客に惚れたら、遊女は地獄……

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表題作華の闇

南条貴師
26歳,遊廓の客
華嵐
17歳,遊女

あらすじ

仕事相手である西苑寺子爵に連れられて吉原を訪ねた南条貴師は、そこで四年前 自分の前から突然消えた少年と再会する。しかし彼はいまや吉原の奇蹟、吉原唯一の男遊女、華嵐たった!! 過去を忘れ、遊女として振る舞う華嵐。遊女を憎み、嫌う南条だったが、華嵐が見知らぬ男に抱かれる姿を思うと、自分でも抑えることのできない激情に囚われる。ならばいっそ自分の手で……華嵐の水揚げを決意する南条だったが──豪華絢爛吉原遊廓絵巻!!
(出版社より)

作品情報

作品名
華の闇
著者
榎田尤利 
イラスト
蓮川愛 
媒体
小説
出版社
大洋図書
レーベル
SHYノベルス
発売日
ISBN
9784813011491
3.6

(37)

(9)

萌々

(8)

(18)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
10
得点
132
評価数
37
平均
3.6 / 5
神率
24.3%

レビュー投稿数10

吉原だからこそと感じられるお話

はい、吉原もの、大好きです!

一般やBL、ジャンルに限らず吉原ものが好きです
儚さや、哀しさ、愛しさ、美しさ、憎らしさ

全てが詰まっている気がしてですね……

こちらも大変楽しく読ませて頂きました
おはぐろどぶに沈む姉女郎の遺体を胸に、受けである暁芳が語りかける言葉に嗚咽が漏れました

ああ、なんてなんてツライ……

エッチシーンも確かにエロエロではありますが、随所に垣間見える哀愁でそこまではエロさを感じません

でも、それがいい

題材に反して禁欲的なのが良かったです

男花魁……まぁ普通は蔭間でしょうけど
なさそうで新鮮でした!

攻めの、不器用ででも一途で朴訥とした色男っぷりがよかったです

榎田さんは、ほんとハズレがないなー!

1

男花魁の矜持

電子書籍で読了。挿絵もあとがきもありません。

榎田尤利さんは私にとって特別な作家さんです。
榎田さんの本を読んだことが、長い長いブランクを超えて腐世界に再び戻って来るきっかけでした。今作は数少ない未読本。やっと読みました。

榎田さんはよく、死を通して生きることを描く作家さんだと言われていますが『マイノリティであることの誇り』について描いてもグッと来る作品を書く方だと私は思っています(同世代の作家さんには、同じ様な方々が他にも多い様な気もしますが)。このお話の主人公も『他人がどう見ようとも私は私。そういう私を貫きたい』という人。甚く共感してしまいました。

(表紙でもろ解りなんですが)遊郭ものです。
暁芳は花魁の子どもとして生まれ、一時期は父方に引き取られたのですが、父の妻や息子に虐められた末に再び花街に売られ、華嵐という源氏名で、母と曰くのある西苑寺子爵による水揚を迎えようとしています。そこに割って入ったのが何条財閥の貴師。貴師は暁芳が父方にいた時代に虐げられている暁芳を助け、困ったことがあったら自分を頼る様に言い含めていた暁芳の初恋の人でした。貴師は暁芳=華嵐の水揚を自分が行いたいと子爵に頼み込み、権利を手にします。しかし、暁芳は、自分は男花魁の華嵐であり、暁芳という者は知らないと言い張るのでした……

私がこのお話で面白いと思うのは、暁芳が花魁という立場を捨てて貴師に身請けされてしまえば、暁義個人のプライドが傷つくだけではなく、花魁という存在をも社会の最下層のものであると認めてしまう構造になっている事です。いや、確かに下層なんですよ、俯瞰すれば。でも、一旦吉原に足を踏み入れればその世界の中では、花魁は最上層という取り決めになっている訳です。それは儚い取り決めごとで、真実ではないのですけれど、でも、それにすがって毎日を過ごすしかない遊女達の誇りを暁芳=華嵐が背負って立たなければならない作りになっているんですね。

