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まるまる人外ものファンタジー、それも和風ものです。
主役は異能力を持った人間の伊織ですが、普段は老成した雰囲気を見せながらも
モノに取り付く悪意や災いが自分に降りかかると知りながらも人助けしてしまう、
そして、相手が人外なのに寛容すぎるくらい同居人、いえいえ、自分の男だと
堂々と言ってしまうかなり男前の受けがカッコ良かったです。
そんなある意味図太いと言ってしまえるような伊織のお相手の人外が水虎。
水虎と言えばカッパの妖怪がイメージされますが、さすが高岡さんです、
萌が解っていらっしゃる、読んで字のごとくの水掻きを持った白虎姿に描いてます。
そうすることで、更に萌心をくすぐられるのに、伊織がつけた名前が「たま」なのも
またステキネーミングで以外にもツボでした。
伊織とたまの絆の強さを地獄の閻羅王が契約に基づき試練を繰り返し与える内容で
表現的にはかなりグロイ描写もあって文字通り痛いですが面白い。
グロテスクな表現が苦手な人はちょっと引いてしまう気がしますがそこを堪えて
読んで欲しいと思えるお話です。
それに高岡さんの作品にご友人である橘さんのあの狸や猫や鳥さんがユニットを組む
作品がちらりと出てくるのも既読している人にはフッと笑みを誘うコラボかも。
相手が人間でないとは言え伊織はたまの前で陵辱されたり目玉をえぐられたりして
痛々しいことこの上ないのですが、伊織のたまを想う気持ちと意外なまでに男前気質が
作品を明るくしてくれているように感じます。
逆にたまの方が心配性で伊織に振り回されていて、どちらが人外なのかと思える内容。
個人的にはかなり楽しませて頂いてありがとう、面白かった満足ですと言いたい作品。
確かに高岡ミズミ先生の人外モノって少ないよね~。…おおっ、いい雰囲気じゃないですか…と、思いながら読んでたら、どんどん妖しい方向へ…。中盤のあたりは、読み進めるのに気力要ります!(痛そうなもの、血しぶきダメな方はアウトかも?)そこを越えれば、それがあるからこそのラストです!!…いやぁ~。伊織も、たまもしぶとい(≧Д≦)本の帯に“諦めない愛の絆に感動です”…と有りました。まさにその通りのお話しでした。ラスト辺りはまた、面白いことになってるので、続編あるのかな~と、ちょっと期待してます♪
骨董についた邪気が見え、浄化が出来る伊織。
浄化の仕方は自身に取り込むこと。
伊織が取り込んだ邪気を結晶化できる水虎のたま。
ある日、共同不審な客の後を追い、猫又に出会う。
客が心配で助言するが、激昂し刺されてしまう。
この時、伊織は死んでしまった。
伊織の身代わりに地獄へ落ちるたま。
その代償としてたまの記憶を失う伊織。日々に何かが足りないと感じる。
それは決定的になり、虚無を埋める術を探し地獄に辿り着く。
地獄の案内人に連れられ、たまを探しに地獄へ。
そこで伊織が見た、たまの姿…
愛する人のため、死ねない苦しみを永遠に味わえますか?
