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若様は初恋姫を一途に甘やかす

wakasama wa hatsukoihime wo ichizu ni amayakasu

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表題作若様は初恋姫を一途に甘やかす

一式惟光,26歳,大名・一式家の次男
宮,17歳,尼寺育ちの少年

その他の収録作品

  • 蓮華の祭り
  • あとがき

あらすじ

山奥の尼寺育ちの少年・宮は江戸にある大名家の下屋敷に奉公に行くことに。そこには文武両道で役者顔負けの男ぶりである一式家次男・惟光が住んでいた。公にしていないが彼は将軍のご落胤だという。惟光の屋敷で客人のようにもてなされる宮は、手伝いに来たはずなのにと不満に思うけれど、何でも出来て自分に優しくしてくれる惟光に淡い気持ちを抱くようになる。屋敷に集まる個性的な友人たち、江戸の楽しい街並み。尼寺では感じられなかったさまざまな体験をして宮はずっとこんな風に過ごせたら、ずっと惟光といられたらと思うようになるけれど宮には誰にも告げてない秘密があってーー。

作品情報

作品名
若様は初恋姫を一途に甘やかす
著者
ナツ之えだまめ 
イラスト
陵クミコ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784344847811
4

(33)

(11)

萌々

(16)

(4)

中立

(0)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
7
得点
131
評価数
33
平均
4 / 5
神率
33.3%

レビュー投稿数7

シリアスと、可愛さと甘々のバランスが絶妙。

あらすじに惹かれて購入。

んー。
可愛い…!

読後の感想は、まずそれでした。バックボーンはドシリアス、なんですが、もうとにかく可愛い。癒される。ほのぼの。シリアスと、その可愛さのバランスが絶妙でした。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





舞台は江戸。
山奥の庵に、尼の祖母と数人の尼さんと暮らす「宮」と呼ばれる少年が主人公です。

宮が、ある一人の男性の依頼を受け「橋姫の儀」を受けることを承諾したこと。
そして、その儀を、祖母である真定尼が受け入れないように勧めていること。

という描写から物語はスタートします。

「橋姫の儀」を宮に受けてほしくない真定尼は、宮を江戸の町に行かせることにするが、その滞在先として真定尼が選んだのはとある大名の次男坊の家で―。

というお話。

「橋姫の儀」とは何なのか、祖母がその儀を孫に受けさせたくない理由は何なのか、宮に「橋姫の儀」を受けるよう依頼してきた人物は誰なのか。その辺りは全く謎のまま、宮が江戸の町に赴き、物語はお江戸の町に移行します。

宮を受け入れてくれたのは名だたる大名・一式家の次男の惟光。

何か秘密を抱えた美少年がスパダリのもとで幸せになるお話かな?と思いつつ読み進めましたが、実は惟光にも秘密がある。

この秘密、は、あらすじにも書かれているので書いてしまいますが、惟光は現将軍のご落胤。という身分。ちょっと既視感のある惟光という男性の身分なのですが、彼の身分ゆえの葛藤が、彼にはあって。

将軍の息子、という立場が、惟光を幸せには、していない。

そんな複雑なバックボーンのある惟光と、何やら秘密を抱える宮との恋を描いたお話です。

さすが人気作家さま、と言って良いでしょう。
もう、ストーリー展開が秀逸です。

宮という少年が抱えるもの。
惟光の、現在の境遇。
宮が、惟光のもとに預けられるようになった経緯。

どれも過不足なく、きっちりと伏線を回収しつつ進む展開でページを捲る手を止められませんでした。

で。

ストーリーはすんごい面白いのですが、それだけに非ず。とにかくキャラがたってる!

宮という少年は、記憶のある限り山奥に住んでいて、一言で言うならば世間知らずの箱入り息子なんですね。なのですが、心がとにかく綺麗。素直で、正直で、清廉であろうとする。そんなおぼこい宮がめっちゃキュートなのです。

そしてそんな宮を受け入れることになった惟光も。
やんごとなき出自である彼は、育ててくれた父、そして生物学的な父、将軍の落とし胤であるということによる政治的な絡み。そういったものに人生を狂わせ続けられてきた。そんな彼が出会った、宮。宮と出会い、そして彼に恋したことで、彼は「自分」を見つめなおすきっかけをも得たわけです。

そんな可愛らしいこの二人の恋を、読者は心から応援してしまう。

そして二人を取り巻く周囲の人たちも。
もうね、爆笑。
特に惟光の幼馴染で八丁堀の荒木と、女形役者の希之助。
彼らがとてもGJです。
この二人が宮に閨ごとの指南をするシーンが…、可愛い!

あとがきでナツ之先生が彼ら二人について語っていますが、ぜひとも二人を幸せにしてあげて欲しいです。

ストーリー良し、キャラ良し、甘々とほっこり、そこにシリアスさもバランスよくミックスされ。

文句なく、神評価です。

7

ほのぼの路線かと思いきや

今回はと大名家の次男坊と尼寺で育った青年のお話です。

訳ありな受様が出生の秘密を抱える攻様の伴侶となるまでと
本編後のとある日を描いた続編を収録。

時は江戸時代。
二百以上の藩をかくかくの大名が統治し、
国全体を征夷大将軍を頂点とする徳川幕府がおさめています。

攻様は20万国の大名である一式家の次男です。
受様の父は老中までつとめた男で当主の座を長男に譲り、
引退した今でも将軍にあつい信頼を受けています。

本来であれば次男である攻様は
江戸城への登城も留まれない身なのですが
今現在、中奥の将軍の私室に通されて身を伏せていました。

そして現れた将軍は攻様に親し気に声を掛けてきます。
というのも攻様は一式の父の妹が産んだ
将軍の落とし胤なのです。

攻様の出生は公然の秘密、暗黙の了解ですが
攻様はいつも将軍との間を測りかねていました。

将軍の正室の産んだ男子はまだ12であり、
26である攻様が正式な跡継ぎと認められれば
江戸城内が真っ二つにわかれる事は目に見えています。

かと言って正式に後継者から除くならば
国持ち大名でなければ体裁が整いませんが
それ相応の領地を誰かから取り上げる事になりかねず
攻様の立場はとても微妙なものなのです。