エロエロ表示になっていて、確かに水揚の過程でエロいことをたくさんやっているんですけれど、あまりエロさは感じませんでした。
私にとっては、これは紛う事なき『お仕事BL』。
代償として金銭を得ているか得ていないかは別として、自分の仕事に誇りを持つ全ての姐さま方にご一読いただきたいお話かと思います。

話は飛びますが、
『カブキブ!』も『死神』も面白いけどさぁ……
最近榎田さんのBLがないのがとてもとても寂しいです。

1

榎田さんのエロ万歳

榎田さんのエロ万歳、な作品。

遊郭で男娼(陰間でなく男遊女という変わった設定なので表紙絵となる)の華嵐。華に嵐のたとえもありますわな。絵に描いたような健気受け。
一方攻めは、財閥御曹司。なので身請けも出来るぞ、と。やはり他の男に抱かれるシーンはNGだったのか、危害ある華嵐ながらもその辺りの描写は出ず。ストーリーとしては片手落ちな印象。

攻めがかたくなすぎてややイライラしますが、結局ハッピーエンドで終わってみれば王道ストーリー、かな。

再読はないかも。

1

榎田先生初の遊郭もの‼

苦手意識が強かったんですけど、さすが榎田作品だけに面白かったです。
先生も、歴史ものは苦手だったそうなんですけど、「遊郭ものを書きたい」と決意して勉強されただけに、文書にも反映されていて…しかも読みやすく、雰囲気が十二分に発揮されていて良かったです。
大好きな蓮川先生の、色気たっぷり和装姿の絵柄も萌ポイントでした。

内容は、財閥御曹司•南条貴師×遊女•華嵐、本名•暁芳の年の差&再会もの。

遊郭ものと言えば、借金が原因で身売りされ、そんな受を見初めた攻めが身請けしてパッピーエンドというのがだいたいの流れだと思います。
この作品も流れは一緒なので、結末が見えてくる分、せつなくなるシーンもあったんですけど安心して読めるお話でした。

華嵐は男なのになぜ吉原にきたのか…その生い立ちや、貴師が遊女を憎んでいる理由。
偶然吉原で再会した2人の確執は何故か、過去とどういう関係があるのか…華嵐を贔屓にする西苑寺の過去と華嵐の関係が、読んでいくうちにうまく繋がっていきます。
榎田作品らしい、捻ねた展開に引き込まれていきます。

華嵐が使える花魁・志乃、天才絵師・櫂弥呂久いった、脇役キャラも個性派揃いで魅力的なところ。
少ししか出てこない中でも、一人一人が生き生きとしているから目が離せません。
その生い立ちや心情面、貴師と華嵐の未来にも大きく関係していき、こういった脇役キャラ達のお陰で、2人は一緒に生きていく道を選んでいく…そこをしっかりと心情描写させながら描かれている所が良かったんです…さすが榎田作品憎いですよね(笑)

華嵐の母親も重要な存在。
花魁だった母親の背中をみて育っているだけに、遊女としてのプライドもしっかりと持っているんです。
ラストで貴師が身請けしたいと伝えてきた時、この華嵐のプライドが光ってかっこ良いのです♡
自分の誇りに賭けて、自分の借金は自分で返したいと…この時のセリフには魅せられました。
自分は男だから…世継ぎが必要になってくる立場にいる貴師に、家庭と子供を与えてあげることはできないとも出来ないとも考えているんです。
愛する人の事を密かに思いやる気持ちに、せつなくホロリときてしまいました。

でも、貴師も負けていないというか…暁芳の性格をよく理解しているから一枚上手なんです‼
再会した最初の頃は、自分の気持ちにも気がつかないまま、独占欲だけが丸出して…ヘタレさんだったのに、
「愛している」と自覚してからの貴師は潔いくらい、愛の為に一途ないい男になっていきます。
身請けする為に、安定な人生を捨てて借金を背負ってまで好いた男と生きていきたいと…その誠実で本気な恋心に再びホロリでした。

