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表題作花降る町の新婚さん

美崎瑛人,リゾートヴィラMISAKIの御曹司,24歳
宮野昴流,老舗旅館みやのの若旦那,24歳

その他の収録作品

  • その後の新婚さん
  • あとがき
  • 初めての朝

あらすじ

親同士の決めたそれぞれの姉妹との政略結婚を回避すべく、
新婚カップルを演じることになった昴流と瑛人だが……!?
幼なじみ同士のこじらせ愛♡

作品情報

作品名
花降る町の新婚さん
著者
彩東あやね 
イラスト
木下けい子 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784403525285
3.9

(36)

(13)

萌々

(16)

(3)

中立

(1)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
9
得点
139
評価数
36
平均
3.9 / 5
神率
36.1%

レビュー投稿数9

可愛いらしい新婚さんでした

もの凄く好きな内容でした。
彩東あやね先生作品は「愛を召しあがれ」に続いて2冊目です。
あちらも好きだったけど、こちらの作品の方が好きでした。


読みやすい文章に加えてストーリー運びも秀逸で、瑛人と昴流の幼馴染が友達から恋人になるまでをじっくりと読ませていただきました。


確執し合う両家が和解して、両家が中心となった派閥を無くす為に親達が子ども同士を結婚させようと画策します。

昴流の妹は乗り気なのですが、密かに友情を育んでいた昴流が激怒するのです。そして両家の顔合わせの場で瑛人がとんでも告白をするのです。

読んでいて瑛人の思いには直ぐに気が付きますが、腹が立った理由からも昴流が同じ気持ちでは無いかと思ってしまうのです。



昴流が自分の気持ちに気が付くまでと瑛人に伝えるまで。そして両家の親に2人の関係を納得させるまで。ここら辺のやり取りが破綻が無くて自然で、彩東先生の凄いところだと思いました。

瑛人が昴流を好きな理由、昴流が瑛人に惹かれた理由、2人の信頼関係とか萌え要素が沢山ありました。

そして2人の関係をフェイクだと思っていた友人達に本当の事を告白した後に、友人達がお祝いを持って現れたのも素敵でした。

新婚旅行先でも、それから暫く経っても仲の良い2人のやり取りがとても可愛らしくて好きでした。

4

受けに振り回される攻めが可愛い!

好きな作家さんの好きな設定のお話。

タイトルや表紙や帯、そして犬猿の仲だった家が和解するべく新婚さんを演じるというあらすじ。

見るからに好きしかないお話ですが、展開や描写も素敵でした。
一見恋に慣れていそうな瑛人が常に昴流の予想外の言動に振り回されているのが可愛い!
振り回されてもそれが彼には嬉しいみたいだし、長年の執着が花開いて昴流に甘々に尽くしているのが最高に理想の攻めなんです。

彩東先生のお話は周りの人々までギュッと温かい。ホカホカと胸のあたりが温かくなる優しい雰囲気は微笑ましく、ほっとする1冊です。
あと二人がイチャイチャするそのシチュも全部チョイスが素敵で…!
ロマンチックを確実に責めていくスタイル!
風景描写も綺麗で好き、蜂蜜のような色合い…なんて表現が出てきて分かるなぁとうなづいてしまった。
文章が好きな作家さんはなかなか巡り会えないので、こういう作家さんと出会うと1ページを大切に読んでしまいます。

2

あなたと一緒に生きていく、この町が大好き

あらすじにある通り、花咲く温泉街が舞台の幼馴染み同士の拗らせラブです。

花と温泉が売りの花降る町。
そこに存在する、老舗温泉旅館みやのとリゾートヴィラ・MISAKIは犬猿の仲なんですね。
ところがこの度、両家が和解する事になり、それに伴って持ち上がった互いの姉妹との見合い話。
この縁談に反対の若旦那・昴流は、実は隠れて親友付き合いをしているMISAKIの御曹司・瑛人と結託して、二人が恋人同士だと嘘の発表に出て・・・と言うものです。

で、二人の関係を疑う父親の手前、後には引けず、二人は同居してラブラブ新婚カップルを演じる事になってしまって・・・と言う流れ。

まずこちら、表紙やタイトルから想像つく通り、とても初々しくて可愛くて甘酸っぱい等身大のお話でして。
や、そもそも、幼馴染みで同級生で親友って言う二人の関係からして萌えるんですけど、攻めである瑛人が相当拗らせてそうだぞと透けて見える所が最高なんですよ。
えーと、彼はですね、「いい事を思いついたからまかせとけ!」と、騙し討ちも同然で皆の前で交際宣言をしちゃう。
で、上手い事昴流を言いくるめた上で、二人が恋人同士だし結婚もする意思があると周囲に明言しちゃう。
そして、熱々新婚生活に持ち込む。

