電子限定かきおろし&おまけ付
『神様なんか信じない僕らのエデン』の下巻。続きものなので上巻が未読だと理解できません。未読の方は上巻から読まれることをお勧めします。
ヒートを起こした西央くんと、彼の匂いに中てられ激しく抱いてしまった喬くん。
体調が悪いことから母親に心配を掛けたくないという理由で家に帰らず体育館倉庫に籠った西央くんと、そんな西央くんをサポートする喬くんの蜜月を描いた上巻でしたが、下巻に入り二人の感情の変遷が描かれていきます。
相手にますますのめり込む二人ですが、その想いは自分だけのものだと思い込み、それ故に二人は少しずつすれ違い―。
オメガバものってオメガ視点で体調の変化が描かれているものが多い気がしますが、今作品はアルファの体調の変化についても触れられています。
亀頭球ができること、視力が回復すること、身体能力がアップすること―。
などなど。
そして、何より心理面にも変化をきたす。
オメガに対する執着心、嫉妬心、そういった負の感情が育ち、そんな自分の感情を持て余す。
オメガバものって圧倒的にアルファが優位に立っていて、だからこそアルファはすべてにおいて余裕がある。けれど、今作品の攻めさんで、そしてアルファである喬くんは違う。
彼は西央くんと常に対等な立場でいたいと願い、自分の中に芽生える感情に嫌悪感すら覚えていく。めっちゃ可愛い。
好き、という感情とか、家庭環境とか、彼ら自身の内面とか。
そういったものがきちんとベースになっていて、「オメガバース」という因子はあくまでそれらに添えられる一つの因子でしかない。オメガバものであり、オメガバというバックボーンをフルに生かした作品でありながら、そういったストーリー展開ゆえに非常に斬新というか、他のオメガバものとは一線を画す作品だったように思います。
しいて言うと、突っ込みどころもなくはない。
さすがに、高校生とはいえ1週間も友達の家にいるとなったらさすがに親として放っておくことはできないだろうし、学校の体育館倉庫に1週間も居続けるのは無理があるだろう、とか。
が、そういった些末なことは気にならないほど、深い愛を描いた作品でした。
序盤、若干頼りなく見えた喬くんの、最後に見せる表情のなんと「男」なことか。カッコいいです。
「普通」って何?という問いも根っこにあり、壮大なテーマをいくつも孕んでいます。が、それらについてもきちんと回収しつつ進むストーリー展開も萌えが滾りました。
あ、あともう一点。
西央くんがエロいです。
存在が、エロいです。
表情とか、思考とか、彼の優しさとか健気さとか。
すべてにおいてパーフェクト。
今までにない、斬新なオメガバースものでした。
最高でした。まるで一つ一つのコマが絵画のごとく話を展開させていくようでした。
(頑張ってネタバレ少なめにレビューします)
私はもともとオメガバース特有の男性妊娠描写や人種差別表現が許せず、運命の番とか言っといて身体の関係から始まり後から恋愛感情をのっけただけの「そこに愛はあるんか?」っていつも疑問に思ってきました。しかし作者様のオメガバース解釈により、この二人は確かに出会うべき運命の二人だったんだ、と感じました。
もしかしたら「この漫画ヤってるだけじゃん」という意見が出てくるかもれません。
確かに性描写は多いのですが、違います。もし人間らしい理性や心がなかったら、人類最初の番はただ体育倉庫で盛っただけ、という味気ない漫画になったでしょう。
しかし彼らは本能のおかげで早くのうちから(1ページ目から)身体は繋がっていたのに、他の動物とは違って彼ら人間は「繊細な感情を持つ厄介ないきものだったから」、二人の会話や行動の節々に愛情を感じられました。そこに確かな愛がありました。
青年期の二人って言うのもポイントだったかもしれません、小さな楽園で戯れたり未来のことを考えたりする様子が見てて眩しいほどでした。
そこに神話的要素が盛り込まれているのもまた、ファンタジーのなせる技であり本当に圧巻でした。
私はオメガバースを敬遠しながらどこかこんな作品を待っていたような気がします。
オメガバース好きな方には勿論、私のようにオメガバースは苦手だなって思っている方にもぜひ読んで欲しいです。
うわああああ。泣きました!しとどに泣き濡れました。
これは、お久しぶりの。浄化系BLなのではっ⁈ 心の中のスタンディングオベーションが鳴り止みません‼︎
そもそも途中から。この暗い倉庫だけが舞台の、2人芝居の様な様相を呈してたと思うんですよね。西央くんの、喬の、長い長いモノローグ。何ページにも渡る長台詞。
いや、これは舞台で観たい。諸々無理めなシーンはあるけども!ソコじゃなく。
これは、しち面倒くさい事を、自分の負荷としてくだくだしい説明をしていたりするけども。シンプルに美しい、恋の物語なのだ、と思う。そしてそれは基本的で紛れなく純粋な。人類の営みで、未来永劫変わる事の無い、愛の物語なのだと。
上巻で、オメガバースの黎明期を体感する事になった西央くんと喬。西央くんが、喬の様な、頭が良くて優しい、優秀な男の子に出逢えて良かった、と私は安堵していたんだけど。
支配者であるところの α の側面をも喬は体感してしまう事となる。西央くんを守りたい、優しくしたい、この数日間の間に恋に似た感情の芽生えを感じる一方で、凶暴なまでの西央くんに対する支配欲に駆られてしまう。自分の中に沸々と湧き上がる黒い感情に怯える喬。
