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表題作このて 左

須賀一人、会社員、27歳→28歳
一人の愛猫だった"ハナ"と名乗る少年

同時収録作品一人とハナ

須賀一人、27歳、会社員
一人の愛猫だった"ハナ"と名乗る少年

同時収録作品一人と歩和

須賀一人、27歳、会社員
花井歩和、20歳、大学生 

その他の収録作品

  • 一人とハナ
  • 一人と歩和

あらすじ

残酷すぎる掌でたったひとつの光に触れた。

その夜、会社員の須賀一人(かずと)が自宅アパートへ帰りつくと、
ドアの前に見知らぬ少年が蹲っていた。
彼は、一年前に亡くなった、一人の飼い猫のハナだと名乗る。
不審に思いながらも突き放すことができず、「ハナ少年」と同居生活を始める一人。
祖父母とハナしか知らない記憶をなぜか語る少年は、
やがて一人の孤独な生活と心に変化をもたらしていく。
しかし一人には孤独に生きる理由があった。
それは自分の手が、「消えろ」と願ったものを消す力を持っていることだった。
償いの人生を生きる男と、猫だと自称する光り輝く少年の、花々が咲きほこる極彩色の愛の行方は――。

作品情報

作品名
このて 左
著者
朝丘戻 
イラスト
丹地陽子 
媒体
小説
出版社
フロンティアワークス
レーベル
ダリアシリーズ
発売日
電子発売日
ISBN
9784866575810
4.2

(25)

(17)

萌々

(1)

(4)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
6
得点
103
評価数
25
平均
4.2 / 5
神率
68%

レビュー投稿数6

素晴らしい作品

このストーリ展開、そしてボリューム、素晴らしい作品だと思います。

攻めは、サラリーマンだけど秘密を持った一人。受けはちょっと不思議な、飼っていた猫の「ハナ」だと言う歩和(あお、と読む)

彼らの不思議な力と、それ故に起こる出来事、繰り返すパラレルワールド。どう表現したら良いのかはわからないくらい上手く作られています。
ネタバレというか、中身を語れば語るほど読んだときの楽しみがなくなると思うので難しい。

このて左、は上巻に当たるわけですか、主に一人と歩和が惹かれ合うところが詳細に描かれています。
一人の正直さ、それの原点、この辺りが物語の主軸になっているのだろうなと思いますが、如何せん…
萌が無い。(個人の感想です)

BL小説として、どうなんだろうなって思うところがありますが、この辺は右(下巻にあたる)を読んでみないとなんとも言えないかな。
色々な伏線はあるように見えるので、下巻を読んでみたいと思います。

0

今年いちばん大好きだー!!!

BLアワードの得点今日までだということにさっき気づきました!!!
なので一言だけ!
かずとと歩和(あお)、ふたりの人生がぎゅっと800ページに詰まった作品です。もっとたくさんの人に出逢って欲しい!!!

大好きだーーーー!!!!!

朝丘先生のこれまでの作品と、新しさが詰まった作品です。10年間先生の作品を読んでいて、なんだろう、新境地を感じた。

少しでも気になったら、ダリアさんのホームページで試し読みできるよ︎左の半分くらい読めるのでとても良き!

この作品は、本当にネタバレなしで読んで欲しいので、一つだけ私が好きな場面を。
左で、ハナ少年がお風呂を沸かす時、給湯器パネルの自動音声に向かって「お願いします!」って言う場面があるんです。
小さい頃、誰もがナビだったりぬいぐるみだったりテレビに向かって会話したことあるじゃないですか…?
そんな些細な日常を描く場面がたまらなく好きで。
読んでいる中で心がきゅっとなる場面ももちろんあるんですが、こういうきゅんとした場面に
「あぁ、彼らってこの世界で生きてるんだな…」ってオタクは思うわけです。なんて幸せなんだろう。

そんな何気ない日常を描く朝丘先生が大好きなんだなと思いました。

それと、言葉にも注目して欲しい。
例えば、登場人物の「かずと」は一人って書いてかずとと読むのだけど、
はな少年や歩和(あお)は「かずと」と、でも母親は「一人」と呼ぶ。
「歩和」は「あお」「アオちゃん」「歩和」みっつの呼び方がある。
それぞれの距離感や関係性を示しているので、是非読んで欲しいなと。

1

分かっていたけど、苦しい、苦しい…

朝丘先生のお話を全て読んでいる訳では無いですが、高頻度で孤独、切なさ、寂しさ、もどかしさ…みたいなものと向き合わないといけなくなるように思います。とっても苦しいです。でも、多分そこを味わいたくて読んでしまうのだろうな、とも。

須賀一人が仕事帰りに家の前にいたのは見知らぬ少年で、昔祖父母と飼っていた黒猫のハナだと名乗る。追い返すものの家を出ていかず、不思議な共同生活を始める。その中で一人は自分と両親の関係、自分が過去に消してしまった弟への贖罪として、自身へ課している人生について、ハナに語るようになり、客観的に自分の過去や未来と向き合うようになる。

ハナに対する恋心を自覚した矢先、ハナを守るために近所の家で飼われている犬を消してしまう。ハナを守るためとはいえ、生きている犬を「消して」しまう自分の力を呪い、死のうとする一人にハナは告げる。犬は生きているかもしれない。自分も一人に消されたのに生きているから、と。そしてハナは自分の名前を花井歩和と名乗った。そして一人は歩和との過去を思い出していく。


その後に続く歩和の過去はとても壮絶でした。一人も自分で重い十字架を背負い、幸せになってはいけないと自分に呪いをかけながら生きてきた人でしたが、歩和は実母から愛されることなく、継父からの愛情も感じられず、バイト先の先輩とその仲間から集団でレイプされて辛い日々を送っていた。それでも一人と出会い、表面では歩和を拒絶しながらも突き放さない一人に惚れた歩和はバイトを辞め、継父とも向き合うようになる。

展開としては2人が希望を持ち、幸せに暮らすために前進していくのに、歩和が一人に消してもらったという発言が頭にあるので、ずっとハラハラしながら読む羽目になりました。そしてこの巻の最後にその事件は起きてしまい、最悪の結末を迎えてしまう…のですが、そこで終わってしまうんですね~。

きっとこの続巻でそんな辛い過去を踏まえ、やり直し編になるのだろうと期待をしていますが…一筋縄ではいかないんだろうな…とまだハラハラを引きずってしまいます。もし読むことを検討されている方がいるのなら、左右(巻)揃えて読むことをオススメします。ここで次巻を待たされるのはとんでもない生き地獄だと思うので。

3

面白いけどしんどい…

朝丘戻先生のデビュー20周年記念だし、2ヶ月連続の上下巻刊行と知り買わないわけがありません。

想像通りに面白いのは流石だと思いましたが、予想外にしんどい内容でした。

上巻にあたる「このて 左」は、かずと視点の「一人とハナ」と、歩和(あお)視点の「一人と歩和」の2部構成になっています。

「一人とハナ」ではかずとの前に現れた死んだ飼い猫「ハナ」だと名乗る少年との交流が書かれていました。
他人が知るべくもないかずと自身の事など、どうして彼が知っているのか?。言葉の端々から受け取れるかずとへの好意や、かずとを肯定してくれる数々の言葉。人付き合いを避けて来たかずとも心を開いて、やがてハナが掛け替えのない存在になって行きます。
そして最後にハナの正体が明かされる所で終わっていました。


そして読むのがしんどかった「一人と歩和」ですが、歩和がかずとに助けられたところから始まっています。
ここでハタと気になったのが、「一人とハナ」とでは時系列はどうなってるのか?でした。
こちらでは既にかずとの両親が離婚を決めていました。そして前章では離婚したいと母親がかずとに相談してるんです。
こちらでは起こらなかった出来事が前章ではハナによって起こされていました。


幼少期に親の愛を知らずに育った2人が出会って、お互いに足りない物を補って愛を育てて行くシーンが感動なんですよ。かずとのおかげで歩和は継父との蟠りが解けたし、かずとは人を愛する事を知りました。

2人の未来は希望に満ちた明るいものになりそうと思った所で事件が起きて、2人は追い詰められて行きます。
2人が選んだ道が「一人とハナ」に繋がってるんだと思いました。

既に「このて 右」のあらすじが出ているので、下巻は「一人とハナ」の続きから始まるのかなと思うのですが、では「一人と歩和」で起きた事件の関係者はどうなっているのか?とか、歩和の継父との関係はとか、歩和にあの災いが再び降り掛かるのかとか謎はつきません。

下巻のあらすじにも凄く気になる部分があるので、楽しみに発売を待ちたいと思います。

5

二転三転するストーリーに引き込まれる

作家買い。
朝丘先生の新刊は、あらすじからもわかるようにファンタジーもの。
そして、とっても切ないお話でした。

タイトルは、「このて 左」ですが、来月(2022年9月)に続編の「このて 右」が発売になります。今巻読み切りの作品ではないので、完結してから読みたい派の腐姐さまは今しばらくお待ちください。

ということでレビューを。
普段ネタバレ上等でレビューを書いていますが、今作品はあまりネタバレしてしまうと面白さ半減だと思いますのでなるべくネタバレなしで書こうと思います。




人と慣れあうことが苦手な一人(かずと、と読む)が仕事から帰ってくると、玄関のドアのところに見知らぬ一人の青年がいた。放っておけずにその青年に声をかけた一人だったが、その男の子は自分を、一人がかつて飼っていた愛猫のハナだと名乗る。

そんな話を当然のように信じられない一人だったが、ハナのようなもの(一人は彼を「ハナ」だとは認めたくない)は、一人と、一人の祖父母しか知らないようなことを知っていた。他人と慣れあわずにひっそりと生きていこうと思っていた一人に、ハナの存在は少しずつ馴染んでいって―。

一人は祖父母のもとに家出して、それ以来ずっと両親とは疎遠。
人と慣れあわないが、それはなぜなのか。
「ハナのようなもの」は、本当にハナなのかー。

そういったものが少しずつ見えてくる。
まるで、パズルのピースが少しずつハマり、全景が見えてくる。そんな感じ。

で、ですね。
今作品はハナは本当に一人が飼っていた猫のハナなのか?
という部分を軸に進むストーリー。

ではないんです。
朝丘作品は厚さのある作品って結構多いですが、今作品も同じ。めちゃめちゃ分厚いです。自立します。そして、その厚さに見合った内容がきちんと盛り込まれている。

「ファンタジー」の部分がこんなに多い作品てあまりない気がします。
二転三転するストーリーに引き込まれる。序盤、読み始めたときには思いもしなかった終盤に、いったいどうなってしまうのかと気になってページが捲る手が止められませんでした。最後良いところで終わってるんだ、これが…!続きが気になる―!

登場人物たちの感情が、緻密に、繊細な文章で紡がれていて、かなりシリアスですし切ない物語なのですが、それ故にどんどん感情移入してしまいました。

あ、あと。
あまりネタバレしたくありませんが、地雷の方がいらっしゃったらよろしくないので、これだけ。

性暴力の描写があります。
しかもかなり痛い描写です。
何でもござれのワタクシですが、可哀想で斜め読みしました。
苦手な方は注意されてください。

次巻の発売を、今から正座してお待ちしております。

10

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