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表題作ニライカナイ ~走狗の初戀~

青天目琳,大学2年生,23歳
ウメ,閻羅王の使い狗

その他の収録作品

  • あまい日々は、つづく
  • あとがき

あらすじ

生来の病のため死を身近に感じてきた琳には、大学生として暮らす現在が奇跡と思えるほどだった。ある夜、琳はひと気のない神社で傷ついた青年と出会う。目の前で犬のような姿に変じた彼に、幼い頃から夢想してきたこの世ならざるものへの憧れを重ねて惹かれずにいられない。控えめで愛らしい彼にウメと名付け、親しくなりたいと願う琳だが……?

作品情報

作品名
ニライカナイ ~走狗の初戀~
著者
高岡ミズミ 
イラスト
笠井あゆみ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
シリーズ
ニライカナイ~永遠の道連れ~
発売日
電子発売日
ISBN
9784344850248
4.3

(9)

(4)

萌々

(4)

(1)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
4
得点
39
評価数
9
平均
4.3 / 5
神率
44.4%

レビュー投稿数4

笠井画伯の表紙にKOされ、本編の面白さに萌えが滾る

「ニライカナイ~永遠の道連れ~」→「ニライカナイ~此岸の徒花~」→「ニライカナイ~永劫の寵姫~」に続く『ニライカナイ』シリーズの4作目。

前2作は白泉社さん(花丸文庫black)から刊行されていてレーターさんは班目さん。
その後の3作目以降は幻冬舎コミックスさん(ルチル文庫)刊行で、笠井さんが挿絵を担当されていますが、同シリーズの作品です。

4作目となる今巻は、閻羅王の使い狗のお話。
『ニライカナイ』シリーズはシリアスで痛い描写も多いシリーズなのです。なのですが、みてください、この笠井画伯の描かれた表紙を…!

可愛い…!

獄卒たちにいじめられる可哀想なワンコちゃんなのですが、いやいやいや。
こんなん、どこをどういじる部分があるっちゅうねん!
という可愛いワンコちゃんが描かれています。

で。
あらすじを拝見したときに、てっきり病弱な琳くんが受けちゃんだと思ってですね。あら、可愛いワンコちゃんが攻めなん?とか思いつつ手に取ったのですが。
以下ネタバレあります。ご注意ください。






閻羅王の使い狗。
醜い見た目で仕事も遅い「吾(われ)」は、獄卒たちの格好のうわさ話の的。
敬愛する兄はしっかり者なのに、自分は不出来。そう自覚している「吾」。が、ある日、閻羅王からの任の途中で失敗し、兄は重傷を負ってしまう。兄を地獄へ送っていくのが精いっぱいだった「吾」は、力尽きてしまう。

その「吾」を拾ってくれたのは生まれつき心臓が弱い青年の琳だった。

琳に本当の自分と、人型の姿を見られてしまった「吾」は琳を滅そうとするが、人懐っこい琳に毒毛を抜かれ、身体が復活するまで琳のアパートで世話になることになってしまいー。

名前を名乗らない「吾」に、琳は「ウメ」と名付け、ウメにくっついて離れない。そんな琳を疎ましく思う一方で、ウメは少しずつ琳に心を許していく。

『ニライカナイ』と言えば、クールでカッコいい攻めさん×受けさん、のイメージでしたが、今巻はどちらもめちゃんこ可愛いです。が、受け×受け、のCPでは決してない。今巻の攻めさんも受けさんも一本筋の通った好青年ですし男気に溢れている青年たちなので。可愛いのにカッコいいというバランスの良い男の子たちで萌えがギュギュ―と高まりました。

『ニライカナイ』シリーズは人の世と地獄を繋ぐストーリーだからでしょうか。人の死が凄く身近に描かれています。今巻ですと、琳という青年は生まれつき心臓が弱く早逝してしまうと言われ続けてきた。その彼とウメとの繋がりが、過去と現在という時空軸をベースに無理なく紡がれていく。そのストーリー展開はさすがベテラン作家さまといったところか。

