• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作曙光 悪食3

奥槻泉里
水琴の恋人で後援者でもある画商
胡桃沢水琴
死者が視える画家の卵

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

水琴の画家デビューのため、最高の舞台を用意したい──。画商兼恋人として、準備に奔走する泉里。けれど、描くこと以外許されない水琴は、重圧を隠せない。泉里の期待と献身は有難いけど、このまま流れに身を任せていいのだろうか…? 不安が募る中、なんと親友の橋本が殺人容疑で逮捕されて!? 突然降って湧いた冤罪事件、恋人への微かな不信──デビュー目前の画家に、試練の時が訪れる!!

作品情報

作品名
曙光 悪食3
著者
宮緒葵 
イラスト
みずかねりょう 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
シリーズ
悪食
発売日
電子発売日
ISBN
9784199010675
4.4

(27)

(17)

萌々

(7)

(2)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
9
得点
119
評価数
27
平均
4.4 / 5
神率
63%

レビュー投稿数9

「自由である」ことの重み。壮絶な事件の結末に、涙

はーーーー…「悪食」シリーズをここまで読んできて初めて、
涙が出ました。。

水琴の親友・橋本が父親殺しの犯人に仕立て上げられ、
冤罪を証明するために奔走する水琴。
本当に壮絶な事件だった..
手に汗握り、夢中になって読みました。.読後しばらく、呆けてしまった…

あとがきによると、宮緒先生、この作品を書き上げるにあたって
弁護士の先生に監修をお願いしたとのこと。

終盤、裁判所以外の場所で証言する重要シーンが出てきましたが、
そういった描写も弁護士さん監修のもと、書かれたものなのですね。
すごい..(語彙力)

事件メインではありますが、今回は泉里の弱さが炙り出され、
愛しい水琴を監禁した上、意思に反して犯すことまでしてしまうー
という巻でした。

逆に今まで”庇護される”ばかりだった水琴は自らの意思で
泉里のもとを(一時的に)飛び出し、前巻の「羽化」よりも
さらに大きく羽ばたき”自由”を手にする…

そして、その”自由”というものが実は
とんでもない重圧を与えてくるものなのだと気付く。

たやすく手折られてしまいそうに見えながら、
しなやかな強さを持つ水琴の戦い。
気持ちを奮い立たせ、生きた人間の憎悪、亡くなった人間の憎悪に
立ち向かっていく様子を、拳をぎゅっと握りながら読みました。

2巻で謎めいた登場の仕方をしていた雪輪の驚くべき異能と、
水琴との因縁が明らかになり、この二人の対決(?)が
最終巻でどうなるのか、読む前からドキドキしています。


そして、忘れてはいけない、忘れられないのが、
事件解決のキーマンとなった萱くん。
最後に3人を救ったことで(橋本、泉里、水琴)、やっと安心して、
満足して、お母さんのもとへ行くことができたのかな。

16歳の少年らしく、いろんなことを体験し、
未来への希望を持ちたかっただろうに…と、
読みながらぽろぽろ涙が出てきてしまって…( ; ; )

たとえ胡桃のように小さく狭い空間であっても、
「自分さえ良し(由)とするならば、自由でいられる」

作中のこの言葉が、強く心に響きました。

今作の最後に、鮮烈な画家デビューを果たした水琴。
そんな水琴と泉里を次は一体いかなる事件が待っているのか、
ドキドキ、わくわく、読む前から軽く興奮状態です…!

