【電子限定おまけ付き】【イラスト付き】
辛い描写が上巻の後半からあるんですがそれが痛くて、、それなのに読むことが居心地良く、BL小説というジャンルではあるけどそれを忘れるくらい一緒に生き過ごしている感覚で読んでいる不思議な作品でした。だから終わった後寂しくて勿論後日談を即購入。
瀬越は許せないけど、全ての非を負い、好意ある相手を傷つけるように働くというのが、高野との比であり創を描く上で必要悪だったのかなぁ。でも個人的には創が高野を思って自分を大事にするところも見たかったけど…
唇は取っておいてたんだし…
高野先生が実は家出じゃないと知っていたこと、彼の恋心を知っていたこと、見守るだけにしようとしていたけど創が孤独に生きていこうとする姿を目の当たりにして気持ちを改めるところ、高野目線がグッと来過ぎて泣きながら読みました。彼が生きていくために必要なものを絶やしてはいけないと思うって、恋ではなく希望で愛。
私は不憫健気受けが好きで、最後幸せになれーって思うこと多々ありますが、創に関しては多幸感というよりも、高野がそばに居ればそれだけで大丈夫と思えるような、生きていく上での核(希望)があるからもういいよねと安心できる読後感でした。
不憫受けをよく読むので、不憫受け耐性がわりとついていると思っていたのですが。
高野先生のこの言葉。
「もういい。もう、頑張らなくていい」
その一言に、読んでいた自分まで許された気になって、次の行を読むのが辛くて切なくて仕方ありませんでした。
上巻のレビューで、水底に沈んでいる創と表現しましたが、まさにそんな主人公をやっと掬いあげてくれた瞬間がこの時だったんだと、はっきりと感じられる言葉でした。
冬眠して、春になったらまた、頑張るから。
同じようなことを、思ったことがあります。
余りにもしんどくて、どうしようもなかったとき。
もちろん、創のように入院するような事態になってはいませんが笑
誰しも、そのくらい、酷く傷ついた瞬間はあると思うのです。
そんな時、無条件にぽんと差し伸べられる手のひらや言葉が、どれほど切なくて嬉しくて、幸せか、心を掴まれるか。
文章を読んでいると、まざまざと思い知らされるようでした。
それぞれの登場人物、高野先生、瀬越先生、そして創。
高野先生は、やはり読んでいても日向の人なんだと感じました。
傷を負っても、やっぱり、柔らかい日向の中をゆったりと、生きているような人です。
魂の質が違うと、瀬越が語っていましたが、本当にそうなんだと思いました。
それが良いとか悪いとか、そういうものではなく、そもそも、3人の性格それぞれが少しずつ違っていたら、きっとこんなにも素晴らしい物語は出来なかったと思います。
この3人だからこそのこのお話で、それを作り上げられる中庭先生の力量が素晴らしい。
高野先生は、変わっている、とよく言われるように、確かに、周囲の人の生きる忙しなく窮屈な世界とは少しだけずれて、けれど確かに重なって繋がっている独自の世界に生きている人だと思います。
瀬越先生に至っては、とても人間らしくて、不器用で愛しくて仕方なかったのですが、高野先生を嫌いなことが、自分でも少しだけ許せないんじゃないかなぁと言う印象でした。
高野先生を気にしている、憎んで嫌っている、そんな自分のことをさらに憎んで嫌っているように見えて、瀬越先生がどうか救済されて欲しいとずっと思って読んでいました。
しかしながら、アフターストーリーなんかを読んでしまうと、創ちゃんのことを思い続けてあと何年か苦しむのも彼にとっては幸せで心の安定なのかもしれないなという感じもして、一筋縄にはいかない人間の繋がり、愛というもの、それさえも愛しくて仕方ありませんでした。
創ちゃんの頑なな不幸体質はある意味自業自得な部分もあるんですけれども、実際は17歳ってそういう物だと思うんです。
なんでも出来るエネルギーがあるのに、現実には自分一人では何もままならない年齢で、さらに、まだ自分の世界を周囲が確固たる強さで染めている年頃。
だからこそ、高野先生にはもう少し早く、動いて欲しかったなぁとも思います。
お話的には花丸だけれど、感情的にはヤキモキとさせられることが多かったです。
お話の中で、高野先生が
「心をこめて、ひとりひとりに向き合わなければならない
けれども決して、心にすべて、受け入れてはならない」
と語っていましたけれど、まさにこれは3人を表していると思いました。
