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  • 白銀王の身代わり花嫁~嘘とかりそめの新婚生活~
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白銀王の身代わり花嫁~嘘とかりそめの新婚生活~

hakugin ou no migawari hanayome uso to karisome no shinkon seikatsu

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表題作白銀王の身代わり花嫁~嘘とかりそめの新婚生活~

クライス、トールバルド国国王、25歳
ラディア、鳥の声を聞く女神一族の長男、17歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

大陸の南に位置する孤島に、女神と称される一族がいる。その血族の女性は、加護を欲する各国の王族に花嫁として熱望されるほど神聖視される存在だった。一族の長男であるラディアは、次期族長の役割を担っていたが、北の国・トールバルド国から「女神を王の嫁に」との申し入れをきっかけに、その立場が一変する。あろうことか、適齢期の女性がおらず、やむなくラディアが性別を偽り、女神として嫁ぐことになってしまったのだ。男であることを隠さなければいけないラディアは、喋ることを禁じられた状態で国王であるクライスと婚姻を結ぶ。偽りの女神だという事実は、クライスも国民も知らない。クライスに女神として丁重に扱われるたび、ラディアの中で罪悪感が生まれるが、同時に、国王として真摯に民と向き合う誠実な姿にラディアはどんどん惹かれていってしまい…?

作品情報

作品名
白銀王の身代わり花嫁~嘘とかりそめの新婚生活~
著者
月森あき 
イラスト
サマミヤアカザ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
電子発売日
ISBN
9784344853652
4

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萌々

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中立

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趣味じゃない

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レビュー数
1
得点
4
評価数
1
平均
4 / 5
神率
0%

レビュー投稿数1

触れ合わず、心で恋を

1年の半分以上を真っ白に染められた雪深い国に、南方の小さな島からやって来た、鳥の声を聞き伝える美しい女神さまがお嫁入りすることになりました。

かつて近隣の国々を救ったとされる、平和と加護の象徴でもあり、とても神聖な一族だと考えられている女神の一族。
「女神」ということもあって、男性よりも女性の地位の方が高い一族の長男として生まれ育った主人公・ラディアですが、ある日ひょんなことからはるか北にあるトールバルド国から花嫁として嫁いでほしいと言われ…というお話。
まだ適齢期を迎えていない妹の代わりに嫁入りをする、いわゆる身代わりものです。

身代わりもの・偽りの花嫁もののTHE 王道をいくお話ではあるのです。
でもそこがこう、分かっていても良いものってあるよね〜…!と思える良い塩梅だったと言いますか…
ちょうど良い切なさと揺れる恋心が描かれていてすごく良かったんです。
何が良いって、この2人ほとんど触れ合っていないんですよ。手すら満足に触れられません。
神聖な女神には触れてはいけないという決まりがあり、その上男性なことを隠すために声も出せませんし、もっぱらこの世界での手話を用いての交流しか出来ていません。
だというのに全然物足りなく感じない不思議。

なにせ、毎日攻めのクライスがラディアに会いに来るのですから。
日々の何気ないやり取りですら、触れられない・真実を話せない・声を出せない。
この制限があるからこそ、逆にもどかしさも淡い想いも募るってもんです。
そして攻めと受けどちらの人柄も良くて好印象と来れば、これはもう本当の意味での恋の成就を願わずにはいられませんよね…!

クライスもラディアも個性が強いタイプかというとそうでもなくて、ごくごく普通の心根が優しい素敵な人。
クライスが本当に誠実で良い王様でした。好き。
お互いに自然とじわじわ惹かれあっているのが分かるのに、なかなかすぐには上手くいかない焦ったさと切なさともどかしさが楽しめる1冊でした。
雪深いお国事情もあって、ラディアはあまり頻繁には外出出来ていないのだけれど、南の島出身の彼の目で見たトールバルド国は何もかも新鮮でキラキラして見えたんだろうな。
場所移動はほどほどですが、ラディアの親友・ワシのジュエルとの会話は充実しています。鳥好きの方もぜひ。

雰囲気の良い2人でしたので、その後の世で「むかしむかし…」と語られそうな2人になってほしいなあと思います。
やや切なくもマイルドな読み心地の素敵な1冊でした。

3

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