【電子限定おまけ付き】【イラスト付き】
宮視点のモノローグを読んでると、なんだか朗読劇を読んでるみたいです。
「宮は〜なのです」って可愛い!!
旦那さまも宮にメロメロなのです!
色々事情がある二人が出会ったら…。何も執着がなかったはずが、欲が出て。
宮がキスをねだったり、してやった!みたいなところがとっても可愛かったです。
あと、同衾したと嬉しそうにするのも、本当に抱き合って眠っただけで…。
二人ともとっても良い人だし、碁の常連客も良い人ばかりで助けられ。
江戸人情ものですかね。
山奥の尼寺育ちの少年・宮は、本当の名を隠して祖母の尼寺で育てられていた。
酒井が持ちかけたご法度の「橋姬の儀の人柱役」を自ら引き受ける宮。
宮は、両親を焼死させたのは自分の過失と思い込んでいる。
一式家次男・惟光は、将軍のご落胤。実母の希望で、母の実家・一式家の子として養育されている。
宮の橋姬の儀までのひと時を、祖母の言いつけで一式家に逗留することになる。
訳を問わず、一式家の世話になる宮。純粋無垢な宮に惟光は惹かれていく。
江戸で火事が起き、被災者受け入れを拒む酒井家の代わりに、町民の願いをうけた一式家が受け入れて助けたことを、酒井が宮の江戸入りを知って、宮を拉致、人柱として宮を処分しようとする。
宮は、自分の過失で出火して両親が焼死したと思い込んでいたが、犯人は酒井だった。
・・・酒井を惟光が成敗して、円満解決。ドラマ暴れん坊将軍のような展開でした。
BLファンタジーのなんちゃって歴史もの。
ナツ之えだまめ先生が後書きで触れている通り、何ちゃって江戸物語でとても楽しめました。
宮があまりに無垢なのには理由があるのですが、その過去の真相が最後に明らかになります。
それまでを推理するのも面白かったし、悪者の暗躍にハラハラしていつ罪が明らかになるのかとドキドキして夢中になりました。
やっと両思いになってからも、無知な宮に誘われて肩透かしにあった攻めの惟光が気の毒で可笑しくて最高でした。
もう時代劇における全ての要素が詰まっている上に、女形役者の希之助や同心の荒木が閨事を宮に教えるシーンなどはユーモアがあって爆笑してしまいました。
勧善懲悪のスッキリさや江戸の人情の温かさもあって最後までとても楽しめた作品でした。
将軍光政と惟光が1つの葛まんじゅうを分け合うシーンや、宮と彼の祖母である真定尼の別れのシーンまであって1つの作品としてこんなに完結している作品は珍しいと思いました。
私、恋愛において一番強いカードは『無邪気』で間違いなしと思ってるんです。
特にお育ちが麗しい方々の無邪気は無敵なんじゃないかと思いますね。
忖度の必要がないんで素直なまま育っちゃいました良家のお子様が、俗世を知らない為に巻き起こすお笑いってものは、可笑しいけれど品が良い。
こちとら庶民は「秋刀魚は目黒に限る」と言った殿様を笑いますけど、それ以上に可愛らしいもの、愛すべきものと見ちゃうんですな。
このお話の受け様はまさにその様な方で!
そんでもって、時代劇における最強カードのひとつが『ご落胤』。
なんと、攻め様はこれをお持ちで!
ちゃっかり旗本とかになっちゃって、ご自由な暮らしをしている訳じゃないところがちょっとばかり不憫さを感じますが、でもご自分のお屋敷に碁会所を作られて、身分に関わりなくお気に入りを出入りさせている所なんざぁ、上手いことやっておりますな。
つまり『高貴な生まれの無邪気な受けさま』と『くすぶっているご落胤の攻め様」という最強カップルだけではなく、碁会所にたむろする堅物の岡っ引き、陰間上がりの人気役者、情報通のかわら版やなんていうエンタテインメント時代劇に必要なものが全部そろっていると来た。これで、公家大名家のお家騒動に係る一波乱、その中での若いふたりの恋を描くとなりゃ、面白くならない訳がない。
……なんですけれどもね。
で、実際面白かったんですよ、うん。
でも、時代劇好きの私は、どうしても我慢できないことがあったのですよ。
それは月代なんですね。
何故、BL時代劇の多くの『ガッコいい』武士には月代がないのでしょう。
宮にもないのよ。
物語の中では、子ども扱いされた宮が「宮は子どではありませぬ」と言うシーンが何度もあるんですけれども。
いやいや、月代がない武家の男子は子どもなんだよね。
ただ、宮は公卿なのかもしれないので(作中の『公家大名』っていうのが不勉強で良く解らないのですよ)それならなくてもかまわないです。
でも、流石に惟光は!