身請けを受けるんだろうなあと思っていただけに、ここは華嵐のプライドを通す展開になるのか…どうなるのかドキドキして読みました。

エロシーンも濃厚です。
水揚げの7日間…時間をかけてほころばせていく描写はエロス♡
絵師の櫂弥呂久が、絡んでくるあたりは萌でした。
ただ、欲を言えば、もっと濃密な7日間でも良かったのになあと…(笑)
水揚後の華嵐と他のお客との関係も出来れば読みたかったです。
その時の華嵐と貴師の互いの心情描写がなかったのも残念でした。

ラストは榎田先生らしいパッピーエンドだったんですけど…
華嵐のプライドが光ったセリフが印象的なだけに、プライドを突き通して、自らが借金を返してからのパッピーエンドでも良かったような…

作中で男の遊女は、女より期間が短いともかかれていたし、過去よりも、今の気持ちを大切に、今を生き未来につなげていって欲しいという、時代背景の移り変わりとともに、恋愛を変わっていく…そこを絡めて描かれていたのかなあと…
読み終わってからもグルグル妄想に浸ってしまいました。
すみません…うまく伝えられなくて。

でも最後の2人が一緒に仕事をしている姿をみていると、心温まってきて、身請けされてのパッピーエンドで良かったなあと思えます♡

遊郭もの興味のある方にはオススメします。

0

炎上してくれ!

まさしく『吉原炎上』。
映画が思いだされます。
遊郭って響きが色っぽいです。
花魁は お店の華(商品)。
天職じゃなかったら 地獄です。
身体を売る商売ですから 根性の世界です。
主人公の受けは 運がよかったです。(BLだから)
好きな男と初めてのコトができたのですから。
水揚げは実際 好きな人とはSEXできないと思う。
私の希望通りにはいかなかった~。
鬼畜な金持ち変態ジジイにもてあそんでほしかった~。
残念。
榎田先生が遊郭書くのは本当に貴重です。
珍しい作品となりました。

0

廓もの小説として

BL作品というより、吉原の遊女の生涯をテーマにしたお話として読んで普通に面白かったです。
以前にレビューされている方と同じく五社英雄監督の映画のようだなぁと思いました。(吉原炎上、陽暉楼とか大好きなんですw)

主人公二人を取り巻く環境や、登場人物一人一人の魅力が丁寧に描写されており、作者さんの確かな実力が窺えました。

面白いかと聞かれればもちろん面白いのですが、「萌え」の部分で言うと、ちょっとカタすぎ?全体的に難しい単語や言葉使いが多いですしね。
結構お話の方に集中してしまってエロ脳wが働かないのかも。実際ウルッときてしまいそうになり、ここまでリアルじゃなくてもいいかなと思ってしまいました。
受けがもう少し性格的に可愛らしい感じだったら、良かったかなぁ?遊女が板ついていて無垢な感じはしません。

私のようにとりあえず廓ものは好き!って方には無条件におすすめしたい作品です。

0

陰間ではなく、男花魁。ボーイズラブ版『吉原炎上』でした。

遊郭モノではあるけど、陰間ではなく
女ばかりの大見世で、ただひとり男花魁として春を売る
華嵐(からん)

遊郭に身を堕とす前に心惹かれていた
南条財閥の御曹司・貴師と遊女として再会するんです。

男として女の世界で、女と対等に身体を売るという設定は
はじめてでした。

水揚げしてくれた貴師に想いを寄せる華嵐
貴師もまた華嵐に想いを寄せ、手に手をとっておしまいv
っていうんじゃなくて、花魁という地獄を描きつつ
地獄の中で、花魁たちがある種の悟りを開き
そこに矜持を持ち、たくましく生きている様が垣間見れた。

読んでいてふと
五社英雄監督の『吉原炎上』ぽいなぁとは思いました。
名取裕子の花魁道中が、ちらちら目に浮かびましたw

陰間という世界を描いたものが多い中
あくまで女性の花魁の世界でボーイズラブ
美しくまとまっていて感服しました。

0

苦手な遊郭ものに感涙

すごい、すごいよかった~~~!泣きました~。

榎田さんは大好きですが、どーも遊郭ものは(特に受けが遊女とか男娼だと)食わず嫌いしてまして・・・・・・・・・なんともったいないことをしていたのか!
やーーー、さすがです。榎田さん。憎いねっ。切ない切ないお話でしたね。

