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軍神皇子と翡翠の少年、焔の寵愛

gunshin ouji to hisui no shounen, homura no chouai

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表題作軍神皇子と翡翠の少年、焔の寵愛

天焔,大帝国・北窯の第一皇子,26歳
凪,華翡族で危険を察知できる能力を持つ「読み子」

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

大帝国・北窯の第一皇子である天焔は、軍を率いて十年間、負けなしの軍功を重ねてきた。聡明な指揮官として配下の信頼も篤く、次期帝の呼び声も高い。そんな天焔は、流浪の民である華翡族を討伐するため隣国へ赴く。駐屯して数日後、天焔は泉で気を失っている少年を発見する。それは華翡族の子で、災厄を予見する“読み子"と呼ばれる存在らしい。凪という名のその少年と残りの華翡族を捕らえた天焔は、「災厄を読む力を使って我が軍に功績を与えよ」と命じる。一族のため言われるまま力を使う凪だが、潔い覚悟だと思う一方で、天焔は抗うことをしない凪の生き方に興味を抱くようになる。さらに、凪の力はその代償に己の命を削る行為だと知り…?

作品情報

作品名
軍神皇子と翡翠の少年、焔の寵愛
著者
深月ハルカ 
イラスト
円之屋穂積 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
電子発売日
ISBN
9784344850750
3.9

(11)

(4)

萌々

(4)

(1)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
1
得点
41
評価数
11
平均
3.9 / 5
神率
36.4%

レビュー投稿数1

王道の良さが生きている

深月さんのお話ってファンタジーものが多い気がしていますが、今作品もファンタジー要素が詰まった1冊。

円之屋さんの描かれた表紙とか、あるいは内容で某国の様だなあ…、なんて思いつつ読み進めましたが、あとがきで深月先生が「中華風ファンタジー」と書かれていて納得。壮大な、広大な、そんなお話です。

ということでレビューを。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





大陸の大国・北窯。
この国には眉目秀麗で優秀な第一皇子がいる。天焔だ。
父でもある王の覚えもめでたく、次期帝として名高い彼が今現在拿捕を検討しているのが華翡族と呼ばれる一族だ。

有能な薬師として名を馳せ、薬の原料を求め定住する地を持たず転々と放浪する彼らは特に害はないが、国を跨ぎ移動する彼らが将来自国と対峙する可能性も捨てきれず、今のうちに自国民として確保しておきたい、という思いがあるからだった。

が、意外にも彼らは逃げ足が速く捕まえることができない。
それには理由があってー。

というお話。

華翡族は、その名の通り、翡翠色の瞳を持つ。
が、まれに黒い瞳を持つ子が生まれてくる。その子は「読み子」と呼ばれ、災いや危険を察知する能力を持っているのだという。果たして天焔は、その読み子・凪を見つけ、拿捕することに成功するが。

天焔は、凪の能力を信じられず、能力を見るために軍のために読み子としての能力を発揮させるが…、と、物語は続いていきます。

凪という男の子は薄幸受けさん。
読み子、とは、一族の中で恐れられ嫌われる存在。しかも、危機を読み取るたびに彼自身の命を削っていく。彼のすべては、命さえ、人生さえ、一族のために使われてきた。けれど彼が一族から感謝されることはない。そして、凪はそのことを不幸だと思っていない。それが普通だったから。

凪が可哀想で可哀想で。
一族のために凪は身を挺して働きますが、その一族は…、というと。
その先は読んでいただきたいですが、ちょっと胸糞です。

が。
一族を離れた後の凪は少しずつ己を取り戻していく。
何せ、スーパーダーリンの天焔がいるからでして。
天焔が、凪を可哀想だと思い、彼の幸せを願うのと同じように、読者もまた凪の幸せを願うのですが、BL作品ですから。ええ、天焔さん、凪にベタ惚れです。

天焔は次期帝という高貴な身分なので、世継ぎ問題とか、まあいろいろあります。軍を率いて国のために闘う軍師でもありますし。が、後半は甘々です。序盤のシリアス展開はどこへ行った?という感じ。天焔に愛されたことで若干の意地悪とかされたりもしますが、基本的に凪の周囲にいる人たちは凪の味方なのでベースとしては甘々です。個人的にはもう少しシリアス風味が効いていた方が好みではあるのですが、こういう甘々な展開がお好きな方は多そうな気がします。

シリアスと甘々、スパダリに愛され幸せを手に入れる薄幸受けさん。
王道と言える展開ですが、王道の良さが存分に生きた、そんな1冊でした。

5

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