泣いちゃいました…。
幾度となく地獄に行ってた事とか。
蛆もわき、肉が腐り、醜くなっている自分を見てほしくない気持ち。
愛する人を、自分のためとはいえ犯される様を見せられるとか…。
お互いの気持ちが通じ合う事の幸せを教えてくれます。
今まで高岡ミズミさんの作品は読んだことがなかったのですが、斑目さんの絵が好きなので購入。
表紙の絵がすっごく綺麗で、うわ~!となっていたのですが扉絵でちょっと違う意味でうわ~…!となりました。。
話の内容は、主人公・伊織には特殊な力があり、祖父から譲り受けた骨董店で気ままに働いていた。ある日、何となく行った河原で壺を見つけ家に持って帰ると中から水虎が現れる。伊織は水虎を‘たま’と名付け、最初は伊織に警戒心を抱いていた たま も次第に心を開き、いつの間にか二人は身体の関係を持つように…
そんな時、伊織は猫又に騙されていた男性客にハサミで腹を刺され、命を失ってしまうが、たまが地獄で閻魔さまと交わした契約により生き返る。しかし、たまとの記憶を失い、たまは伊織の代わりに地獄へ落とされてしまう。
伊織は日々何か違和感を感じながら生活し、ある時、伊織と たま との事を知っている叔父・清貴に相談している最中に、たまとの記憶を取り戻す。すると、とある住所の書かれた紙をもらう。
その住所の場所へ行くと篁という男が、渋々ながら伊織を地獄へと案内した。そこで伊織は人が変わってしまったような たま の姿を見る。しかし、気が付くと人間界へと戻っていて、またも記憶を無くし、叔父の所で紙をもらい……ということが何度も続き、3年(地獄では300年経っていた)もそれを繰り返して…やっと決着の時がきます。
ここからは少し割愛しまして…、伊織は獄卒共に右眼をくり貫かれ犯されたりしますが、閻魔さまの手足となり働く、という条件で たま と共に人間界に戻って普通に暮らせることになります。
長くなってしまいましたが内容としてはこんな感じです♪
少しグロテスクなところもありますが、面白いお話だと思います。伊織も、個人的にはもっと繊細な感じかと思っていたのですが結構さばけていて、こういう受けキャラもいいなーと思いました。そして何より たま がクールで美しくて尚且つカッコいいです!(←人型の時も獣型のときも)
ぜひ、いろんな方に読んで頂きたいです。
昔から、住宅事情さえ許せば、大きな生き物と一緒に暮らすのが夢でした。BL作品ではないのですが、小野不由美さんの「十二国記」を読んで、その願いに拍車がかかったような気がします。そういえば、延王尚隆は愛騎の騶虞(すうぐ=虎に似た妖獣)に「たま」と名付けてましたね。
本作のたまは「水虎」。体長はゆうに3メートル。見た目は白虎だけど、水に棲むいきものなので指には水かきがあります。骨董屋の若き店主伊織が、2年前偶然拾った、といっても子猫じゃあるまいしそうそう道端に捨てられている代物じゃありません。なんだかいわくありげな古い壺にお札を張って封印されていたのを開けた途端、ランプの精よろしく水虎が飛び出してきたのです。弱っていた水虎に、せっせと清らかな水を与えて介抱するうち、次第に1人と1頭は心を通わせます。「お前に助けられた命だ、これからはお前のために生きよう」水虎の恩返しです。あやかしのくせに妙に律儀なヤツなんです。おまけに過保護。
伊織には物に宿る邪気を浄化する不思議な力がある。評判を呼び、店には次々といわくつきの品が持ち込まれる。ただ、浄化した邪気は自分の体内に取りこまれるので当然身体には負担がかかる。このままでは長生きできそうもないと思ってたけど、なんとたまは伊織にくちづけてその邪気を吸い出し、ただの黒い玉に変えちゃうのでした。(あっ、このときは虎の姿じゃなくってちゃんと人型をとってますよ。こちらも身長2メートル近い美丈夫で、着流しに長髪というナイスないでたちです❤)
この伊織というひと、モデルのような繊細な見た目を裏切る、かなりの豪傑で、少々のことには動じない。そして自分の身体とか生命に対しても、無頓着すぎるきらいがある。それは、生まれ持った特殊な能力のせいで、家族からもうとまれ、「誰とどこにいても居心地が悪かった」という生い立ちとも無関係ではない。時に自分の身の安全を顧みず暴走する伊織を、たまは常に案じて、護ろうとする。2人の関係は、邪気を受け渡しするためのキスから発展して(というか、欲情した伊織が誘って)セックスもありなんだけど、閨においてもたまは細心の注意を払って伊織を傷つけないように大切に抱く。逆に閨での伊織はケダモノ同然となる。やさしい獣と獰猛なヒトという逆転カップルですが、相性は抜群なんです。
1人と1頭の穏やかな暮らしは後半一転、血みどろの地獄めぐりに突入します。斑目ヒロさん描く表紙の端正な美虎と、口絵のデビルマン(?)が同一人物だとはとても思えませんが、そのくらいの落差があるのです。伊織は地獄の獄卒どもに犯され、右目をえぐられ散々な目に遭うし、彼を護ろうとするたまはもっとズタボロに。地上で3年、地獄で3百年もの間、この世とあの世を何百回と行き来して、それでも互いを求めあう2人に、とうとう閻魔大王もギブアップ。2人してこの世に戻ることを許されます。「右目と尻で平穏な暮らしに戻れるなら安いもの」なかなか言える台詞じゃありません。豪傑受けコンテストがあったら伊織はランクイン間違いなしです。やっぱ、大きな生き物とくらすには、広大な住環境もですが、広いふところと太い肝っ玉が必要なんですね。