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アゲインスト ~犬嫌いは黒柴社長と恋に落ちるか~

against inu girai ha kuroshiba shachou to koi ni otiru ka

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表題作アゲインスト ~犬嫌いは黒柴社長と恋に落ちるか~

洞ケ瀬猛
赤城の取引先新社長で黒柴犬型の獣人,29歳
赤城寿近
製菓会社の営業,26歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

デビュー作「ギフテッド~狼先生は恋をあきらめない~」で、人とは違う【個性】を抱えた等身大の青春BLを、優しく、瑞々しく描き出した話題の著者・寺崎昴が描く、【獣人】シリーズ待望の第2作! 今度の舞台は温泉街、黒柴社長と犬嫌いな営業部員の甘くやさしい恋物語♪ 製菓会社の人事異動により、過疎化の進んだ山奥の温泉街担当にされてしまった赤城。現地で出会った取引先新社長は、黒柴犬型の獣化症患者・洞ケ瀬猛だった。だがしかし、赤城は実は大の犬嫌い! ! 洞ケ瀬を見て恐怖に固まってしまう。失礼な態度を取ったにも関わらず、気にした様子もなく親切に接してくれる洞ケ瀬に申し訳なさを覚えつつも、近寄られたらびくついてしまうのが本能……。仕事で接する日々の中、相変わらずびくびくしてしまう赤城だったが、洞ケ瀬は嫌うどころか興味津々で赤城を見るたびに尻尾を揺らしている。聞けば犬嫌いなのに自ら寄ってこようとしている人間は赤城が初めてだから面白いのだと言う。黒柴社長・洞ケ瀬に気に入られた犬嫌い・赤城の運命と恋の行方は――?

作品情報

作品名
アゲインスト ~犬嫌いは黒柴社長と恋に落ちるか~
著者
寺崎昴 
イラスト
yoshi彦 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
電子発売日
ISBN
9784344849839
3.8

(29)

(11)

萌々

(9)

(5)

中立

(1)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
7
得点
107
評価数
29
平均
3.8 / 5
神率
37.9%

レビュー投稿数7

新しいお仕事BL

いわゆる”もふもふBL”とはちょっと毛色が
違いますがすごく面白かったです。
獣人が”獣化症”という病気の一種で、
偏見や差別の対象にもなりうる設定。
基本的には人間ベースにケモ耳にしっぽくらいの
獣人が好みですが、寺崎先生が書かれると
見た目はまんま犬の猛さんの魅力的なこと!
幼少期のトラウマのおかげで犬嫌いの寿近と
仕事を通して徐々に徐々に近づいていく様子が
愛おしかったです。
あったかくて優しいお話が読みたいときに
おすすめです。
光重先輩にも春が来ますように!

0

差別って難しいですよね

ギフテッドに続き、2作目の獣化症の話。 

面白いです。

テーマは"差別"です。全作同様。
ルッキズム+セクシャリティ。
簡単には語れないです。こちらはBLで、ケモ耳で、という枠組でストーリーが組まれてますが。
獣化症はそもそも、獣人とも少し違うんですよね。あくまで、見た目が獣な人間。能力は高いけど、子孫は残せない。

これって、現代社会でもありますよね。
神経繊維種症だったり、血管腫だったり、見た目問題。

意識すること、しないこと。どちらも受け取り方で差別になり得る。
最終的には信頼関係と、受け取り手によるような気もしますが。

今作の方が、大人同士、距離を測りかねている両片思いな感じが、私は良かった。
お互いの想いを伝え合うシーン、すごく良かった。
ものっすごいフィクションなのに、現実感が有る。
もだもだ遠回りな言葉ばかり出てくるんだけど、実際、決め台詞をビシッと言える人なんて、そうそういないですよ。

獣人ものなのに、等身大のリーマンもの読んだ読後感なのが不思議。
黒柴が意外に手練なのは笑った。

1

今作も良かったです

「ギフテッド~狼先生は恋をあきらめない~」が凄く良かったので、迷わず購入しました。

今回は前作と違って大人な二人で、それなりに恋愛経験があるので「相反する」二人がどう惹かれあって恋人同士になるのかとても楽しみでした。
その辺りがとても丁寧にじっくりと書かれていたのですが、私の的にはやはり前作の若さとか初々しさの方が好みだったので萌2にしました。

でも洞ケ瀬社長の寛大さであったりは、年を重ねて構築された物なのでやはり人間的には完成された良さもありました。そして、赤城はとても真っ直ぐな人物で「犬嫌い」を克服する為に元彼を利用する強かさや、復縁を望む本彼をバッサリ切る思い切りの良さがあって好みでした。

途中からは明らかに両片思いなのに、中々言い出さない二人にハラハラしたりもしました。
でも、素直に全部話すと言う姿勢に好感も持てました。

お互いに周りに嫉妬してるんだと告白し合う様子も好きでした。

古くて閉鎖的な山奥の温泉街「三易村」復興の為に、二人が奔走するお仕事面はやはり社会人ならではの面白さがありました。

このシリーズやはり続けて欲しいです。

0

克服すべきは

今回は先天性獣化症の若社長と
製菓会社の営業マンのお話です。 

犬嫌いの受様が苦手意識を克服して攻様の恋人をなるまで。

この世界には「先天性獣化症」により
獣のような容姿をもつ人がいます。

医学の発展で先天的な遺伝子疾患とされますが、
今も差別や偏見は根強く残っています。

製菓会社で働く受様は人事異動で担当エリアが変ります。

新しい担当地区は山間にある温泉街で
湯治目的の病人や年寄りが行く儲けの少ない過疎地
という印象の場所です。

会社でも数年前に営業部のホープをテコ入れするも
売り上げを伸ばす事ができず
今現在担当している先輩社員も営業を頑張ったものの
村の人間の協力が得られず需要は伸びず

