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富士見二丁目交響楽団シリーズ第6部 アンダルシアのそよ風

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表題作富士見二丁目交響楽団シリーズ第6部 アンダルシアのそよ風

傍若無人な年下天才指揮者・桐ノ院圭
新進気鋭の頑固バイオリニスト・守村悠季

その他の収録作品

  • 独り寝・白王女

あらすじ

新学期を迎えて生徒たちの前期実技試験が迫る中、福山門下生の発表会の準備に追われる悠季。
海外へ旅立つ圭と愛を確かめつつ、レッスンに取り組むが、伴奏の三条薫子に「体裁よく小奇麗にまとめた演奏」と酷評されたことで、悠季はバイオリニストとしての『個性』について思い悩むことになり―。
理想の『音楽』を目指し、新たな境地へと踏み出す悠季を描く表題作ほか、圭が拾った仔猫に会いに桐院家を訪れる「独り寝・白王女」も収録の大人気ロングヒットシリーズ最新刊。

作品情報

作品名
富士見二丁目交響楽団シリーズ第6部 アンダルシアのそよ風
著者
秋月こお 
イラスト
後藤星 
媒体
小説
出版社
角川書店
レーベル
角川ルビー文庫
シリーズ
寒冷前線コンダクター 富士見二丁目交響楽団シリーズ
発売日
ISBN
9784044346508
3.6

(3)

(1)

萌々

(0)

(2)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
1
得点
11
評価数
3
平均
3.6 / 5
神率
33.3%

レビュー投稿数1

悶えるバイオリニスト

バイオリニストとしてはちっとも実力に自信がもてない悠季。
誰もが実力を認め、コンサートで優勝を手に入れても、
まだまだ練習が必要だと自分に合格点が出せません。
そんな悠季は、今回、自分を慕ってレッスンに通ってくれる生徒たちと、
四苦八苦しながら音楽を作ることになります。
モンスター親あり、やる気のない生徒あり、オタク生徒あり、と
様々な生徒に囲まれて守村先生の奮闘振りが楽しい前半。
今回ウィーンの演奏会で振る圭とは、離れ離れになってしまってせつなさも募ります。
 
後半は、師・福山先生の門下生発表会に始めて参加を許された悠季が
悪戦苦闘しながら自分の音楽と格闘するストーリーです。
モンティ作曲の「チャールダッシュ」なら、知っているし無難にこなせるだろうと
たかをくくったところが大問題!
みんなが知っている曲こそ難しいのだ、とプロのピアニスト三条さんから
「小奇麗」との洗礼を受けてしまいます。

悠季は、自分の音を見つけられるのか?
そして「アンダルシアの風」を会場に吹かせることができるのか?
会場に見に来る生徒たちに、音楽を聞かせることができるのか?
そして圭の反応は?
 
様々な複線が最後の最後で見事につながるオチは、もう見事です。
生徒との問題、自分との闘いを、悠季が克服するところにジーンと来る一冊です。
あ、オチはもちろん読んだ方でないとね。
 
最後に載っている「独り寝・白王女」は悠季がイタリアにいる間の話です。
仕事帰りの圭が「助けてほしいなら、出てきたまえ」といって玄関先で拾った白い仔猫。
この女の子が巻き起こす騒動と、桐ノ院家の和解をほのぼのとしたタッチで描いています。
圭が今まで抱えていた心の荷物が、少し軽くなるところでは
思わずこちらも釣られて、うるっとしてしまいます。
これにも最後に楽しいオチが付いています。
 
突然、駅長室の電話を借りて(イタリアの)悠季に電話する圭や
パジャマのまま「金切り声」をあげて助けを求める圭など
コミカルな圭がたくさん見れるのも楽しいです。

いやあ、でも音楽家ってほんとに大変なんですねぇ。

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