SS付き電子限定版
あ~~もう冒頭から面白いやつ~!!
画商×美人画家で受けが無自覚あざとい系です。
霊が見えてしまうが故にイジメに合っていたりしたので内向的ですが、無邪気ゆえのあどけなさでイケメンスパダリが翻弄される様は最高でした。
それに抗うように攻めも片道6時間かかるのに足しげく通い、最初から優しく紳士的にアプローチ。
見えない攻防が繰り広げられている二人の口説き対決のよう。
途中、急にここはどこ!?異世界!?となったり、攻めの性格がガラッと変わって戸惑いました…(笑)
それまでは執着をチラ見せくらいだったのに、エンジン全開フルスロットルでヤンデレに変化して私は大歓喜!
監禁を仄めかす発言をしたり、二人きりになった途端エッチ三昧。
意外にも受けがしっかりしていて、どうにかこの状況を打開しようと試行錯誤。
気づきました。
このお話、受けの方が幾分マトモです(笑)
また、ページ半分が馴れ初めという感じで後半からは、二人の同棲からのお話となっていて、二巻分入っている感じでお得感がありました。
その後半も受けの能力が存分に発揮されていきます。
狭間の世界では何回もヤッたのに現実では、すれ違いがありなかなか事に及べません。
というのも、受けが「あの時みたいに感じすぎて引かれたらどうしよう…」という不安でエッチを受け入れられないのですが…。
お、乙女すぎる…。
とはいえ、誘拐されたり殺されそうになってしまったり…と、読者を飽きさせない展開に一気に読み終えてしまいました。
美人受けの良さが際立ち、イケメン紳士の攻めの方が翻弄されている姿や、チラチラとブラック攻めがヤンデレ臭を仄めかすのが最高でした~!
とても面白かったです。
あらすじだけでは分かりませんが、死者を描く青年と、
彼を愛する画商が活躍する事件簿みたいな作品です。
学校へも行かず田舎で絵を描く青年・水琴は、
死者の姿を描き出す事ができます。
その水琴の絵に魅了されて足繁く口説きにくるのは、
東京の画商・泉里です。
水琴は、人に憑く影も見ることができ、
その影は泉里の側にも……
交流を深め、二人はお互いに惹かれ合っていきます。
前半の『悪食』には、この世とあの世の狭間の世界が登場します。
〝あなたの知ら○い世界〟ばりの展開に戸惑いましたが、
その世界で水琴は泉里の執着愛を嫌ってほど身体に教え込まれます。
この時の泉里は普段の紳士的な態度からはかけ離れており、
きっと本能のままに行動してるんだろうな……
と思わせる執拗さと執着ぶりでした^^;
強引な攻め様が好きな方には堪らないかもしれませんが、
私はあまり好きではなかったです。
その世界で泉里に憑いている影が泉里の亡くなった母だと知り、
その訴えにより母の死の真相に迫っていきます。
これが一つ目の事件簿です。
本編はこの事件で終わりなのですが、
描き下ろしがそれを超えるほどに長い!
『蜜葬』
二人のその後が描かれています。
水琴は東京で絵の勉強をしながら、
泉里との同居生活をスタートさせます。
泉里の知り合いの画商・怜一に憑く二つの影とともに、
怜一の両親の死の真相に迫っていくお話しです。
二つの事件を通して水琴と泉里は心を通い合わせていくものの、
現実世界ではまだ一度も身体は結ばれていません。
水琴が天然たらしで思わせぶりな事ばかり言うので、
泉里は振り回されっぱなし(笑)
よくぞ理性を保っていられるな……と思うほどで、
泉里が不憫にさえ思えてきます^^;
一歩踏み出す勇気のなかった水琴は、
身の危険に陥り初めて泉里に抱かれなかった事を後悔します。
事件解決後は身体を許すのですが、
「最後までしてもらったら、気持ち良すぎて、おかしくなって嫌われるかも……」
なんてな事を言うもんだから、泉里はノックアウト寸前ですよ(^◇^;)
煽るよね〜‼︎
泉里は過保護で献身的な溺愛攻めだし、
水琴も素直に一途な思いをぶつけてきます。
相思相愛、入り込む余地なし……な二人がとても好きでした。
水琴が天然で泉里を煽り悩殺するので、
あまりの殺し文句に項垂れてしまう泉里が少し滑稽で、
そこも微笑ましかったです^^
泉里のキザなセリフも個人的にはツボでした!
ホラー系でも感動系でもないと思うのですが、
事件簿としても面白く、明らかに両片思いの二人がじわじわ進展していく恋愛も楽しかったです!
