電子限定かきおろし漫画付
借金のかたに痛めつけられていた青年を買い、囲う。不穏に拡がる執着愛の果ては――
柊(レスリー)は借金の返済ができず痛めつけられてボロボロになっていた。
その様子をヤクザの事務所で見ていたのが掃除屋の彗。
ヤクザの事務所にいて掃除屋というから殺し屋なのかなと思ったんですが、死体処理の方でした。
柊に3万円で俺を買ってくれと縋られ、家に連れ帰って甲斐甲斐しく世話をする彗は、スマホに文字を打ち込んで会話する。
それには理由があるのか?と尋ねると、徐に口を開いて見せられて───。
衝撃の絵に、こっ...怖い...!どんな拷問だ?!と思ってしまいました。
闇しか感じられません。
掃除仲間のフランツに柊とは関わらない方がいいと忠告されていたのに、見捨てず庇護し、借金も全額返済して助けた彗。
助けてくれと土下座して縋られた時に見せたあの笑顔はどういう感情なんだろう。
ボロボロで弱って泣いている...その姿がルネットと重なって、ルネットが帰ってきたように思ったんだろうか。
彗の目には柊は黒猫に見えていて、今度こそこの子を守ると誓います。
私は冒頭のシーンを見た時、彗の父親は彗が可愛がっているルネットだから殺したのかと思っていたんですが、猫を虐待するのが好きなイカれた人で、無差別でした。
猫に限らず残虐な人間で、そのせいで彗の舌があんなことに。
彗の舌もですけど、柊の背中の傷も酷いんです......こんなの拷問だよ...もう...しんどい...。
柊も彗も何も悪くないんです。
柊の借金だって柊が作ったものではなくて友人の肩代わり...2人とも被害者です。
絶望と絶望が出会って惹かれあい寄り添い合うような、そんな重くて危うさのある救済の恋。
でも、優しい彗は壊れていて。
無償の愛がほしい、どこにも行かず一生そばに居てほしい、裏切らないペットのように......その願望が強すぎて柊が自立していくと不安定になります。
もしかしたら今度こそ守ると誓ったあの時も、彗は柊を僕のものを見つけたと思っていたんだろうか。
あれは歪んだ笑みだったのか...?
父親に虐待されたトラウマとは別に彗が抱えた歪んだ執着心。
この不安定さは母親の愛が希薄だったせいで生まれたものなのかな?
そこに父親の虐待が重なって、より壊れてしまったのかな?
裏社会にどっぷり浸かったフランツがなぜ彗を気に入っているのか、読み進めていくと腑に落ちました。
でも分からないのが、なぜフランツは2人を殺そうとしていたのか。
彗の味方だったんじゃないの?そしてなぜ殺すのをやめたの?
分からない...。
分からないけど、彼もこの結末を喜んでくれてはいて。
「ヤバい奴の相手はヤバい奴しかできない。」
愛のため、彗の望みを叶えるために、自らに刃を向けて枷を作ろうとした柊。
もはや狂気の沙汰。
でも壊れた彗と付き合うには、これだけのことをやってのけなければ信じてもらえないということなんでしょう...。
そんなことができる人はいないし、柊もそんな愛は嫌だったのだけど、結局は受け入れてあげられるくらい彗を愛していて。
愛のために自ら枷を刻めるか───フランツじゃないけど、頭のネジが飛んでいないとこれは無理だと思う。
タイトルの『The apple of my eye 』は“目に入れても痛くない”という意味です。
それくらい愛おしいという比喩表現であって、本当に目に入れるわけじゃない。
でも、それを実行した愛でした。
救済のお話ですが、狂気を感じたお話でした。
考えてみても答えが出ないことがいくつかあったのが気になりますが、私はこういうお話嫌いじゃないです。
「最高なハッピーエンド」とフランツは言っていましたが、「サイコなハッピーエンドでは?」と思います。
私はハッピーエンドだと思うんですが、このふたりの立場で考えた場合でもあるので、人によってはメリバと感じるかもしれません。
描き下ろしは、個人的にはない方が好みかな。
打って変わってコメディで、本編の余韻が掻き消えてしまうので。
でも、楽しそうにしていてよかったです。