次の担当となった受様は
「頑張り過ぎないように」と忠告されます。

ところが引継ぎで回った日、
受様は担当の老舗旅館で大問題に直面するのです。

実は受様は幼稚園児の時に
大型犬に襲われて全治3ケ月の大怪我を負ったトラウマで
犬ていう動物が大の苦手になっていたのですが

老舗旅館の社長が先月亡くなり、
東京で働いていた息子と代替わりしたのですが
その新社長が柴犬の先天性獣化症だったのです。

そして彼が今回の攻様になります♪
攻様は温厚で優しく穏やかな人ですが
黒の柴犬の凛々しさを際立たせたような
大型の犬型の獣化症患者で

受様の人生初の獣化症患者はびっくりするほど犬で
頭ではわかっていても心臓と脳みそは言う事をきかず
恐怖感にいっぱいで動けなくなってしまうのです。

しかも今までは物販は古参社員が担当していたのに
これからは攻様が担当すると言われた受様は
パニックで受け答えさえ満足にできないのです。

しかし攻様はそんな受様にも寛容で
犬嫌いの受様の態度を面白がりすらするのです。

果たして受様のお仕事はうまくいくのでしょうか!?

既刊「ギフテッド~狼先生は恋をあきらめない~」の続編で
女神に召喚された受様と英雄になる予定の攻様の
異世界トリップファンタジーになります♪

攻様が先天性獣化症なので既刊の攻様を知っている、
受様の先輩が既刊の攻様という設定ですが
既刊未読でも問題なく読めます。

既刊は獣化症患者の攻様視点でしたが
今回は獣化症患者に差別意識はないものの

子供の頃のトラウマで犬が大の苦手な受様視点にて
獣化症患者として生きることの難しさが
描かれていました。

自分と異質なものを認める事、受け入れる事は
とても難しい事ですが
受様は取引相手である攻様と付き合っていくために
"犬嫌い"を克服しようとします。

犬が苦手じゃなくなれば犬の獣化症患者である攻様に
普通に接することができるのではないか
と考えるのです。

確かにソレは有効な手段ではあり
苦手意識を克服しようとまでする受様に
攻様も徐々に興味を持ち、
恋へと進展していくのですが

攻様がとても大人で受様の言動に寛容ですが
受様の態度は"こうあるべき"という概念であり
相手を思っての言動ではない態度が散見します。

単純に受様が苦手意識を克服したら
攻様と恋仲になりましたというのではなく、
受様が無自覚だった意識を変えていく展開が
すごく深いなと思いました。

また新たな恋物語が読める日を楽しみにしています。

0

やっぱり獣人を書くと楽しそうですね

「もうこの世界観だけで書き続けたらいいんじゃないか」とも思ったりしたんですけれども。でもなかなかそうもいかないんでしょうねぇ……少なくとも「この世界観のお話は書き続けて欲しいなぁ」と思います。だって、とにかく獣人の描写の部分が書いていて楽しそうなんですもの。
狼、柴犬と続いたので次は猫系ですか?

前作で先天性獣化症の例に挙げられていた獣は、割と大きくて獰猛な感じが多かった様に記憶していますが『荒々しい心を持った兎の青年』とか、読んでみたいんですけれどダメですかね?
ふざけてないんです。ギフテッドやアゲインストが『怖い見た目なんだけど実は繊細、あるいは陽気な頑張り屋さん』について書いていますので、その逆が読みたいんです。
だってどちらも『見た目と中身の大きな乖離に対する悩み』ですから。

少数派かもしれませんが、私は『ギフテッド』よりも今作が好きです。
まず、お話がコメディベースだから。
哀しさを表現する手法はコメディの方が優れていると思うんです。

あとキャラクターがいい。
洞ケ瀬の先天性獣化症に対する対応が、様々な悩みを一旦抑えた『大人の対応』だからだと思います。
素敵ですよ、彼。
逆境を一山超えた人っていう感じで。
惚れました。

もうひとつ「なかなか書きづらい部分を書くんだな」と思ったのは『マイノリティを特別視しないこと』について触れていることなんです。
寿近くんは子どもの頃、犬にかまれて大怪我をしたため、洞ケ瀬の見た目が怖くてたまらないんですが、それと同時に「差別はイカン」という意識も持っていて『獣人』という言葉を使った職場の先輩を諫めたりする。
これ、見た目を怖がるのとスラングとして使われている『差別用語』を使うので、どちらがより差別的なのかという、結構複雑な、でも実は根源的なお話だと思うんです。
極端な例を書きますが、知的障がいを持っている知人に「人の言うことがぱっとわかる訳じゃないんだから、あなた、気をつけなさいよ」って言うのってどうなのか?って話に近いんじゃないかと。
これね、お話の中でちゃんと結論を出しています。
これがね、すごいと思った。

考えてみれば寺崎さんは「獣人が好き」と言いつつ、獣人がマジョリティの世界を書く訳じゃない。圧倒的な多さの人間の中で暮らす数少ない獣人を書くんですよね。
だからテーマは『孤独』や『差別』。
この世界観を書き続けて欲しいと思うもう一つの理由は、寺崎さんが様々な孤独や差別に対して「どのように歩み寄って行こうとするのか、それが見たいから」。
『優しいモラリスト』がどう考えているのか、もっと知ってみたいです。

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