悪魔の様に、自分の精神に響く声もまた、紛れも無く自分自身なのだ。
この嫌な感覚と闘っている頃。西央くんもまた、こんな事になる前に付き合い始めた彼女の事よりも、喬の事を切なく想っている。ここら辺は、オメガバースあるあるで。
身体を触られて嬉しいのも、抱かれたくて、または抱きたくて仕方ないのも、互いに相手の方は、性欲処理への欲求なんだろうと切なく想いあっている。
自分ばかりが好きで、好きで、仕方ないのだと。
喬は気付く。支配したいのでは無い事を。西央くんに選ばれたいのだと。
それはもしかしたら。相手を好きになる事よりも、支配する事よりも。ずっと難しくて。素晴らしいこと。愛情を乞い願う事。
そうは言っても、まだ高校生で。親に、庇護される存在の子供なだけの2人。高校生らしく、ヒートの終わりをただ、秘密基地でお泊まり会をする様に穏やかに寝む夜。
夜が明けて、それぞれの日常に戻る前に。ひたむきな気持ちを言葉にする2人の、清々しい朝には涙。もうずっと涙。2人の間に起こった事は。喬の考察だと、人類の進化の途上かもしれないと言う。ヒートからずっと平熱が高いのに、平気な身体になったのも。ウイルスと闘う免疫機能が高まったのかもしれない、と。
おや。と、ここで未曾有のウイルスに見舞われた私たちの世界を思うとき。
そんな未来があっても良いな、と思うのだ。
ラストには、おそらく世界中で、始まっている。驚異的な人類の進化を予感させて終わる。
この舞台を見終えた明日は、昨日よりちょっと清々しい気持ちになれる。
私たちは明日もまたマスクをして出掛けなくてはならないけれど。人類の進化はもう始まっていると、信じたい気持ちになっているのだ。
まさかの人類最初のオメガバースの話
私はオメガバース大好きなので試し読み後面白そうだったので初の作者さんでしたが購入
大当たりでした!!
とにかくキュンキュン、健全な男子高校生って感じでリアルさもありましたね笑
受けは見た目チャラいけど中身いい子
攻めは真面目な優等生ごく一般的な感じ(まあ金持ちだけど)
なのにヒートが来てからの2人の本能が凄かった……
苦戦しながらも攻めが受けのために苦悩するとことか
ヒートが来てからの受けの色気とか攻めのアルファの本能と戦うとことか良すぎましたほんと
しいていえば続きがほしいな……
えっここで終わってまうの!?ってなりました笑
これからが観たい物凄く観たい!!!
お二人のイチャコラをもっと下さいとなりました。
だから、自分的にはもったいないなと思いました。
オメガバース好きな人は絶対読んだ方がいいですよ!
美しくてエロくて優しくて圧巻でした…!
視力が良くなる、サッカーボールが物凄い速さでキャッチできる、別人格の声が聞こえる…
自分の力が目覚めてしまった中二感!
世界の終わりか始まりか、ふたりぼっち、リンゴ…擽られます。
上巻よりヒートは収まっていくのですが、それに反比例するように罪意識や強い嫉妬でドロ熱くなだれ込むのがすごかった。
西央くんの「エッチじゃないとこがどこにもない」身体の描き方がもう美しくて…身体の動きにデフォルメや効果音が少ないのもすごく綺麗。
彼の顔のつくりで、根がちゃんとした人なのだろうなと伝わってくるところも好きです。
二人の会話一つ一つに変化する表情が、どれも魅力的で見飽きません。
西央くんは身体の変化が怖くないのかと上巻で思ったのですが、3.4日ではまだ疑問と戸惑いの段階みたいですね。ヒートから脱して、その時当たり前だった感覚が抜けたと。
親身に心配してくれる喬の「怖い?怖いよね ごめんね」という優しい台詞が沁みます。西央の頬が染まります。
彼が怯えないから余り可哀想に見えないことは、読む上で救いになっているんですよね。
嫉妬で目の色が変わる本気の喬も堪りませんでした。
アルファとしての強烈なプライドや周囲への苛立ちが生まれ、今までの穏便な気持ちとの争いが起こる。
葛藤にかなりの頁数が割かれていて、それを終えて出てきた純粋な気持ちは清々しい。
「求められたい」が支配したいよりも欲張りかもという言葉は、考えさせられます。
独りよがりでなくより難しい次元。
本能に抗うのではなく、その声を聞いて更に上を行くような、好きな人への接し方には感動しました。
そして「異性」という言葉が、正に新しい性の意識の誕生として出てきたのも、自然で良かった!
現代(この漫画の舞台も現代ではあるけど)様々な性に少しだけ広がった理解が、更に加速したような延長を感じました。
喬は医者家系だし、アルファの性質は代々少しずつ形成されてたのでしょうね。
西央くんはまだ解明されていないし完成されていない身体の変化で、果たして身篭ったり、それ以前に定期的なヒートは大丈夫なのかとか、考えようによってはメリバです。
それでも、この二人はどうあってもきっと大丈夫と思わせてくれる終わり方で良かったです。
ちゃんと言葉にするって気持ち良いし、相手にちゃんと届くから大事だなと改めて思いました。
ああ、でも頸噛むシーンもハッピーでトロ甘なシーンももっと見たかった…
心理描写と画力とエロ、全て高いレベルで、オメガバース代表の一つになる作品、決定的な変化になると思います。