電子限定描き下ろし漫画付き
作家買い。
吉田作品は、その可愛らしい絵柄と相反するように、腹黒さんだったり、ドシリアスな作品が多いイメージがありますが、今作品もそのイメージを損なうことの無いシリアスな作品です。甘々で、優しいストーリーを好まれる方には若干ハードルが高い作品かと思われます。
ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
表紙に三人の男の子のイラストが描かれているところからも推測できるように、三角関係のお話。三角関係ではありますが、単に3Pもの、ではない。吉田さんが描かれると、こうも複雑で、繊細な三角関係になるのかと圧倒されました。
登場人物は三人。
ほぼこの三人しか登場しません。舞台も、彼らが通う大学と、そしてアパート、ラブホくらいしか描かれていません。それでいて、今作品はめっちゃ分厚いです。その分厚さに見合った、非常に内容の濃いストーリでした。映画の様、っていうのかな。読みごたえがあります。
同じ大学に通う、小川くん、玉井くん、そして宮島くん。
大学の近くにある学生アパートに住む玉井くんの家が、彼らのたまり場。小川くんと玉井くんは幼馴染で昔からの親友。
小川くんは玉井くんのことが好き。
ずっと秘めた想いを抱えてきた小川くんだけれど、ある日宮島くんが持ってきたゲイビを一緒に見たことで彼らの関係は少しずつ変わっていく。
実は宮島くんは、小川くんのことが好きだった―。
というお話。
読み始めたとき、玉井くんと宮島くん(攻め二人)に、小川くん(受けちゃん)が愛され愛でられるお話なんだと思ったんですよ。
いやいや。
やられた。
そうよ。だって吉田作品だもの。そんな単純なお話のわけがない。
玉井くんと小川くんが幼馴染である、という過去。
子どもの時からずっと小川くんは玉井くんのことが好きだったという一途な想い。
そして、そこに入ってきた宮島くんという存在。
先述しましたが、今作品はほぼ、この三人しか登場しません。
それでいて、このストーリー展開。素晴らしい!
これ、ネタバレしてしまうと面白さ半減なので詳細は書きません。
二転三転する彼らの関係、想い、愛情。
それらを、ぜひとも手に取って読んでいただきたいです。
ちょびっとだけネタバレしますと、子どもが大人の欲望の捌け口になるシーンが少しだけ登場しています。苦手な方はご注意あれ。
愛情って、人によってカタチは様々なんですよね。
正解なんてない。
だからこそ迷い、時に間違い、右往左往する。
けれど、そこから導いてくれるのものまた、愛情なんだなーって。
沢山のものを「ミックス」して出来上がったもの。
それは、人の数だけ、愛情の数だけ、存在する。
人と比べたり、違いを探す必要なんてない。自分にとってのオンリーワンを見つけ出せばいいんだな、と思ったりしました。
三角関係を描いた作品だからなのか、エロ度はかなり高いです。
それぞれの濡れ場もあれば、3人で致すときもあります。
ちなみに、サンドイッチもあります。
このサンドイッチが、
めっちゃエロい…!
そして優しいの。
エロと優しさが混在した3Pって、サイコー!
ストーリー、キャラ、濡れ場。
どれをとっても文句なく、神評価です。
吉田先生の切ない絵に切ないストーリーが見事にハマっています。
インモラルなのに、それを感じさせないくらい美しかったです。
攻め、受け、リバのトライアングル。
ちゃんと1対1対1の関係だったので、そこがすごく良かった。
大学生の3人がゲイビを見た流れで3Pするのですが、3人それぞれに好きな人がいます。
しかし、その想いは完全に一方通行で……と、いうお話。
元々幼馴染の玉井と小川。
小川は玉井に片想いしています。
そこに大学で知り合った宮島が加わり、歪な三角関係に。
3人のバランスはとても危うくて、特に玉井と小川の切っても切れない関係は中学にまで遡ります。
玉井のために身も心も尽くす小川。
しかし、玉井は宮島に恋を……
だけど、宮島は小川に恋を……
誰がここから抜け出すのかとドキドキしました。
玉井と宮島の関係がすごく気になったのですが、玉井はあくまでも小川の幸せを願っていて、クールなイケメンなのに感謝とか後悔とか、何か熱いものを心に秘めてるのだと思いました。
宮島がとにかくいいやつ。
こう言ったらなんですが、1番モブっぽいのに作品の主人公になってた。
一途で健気で懸命な姿って、やっぱり胸を打ちますね。
玉井に振られて引きこもりになった小川の家を、1年もの間訪ね続けるって普通はできないよ。
初めは、玉井を取られるかも……と、宮島を警戒していた小川の気持ちまで絆しちゃうんだから。
バラバラになった3人が、宮島によってまた同じ時間を共有するようになるラスト。
もう、一方通行な想いじゃないと思う。
タイトル通り混ざり合ったんだ。
三角関係でもなく、これが新しい愛の形。
恋を超えた愛ですね。
3PものってHがメインで快楽追求になりがちですが、本作は3人の心情・心の動きがしっかり表現されていたのが良かった。
それぞれの気持ちが先行していたHから、混じり合った後のHの変化が素晴らしい。
宮島にしか挿れなかった玉井が小川に挿れ、玉井しか求めていなかった小川が宮島からのキスを求める。
エロさよりも感動が勝るHでした。
描き下ろしはちゃんと?エロくて、3Pならではの連結も♡
三者三様の恋心が一つの愛になる様子が丁寧に描かれ、なぜ3人でなければならなかったのか……という、一番大切なところをちゃんと納得させてくれました。
終始、切ない三角関係から目が離せませんでした。
大学生の3人がゲイビを見た流れで3Pするというあらすじを聞いただけでワクワクするお話!
