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表題作月下の秘めごと

禁軍の兵士。孝先(こうせん)
心優しき皇太子 春陽(しゅんよう)

あらすじ

自由もなく、周囲の意のままに生きてきた皇太子・春楊は、ある夜、密かに抜け出した東宮の庭で赤みがかった瞳の男と出逢う。
男の名は孝先。
火眼虎の異名を持つ禁軍兵士だった。
閉塞的な生活の中、誰もいない庭で月を眺めることを心の慰めにしていた春楊は、突然現れた男に恐れと興味を抱く。
強引に再び逢う約束をさせられ、その後も逢瀬を重ねるうち、孝先の不器用な優しさを知り惹かれていく。
だが皇帝が毒殺されたことにより運命が大きく変わり始め…。

作品情報

作品名
月下の秘めごと
著者
中原一也 
イラスト
有馬かつみ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
ISBN
9784344810211
3.1

(6)

(1)

萌々

(1)

(2)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
5
得点
17
評価数
6
平均
3.1 / 5
神率
16.7%

レビュー投稿数5

中原作品と思うと、確かに薄味。でも美味しくないわけではない!

舞台設定からして、中原さんらしからぬ歴史物なので、
どう料理してくれるのかと期待して読んだのですが、
うん、おいしかったよね。という印象。

中原さんらしさを求めると、ちょっと物足りない感じがしますが、
決して面白くないわけではなく。

春陽は清楚で芯が強く、優しい皇太子で、
お相手の孝先は、粗野ではあるものの、強く情の深い戦士。
ストーリー的には王道なのですが、
二人を取り巻き引き裂く状況が、行く末がどうなるのかとハラハラさせます。

贅沢を言うならば、先の方が書かれていらっしゃるように、
上下巻くらいで、じっくり読ませて欲しかったかなと。
決して悪くはないのですが、上澄みをすくったような薄さを感じてしまいます。

ホント、面白くなくはないという微妙なところで、
評価は「萌×1」で。

0

中原先生だと思うから、辛口になってしまうのか……

今まで持っていた中原先生のイメージと、ちょっと異なる作品。
中国(風?)を舞台にした、歴史物。

中原先生じゃなければ、もっと評価が高いかもしれない。
期待の分だけ、ガッカリしたというのもあって評価は辛くなったが
ストーリーは別に破綻もなく安定して読める。
しかし反面、新鮮さもなく、
書き込み不足であらすじのような印象があることもあって、
正直物足りなく退屈だった。

囚われの皇子は、忍び込んだ禁軍の兵と偶然遭って想いを寄せ合い、
悪役の重臣の罠にはまって引き裂かれ、数年後反乱軍に身を置いた兵は
皇帝となった皇子を暗殺せんとした罪で、牢獄に……
そして再会。
美しく儚げだが芯はつよく優しい皇子、
背中に虎の刺青のある、誰よりも強い不幸な生い立ちの兵。

とストーリーは王道で、実は好み。
上下二巻くらいで、もっと心情や背景を書き込んでくれると
よかったのに。

ハリボテの田舎芝居のようになってしまった(と感じる)無念さ故、
辛口評価をつけさせて頂きます。


0

中国もの!

最近まで時代物BL(近代除く&国内外問わず)って読んだことなかったです。
初しかも中国もの、さらに中原一也様。

雑味のないラブラブストーリーっていうのが印象です。
ファンタジー入っていると言ってもいいのかな?ファンタジーの使い方まちがってないか心配ですが。
活劇って感じで楽しかったです。中国ものの楽しみ方も少し覚えた気もするのでさらに手を広げたいですな。
皇子様相手だけに跡目相続のこととか気になったりもしましたが、そこはホラ…ファンタジーなんだから…ということで2秒で忘れてしまいました。

0

私にとっては、BL本の中でバイブル的存在の本です。

どうやってこの作品を見つけたのかは詳しく覚えていませんが、
中華風王朝モノを探していた時に知りました。

読んでみて一番に思い浮かんだのは、
秋山みち花 先生の『恋花 傾国の花嫁』です。
環境設定が昔の中国王朝で雰囲気が似ていて、
攻めの人物設定と受けの人物設定も似ていて、
描かれ方、作品から滲み出てくる雰囲気など、
全体的に似ています。
それなのに、読んでいると、「似ている」と感じることは全く無くて、
考えてみれば考えてみるほど不思議な感覚になりました。


再会する五年前の二人の逢瀬の様子を読んでいて、
清らかな関係で綺麗だと感じました。

李高延が、身動きが取れない孝先の目の前で
春楊を強引に奪う場面は痛々しくて辛かったです。
助けたくても、どうすることも出来なくて
悔しい思いをしている孝先の気持ちが
ひしひしと伝わってきました。
孝先の代わりに助けに行きたい衝動に駆られました。

春楊の身の回りの世話をしている少年の魯儀が
いつも春楊のために動いていて、弟のような存在で、
健気で一途で可愛かったです。

この作品を読んでいて、最後の最後までハラハラ、
ドキドキしながら読みました。
「もしかして悲恋で終わるの?」と、なかなか安心できませんでした。
悲恋で終わっても良いのですが、とてもお似合いの二人なので、
攻めの人柄も受けの人柄も、とても良いので、
どうかハッピーエンドで終わってほしい、
と願いながら読んでいました。
結果的にはハッピーエンドで終わり、心の底から安堵できました。
とても読みごたえがありました。

全体を通して、この作品は綺麗で澄んだ印象を持ちました。


今回の評価は「萌×2」と「神」で迷いました。
今回は他の作品の評価と差別化を図るべきかで悩みましたが、
この作品は評価をそのような理由で決めるべきではないと思い、
感じたまま、素直に評価しました。

舞台設定、人物設定、ストーリー構成、文章の表現が
安定していて、とても素晴らしいです。
それだけでなく、挿絵も全て綺麗でした。
たいていは、小説が良かったらイラストが良くなかったり、
小説が普通だったり良くなかったらイラストが良かったり、
そんなパターンが多いのですが、
この作品のように、小説もイラストも最初から最後まで
全て安定しているのは珍しいと思いました。

何度も読みたくなる、
私にとっては、この作品も、バイブル的な存在の作品です。

1

オヤジが出てこない!?

やぁ、びっくりです、中原さんの書かれた話なのに「愛してないと云ってくれ」の斑目のようなエロオヤジも攻めを素手で殴るような気の強い受けも、男くさい二人の絡み合いもありませんでした。
今回リンクスからの中原さんの作品は中華ファンタジーです。花を手に立っている美しい人はどう見ても女性ですがれっきとした男です!

彼の人の名は春陽、人の目を誤魔化すために女人の恰好をし、宮廷を抜け出して月を眺めに来る事を楽しみにしているような心優しき皇太子様なのですね。
一方、孝先は人から恐れられるようなタイプの人間、出会ったばかりで、その時の苛立った感情にまかせ、危うく孝先犯されそうになったりと、初対面の印象はあまり良くなかった二人ですが、春陽が何者であるかを知ってからは多少強引で口の聞き方はなってなくても彼の根底にある優しさに気付いて惹かれていきます、逢瀬を重ねるうち、常に無い幸せを感じ始める2人ですが、その幸せは朝廷を牛耳ろうとする者の手によって突然引き裂かれてしまいます。

そして、5年後、再会した二人は敵同士でした。皇帝暗殺を企んだものとして捉えられた孝先は事件の首謀者である李高延(りこうえん)と言う男に春陽の目の前で殺されかけるのですがこの時、孝先の命を助けるためにその身を投げ出す春陽が健気でいじらしくて泣けてしまいます。

李高延は元々春陽の身体も狙っていたので春陽のこの申し出にうはうはですよ。この男がまた本当に性根の腐った嫌な奴で見せしめと言わんばかりに、囚われている孝先の目の前で春陽の初めてを奪ってしまうのです。
そして、それだけでなく身体の弱い春陽の母を盾にとって春陽を更に縛りつけようとするのですよね、まじでムカムカしましたよ。

朝廷を手に入れようと事件を起す首謀者が誰であるか、やる気満々の怪しい奴が初めから一人いるのですぐに判ってしまうのですが、それでもやっぱり離れ離れになっていた2人がやっと再会出来て、また引き裂かれてしまったりと目まぐるしく変るストーリー展開にドキドキハラハラする部分もあって結構楽しませていただきました。

春陽は今までの中原さんの話に出てくると受けちゃんたちとはちょっと違う雰囲気の健気タイプの受けですが、ただただ流されているように見えてもちゃんと自分の考えを持って民のために尽くそうとしたり、自分の足でたって歩いていこうとする強さはちゃんと持ち合わせている人なのでそういう点では今までのキャラたちとも通じるものがあるのかななんて事も思います。
いろいろあってやっと結ばれた二人だから、これからも末永く幸せでいてほしいですね。

1

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