高野先生が「2人は似てるな」って言ったのに通ずるものがあって、
「心をこめて、ひとりひとりに向き合わなければならない
けれども決して、心にすべて、受け入れてはならない」
これを高野先生は実践できる人種。
けれど瀬越先生と創ちゃんはきっといつまでも上手くできない人種なんじゃないのかなぁ。
そういった、3人の根っこの部分が繋がる物語に、こんな風に出会えて幸せです。
電子版アフターストーリーも、上下巻購入特典も早速読みたいと思います。
WEBサイトで読んだ当時、眠る時間も忘れて読み耽った作品です。
ずっとずっと紙の本になることを祈り続け、やっと実現して感無量です。
この作品を未読で「中庭みかな」という作家さまを評価しないでいただきたいと思うくらい最高傑作だと思います。
中庭みかな作品といえば不憫受けだけど、それ以上に創の健気なところが私には萌えました。
創が誰と結ばれるのかドキドキしながら読み進めたのだけど、まさかの展開に大歓喜。
この展開には好みが分かれるところだけど、私には大大大好物でした。
人を選ぶ作品といわれるけど、私は敢えてこういう作品を選んで読みたいです。
せっかくなのでひとこと。
瀬越先生には責任を持って最期まで創を見守っていただきたいです。スピンオフで誰かと幸せに…なんて許しませんからーッ!(笑)
瀬越先生と高野先生の間で、どうなるのかハラハラしながら読み進める。やっぱり高野先生と一緒になるのはわかっていたけど、それでも、瀬越先生の存在は大きい。このお話が、他のBLと違うのは、瀬越先生がいるからだと。
高野先生、不幸な結婚生活を乗り越えてきたから、創ちゃんを優しく包む愛が持てたんだろうと。(それにしても元奥さんが信じられない!)
そして父親と再婚相手も信じられない!あんたたち何考えてるんだ!
あと、東が許せんよな(怒り!)創ちゃんを巻き込むな!ナルミはきっと時々創ちゃんチェックしそうで、怖い・・・高野先生、こいつらが手出しできないぐらい、幸せにしてあげてください。
「野の花のような」という表現がすごくあってて好きです(^^)
自称夜明けの腐女子で、不憫薄幸受けが大好物なのですが、今まで読んだ中でかなりの上位に来る不憫薄幸さんです。しかも「こんな境遇でも頑張るぞ!」みたいな強さもなく、ただ、自分の境遇を受け入れるし、優しくしてくれる人はみんないい人に見えちゃって、そんな優しくしてくれる人にこんな顔させるのは自分が悪いからだ、と考えちゃう、チョロくて優しい17歳の子が受けさんです。
読んでいてここまで辛くなるのは久しぶりだなと思うくらい、受けの子には悪いことが襲いかかります。そんな中、ずっと憧れていた攻めのお医者さんと距離が詰まってくるのですが…。
細かいことは他の方も書かれていらっしゃるので書きませんが、この作品を読んですごくいいなと思ったのは、攻めと受けが同性同士だったからこそ詰められた距離感だったこと、10歳以上の年の差CPなのに、攻めが受けの子を「所有」しないこと、そしてノンケの攻めさんが受けの子を決して「女の代わり」扱いしないことでした。
やっぱりBL作品が好きで読んでる以上、なぜこの攻めと受けは惹かれ合ったのかという説得力って大事だと思うし、ノンケなのに体から付き合っちゃうの?とか(もちろんそこがいい作品もありますが)、ツッコミどころ満載の展開って、嫌いじゃないけど引っかかってしまってあんまりのめりこめなかったり…ってことがあるのですが、この作品にはそれがなかったです。
そしてどうしても10歳以上年が離れていると子供扱いしちゃいそうなのに、この攻めさんはそれがなくて、(番外編で恐縮ですが)受けの子が突拍子もない提案をするのも否定せずに受け入れてくれたり、ノンケのはずなのに受けの子を女の子扱いをしないで、ちゃんと一人の男の子として扱ってくれるところが本当に好きです。本当に大事にされてるな、という気がして。
私の中で理想中の理想な、攻めさん…いや、攻め様でした!そして番外編やSSを含め、受けの子がちゃんと社会の中で生きていけるようになっていく様が垣間見れるので、そこもとてもポイント高かったです!
とは言え、下巻の途中までかなり重い展開で進んでいくので、光の腐女子の方にはもしかしたら辛いかもしれません。ちゃんとハピエンなので、辛い展開があってもいいよ、救済されるならちゃんと読めるよって方には本当におすすめしたいな、と思える作品でした。