永遠にも思えた孤独に、君だけが春を運んでくれた

小説

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氷の王子と魔法使いは花の褥で恋を語らう

koori no ouji to mahoutsuka wa hana no shitone de koi wo katarau

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表題作氷の王子と魔法使いは花の褥で恋を語らう

ウィルク,25歳,呪いをかけられた北の国の第一王子
ラファ,20歳,春の魔法を使えるレガレノの森の魔法使い

その他の収録作品

  • 花の褥をもう一度
  • あとがき

あらすじ

感情が動くと、無意識に花を降らせてしまう魔法使いのラファ。
そのせいで仕事をもらえず、花を抑えられる「冬の秘宝」を求めて北の城砦へ旅立つ。
氷に閉ざされ、怪物が棲むという城で出会ったのは、
狼を従えた冷たい瞳の王子・ウィルクだった。
吹雪に阻まれて、春まで留まることになるラファ。
ウィルクに頑なに遠ざけられるが、
それは彼の「触れた者を凍らせる」呪いのせいで――。

作品情報

作品名
氷の王子と魔法使いは花の褥で恋を語らう
著者
水樹ミア 
イラスト
羽純ハナ 
媒体
小説
出版社
フロンティアワークス
レーベル
ダリア文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784866574196
4.1

(18)

(5)

萌々

(11)

(1)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
4
得点
73
評価数
18
平均
4.1 / 5
神率
27.8%

レビュー投稿数4

可愛いと花があふれてる

とにかく可愛い!
受けのラファは自分の力で人の役に立ちたいと、自立心がきちんとある成人。
ぽやんぽやんしてるわけでも、天然ちゃんでもないのにもうほんとーーーーにかわいい!
純粋で悪意のない村で育ったからただただ気持ちがすっきりしてる。
朗らか。
そして嬉しいと花を降らせちゃう。
かわいいーーー!!
白雪姫みたいに森で妖精(白雪姫は動物だけど
と話してる。
可愛いーーーーーーー!!

と、とにかく可愛いです。
ストーリーも王道ながらしっかりしていて、BLの名に相応しくラブもしっかりあります。

イラストの羽純ハナさんもとても合っていて、すごくよかったです。

5

某童話を彷彿とさせるが

あらすじを拝見してめっちゃ面白そう!と思い手に取りました。

水樹さんの新刊は魔法使いのお話。
主人公は魔法使いですが、なんとなく「美女と野獣」を彷彿とさせるお話でした。ネタバレ含んでいます、ご注意ください。





主人公は魔法使いのラファ(20歳)。
魔法使いの住む村の長を務める父と、優しい兄姉に恵まれ幸せな日々を過ごしているラファだが、彼には悩みがある。

本来魔法使いは18歳になると成人と認められ、各々が持つ魔力を生かして人間たちの役に立つために村を出るのが慣習。が、しかしラファは20歳になった今も村を出ることを許されていない。

それはラファの持つ魔力のせい。
ラファは「春の魔法」を使えるが、彼が幸せに感じると花を降らせてしまう。それ故にラファが魔法使いだと他の人たちにバレてしまうが、魔法使いは希少価値が高いため人間につかまり奴隷にされてしまう可能性が高いからなのだ。ラファの父は、魔法使いの長として、そして愛する息子を守るため、ラファが村から出ることを許可してくれないのだ。

けれど村から出て自分の魔法を用いて他の人の役に立ちたいと望むラファは何とか花を降らせる能力を抑え込みたい。そんなラファに彼の友達である精霊のリリが教えてくれたのは「冬の秘宝」と呼ばれる魔法具の存在。「冬の秘宝」を見つけるために、ラファとリリはとある場所に赴くが―。

というお話。

「冬の秘宝」があるのは怪物が住むという城。
そこに向かったラファは、城に一匹の狼と共に住まう一人の青年・ウィルクに出会う。彼が件の「怪物」なのですが、ウィルクが怪物と言われるのには理由があって。

閉ざされた城に一人きりで(狼も一緒だけど)住んでいる見目麗しい青年。
そこにやってきた、美しく優しい少年。

うん。
美女と野獣じゃん?