シリーズ最新巻である4巻、心して読みたいと思います(๑•̀ㅂ•́)و✧

1

妖精画家としての1歩。

シリーズ3作目になるこちら。
攻め様である泉里の執着心と、水琴の周囲で起こる事件と霊との関わり方が胸に来るので、続きが読みたいシリーズです(*^^*)

受け様は、亡くなった人の想いを見ること出来、それを絵に写し取ってきた水琴。
攻め様は、画廊の経営者であり、水琴を見出してパトロンとなり、恋人としては重たすぎる愛情で囲いこんでいる泉里。


前作で画家になる決意を持った水琴。
なので、泉里は水琴に対し、何もせず絵に集中するように、と環境を整える。
でも、これから画家として生きていこうと覚悟を決めた水琴には、泉里の腕の中で守られるだけであるのに、違和感が付きまとう。

そんな中、水琴は前作で知り合った少年の雪輪と再開。
無邪気に再会を喜んで見せてるけど、絶対分かってて狙って来たやろ~。
目的が分からない不気味さが漂ってます。

そしてまた、友人である橋本が、高名な日本画家である父親殺しの容疑者となってしまう。
橋本の無罪を信じ、目撃者を探している内に、泉里の執着ぶりが暴走していき、とうとう水琴を監禁状態に。
多分、心の中では幾度となくしたいと思ってたんでしょうねぇ。

今回、活躍してくれたのは、槙さんでした!
泉里にも水琴にも信頼される、こんなに大事な人になるなんて。
間違いなく水琴の正当な信奉者ですしね。
最後にちらりと見せた執着心もよき(*^^*)

また、悪霊になりかけてた少年が浄化するまでが、愛されて育った子の強さでよかった。
「生きててよかった」と言えて本当によかったねぇ、と胸にジーンときました(´ノω;`)


今作でも、更にパワーアップしている泉里の重たすぎる愛や執着心に、うわぁ(-ω-)と思いつつも、そんな攻め様の愛は大好き(*'▽'*)♪

次回作をまた楽しみに待ってます。


イラストは、変わらずにみずかねりょう先生。
最初の口絵の2人に、え!?となりましたけど、麗しいです。

2

目指す未来をつかみ取るために

今回はギャラリーオーナーと不思議な力を持つ画家の卵のお話です。

受様の友人が父親の殺人事件の犯人の顛末と
受様という稀有な芸術家を巡る愛憎劇を収録。

受様は高祖母から
美貌と死者の声や姿を見る異能を継承します。
視えないモノを視、彼らを描かずいられない受様は
母に疎まれ、山奥に住む父方の祖父の元で育ちます。

そんな受様の生活が変わったのは
知らない間にSNSにアップされた絵に惹かれた
画商である攻様からのアプローチでした。

攻様は画商として受様の才能に惚れただけでなく
受様自身をも愛し、受様は攻様を後見人として
東京の美術専門学校にて画家を目指す事になります。

受様は異能もあり、デビューに懐疑的でしたが
画風と画家本人のミステリアスさから
「妖精画家」と呼ばれ、

偽物まで現れる事件に巻き込まれた事で
受様にしか描けない彼らの遺した思いをつたえたいと
我がとしてデビューする決意をします。

攻様は受様を全力で支えると約束してくれますが
受様自身をも深く愛しすぎるあまり
受様に絵を描く以外の事をさせたくないようで
交友関係にまで口出ししそうな勢いです。

それでも攻様を愛する受様は
攻様の過保護も束縛も甘んじて受け入れるのですが
受様の才に魅せられた画商は
受様と攻様の関係に苦言を評していました。

そんな時、
受様は専門学校で出会った友人の父親である
日本画界の重鎮の絵画展を観に行くことになります。

友人は学校を退学して
フリーのイラストレーター兼デザイナーとして活躍、
それすらも父の逆鱗に触れて邪魔されており
親子仲は最悪なのです。

受様はそんな友人に代わって絵画展を観に行くのですが
その1週間後日本画家が友人宅で殺傷され、
友人は犯人として連行されとしまいます!!

果たして日本画を殺した犯人は友人なのか!?