そんなある日、
攻様は一式の父から知り合いから頼まれたとある人物を
一月ほど面倒を見て欲しいと頼まれます。
この人物こそ今回の受様になります♪

受様は山奥に庵を構える尼僧の孫息子です。
数か月後に治水工事の無事を祈る「橋姫の儀」を行う事を
工事を担っているある公家から打診されています。

受様は自分にできる事ならばと引受けるのですが
祖母は受様を公家から遠ざけるべく
人出不足な一色家への手伝いと言う名目で
江戸へと送り出すのです。

受様は攻様の暮らす蓮華屋敷の預かりとなりますが
何やら心に秘密を抱えているようで・・・

出生の秘密を抱えて目立たないように生きている攻様に
尼僧に育てられた受様が預けられる事で始まる恋物語です♪

複雑な出生故に自分を抑えて生きる事を強いられる攻様が
世間知らずながらも素直でまっすぐな心根をもつ受様と
接するうちに徐々に惹かれ合っていくのほのぼのとした
お話かと思ったのですが

受様もまた人にも言えない秘密を抱えており
それ故に「橋姫の儀」を行う事を決意していたのです。

「橋姫の儀」とはどういう儀式なのかは
読者にはなかなか明かされませんが
治水工事の無事を祈るための儀式と言われれば
そう難しくなくどのような儀式かは想像がつきますよね。

2人は徐々に惹かれ合っていきますが
受様の担う「橋姫の儀」の決行日も近づいてきて
儀式を主宰する公家の手が受様に迫ってきます。

攻様の抱える複雑な背景と
受様が隠し続ける過去の事件の真相が絡まり合い、

ハラハラ&ドキドキが最高潮に達した時に明かされた
受様を苦しませ続けた事件の真相には
まさにヤラレタ!! しか言いようがなく、

膠着していた攻様の御落胤と言う立場までも
キチンとした落ち処を見せての大団円で
たいへん楽しく読ませて頂きました ヾ(≧▽≦)ノ

攻様や受様に絡む脇役たちも個性派揃いで
攻様碁会所仲間達のチャチャや賑やかしに
ニマニマしちゃいました♡

3

面白くて最後はスッキリするお話

ナツ之えだまめ先生が後書きで触れている通り、何ちゃって江戸物語でとても楽しめました。

宮があまりに無垢なのには理由があるのですが、その過去の真相が最後に明らかになります。
それまでを推理するのも面白かったし、悪者の暗躍にハラハラしていつ罪が明らかになるのかとドキドキして夢中になりました。

やっと両思いになってからも、無知な宮に誘われて肩透かしにあった攻めの惟光が気の毒で可笑しくて最高でした。

もう時代劇における全ての要素が詰まっている上に、女形役者の希之助や同心の荒木が閨事を宮に教えるシーンなどはユーモアがあって爆笑してしまいました。

勧善懲悪のスッキリさや江戸の人情の温かさもあって最後までとても楽しめた作品でした。

将軍光政と惟光が1つの葛まんじゅうを分け合うシーンや、宮と彼の祖母である真定尼の別れのシーンまであって1つの作品としてこんなに完結している作品は珍しいと思いました。

3

訳アリの二人の恋

山奥の尼寺育ちの少年・宮は、本当の名を隠して祖母の尼寺で育てられていた。
酒井が持ちかけたご法度の「橋姬の儀の人柱役」を自ら引き受ける宮。
宮は、両親を焼死させたのは自分の過失と思い込んでいる。

一式家次男・惟光は、将軍のご落胤。実母の希望で、母の実家・一式家の子として養育されている。

宮の橋姬の儀までのひと時を、祖母の言いつけで一式家に逗留することになる。
訳を問わず、一式家の世話になる宮。純粋無垢な宮に惟光は惹かれていく。
江戸で火事が起き、被災者受け入れを拒む酒井家の代わりに、町民の願いをうけた一式家が受け入れて助けたことを、酒井が宮の江戸入りを知って、宮を拉致、人柱として宮を処分しようとする。

宮は、自分の過失で出火して両親が焼死したと思い込んでいたが、犯人は酒井だった。
・・・酒井を惟光が成敗して、円満解決。ドラマ暴れん坊将軍のような展開でした。
BLファンタジーのなんちゃって歴史もの。

1

宮の清らかさ

宮視点のモノローグを読んでると、なんだか朗読劇を読んでるみたいです。
「宮は〜なのです」って可愛い!!

旦那さまも宮にメロメロなのです!

色々事情がある二人が出会ったら…。何も執着がなかったはずが、欲が出て。

宮がキスをねだったり、してやった!みたいなところがとっても可愛かったです。
あと、同衾したと嬉しそうにするのも、本当に抱き合って眠っただけで…。

二人ともとっても良い人だし、碁の常連客も良い人ばかりで助けられ。

江戸人情ものですかね。

0

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