髪型について触れられた文章はないのですが、イラストには月代がないんですよ。
うーん、由井正雪のポニーテールバージョンみたいな髪型に見えます。
これね、ナツ之さん&陵さんに限った話じゃないんです。
月代、駄目ですかね?
登場人物の頭にあると萌えの障害になりますか?
あたしは「カッコいいではないですか!」と思うんだけどなぁ。
あ、あともうひとつ。
こっちは単なる好みの問題なんですが『接吻』よりも『口吸い』、『愛している』よりも『情が湧く』の方が浸れました。
『和合』についてのご説明や、実際にいたしている際の言葉の選び方は大層素敵で、大笑いさせていただいたものですから「明治以降の言葉じゃないのを使って欲しいな」などという欲をこいたという次第です。
今回はと大名家の次男坊と尼寺で育った青年のお話です。
訳ありな受様が出生の秘密を抱える攻様の伴侶となるまでと
本編後のとある日を描いた続編を収録。
時は江戸時代。
二百以上の藩をかくかくの大名が統治し、
国全体を征夷大将軍を頂点とする徳川幕府がおさめています。
攻様は20万国の大名である一式家の次男です。
受様の父は老中までつとめた男で当主の座を長男に譲り、
引退した今でも将軍にあつい信頼を受けています。
本来であれば次男である攻様は
江戸城への登城も留まれない身なのですが
今現在、中奥の将軍の私室に通されて身を伏せていました。
そして現れた将軍は攻様に親し気に声を掛けてきます。
というのも攻様は一式の父の妹が産んだ
将軍の落とし胤なのです。
攻様の出生は公然の秘密、暗黙の了解ですが
攻様はいつも将軍との間を測りかねていました。
将軍の正室の産んだ男子はまだ12であり、
26である攻様が正式な跡継ぎと認められれば
江戸城内が真っ二つにわかれる事は目に見えています。
かと言って正式に後継者から除くならば
国持ち大名でなければ体裁が整いませんが
それ相応の領地を誰かから取り上げる事になりかねず
攻様の立場はとても微妙なものなのです。
そんなある日、
攻様は一式の父から知り合いから頼まれたとある人物を
一月ほど面倒を見て欲しいと頼まれます。
この人物こそ今回の受様になります♪
受様は山奥に庵を構える尼僧の孫息子です。
数か月後に治水工事の無事を祈る「橋姫の儀」を行う事を
工事を担っているある公家から打診されています。
受様は自分にできる事ならばと引受けるのですが
祖母は受様を公家から遠ざけるべく
人出不足な一色家への手伝いと言う名目で
江戸へと送り出すのです。
受様は攻様の暮らす蓮華屋敷の預かりとなりますが
何やら心に秘密を抱えているようで・・・
出生の秘密を抱えて目立たないように生きている攻様に
尼僧に育てられた受様が預けられる事で始まる恋物語です♪
複雑な出生故に自分を抑えて生きる事を強いられる攻様が
世間知らずながらも素直でまっすぐな心根をもつ受様と
接するうちに徐々に惹かれ合っていくのほのぼのとした
お話かと思ったのですが
受様もまた人にも言えない秘密を抱えており
それ故に「橋姫の儀」を行う事を決意していたのです。
「橋姫の儀」とはどういう儀式なのかは
読者にはなかなか明かされませんが
治水工事の無事を祈るための儀式と言われれば
そう難しくなくどのような儀式かは想像がつきますよね。
2人は徐々に惹かれ合っていきますが
受様の担う「橋姫の儀」の決行日も近づいてきて
儀式を主宰する公家の手が受様に迫ってきます。
攻様の抱える複雑な背景と
受様が隠し続ける過去の事件の真相が絡まり合い、
ハラハラ&ドキドキが最高潮に達した時に明かされた
受様を苦しませ続けた事件の真相には
まさにヤラレタ!! しか言いようがなく、
膠着していた攻様の御落胤と言う立場までも
キチンとした落ち処を見せての大団円で
たいへん楽しく読ませて頂きました ヾ(≧▽≦)ノ
攻様や受様に絡む脇役たちも個性派揃いで
攻様碁会所仲間達のチャチャや賑やかしに
ニマニマしちゃいました♡