うす消し特装版
ずっと気になっていた作品をようやく手に取りました。
これは話題になるのも納得の1冊ですね。
内容としては戦時中のお話、特攻隊を舞台にしているので読む人を選ぶかな…とは思います。
当然ですが明るい物語ではありませんし、終始胸が締め付けられるような、苦しくなるような描写もあります。
フィクションではありますが、もしかしたらこんなこともあったのかも…というような気持ちにもなります。
死を題材にしながら狂おしいほどの生を私は感じました。
私は本当に読んで良かったです。他のBL作品とはまた一線を画するような1冊でした。
単和はその先も配信されていますし、上とのことなので続きを待ちわびております。
戦争物でBLって、ただでさえ戦争物は読むのに緊張感があるところ、より一層緊張するわけです。その上特攻隊ときた。それでもやっぱり、作者の熱量というかフェチシズムが伝わってくる作品は面白い。作者自身で「人でなしの所業」って言ってるし。
エッチシーンの熱さも勿論、特攻に向かう空気の描き方も出色。描き下ろしでの淀野…それでも写真をあげてしまう淀野の複雑な感情を考えさせられる。一般漫画で活躍されている方とは知らず手に取りましたが成程あの作品の作者だったのか、と。
うす消し特装版は電子では貴重なしっかり見える局部です。特装版には読み切り『どうして波瀬は笑ったか』他、4〜6話のネーム&下書き、イラスト。『どうして〜』は本編以上にグロテスクだった。本編では暴力が露骨に描かれてないからね。
全6話と描き下ろし+学生運動の読み切りとネーム、下描きが収録された読み応えたっぷりの1冊。(電子)
タイトルコールのお話では、
それぞれ副題に各主役の3人の名前が。
一番最初のお話は、報道写真を撮っている淀野×田中一等曹。
次は、巨根の整備兵塚本×年増の橋内中尉。
最後は、最初のお話の受けが心を寄せていた八木中尉×田中一等曹の馴れ初めから別れのお話。
題材が戦争ということもあり、やはり胸にグッと迫る儚いラストを迎えるお話もありました。
それから描き下ろしの、田中を忘れられない淀野が、田中が好きだった八木を探し回り、ようやく会えることになった戦後のお話も、なんとも言えない展開ではありましたが、読めてよかったなあ、、、と。
読んだあとで、田中ぁ…!! ってなぜか泣きたくなったのは、私だけでしょうか。
amase先生の絵も、えちシーンのうす消しも最高すぎて、ちょっとこの分野苦手だなぁと思う方にも、ぜひ一歩踏み出して読んでほしいお話でした。(そしてなぜかこのレビューを書いている途中に、3回この投稿画面が謎に消えて、最初のレビューと少しずつ言い回しが変わってしまったものより泣)
雨瀬シオリ名義の一般漫画を読んでいたのですが、この作者さんの描く男性は妙に色っぽいんですよ。その人がBLだと…?読むしかない。
と手に取ったのですが、思った以上の濃さとエロさに度肝を抜かれました。こんなの、今まで読んだことない…!
戦争と特攻を題材にしてエロを絡めることが、不謹慎といえばそうなんだろうけど、読んでいるうちにそんなのどうでも良くなってしまいます。性とか愛ってものは、極限状態だからこそ深く強くなるものなんじゃないか。男たちの命を焼き尽くすような性愛を見て、そう感じました。
それにテーマは重いですが、時折思いがけない軽さと笑いがあるのもスゴイなあと思います。後家さんに手ほどきされた整備兵に、「貴様、男は抱けるか?」と聞いちゃう中尉の話とか…。この二人の話は切なさの中に、思わず笑っちゃうようなところがあってそこがいいです。
登場人物では、男の人生を狂わせる魔性の田中志津摩くんが好きでした。けっこうヒドイところもあるんですが、とにかく可憐で愛さずにはいられない…。
この一巻でBLを読む楽しみを存分に味わわせてくれるのですが、これにさらに続きがあるなんて!幸せすぎます。