評価は萌か萌2かで悩むなぁ...。
ときめくようなお話ではないのと、謎が残ってモヤつく部分があるので萌とさせてもらいましたが、「?」が理解できていれば萌2にしたかったです。
こういうテイストの作品を読ませてもらえてありがたい。
ダークなお話に飢えている方、歪んだ執着愛、共依存がお好きな方は読んでみてください。
お表紙からも、なにやら危険な痛さを孕む一冊。
裏稼業の掃除屋として働く彗は、ある日事務所でボコボコにされている男を目にする。
ああいうのには、関わらないほうがいいと言われた彗だったが、その帰り道に金がいるから三万で買ってほしいと声を掛けられてしまう。
彗はその男を連れて帰り、面倒を見始めるが、、、
という冒頭。
連れて帰った男の名は、柊。
借金返済のために、ゲイビのキワモノなどに出演していた過去が。
そして、その借金をすべて肩代わりした彗。
ちなみにその彗とは、幼少期のとある事件により喋れないため、アプリを使って柊と会話する日々で、、、
柊という存在を手に入れた彗の心情が、とにかく怖い。
いや、怖いというあまりにも簡単な言葉でくくってはいけない感情がそこにある。
それはあまりにも過酷な環境で育ったが故のもので、、、
ですがやはり、柊には途中までその彗の生い立ちを知らないものだから、底知れぬ優しさに怖さを覚えるわけで、、、
残虐で血みどろのシーンがあるので、苦手な方はご注意を。
それでもその先に見つけた、遠回りしたふたりだけの愛のカタチを見届けたい方は、ぜひにページをめくってみてください。
愛とは、難しいものですね、、
なぜ購入したか自分でも覚えていなくて…表紙をしっかり見てこれはちょっと自分には…と思いながら読みました。
救済ものは好きなんです。
その前段階として辛い設定なのは承知しています。
ただ、辛い、痛い、怖い…場面を露骨に見せられるのが苦手でして。試し読みしなかった私が悪いです。すみません。
辛かったり怖いシーンを控えめな描写で想像させられる作風が好きなもので。
本作は、ほら痛いでしょ~怖いでしょ~と直接的に見せられてホラーを味わっている気分でした。
救済のクライマックスへじわじわ盛り上がってカタルシスがあるかと思ったのですが、どうもあっさり感じてしまいました。
彗がペットを愛したい、そのために強くなって囲いたいと思っているのは最初から描かれていましたし、柊がそれに応える形になって結局、闇×闇であったと。
こういう愛、救済の形である…というのはわかります。
ただ、表面上の闇より心理的にえぐられたかったなと。
悪役も見たまま悪い顔してましたもんね。
彗の父親も悲惨さをそのまま絵にされていて。
そういうものがお好きな方向けですね。
中立にしたいところですが、事前に内容を確認しなかったので萌とさせて頂きます。
攻めも受けも可哀想で、何度も読むのを止めてしまいそうになるお話でした。
猫が…猫…(´༎ຶོρ༎ຶོ`)
最初クズだと思ってた受けの子も事情が分かるとただただ可哀想で…
絵の雰囲気が痛々しさに拍車を掛けている気がします。
最後は納得の読後感。
ヤミ(闇・病み)系がお好きな人にはおすすめです。
おまけは本編で描かれなかった闇医者へ診察に行くお話で、本編とは真逆のほっこりした日常で、攻めの子がすごい可愛いかったです。もっと攻めの可愛いところが見たかったなぁ
他のレビューにもある様に、読む人を選ぶ作品です。
BLはありますが、暴力要素は一般的なbl作品のそれよりは程度が激しいかなと思います。絵も正直に申し上げますと雑な印象を受けましたが、同時に、暴力の酷さとか攻め受け達の悲惨な生い立ちや現状が伝わってきました。
好きなbl漫画やbl小説は、何度も読み返しますが、この作品はもしかしたら今後読み返す事は殆どないかもしれないです…。嫌悪感があるからでは無く、なんと言うか、もうこの攻め受け達は放っといてあげよう、静かに幸せに生けてくれたらそれで良いから邪魔しないであげよう、という気持ちになるからです。しかし、読んでよかった!と思える作品です。