男ながら、借金のために吉原の遊女になった17歳の暁芳と、13歳の頃の暁芳を知る財閥の御曹司、貴師が客と新造として再会する冒頭から、本当に一息に、一息に読みました。

この、この暁芳が。不幸に不幸を重ね塗りしたような人生でね・・・

花魁の子として母といた頃も、男遊女となってからも、苦界に身を沈めなければならなかった女の哀しさを知り尽くしてなお、そこに踏みとどまろうとする暁芳。

榎田さんの書く人物は皆どこか気丈でピュアですけど、この暁芳にはやられました。
辛い思いで過ごしていた13歳のほんの一時、優しくしてくれた貴師を憎からず思いながら、情けは受けたくないという。

頑なな態度の暁芳についついいらいらして、好きなのに優しくしてやれない貴師。

そのくせ、他の男が水揚げするなんて許せない!とばかり、無理やりお初は自分がゲット。しかも一週間貸切。
両親を亡くしてはいても、恵まれて育った財閥御曹司ですからね。
やっぱり春を売る職業に対して蔑視感がありますから。

それを敏感に感じ取った暁芳はあくまでも「客」として扱うので、ますます貴師はイライラするわけで。

この辺の気持ちのすれ違いはほんとにいいですね!
想いが通じ合ってもすぐにトントン拍子に行かないのも。

最後に暁芳の背中を押すのが西園寺子爵の言葉なのも!
「・・・離してはいけない手というものがある。」
「勇気を忘れてはならない。・・・幸福になる勇気だ。」

いいですね。そういってくれる人が、かつての羊にもあったなら、と恥ずかしながら涙しましたよ。
本当に、二度と出会えない、大切な手というものはあるものです。
自分のプライドとか、相手の気持ちに対する不安とか、特に過去に不幸な経験をしていると、幸福そのものに対する不信感とかが、どれだけ襲いかかっても!踏み出さないといけないことがあるんですね。

暁芳と貴師はもちろん、暁芳の母と西園寺のエピソードと、暁芳の姉がわり、花魁の志乃の哀しい恋の行く末、そしてなかなか魅力的な絵師の弥呂久。

相変わらずワキがいいですね~。
登場人物がいくら多くなっても全員魅力的で、ちゃんとストーリーにがっちり絡んでくれるし。

素晴らしい作品がまた一つ。神棚入り決定!

3

赤い着物を見ると興奮するって・・・牛じゃないんだから(笑

遊廓ネタが大好きデス。
赤い着物を着た男の子が表紙の小説は思わず手にとってしまう。

贅沢をいえば、暁芳にもう少し可愛げが欲しかったかなと。
後半、もりあがりがもう少しあったら良いのにな~と。
子爵にも華嵐を抱かせてやればよかったのになと。
絵師さんが抱かれるシーンがみたかったなと。←作品にまったく関係ない;
ある意味、「今も男の花魁が~」で、華嵐は今も花街で~という話でも面白かったかなと思ったりしております。

妄想を掻き立て、色々興奮させていただく一面もおおくあり、面白い作品でした。
間に何が起ころうと、終わりよければ全てよし。
やっぱり愛あるHが一番だとおもう。

2

ザ・花街

榎田尤利さんは器用な作家さんだなァと改めて思いました。
舞台は遊郭なんですが、遊郭に必要な萌え要素はきっちり詰め込んだ小説になってました。
水揚げ、足抜け、頼りになる姐さん花魁、花魁道中、身請け、慕ってくる禿、etc
満足なんですが、微妙に不満かなー。
男花魁になった受けに、もうちょい苦労させたかったなァと。愛する男に水揚げして貰えるなんて、苦労が足りん。どうせなら不細工なヒヒジジイに水揚げしてもらえとか思う私は鬼畜でしょうかw
手練手管で感じてるふりしながら雑魚客を次々に骨抜きにしていくシーンとかも見たかったな。
でもまあ、これが榎田尤利さんだよね。
そういう意味では遊郭モノでも痛さはあまりなく、安心して読めます。

0

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