが繰り返し書かれていますが、これにいたく共感してしまして。
色々なことを上手くやれずに、おまけに原因不明の体の不調まで抱えてしまう主人公の唱が、都会から田舎に転地して(それも島だ)テレワークをしながら、自分の生きていくペースを徐々に取り戻していく感じがとっても良い感じだったんですよ。

そんでもって、唱が仕事をしているコワーキングスペースに突如として現れて常連さんになる藍染が、臆病な唱に近づいていくやり方も好みだったんです。
もう都会では過去の遺物となってしまったインスタントカメラを持ってきて「好きなものを撮ってみて」と言ったり(これによって唱は自分が何を好きなのか気づくんですよ。下宿している家の猫なんですけれども)紙の本を取り寄せて一緒に読んだり、レシピ本を見ながら一緒に夕飯を作ったり。
これらのシーンはかなりグッと来た。

で、いい感じで読み進んだのですけれども、クライマックスが『伝説がらみの心霊事件』でして。
まあ、センチネルバース自体がそういう事件を扱うものらしいのですけれど、それまでのお話の雰囲気と合わない気がしたんですよね。もうちょっと早いうちから「来るぞ、来るぞ。そういうのが来るぞ」という煽り的なものがあればうまく乗れたと思うのですが、私にとっては少しばかり唐突で、おいてきぼりを喰らった感じ。
もうひとつ欲を言えば、悪役がもう少しだけ複雑な方が好みだったかな。

それ以外は、ホント好きなんですよね。
臆病だけどいざという時には勇気を奮い起こす控えめな唱くんも、誠実であろうとするあまり言葉足らずになってしまって朴念仁と見間違ってしまう藍染も、そして島暮らしというゆっくりとした時間の中で徐々に間合いを詰めていく2人の間に生まれる想いも、読んでいてホワンとしました。

7

オカルト要素が無ければもっと楽しめたかな

二回読み直した後の批評寄りの感想です。
この構成を許した編集担当の責任もあると思う。
この作品は小説というより、センチネルの解説書に近い構成。

Ωやセンチネルは、バース・ルールが分からないと面白味が深まらない。ルールが分かると、とっても面白くなる。
でも、作品全体をセンチネルのルール解説書のように構成する必要は無いと思う。
作品中にセンチネルの解説を長めに盛り込むより、他に方法はなかったのかなー、と残念。
巻末に近づくにつれて、文のタッチが段々淡泊になって、緊迫感よりも、面白味が薄れていくのでした。

センチネルやオメガバースは、医学や科学のSF要素が濃くなると、ありそうで無い空想世界の脳内妄想ゲームとして面白味が増すと、思います。
現代を背景にしたリーマンものを土台にしている物語に、ガイドとセンチネルがテレパスやオカルト能力を発揮するという設定は、センチネルバースと違うような気がしたし、ガイドとセンチネル相互の共感ではなく、番以外の不特定多数に発揮する共感共鳴というルール付けは、特にセンチネルバースではなくてもよいのではないかと思いました。

次作に期待。

2

センチネル

麻々原先生の挿絵目当てで購入。近未来で、初めて読む設定のお話でした。設定はとても好きなタイプでしたが、途中から色々混ざってきちゃって、好きな路線から少し外れた感があったので萌にしました。とっても繊細な青年が自分の進む道を見つけるお話とでも言えばよいかな?本編260P+後日談16P+あとがき。

うつ病と診断され、都会から5時間ほど離れた緒可島でリモートワークしている唱(しょう)。シェアオフィスの店長さんの知り合い(おばあちゃん)家で下宿しています。ある日そのシェアオフィスに新しい人がやってきて、カッコいいのだけど、唱はなんだか苦手だなと感じていて・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
美鈴さん(受け下宿先のおばあちゃん、ほっこり優しくって好き)、ワサビ(美鈴さんの家にいる猫、受けにとても懐く)、シェアオフィスの店長さん、島の方々、室尾(島に来たウェブライター)、政治家等。

**不思議な世界について

センチネル=五感に突出した能力を持つ人間(今回の攻め)。ガイド=センチネルをサポートする人。センチネルがオーバーランした時には救出できるらしい。ということで、初めて読む設定でした。受けさんは後天的にガイドになり、センチネルに望まれたら、自らの希望にかかわらずセンチネル優先でサポート役にならなければならないという点でとても臆病になっている、繊細な繊細な青年。
育ちゆえのところもあり、びくびくしていたからか、すっかりうつ病になっていて、庇護欲そそられまくり。麻々原先生にこのような繊細な感じの受けを描いていただくと、もうぴったりやん!と、個人的には大満足・・・うっとり。

攻めさんはセンチネルで努力して成功している、威風堂々という印象の方。おくびょうな受けさんをなんとか守りつつ開放したいと考えて、ゆっくりゆっくり近づいているところが良かったです。紳士。

前半はいいなあと読み進めていたのですが後半ある事件が起こって、ピンチになった攻めさんを受けさんが助けるのですが。

その事件の元ネタになったものが今一つ自分ではこのお話からは違うように感じられて、少し残念だったんです。じゃあ何が良かったの?と言われると、何だろう・・・?と思うし、五感に優れているセンチネルの能力やガイドの能力を説明するのに必要じゃんとは思うんですけどね・・・難しい。
単に人間の繊細な心の動きだけで勝負してほしかったのかな。

ちょっと展開で期待とは違うところがありましたが、繊細で真っ白な受けさんが気になる方は是非!
受けの独り言聞き役に徹した猫のワサビさんも結構ご活躍で可愛いです!