花丸文庫blackさんから刊行されていた時は、時代の流行ということもあったのかな。とにかく痛いしハードな描写が目につきましたが、ルチルさん刊行の2冊はハードさはやや鳴りを潜め(とはいえ若干はあります)甘さが際立つ。これは完全に好みの問題で、どちらが良い・悪いではないのですが、個人的にはルチルさん刊行の2冊の方が好き。反対に言うと、今シリーズのハードさがお好みだった方には若干ぬるいと感じてしまうかも。

病弱×ネガティブの二人のお話なので二人の恋の行方も非常にゆっくり。
そもそも「ニライカナイ」シリーズは出会ってすぐに恋に落ちて、セックスして、という昨今のBLとは一線を画していて、時間の流れも人のそれとは違うこともあるのかな?お互いに一途に想うその時間の長さもまた今作品の味の一つかと思われます。今作品も、え、ハピエンだよね?と何度思ったことか。

が、くっついたその後は甘々でコミカル。
閻羅王をはじめとする地獄の仲間たちもみんな優しくって、巻数が進むごとに甘さが引き立ってきた感じ。

まだまだ気になるキャラもいますし、これからも続いていって欲しいシリーズです。

9

彼岸と此岸と愛

「ニライカナイ」シリーズの4作目。
4作目ですが、前3作の池端家のお話とは別の主人公達とストーリーになってます。閻羅王や五部衆はちらっと出て来ますが、本筋には大きく関わらないです。
そのため、前3作を読んでいなくても今回のお話単体として読めるのではないかと思います。

負傷した使い狗(ウメ)を保護した病弱な青年・琳のお話です。
最初は警戒していたウメですが、琳の天然グイグイなところに絆されていくのですが、このお話はそれだけではありませんでした。

あの世とこの世、生と死、輪廻といったシリーズの要素が琳とウメの恋に絡んで、中身の詰まったお話でとても面白かったです。

心優しい一途なワンコ系な琳、照れ屋で意地っ張りだけど、芯のある可愛いウメに萌えさせられて。
そして、お兄ちゃんがいい味出してて癒されました。
ストーリーに引き込まれて、一気読みでした。
めっちゃ面白かったです。

3

いぬ

ニライカナイのシリーズとしては他社さんから出ていたのも合わせて4作目かな?前作も好きでしたが今作も可愛くせつなく好きでしたので萌2にしました。ちょっと「イタイ」箇所もありますのでスプラッタ的要素がめっちゃ苦手な方はご注意ください。本編260P+後日談20P弱+あとがき。

友人との飲み会を終えて帰宅する途中、自宅近所の神社にお参りしたところ、人がうずくまって唸っていることに気付きます。声をかけたのですが「かまうな」とのこと。かまわず抱え上げようとした時に、青年は姿を変え・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
受け兄(双子)、篁(何作目かに登場していた気がする、閻羅王直属の冥官)、閻羅王の五部衆の皆様、閻羅王、攻め母ぐらいかな。

++より内容に触れる感想

受けは閻羅王に仕える狛犬ちゃん(表紙上の子)、双子の弟なんです。一つの珠を二つに分けて双子にしたらしく、お兄ちゃん大好き大切。兄は兄で弟大切。この関係性が良い♡兄はちょっと気が強め、弟はちょっと自信なしで前髪で顔をかくしちゃうタイプなのも良い!この双子ってのが効いてくるんですよう!

恋愛面ではなんでも初めてな可愛い子なんです。閻羅王に仕えて、兄を大切にして、と頑張ってるんだけど、恋におちちゃう。ああ可愛い。もうほんとに健気で攻めが危ないことになったら身を挺するんですよねえ・・・涙

兄は兄で弟がいなくなったら号泣しどおし。そして身を挺するんですよ、弟のために!!!!!!!!!!!こういうお話、たまんないーー攻め受け+受け兄で最後は3人で一つ(性的関係は攻め受けオンリー)という状態になるんです。

攻めは人の枠組みを結局外れていくのですが、その過程の書きっぷりもまた胸に来るのです。歳をとらなくなって、両親とも連絡を取らないようにしているのですが、ある日篁から情報を貰い母の元へ行くエピがあるんです。母って偉大ですよねえ・・孫だって言っててもちゃんと「息子だ」って分かってる。ここ泣いちゃいました。

最後巡り巡って幸せになるってお話で、3Pじゃなくって見守るって感じで兄がかかわること、そしてとても人生に対して前向き一生懸命な攻めの姿勢が嬉しい!切ない部分も多々あるのですが先生の淡々とした書きぶり(個人的見解)で深刻にならず、きゅー-----んとしつつも嬉しく涙ぐんで読み終えた一冊でした。あーこれ多くのヒトに読んでほしいなああああ!あーこれ電子も買おう!