本作は既刊「悪食」の続刊で初めての完全書き下ろしの
オカルトミステリーとなります。

受様のデビューで完結しているので
"祝シリーズ化"でよろしいですよね♡

本シリーズは
メインとなる殺人事件(ほぼ確定)に巻き込まれた受様が
死者との対話を通して事件を解決していき
受様も人として成長していくというモノなので

今回の事件は受様が初めてもった友人が
犯人とされてしまった殺人事件で
受様は友人のありばいを証明する証人と
真犯人を見付けるために奔走します。

その背後で今回は受様をデビューさせるために
奔走していた攻様の独占欲が暴走し
今まで攻様を世界の中心としてきた受様が
攻様との関係性を考え直していくという感じで

それぞれが独立しているようで絡み合って進み
ハラハラ&ワクワクてんこ盛りで
とても面白かったです (^O^)v

前巻で知合った日本画家を目指す
年下の友人の異能が明らかになってきた事が
これからの受様の未来にどうかかわるのか
それもまた楽しみです。

5

妖精の王の降臨

シリーズ3作目、みずかね先生なのでマストバイ。水琴ちゃんが頑張ったなあと思ったので萌にしました。なんとカラー口絵は槇さん&水琴ちゃんという白白コンビ!(キランキラン★絵から光発してます&察して)頑張れ泉里さんと思ったお話、本編320P弱。

SNSにアップした絵が評判となりフォロアー激増、画家デビューの準備を進めている泉里と水琴でしたが、親友の橋本が自分の父を殺害した容疑で逮捕され・・・と続きます。

登場人物は
槙(水琴ちゃん大好き画商)、橋本(今回受難)、橋本姉、雪輪(2巻から登場)、紫苑(橋本の恋人♀)、萱(事件のカギを握る少年)ぐらいかな。

++ より内容に触れる感想

好きすぎてヘタレ犬と化したな、泉里さん!という印象です。スーツ姿麗しいイケメンなんですけど、今回監禁→逃げられ→ヘタレ廃人手前→水琴ちゃんの愛により復活★という王道コースを辿ってくれます。イケメンへたれ犬がお好きな方でしたら嬉しいのでは。

水琴ちゃんはそのヘタレ犬を思い、一枚脱皮、強くなりました!寝室方面でも頑張ろうとなさるのですが、そちらはまだまだ進化途上という様子ですが、泉里さんを奮い立たせるには問題なく効果抜群。ほどほどになさいませというぐらい頑張っておられましたので、色事シーンお好きな方は嬉しいのではないでしょうか。

妖精の王の降臨★と紹介された水琴ちゃんの活躍、またいつか読めると嬉しいなと思った一冊でした。(私はどっちかというと槇さん推し)

1

早くも続編が待ち遠しいです

前作「羽化 悪食2」で現れた水琴と泉里の問題点が、こちらの「曙光 悪食3」で顕著になってましたね。

泉里の水琴が自分の側から居なくなってしまうのでは無いかと言う恐怖と、魅力的な水琴の周りに集まる人間たちへの嫉妬。
水琴の画家としてどうありたいか、泉里とどんな関係になりたいのかという戸惑い。
これらが水琴が画家デビューを決めた途端に一気に吹き出すのです。

それに並行して水琴の友人である橋本の父親殺害容疑が、前作から登場した雪輪という少年の介入によって思わぬ方向に進んで行くんです。

この雪輪の存在が1番恐ろしかったです。無邪気な好意を水琴に見せる面がまた尋常じゃなくて…彼が今後どう関わって来るのか、敵なのかそうじゃないのかが凄く気になりました。

また、今回はいつもの死者の声とは違っていて、かなりゾクッと来ました。
似たような境遇の萱と紫苑…それぞれの母親の取った行動が子どもに対して真逆だった事に対する結果がエグくて、宮緒先生らしいなぁと思ったんです。

母親の子どもに対する思い、萱がそれに気が付けて彼が最期に取った行動に涙が出ました。
また、橋本の父親の隠された真実や息子に対する不器用な愛情にも同様にウルっと来たんです。
この辺りが「悪食」シリーズの魅力で好きな点なんです。

今作では水琴が妖精画家として個展デビューして、泉里に舞台に呼ばれたところで終わってました。

デビューした水琴の周りがどう変わって、また水琴と泉里もどう変化して行くのか、早く続きが読みたくてしょうがありません。

3

この作品が収納されている本棚

ちるちる評価ランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP