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表題作double suicide

(仮)笙野桂,大学生
(仮)笙野栖,桂の兄でリーマン

その他の収録作品

  • あとがき(描き下ろし)

あらすじ

「兄貴を、食べたい。」
欲求が抑えられない弟と、年の離れたブラコン兄の狂気に満ちた兄弟愛。

子供の頃から偏食気味でベジタリアンの大学生・桂と、
ブラコンだけど頼りになる真面目で優しい兄・栖は、
年は離れているがとても仲の良い兄弟だ。
桂は子供の頃から何故かずっと血の味を知りたいと思っていた。
良くない事だと分かっているのに、考えずにはいられない。
だからリスカをしていた大学の知人に頼み、血を分けてもらうことに。
桂は血の味を知るうちに、栖を食べたかったことを思い出す……。
食いたい欲求を抑えられず、栖への執愛を自覚した桂は――?
歪んだ愛の極みを描いた描き下ろしも収録!

作品情報

作品名
double suicide
著者
トジツキハジメ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
海王社
レーベル
GUSH COMICS
発売日
電子発売日
ISBN
9784796414500
3.9

(57)

(32)

萌々

(5)

(8)

中立

(8)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
16
得点
212
評価数
57
平均
3.9 / 5
神率
56.1%

レビュー投稿数16

BLという区分で収まらない

めちゃめちゃお久しぶりな気がするトジツキさんの新刊。トジツキ作品であること、そしてあらすじを拝見して、めちゃめちゃ面白そうやん…!と発売を心待ちにしていました。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





大学生の桂は偏食で食べられるものが限定的。食事を作らず食べず、菓子パンなどで空腹を満たしている。ベジタリアン、というわけではないが5歳ころから肉の類が食べられないのだ。一人暮らしをしているが、そんな彼の食生活を心配する母親から時々連絡があり、実家に帰って食事をしている。

母子家庭で育った桂だが、年の離れた兄・栖がいる。年が離れているからなのか?栖は弟を可愛がり、そして桂もまた、栖を慕っている。

ある日、大学で桂は一人の女子学生と知り合いになる。高校生の時に恋人を亡くし、そのショックからリスカをし続けているという品川さん。彼女の傷、もっと言うと血を流す姿を思い浮かべた桂は、経験したことのない衝撃に襲われ―。

というお話。

これはBLなんだろうか。
もっというと、恋愛ものなのだろうか。

そんな思いに、読後囚われました。
初めに書いてしまうと、濡れ場、はもちろんキスシーンすらありません。そして何より、今作品は「血」そして「人を食う」というものがずっと付き纏う作品です。好みが分かれる、というよりは苦手な方はとことん苦手な作品かと思います。

桂が偏食な理由、それはー。

その謎を追う形でストーリーは展開していきます。

個人的にはめっちゃドツボに突き刺さる作品でした。桂が、求めているのはたった一人。兄の栖だけなんです。でもそれは、いわゆる肉欲を含む恋愛感情というのとは一線を画しています。

帯にも書いてあるのでここでも書いてしまいますが、栖を、食べてしまいたい。それは比喩的な意味ではなく、物理的な意味で。

トジツキさんらしい、ちょっと青年誌ぽい絵柄、っていうのかな。そういうものも相俟って、よりBLらしさは鳴りを潜めている感じ。オカルトな、あるいはホラーな側面も持ち合わせていると言ってもいいかも。

栖は、母を、そして弟を深く愛しています。それはもちろん家族愛として。そこに桂は付け込む。兄が自分を見捨てることができないことを知って、あえて。

共依存、なのかな。
私は、栖は、桂のすべてを受け入れようとしているのだと思いました。
そして桂は、栖のすべてが欲しい。
愛と言えば愛。でも不健全と言えば不健全。

甘々で、心が温かくなるような、そんなお話が読みたいときにはお勧めしません。流血、人の死といったダークな部分もがっつり描かれています。そういったものに耐性のない方には回れ右をお勧めしたい。

まるで1本の映画を見終わったような、そんな感じ。
お好きな方にはガッツリ嵌まるであろう、そんな退廃的な魅力を秘めた作品。

萌えとか恋とか、そんな半端なものではない。

相手を食らい尽くそうとする、壮絶な凶暴な愛が、今作品には描かれています。

8

読後にタイトルを見て総毛立つ

分かりやすいキュンはないけどめちゃくちゃ面白い!っていう漫画でした。サイコスリラーみたいに心理的恐怖をあおってきます。飲血がダメな方にはおすすめできません。
BL的カプはガチ兄弟の栖と桂。主人公は桂で、静かな狂気を秘めながら栖に執着してます。栖は恐ろしいほど健全。彼女がいて常識を持ち合わせていて、家族思いで何も知らない。オカシイのは明らかに桂の方なんですが、栖の方が見ていて不安が募りました。
転機は品川の事件で、動揺した桂の元に駆け付けた栖が、スプーンを移動させるシーンが妙に心に引っ掛かります。この時点でははっきり分かってなかったのに、栖は意識的に不利な証拠を隠して弟を守ったような?そういう人間が桂を理解しようと踏み出したらどうなる?と考えると怖くてたまりません。
ラストに向かってその思いは加速していき、二人(と正体不明の影)の世界に閉じこもってしまったような彼らに、読者の私も切り離された感覚になりました。背の高い木々に囲まれた家の描写がまた雰囲気出してきてすごいです。
曖昧な終わり方で、これは一体何だったんだろう…と思いながらタイトルを見ると、最高にゾワっ!とします。総毛立つってこんな感じ?ってなりました。栖への気持ちはまだ子供の執着や依存に近い桂ですが、その精神から未熟さが消えたときにどうなるのか、二人の行く末がとても気になります。