2

兄弟愛に涙


心臓の弱い大学生と閻羅王の使い狗双子弟+双子兄

いつ死んでもおかしくない病状でありながら奇跡的に大学生になった青天目琳(攻め)。
ある夜にふと思い立って寄った神社で大怪我を負った人を見つけ介抱しようとすると、目の前で犬のような姿に変化するのを見てしまいます。救急車を呼ぶわけにもいかず、家に連れて帰って介抱することにします。
琳は人の姿に戻った青年が昔会ったことがある気がして気になって仕方がありません。
名がないという彼に「ウメ」という名をつけ世話をするのですが‥


シリーズものだとは知らずに読み始めました。多少疑問に思うことがありますがこれだけでも読めたと思います。

琳は昔から心臓が悪く次の発作があれば命の補償ができないと言われている大学生です。
だからこそ、後悔しないように大事に生きています。
そこそこ話が進むまで琳の病気が分からず、そんなに悪かったのかと驚きました。
琳は初め人の話をあまり聞かない、陽気で前向きな人物なのかと思っていましたが、話が進み、心臓が悪くいつ逝くかわからないと知ってからは、残り少ないであろう命を悔いのないように生きようという彼の心情だったと思うと切なくなりました。

ウメ(受け)は閻羅王の双子の使い狗の弟で、何故かコンプレックスの塊で、双子の兄を慕い、兄はあんなに凄いのに自分はと自己評価がとても低い。
兄弟で迷っている亡者を彼岸へと案内する役目をしているのですが、今回悪質な亡者で荒事専門の担当に変わらなければならないところを、判断が遅れたために大怪我を負ってしまうのです。

前半は兎も角後半は彼岸と此岸を行ったり来たりするので時間の流れが早いです。
10年が一瞬。

心臓がいつ止まってもおかしくない状態なのに、違う理由で逝くなんて。と思ったら、ウメが自分の命あげちゃうし。それから10年、18年、30年と飛ぶように時間が過ぎます。え?これハッピーエンドだよね。と確認したくなるほど読んでいてジェットコースターでした。

小野篁についてはちょっと驚き。BLに限らず、地獄や陰陽師絡みの話を読むことが多いのですが、どの話の中でも篁は有能だけど、陽気だったり丁寧な愛想の良い人物に描かれていたので、そういうイメージがついてしまっていて、これは自分の問題ですが、常に感情を表に出さない無愛想な人なのでどうにも篁という気がしなくて困った。

そして、一番驚いたのは、受け攻めが思ってたのと逆だったこと。私は話の初めのイメージから琳が受けだとばっかり。でも、読み進めるうち逆はないと納得。

ハッピーエンドで本当によかった。
人の理から外れてしまった琳は現世の人に会いに行けなくなり、両親には親不孝だったかもしれないけど、小さい時からずっと死と隣合わせな琳を励まし続けたあの両親は寂しいとは思ってもきっと喜んでいるとおもいます。
両親のこと琳とウメ、兄者との関係も涙なしでは読めませんでした。
そして兄者の弟を想う心は本当に凄い。
一心同体に近いのに共依存しすぎることなく、琳のことを2人の仲を邪魔する異分子と見るのではなく、ウメの心情を第一にウメが幸せであることが一番という本当にいいお兄ちゃん。
3Pになるのではないけど、3人でひとつみたいな関係がすごく良かったです。

主人公に感情移入して読む私は、琳が地獄で痛ぶられるシーンは途中読み飛ばしてしまいましたが、それ以外はハラハラと涙が混在するとても良いお話でした。

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