1

思いやりも過ぎると逆効果

今回は予知システムの開発会社のCEOと
リモートワークで離島暮らしをするプログラマーのお話です。

センチネルとの接触に怯えていた受様が攻様のつがいとなるまでと
恋人になってからの後日談短編を収録。

この世界には五感に優れた超感覚者であるセンチネル、彼らをみちびく
役目を果たす資質を持つガイドがいます。

一般人であるミュートと違い、センチネルとガイドはほぼ先天的な有資
格者です。たいていのセンチネルは社会のトップに昇りつめ、成功者に
なるものが多いのです。

しかしながら彼らは行使する能力の限界値を超えてしまうと、自力自身
の意思や力では引き返せず、五感の全てが損なわれ俳人になる恐れがあ
り、その状態の彼らを引き戻す役目を担うの存在がガイドなのです。

センチネルがどんな深い意識の底に落ちても現実の世界に戻る事の出来
るガイドはセンチネルをサポートすべき存在でガイドへの助力要請は人
命救助と同義と解される為、ガイドは呼び出しに対する拒否権はあるも
ののその実態はケースバスケースとされます。

センチネルのサポートができる以外は平凡な能力しか有さなくてもその
能力ゆえにガイドはとても貴重であり、専門機関下にて管理され、講習
の受講と定期的なメンタルチェック、シールドを行使してトラブルを
避ける事は必須とされます。

AIが発達した近未来、受様はオフィス用システムの構築と提案をする
会社にてプログラマーとして目立たぬまま黙々と働いている青年です。

親の愛情に恵まれず施設で育ち、目立たぬようにコツコツ働き、都心の
ワンルームとオフィスを往復する日々を送っていました。

ところが1月半ばのある日、受様は通勤途中に脳が優れるような激しい
頭痛に見舞われて倒れ込んでしまいます。意識を失う寸前に自分を助け
てくれた誰かに謝罪されたように感じますが、目覚めた病院では誰が
受様を助けてくれたのかは判りませんでした。

受様はこの出来事で後天的にガイドの能力に目覚めますが、頭痛の原因
は不明で、各種検査によるメンタルチェックは惨憺たるものとなります。
うつ状態になった受様は退職を希望しますが、受様の仕事ぶりを惜しん
だ課長に転地療養を兼ねたリモートワークを薦められます。

受様は課長の親戚が住む小島で営むシェアオフィスを紹介されて逃げる
ように移り住みます。下宿先とシェアオフィスを往復する単調な生活は
以前にも似ているのに、都会とは全く違う自然の景色は受様を癒し、島
での静かな生活は思った以上に受様の性に合いました。

島のシェアオフィスは都会から来るリモートワーカーを対象とした施設
で利用者の大半はネット環境を求める人種ですが、漁業くらいしかない
島に長く留まる人はあまりいないのも幸いしました。

しかし、受様が島に気て2ケ月が過ぎた頃、新規の男性客がやってきます。
他人に関心のない受様が見ても申し分のない容姿で、他者を軽々と圧する
ほどの雰囲気を有した彼こそが、今回の攻様になります♪

攻様は受に親し気に声を掛けてきますが、受様は不愛想な受け答えしか
できず、迷って固まってしまいます。攻様は受様を困らせたと謝罪を口
にしますが、その言葉に受様の胸はざわつき、頭が割れそうに痛くなっ
てしまうのです。

攻様に抱き止められて倒れる事こそ防いだものの、攻様から離れなけれ
ばという切羽詰まった気持ちでオフィスを後にすることになります。

攻様との出会いが受様にもたらすものとは!?
そして攻様が受様に接触した目的とは!?

今城さんの新作はある理由で受様を探し求めたセンチネルの攻様と後天
的とにガイドとなった受様のセンチネルバースです。

センチネルバースという設定を知らずに読んだのですが、オメガバース
同様、主設定はあるものの作家さんによって設定やアプローチが異なる
ようで本作だけで「センチネルバースいいね♪」とはならなかったです。

受様が親との縁が薄く他人との関係を築くのが得意ではなく、社会的に
も頼る人もなく、ほぼ殻に閉じこもって過ごしている青年だったので、
良くも悪くも上流階級でセンチネルとガイドの関係をよく知る攻様は、
ゆっくりと近づく事を選ぶのですけど、基本的に攻様の受様へのアプロ
ーチの仕方が凄くまどろっこしいのですよ (>_<)

本作は受様視点が主ですが、攻様視点で攻様側の事情も挟みながら進む
のですが、それぞれの価値観と視点が違い過ぎて、すれ違いのハラハラ
感を盛り上げる感じではないのがすごく惜しいと思いました。

受様をガイドとして狙う人物として、政府機関との密約で優先順位を主
張する政治家との駆け引きや、島に滞在して受様がガイドだを知り契約
を望むフリーライターとの対決に加えて、受様にセンチネルがどういう
ものかを判らせるためだろう島の伝説となった怨霊を鎮める事件は盛り
込み過ぎに思えました。

もうすこしスッキリ・・・とは思いますが、攻様の言動のモヤモヤを除けば
受様が徐々に攻様に心を開いて、自分自身のガイドという資質を受入れ
ていく過程はかなり好みな展開でしたので「萌」評価としました。

今回はすれ違いモノで今城さんの既刊『両片想い 僕らのロード』をお薦
めとします。こちらは恋人同士がすれ違ってスッタモンダするお話です。

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