5

異色の兄弟執着モノ

こ、これは…
えらい問題作ですね。。
帯の「兄貴を食べたい」も衝撃的ですが
衝撃の展開でした。
BL?BLといえば兄弟の執着モノですが
OPERAとかでやりそうな雰囲気でもありますが
神とか萌えとかどう評価をつけたらいいのか難しいですね。
ですが確かに面白い作品です。とても。
人は選ぶと思いますが極上だと思います。
ざわざわしてぞっとする
オカルト?なんだろとにかく他にない感じです。。
余韻もすごいし私は好きでした。
お兄さんを一時は手に入れたけど
バッドエンドしかないような結末。
メリバなのかな
殺人衝動ではないんだけど食べたいって
兄も付き合ってあげてるけど
こんな事は続けられるのか
そのうち殺しちゃうのかなとか色々…
トジツキ先生を読むのはお初だったのですが
1話だけ単話で読んで引き込まれ
絶対紙で欲しいと思いました。
祖父の戦争時肉を食べた記憶、嗜好が遺伝していく…
そゆこと??
そして品川さん…
3話でえー?!死んだんかいってだいぶショックでした。
血のスープ、だめな人にはだめでしょうね?
異常ですもん。
なるべくネタバレなしで読んだ方がいいと思いながら
兄が彼女と別れる結末はレビューで薄目で見てしまったんですが
いや、そうするしかないよねっていう
恋人にも言えないし
そんなまさかっていう。
にやりする桂。サイコですな。
double suicideって調べたら心中って意味みたいで
タイトルの意味を知ってまた
わーお…って思ってしまいました。
桂が大人になって我慢して生きるのか
破綻が来て心中するのか、、
お兄さんにかかっている?
また読み返してきます。。

4

読むかどうか調べて考えて決めるべき本

読み終わって私は今何を読んだんだと思わせる力を持つ作家様だと思ってはおりましたが
今作は特に人を選ぶ作品です

BLとは何か

男が希求せずにはいられない相手が男ならBLと呼ぶならこの本はまさにそうだろう

弟は兄しか欲していない
それも細胞のレベルで求めてるのだ

多分アジアの南国戦場で曽祖父が経験した余りに強い記憶がDNAも書き換えたんだろう
この家族のもしかして男にしか現れない強い欲求
人間の3大欲求の筆頭である食欲
しかも強い飢餓感を伴い長い間放置されたままのその欲望を前にすれば性別や家族は関係ないだろう
祖父は別だが
父の事を考えるともしかして家族がトリガーかもしれないという考えが脳裏がよぎった

君を食べてしまいたい

愛を表現する慣用句にもなっている言葉の裏に濃厚な独占欲と所有欲が見え隠れするが
人は遠い過去濃厚な体験でDNAを書き換えた末裔なのかもしれないなんてことさえ考えさせられた

そして一見穏やかに物語が終わる
兄はあれからどうなるのか
変わるのか
それとも?
読んでてブルリと背中が震え
正直ここで終わってほっとしてしまった
この家の扉を閉めることができてよかったと思ったのだ
そして又震えた
そう考えさせる事こそ作者の狙いなのではないかと思ったのだ
ここで終わらせる事に
兄弟という閉じられた関係を選んだ事に
作者の恐ろしさに体の芯が震えた


このお話はサイコスリラーか濃厚なBLか
きっと多分両方だと思う


文句なく神作品と思うが読むかどうかきちんと考えて読むべき本だと思う

夏の熱い夜に読むと冷えます

4

まさしく、偽りなし

食人欲に苛まれている大学生の弟・桂(けい)と、母親と年の離れた弟が大切な、外交的で爽やかイケメンのサラリーマンの兄・栖(さい)の、血に翻弄されたガチ兄弟の共依存ストーリーです。
参考までに書くと、自傷他傷、手首を切っての流血、皿にある血をスープのように飲んだり、キーキャラクターの女性が死んでしまったり(自殺)します。

「人を食べたくなる」感覚から逃れるために、菜食&菓子パンを食べている桂。実は桂だけではなく、父も祖父も同じ症状に苦しめられていたが、栖には兆候はみられなかった。そしてとある事件を切欠に桂からのカミングアウトを聞いた栖は、弟のために自分が何がどこまでできるかを模索するようになって…という感じなのですが。

最初、表紙とジャンルを見てファンタジーじゃないカニバリズム…?食欲と性欲的なお話なのか?とか色々考えました。そして実際読んでみた結果ですが。私的には最高でした。方向性としては、メリバなのかもしれません。ですが、ラストだけでその後の妄想と考察がはかどることはかどること。あれってもしかしてそうだったの?これってもしかして…? これからもしかして…!が止まらなくなっちゃって、また始めから読み返してしまいました。

数々の謎が描写されていますが、作品上では明確な答えは載ってはいません。が、投げっぱなしでもなく、もしかしたらこうかもね的な判断材料はあるように感じました。

この二人の関係には、恋人、好き、愛してるというようなベクトルではない、嫉妬と羨望、執着心と庇護欲、依存心と諦念感、享受心や順応力、孤独感と飢餓感、などなど、掛け合わせたら物凄く薄暗くなるような感情がひしひしと感じられて、本当にゾクゾクしましたね。ジワジワきます。 そして、ラストですよ。 あぁ、やっちまったんだな、と。

エロいシーンは桂の自慰描写が2か所さらっとあっただけですが、このどうしようもなく、いかんともしがたい感情のやり取りを読めて良かったと思います。

余談ですが、ダブルスーサイドという単語は聞いたことがあったけれど意味を知らなかったので、この期に調べてみたんです。

…タイトルって、やっぱりすごいなと思いましたね。

3

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