ただ、タイトルを「悪食」にしたのは何故でしょう?
少し内容とズレを感じてしまいました……
2019年発刊、
とても面白い凝った趣向なのに、タイトル付けで失敗して読者に敬遠されていると思う、勿体ない。
タイトルの「悪食」って
事故に遭い昏睡したオクツキ泉里があの世で「よもつへぐい」を悪食=食べようとするところを
あの世に行った水琴が止めて蘇生させた場面のこと。
古事記が嫌いだとピンとこない、黄泉竈食の「悪食」。
巫女だった美貌の高祖母と瓜二つの美しい胡桃沢水琴は、善良なあの世のモノしか描けない画家。
見る人の心を掴んで揺すぶる何かを持つ絵を描く「妖精の画家」としてネットで大評判になる。
水琴は、死者の想いを伝えて人を導く、高祖母譲りの凄い霊能者。
「悪食」で、死者の気持ちを読み取り、失踪の真相と真犯人を暴いて、黄泉竈食の悪食を止め蘇生させる。
「密葬」では、死んだ画家の唇を読み取り、贋作を暴いて、放火犯人を逮捕。
・・と、短期間のうちに事件を解決していく水琴=「妖精の画家」のファン(信者)が増えていく様子が面白かった。
みずかねりょう さんの挿絵がとっても綺麗で素敵でした。
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悪食(あくじき)
1 普通には食べない物を食べること。いかものぐい。あくしょく。
2 粗末な物を食べること。
3 仏教で、禁じられている獣肉を食べること。
黄泉戸喫/黄泉竈食ひ(よもつへぐい)
黄泉 (よみ) の国のかまどで煮炊きしたものを食うこと
「あの世のものを食べると、この世に戻れなくなる」
生きたままあの世に行っても、黄泉のものを食べれば黄泉の国の住人になる。
オクツキ/「奥津(都)城」=墓
死者を呼び戻す儀礼:魂呼び 反魂
人が死ぬと魂呼びといって死者を呼び戻す儀礼がある。
この物語は、水琴は手法儀礼を用いず、自分が行って呼び戻している。
恐ろしげなタイトルとあらすじでなかなか手が出ませんでした。
しかし!読み始めたら一気読みでした。さすが宮緒さん。
オカルト的な面もありつつ恋愛と救済と再生と。
まさか冒頭の描写が狭間の世界の出来事だとは。
次の話が始まると思ったら、さらにおどろおどろしいタイトルで。
もう水琴は天使ですね。
男を虜にする容姿に無垢さ。そして自覚のなさ。
祖父の家にいる頃は微笑ましかったものの、泉里の元へ行ってからは、宮緒さんらしさを感じました。
身につけるものは全て攻めの選び抜いた高級品の王子様ルックで。
葬られた罪と真実を暴くところは爽快でハラハラしました。
勧善懲悪みたいでいいですね。
子を心配して離れられず寄り添う親。しみます。
そしてとうとう実体でのエッチ…。
今まで水琴が拒んできた理由も可愛いし、泉里の我慢や妄想もいいし。
現実では無体がなくて良かったです。
男殺しの水琴。泉里の鉄壁のガードで守られ続けることでしょう。
両親や周囲から気味悪がられはじき出された水琴を愛して守って応援してくれる泉里と出会えて本当に良かった。
怜一も救われて良かった。もうちょっと泉里の嫉妬を煽って欲しかったな。
無垢で美しい主人公と軍人のような攻め。
犬のタイプだと何だろう?主の命令だけを聞いて主を命懸けで守る軍用犬?
変態味はありません。精液をお尻にたくさん注ぎ込んで蓋をするような攻めじゃなくて良かった。
みずかねりょうさんのイラストも描き込まれててとっても良かったです。
死者の姿をスケッチする主人公とあらすじにあったので、恐々しながら読みましたが全然怖くなかったです。
むしろ死者より生きている人間の方が、とても恐い作品でした。流石の宮緒先生です。
狭い世界で守られていた水琴が、広い世界に出て行こうと決心したきっかけは奥槻です。
不思議ちゃんな水琴の考えを先読みして、行動出来る奥槻はスパダリでした。
義弟の犯罪が暴かれるまでは下僕のような扱いでしたが、解放されてからが別人でした。
後半のお話しも生きている人間の恐ろしさが際立つ内容でした。ちょっと水琴の鈍臭いところが前半よりもイラつきました。奥槻が言っていたように小悪魔要素があると思います。
BLの主人公だから大目にみて貰えますが、違うジャンルならあざといキャラで嫌われそうだと思いました。