これね、受けである昴流視点で終始進むんですよ。
こう、あれよあれよと流されて、気がつけば新婚カップルにされちゃってる彼が、気の毒なんだけど笑えちゃって。
や、瑛人はいかにも御曹司って感じの美形なんですけど、昴流は庶民派代表って感じのどこにでもいそうな青年なんですよ。
ただ、こう単純な所も男前な所も感情が豊かな所も、すごく魅力的と言いますか。
とても鈍い彼が、こうなった事で自身の気持ちを自覚して行く様にもキュンキュンと言いますか。

ちなみに、お話自体はわりと地味に進みと、とりたてて派手な展開も無いし、その点ではパンチが足りないとは思うんですよね。
二人でこの温泉街を発展させようと若者の会を作って活動するとか、ちょっとした誤解があってスレ違う程度で。

ただ、親友であるハズの攻めに、何故かドキマギしてしまってと言った感じの受けの甘酸っぱくて初々しい心情とか、二人が恋人になる過程がとても丁寧に綴られています。
で、これがキュンキュンだったり焦れったかったり切なかったりで、めちゃくちゃ萌える!
や、受け視点ではあるんですけど、攻めは明らかに受けに対して友情以上の気持ちを抱いてると、読者にはよく分かる仕様なんですよね。

彼がいつから、昴流に対してそのような想いを抱くようになったのか。
そして、なんでもサラッとこなすスマートな男に見えて、結構拗らせたそのヘタレっぷり。
いや、最初はその策士ぶりに舌を巻いたけど、意外とかわいい男だったわと。

ちなみにですね、この二人が結ばれる表題作の他に、書き下ろしで後日談が収録されてます。
本物の新婚さんになり、甘々な生活を送る二人。
でも、若人の会で温泉旅行に行く話が持ち上がると、何故か瑛人が反対してー・・・って感じでしょうか。

これね、めちゃくちゃしょうもない事でケンカ勃発ですよ。
瑛人、独占欲と嫉妬心も強かったかー。
まぁただ、幸せそうで何よりと。
あと、いい仲間に恵まれて、良かったねと。

最後に、瑛人視点での短編も書き下ろされてます。
恋人になって初めての朝です。
瑛人の昴流に対するメロメロっぷりや、甘すぎるやりとりにニヤニヤが止まらないですよ。

10

縁談回避の結婚宣言!?

今回はリゾートホテルの専務と老舗旅館の若旦那のお話です。

対立していたホテルと旅館組合の仲を取り持つための
攻様の結婚宣言から本当の新婚さんになるまでの本編と
その後のお話と幕間的な短編を収録。

受様は百年以上続く老舗温泉旅館みやの跡継息子で
高校卒業と同時に稼業につき、
若旦那として日々忙しく働いています。

数奇屋づくりの本館、和風モダンな別棟の他に
風呂付気の離れが5つあるみやのは町でいちばんの
老舗かつ、大きな宿です。

受様は生まれ育った町が大好きですが
この町には長く続くある確執がありました。
それは受様が小学生の時に山を切り開いてたてられた
リゾートホテルと温泉旅館組合の対立です。

そのホテルは
受様の祖父が組合長をしていた時に営業を開始ししますが
祖父はホテル側から組合に挨拶がなかった事に憤慨し、
受様は同級生だったホテルの経営者夫妻の息子の攻様との
子供同士の付き合いにまで制限され続けたのです。

そんな祖父も去年亡くなり、父が組合長になると
過去の諍いを引きずり続ける事を良しとせず
まずは夫婦2組で話し合いがされる事となります。

しかし、彼らの話し合いがもたらしたのは
攻様に受様の妹が嫁ぎ、親戚関係になると
言うものだったのです!!

受様は祖父と一緒になって
攻様との付き合いに口出ししていた父の口から
もたらされた縁談話に憤慨して飛び出し、

攻様をいつも利用する隣町の喫茶店に呼び出すのですが
縁談話は受様に攻様の姉が嫁ぐという話もある
ダブル縁談だと言われてさらに憤ります。

しかし攻様は
「今は彼女もいないから悪い話じゃない」と言い
「もし結婚して受様の義理の兄弟になったら
こそこそ会う必要もなくなる」とまで言い出すのです。

攻様がモテ過ぎて沢山の女子と付き合って過去を知る受様は
結婚相手もとっかえひっかえできると思っているのかと
攻様にも憤慨します。

思わず「結婚は大好きすぎる人とするものだ」と
解いてしまうのですよ(笑)

そんな受様の言葉から
攻様は「最強の縁談回避法を思いついた」と言い、
両家の顔合わせの日にその回避法を決行するのですが

攻様が2組の両親と姉と妹の前で口にしたのは
「俺たち、付き合っているんです」という爆弾宣言と
受様への「結婚しよう」というプロポーズだったのです!!

果たしてて攻様にプロポーズされた受様の未来とは!?

雑誌掲載作のタイトル作に続編を書き下ろしての文庫化で、
対立していたホテルと旅館の派閥を無くすために
攻様と結婚宣言をすることになった受様の
ドタバタラブコメディになります♪

攻様の取った縁談回避の方法が
受様との交際宣言&結婚宣言だった事は
その場の全員にとって寝耳に水な爆弾宣言でしたが

子供同士の付き合いにまで制限する考え方も
仲直りしたら側縁組という考えも片も理不尽すぎて
攻様の捨て身の作戦にのってプロポーズにも
「イエス」と応えてしまうのですよ (ӦvӦ。)

そんな2人の結婚宣言は2家族だけでなく
2分していた町の人達をも巻き込んいくのですが

読者にはうっすら攻様事情が見えていて
受様も無意識に攻様への独占欲をにじませる
両片思い状態なのは丸わかりです。

受様への恋が実るわけがないと
このかりそめの新婚生活を楽しむ攻様と
攻様の本気を演技だと思いながらも
ドキドキの止まらない受様の
恋の行方に読者のワクワクも止まりません♪

2人が本当の新婚さんになるまで
とっても楽しく読ませて頂きました (^O^)/

攻様の意識的なセリフもドキドキでしたが
受様の無意識の攻様好きアピールに
けっこう萌えさせられました♡

木下先生のイラストもお話の雰囲気に
ぴったりでとっても良かったです。

5

笑い、萌え、切なさのバランスが秀逸

初読みの作家さまですが、木下さんの可愛らしい表紙につられて購入しました。

一言でいうとドタバタコメディなんです。
受けの昴流が、小学生男子みたいな感じっていうのかな。いい意味で、子どもっぽいの。明るく、前向きでガッツがあって。そんな彼が主人公ということもあって、終始笑いに包まれた、そんな作品。

彼視点で進む展開ということもあってか、どうしても彼目線でストーリーを追ってしまいますが、昴流という男の子はすごく応援したくなる可愛い子なのです。

でも、昴流視点で進むストーリー展開でありながら、今作品が描いているのは攻めの瑛人の恋の成就のお話。イケメンでモテ男の、彼の秘めた恋を描いた作品で、そのギャップに痺れました。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。






主人公は温泉街にある老舗旅館「みやの」の若旦那・昴流。
彼には瑛人という幼馴染がいるが、彼らは子どもの時から友人であることを隠さざるを得ない状況だった。瑛人の両親が経営するリゾートホテルと、昔からある旅館(「みやの」を含む)とが対立していたためである。

が、このままでは町の衰退につながるということで和解することになるが、和解する一つの手段として、昴流、そして瑛人が、それぞれの姉妹と結婚するという算段がとられることになり―?

というお話。

序盤から、昴流、そして瑛人が、それぞれお互いに恋心を抱いていることは読者にはバレバレなんですよね。が、彼らの想いが若干すれ違っている。

昴流は自分の瑛人に対する恋心を自覚していない。
瑛人は、昴流への自分の秘めた想いが成就するとは思っていない。

から、なんです。

瑛人はね、この状況をうまく使って昴流への想いを昇華させたいんですよね。
あわよくば、付き合いたい。
でも、そう思ってはいても、自分の恋を諦めている節がある。

視点は昴流なのですが、彼の目を通して見えてくる瑛人の深い愛情と一途な想いにめっちゃ萌えました。

んー。
この作品の挿絵を、木下さんに描いていただくって誰が決めたんですかね。

もう、木下さんの挿絵がぴったり過ぎて慄きました。
木下さんの描かれた昴流、そして瑛人が、脳内で動いていくんです。あれ?これって木下作品?と読書中何度も思ったりしました。

終始コミカルに進むストーリーですが、きちんと萌えどころも抑えられています。彼らの、すれ違いだったり、勘違いだったり、そういった切ないポイントもきっちり描かれているために、笑いあり、切なさあり、萌えあり。

そのどれも過不足なく詰め込まれた作品で、多くの腐姐さまの萌えを呼びそうな、そんな可愛らしいお話でした。

3

この作品が収納されている本棚

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