でも、3人それぞれに好きな人がいるという危うさ。
どうなってしまうのか、ページを捲る手が止まりませんでした……!
元々幼馴染の玉井と小川、小川は玉井に片想いしていて、そこに大学で知り合った宮島が加わり、三角関係になる……という歪さ。
宮島の善良さにちょっとホッとする、宮島がいなかったら絶対成立していない三人じゃないのかな、と思わせるほど宮島がいい仕事していますね。
3Pものらしく連結あり、それぞれのCPで致すシーンもありと贅沢な構成になっています。
でも別に乱交って感じじゃない、恋愛描写がしっかりされているので痛々しさがなく、先生特有のふんわりとした空気感の中で行われる3Pが最高です。
サンドイッチが実にいいですね…好きだから気持ちいいことしたい、みたいな優しい部分がダイレクトに伝わってきます。
タイトルが「ミックス」ということで、初めは矢印が一方通行だった関係からグチャグチャにミックスされて混じり合って…という意味なのかな、と思いました。
3Pものにはこういう関係性に至るものが結構ありますが、私はこのタイプが一番好きです。
三角関係という言葉では言い表せないし、かといって真っ当な世間一般的な恋愛の形とも違う。
名前は付けられないけれど、これが三人の行き着いた究極の恋愛の形なのかも知れない。
この分厚さでがっつり三人のお話が読めるというのが最高に幸せでした!!
もっと早くに読んでいればよかった、と後悔するくらい。
きちんと三人でなければならないという理由付けのしっかりした、心理描写のされているエロだけじゃない3Pもので大満足でした。
3P好きだから、こういうのが読みたかった…という神作品です。
理想的な三角関係でした。どこをとっても矢印が一方通行で、1人が報われると残り2人は報われない、最終的には3人でいることを選ぶ三角関係が、個人的に好きなのかも。最初こそ、可愛らしい小川を玉井も好きなんじゃ?と思うのですが、彼は意外にも宮島のことが好きなんですよね。誰が好きか告白し合ってからは、玉井が宮島へ積極的にアプローチするようになり、段々玉井×宮島を応援したくなります。小川を好きでありながら、恋愛経験も乏しく孤独への不安を抱える宮島は、玉井のアプローチを拒みきれず、そこが可愛いんです。
しかし、玉井×宮島がいい雰囲気になったところで、気弱な印象だった小川が、実は図太さや怖いくらいの執着を持っていることが明らかになる。宮島を敵視していることも本人に伝え、自虐と報われなさへの苛立ちに壊れていく小川。それでも、宮島はそんな小川をまるごと好きだと言うんです。玉井に執着していてもいい、自分を嫌いでもいい、それだけ小川との出会いが宮島にとって世界を変えるものだったんでしょうね。健全な宮島を挟んで、徐々に鬱屈していた気持ちが緩和されていく玉井と小川。宮島と出会ったことで、2人とも閉鎖的な世界から明るい世界へ出られたんじゃないかなと思います。3人で一緒になる、という結末に不満を覚える読者もいるかもしれませんが、私は皆が納得しているなら必ずしもカップルは2人1組でなくてもいいという考えなので、すっきり読み終えられました。
吉田ゆうこ先生の作品にハマっているので、ゆっくりですが読み進めています。
先生の魅力といえば、可愛らしいのにどこか切ない絵柄に、切なくてたまらない気持ちになるストーリーの融合だと思うのですが、今回は特にそれを感じられました。
私は三角関係、もっとアレな言い方をすれば3Pが大好きなので、それだけ期待値が上がってしまうために私の中で評価が下がりやすい傾向にあるのですが、本作は最高でした。
3人が3人とも、幸せになろうともがくのに、他人を傷つけてまで幸せを掴むには少し性格が優しすぎる。
そんな3人のボロボロになりながら掴んだハッピーエンドに、グッときました。
3人のうち、特に好きになったキャラクターは小川です。
帯には「腹黒」と書かれている小川ですが、そこまで腹黒というほど……いや、言わんとしていることは分かるのですが、腹黒という表現は少し引っかかるというか(吉田先生が決めていらっしゃったらアレなんですけど)。
腹に鬱屈したものを抱えながらも、それを表に出して人を傷つけるのは得意じゃなさそうな、とても素敵なキャラクターでした。
切なさに心がひりつく物語が読みたいときに、またこちらを手に取ろうと思います。
ありがとうございました。