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表題作灰と骸

ナダ,アルティワカン神殿を守る元皇子
篠崎侑,30歳前後,元医師

あらすじ

冤罪の責任を取る形で失意のうちに職を辞した元・日本人医師の篠崎侑は、人生に絶望し、死に場所を求めて中米の奥地にひっそりと眠るアルティワカン神殿へやってきた。だがそこには、かつてこの地で栄えた帝国の生き残りであり、今なお "人ならざるもの" として生き続ける皇子・ナダがいた。出会い頭に襲われた侑は、自らの生を終わらせるためにナダの牙を受け入れようとする。けれど侵入者を拒むはずのナダはなぜか激高し、侑に「生きろ」と告げてきて……。
死にたがりの人間と、死を超越した吸血鬼の、愚かしくも愛おしい愛の物語。※死にネタです※

80ページ

作品情報

作品名
灰と骸
著者
宮本れん 
媒体
小説
サークル
LINGERING LOVE<サークル>
ジャンル
オリジナル
電子発売日
5

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萌々

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中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
1
得点
10
評価数
2
平均
5 / 5
神率
100%

レビュー投稿数1

共鳴した魂が出した答えとは

作家様がTwitterにあげていらしていて、興味を惹かれました。同人短編作品です。もともと合同誌に寄稿した作品を全面改稿して単品刊行されたものだそうですが、宮本先生ってこんなディープで官能的な作品を書かれるんですね!び・つ・く・り!!

カップリングは人外×人間。死とエロスのハイライト部分がギュッと凝縮された、シリアス&ダークな作品でした。


医師を辞め、メキシコへ旅に出た主人公の侑。それは人生を諦めた死出の旅に等しかった。侑が目指したのは土着の民が忌諱するアルティワカン神殿。道なき道を進み、やっと目的地に到着した侑は突然の襲撃に遭う。彼を襲ってきた相手は、かつて存在した帝国を守るために侵略者を襲い、その生き血を啜り生きながらえている鬼だった…


侑が旅を遂行した理由と、鬼となったナダが背負う二千年に及ぶ歴史については詳らかにされていくものの、ページ数のために少々かいつまんだ印象になってしまったのが惜しまれます。けれども、おそらくこのお話の勘所は、二人の濃密な交わりと彼らが選んだ結末。なので、これは数奇な巡り合わせによって生まれた二人の、永遠であり刹那な関係性withエロスを味わうためのストーリーなのだろうと思いました。事実、その描写は凄まじい切迫感に満ちており、圧巻というしかありません!

人外ものといえども、甘々なファンタジーとは無縁。命を賭した二人の選択は、一般的にいわれる「愛」の一形態だと理解するには埒外です。けれど、果たして人外と人間の間に愛は生まれるのか?という漠然とした疑問をうすうすと感じながらBLを楽しんでいるのなら、この結末もアリかと思えるかもしれません。どんな相手であれ、惹かれあってしまったら最後。死とエロスは表裏だそうですから…。

生と性が放つダイナミックなエネルギーと、その儚さが生む静寂が共存しているかのようなこのお話に、わたしは純粋に感銘を受けました。重ねて、作家様の意外な一面を知って受けた衝撃も地味に後を引いています…笑

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