と思いつつ読み進めましたが。

手に取ると結構分厚い作品で、ページ数も多い作品なのですが、一言で言ってしまうとほのぼのなお話です。

バックボーンとしてはかなりシリアス度の高い作品なのですが、ウィルクとラファが早々に心を通わせてしまうのでベースとしては終始ほのぼのな感じ。この展開でこの厚さ。どうストーリーを展開させていくのかと思いましたが、なかなかどうして、めっちゃドキドキしたー!

痛い展開…、になりそうで、でもならない。
この終始ほのぼのな展開がお好きな方と、もう一波乱起きてほしいと思う方と、好みが分かれそうです。

個人的にはもう一波乱起きてほしいなと思うタイプなのですが、もうね、この二人がめっちゃ可愛いの。ラファなんて、いい意味で箱入り息子、っていうのかな。素直で人の悪意を全く感じなさそうな好青年なんです。

描き方によっては純粋、というよりも愚鈍、にもなってしまいがちな青年ですが、水樹さんの描き方がお上手だからか好青年にしか感じない。ウィルクへの、ひたむきな愛情が読者に流れ込んでくるからかも。

ストーリーとしては、バッサリ言ってしまうと王道というか先の先までスーッと見通せる展開。でも、このベタな感じがまた良い。ラファの家族も、いい味出してます。

痛い展開はあまり好きじゃない。
スパダリに可愛い受けちゃんが愛でられるお話が読みたい。
でも、受けちゃんもカッコいいのが好きなのよ。

そんな腐姐さまにぜひとも手に取っていただきたい、非常に可愛らしいお話でした。

8

花降り舞い落ちる

その手でそっと触れただけで生き物を凍らせてしまう。冬の呪いをその身に背負い、冷たい氷に閉ざされた北の城壁で孤独に生きる麗しい王子様がおりました。

お伽話のような読後感の、優しくて可愛らしいお話でした。すごく好きです。
攻めであるウィルクが受けた呪いの設定もあって、氷や冬という言葉や表現が多く登場するのですけれど、作品全体に流れる空気はふわりとあたたかい。
色とりどりの花が柔らかな春風とともに優しく舞っている。そんな印象を受けました。
魔法や精霊が存在する世界ではありますが、とっつきにくい設定はありません。混乱せずにするすると世界観に入り込めるかなと思います。

"レガレノの森"と呼ばれる、優秀な魔法使いが多く生まれる村で暮らす「春の魔法」が使えるラファ。
動植物の育成の手助けが出来たりと、なんとも平和な魔法なのですが…ラファが嬉しくなったり楽しくなったりすればするほど、精霊たちが周囲に花をぽこぽこと降らせてしまうという、可愛らしくも困ったことになってしまい、すぐに魔法使いだとバレてしまうわけで。もう可愛い。
そんな中、魔法を制御出来るかもしれない秘宝の存在を知り、秘宝を求めて北の城壁へと赴くと、そこには呪われた王子がいて…

こちらのお話。氷の世界で出逢った2人が、少しずつ心を通わせて雪解けていく様子がなんだかくすぐったくて楽しくて可愛いんです。
ラファという子がですね、なんというか嫌味のない善良さのある気持ちの良い子なんですよ。
それに加えて、めげない・しょげない・前向きの三拍子も揃っている。感情によって花が降って来てしまうのもあってか、嘘のない素直な子です。

冬の寒さの中で孤独に暮らしていたウィルクの元に現れた、春風のようなラファ。
お互いへの印象の変化や好意が積み重なる描写にも無理がなく、気持ちが寄り添い合う2人の姿が微笑ましかったです。
特に、王様と魔法使いごっこがすごく可愛くて頭を抱えた。この2人、なんて可愛らしいの…?
そして、タイトルにもある"花の褥"がもろもろのエピソードも含めてたまらなく良いなと。ウィルクがアレを作ったのを想像すると笑ってしまうやら微笑ましいやら。
ウィルクのストレートな気持ちの伝え方もまた良かった。攻めも可愛い。

ほのぼのとした王道ストーリーならではの良さがあります。優しいお伽話がお好きな方にぜひ一度読んでいただきたいな。
原稿を書いている間楽しくて仕方がなかったと、あとがきで水樹先生が書かれていますが、お話を読んでいてそれが伝わってくるのが素敵。

雪が解けると何になるでしょうか?
今はまだ冬の季節ですが、作品を読んで一足先に春を感じてぽかぽかとしました。
一緒に居ると楽しくて仕方がない2人、すごく良かったです。

2

おとぎ話のような素敵な話



生物を氷漬けにしてしまう呪いに侵された文字通り「氷の王子」と春の加護をもつ魔法使いの運命的な出会い


春の加護をもつ魔法使い・ラファ(受け)は感情が動くと勝手に花が舞い散るという、強すぎる加護をもっています。
ラファたち魔法使いの村では成人を迎えると、各国からの要請に従い、必要な場所へ魔法使いを派遣しているのですが、身を守るすべのない魔法使いゆえ魔法使いだとすぐにわかってしまうラファは外へ出してもらえません。
外へ出たくてたまらないラファは花が舞い散らないくらいに加護を抑えることができる魔道具「冬の秘宝」の話を聞き、北の城砦へ向かうのです。
そこには化け物と恐れられる触れたものを凍らせてしまうこの国の第1王子ウィルク(攻め)が住んでいたのです。
強い寒気で雪に閉ざされてしまった城砦から出られなくなったラファはウィルクの厚意で春まで城砦に住まわせてもらうことになります。


他のレビューでも「美女と野獣」のようだと評されていましたが、「美女と野獣」ならぬ「美人と美丈夫」でした。
暗殺者から守るためにかけられた魔法が強くなりすぎて歪み、他人から守ることはできるけど他人と全く触れ合うことができなくなって隠棲しなければならなくなった第一王子ウィルク。
他人に恐れられることもさることながら他人を間違って凍らせてしまわないようにと隠棲するウィルクは、いつかこの呪いが解けたときのために、勉強や鍛錬を欠かさない優しい青年でした。

ラファは華奢で女性と見まごう美しい容姿をした青年ですが見かけによらず強気で決断力もあり物怖じしません。
閉ざされた北砦に居候することになっても、自分の魔法でできることをし、他人を拒むウィルクに話しかけにいったりと行動的です。
強い春の加護を持つラファは躊躇なくウィルクに触れ、自分は凍らされないことを証明し、ウィルクに10年ぶりに他人とのふれあいを与えます。



気分が高揚すると降ってくる花弁や花。
加護なのに呪いのような力をもつラファと生物を凍らせる呪いをもつウィルク。
二人の恋は早々に成就するので、二人の呪いがどうなるのか、王位継承は?
というのが話を面白くさせていました。

途中はらはらしたり切なくなったりしますが、全体的にとても優しいお話(絡みは多めですが)で本当におとぎ話を読んでいるようでした。


そして、話を一段と面白くさせているのは妖精の鳥のリリと狼のルークです。
ルークは主人に忠実な寡黙な妖精ですが存在感があり、リリはとてもおしゃべりでとてもかわいく癒されるうえ、とても有能。
妖精だから交尾とか言っちゃうし、二人が盛り上がっているときでも冷静に「違うところでやってくんない」とか「(花に)埋もれてしまう」とか言っちゃうし、気に入らないルークには最後まで態度悪いしでリリが登場するととたんににぎやかになり楽しかったです。

そして、作者様もあとがきで仰っていましたが、イラスト中にいるリリが可愛すぎます。ラファの頭に乗ってたり(二人と一羽の可愛さ倍増でした)ベッドの端っこにいたりと小さいのに存在感ありすぎです。


それにしても、二人のベッドは大量の花に埋もれてさぞかしいい匂いがするんでしょうね。とてもロマンチックですが、掃除大変そうです。
二人が花を舞い散らしながら歩いている姿は想像するだけで、楽しく優しい気持
ちになれそうです。
「めでたしめでたし」という慣用句がぴったりなお話でした。

2

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