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異人の助手×年上技師、時代物主従BL待望の続編!
明治時代のお話。
亮二の恩師の中原とのお話が前半にあって、後半はエドの親族のお話でした。
亮二は最初働いている場所で酷い目にあってるところで中原と出会って、そのことで亮二の人生が変わっていった。
新しい場所へ連れ出してくれる。そして学問を学ぶ機会ももらって人生が変わっていく機会をもらった亮二。中原との出会いが今の亮二を作ったことがよくわかりました。
エドの方は昔のことを少し思い出して亮二とともにイギリスへ。
そこで幼いころに別れた妹と再会。お互い色々あったけど幸せな様子。
亮二とエドの2人のバックグランドが良く知れて良かったです。
お互い愛し合ってる二人はいつも互いのことを気にかけているところが愛しいです。どんな時も一緒にいて支え合う関係がとても素敵な二人です。
最初の出会いは亮二がエドの面倒を見ていたのがもう今はエドが亮二を支えている姿が尊いです。
甘々な二人なので読後も爽快です。
大正時代の中頃穏やかに暮らすエドと佐伯亮二のもとに中原家の執事から手紙が届くところから始まります。
中原は亮二を酷い境遇から救い上げ学問を教え独り立ちさせてくれた恩人。
物語はその中原の視点からも再度繰り返されます。
中原には子供のいない本妻と後継のための妾もいます。
明治の名家、当時は当たり前の話だったのでしょう。
初顔合わせで可愛い妻を中原は気に入りますが、この奥さんは次第に正気が保てなくなります。
妾宅からの帰り、中原は妻との距離が遠くなってしまった実感で絶望します。
このあたりが悲しい。
そして亮二との関係を知った妻は亮二を地下牢に閉じ込める。
10年後さらには中原をも包丁で刺して傷付ける。
妾よりも亮二に嫉妬で狂ってしまうのは子どもを生む行為とは関係なしに中原が亮二を忘れないから。
とは下巻にあります。
しかしこの妻も中原に愛されてはいるのです。
2人の関係がわかる亮二は未だに自分に未練がある中原に
もうじたばたせずに奥さんを大切にして、とまで言わせてしまう。
言わせたのは亮二がエドに対する気持ちを確信できたからですね。
亮二とエドの愛情は揺るぎなくなにものも引き離せなく、それはこの巻全体に表現されています。
ただもう数話は続けられるとは思うんですよ。
正妻美和子からの視点、あるいはお妾さんからの視点。
まあこれはBLじゃないでしょうけど読みたいですね、わたしとしては。
わたしは書く前に他のかたのレビューを読まないのですが、エドの出自や亮二との日々、エドの息子との暮らしなどについてはきっと多く語られているだろうから省こうと思います。(長くなったし)
中原はずるくて美和子を手放す時期、亮二を手放す時期などいろいろ間違えてしまった。
(エドの両親への罪もあります。)
そこが人間の弱さで愛しく思えてきます。
最後、おそらく美和子の死を看取って彼も病に倒れます。
下巻のラストから6年後、時代は大正になっていました。技師としての仕事も順調な二人の所にある手紙が届きます。
上下巻で語られていなかった話が出てきて、とてもよく出来たお話だと理解が深まりました。
エドは「一度離れれば二度と会えない事がこの世では多くある」から、リョウジとはなにかあればすぐに駆けつけられる距離に居たいと言います。急激に産業が発展する一方で、流行病や、戦争や、災害やなど激動の時代にあっても、大切な人と生きていく、生き抜く決意が滲み出ている言葉だと思いました。二人は恋人同士ですが、それだけでなく、この巻ではより家族としての心の安らぎを生活の中でかんじているストーリーが出てきて、とても温かで穏やかなその後を見られて、嬉しかったです。
守ってあげたい人が居るという事が人の心を穏やかにして、成長させてくれる。そして、それは受け継がれて行くのだと言うことを感じる表現があり、その部分がとても私は好きでした。
詳しくは語りませんが、二人の生活の中に入ってきたある変化がとても興味深かったです。
一巻でエドがまだ日本語をあまり理解出来ない時に、中原の電話に涙していた場面の二人の会話がこの巻でリョウジが言っていた内容が分かります。私的にはその時の会話がとても気になっていたので、読むことが出来てとても感激しました。
とにかく、二人の歩んだ時代はとても変化が激しく、その中で孤独に苛まれていた子供だった男の子が逞しい精神で、立派に成長し、安心出来る居場所が出来たという事が本当に感動的で、ラストに先生の書いていた年表を見ると、本当に二人は存在していたのではないか?とさえ思ってしまうお話でした。
電気の普及によって、社会が大きく変わっていく時代背景、唯一無二って感じで好きです。もちろん、絵も大好きです。亮二、エドワード、それぞれの辛すぎる過去が描かれ、救済されていく物語です。エドワードは家事全般できて、亮二の仕事を理論面でも現場でも助けるっていう、すごいスパダリですね。エドワードをすくい上げたのは亮二ですが、暗闇への恐怖、中原への執着、から亮二を解き放ったのは、エドワード。
互いが出会ったことで明るく満たされた人生に。それが、電気をもたらすタングステンって言葉に象徴されているようで、タイトルも大好きです。
本巻では、まさかの関東大震災で終わるんですが、ここからの復興の話、大人になっていく奏一も交えた幸せ生活を、ちょっと読み切りとかであったらなぁと、贅沢を言わせてください。
というのも、いきなりあとがきのネタバレからで恐縮ですが、、、
本編読了後に先生が書かれていた100年スパンな時系列表を読むと、ああ…たしかに2人は必死にそこで息をしていて、必死に前向きに生きようとしていたんだなあという軌跡が読み取れ、感涙しました。(最近すぐ泣くまりあげは)
そして今回物語は、現在に軸を起きつつ、ある手紙が亮二とエドのもとへ届いたことで、中原と出会った過去や、エドの妹ととの再会編などを歴史的出来事と交えて進んでいきます。
改めてあの時代の歴史を学び、悲しい犠牲があったことなどを噛み締めつつも、亮二とエドが奏一を迎え、そしてみよさんとも再会し、新たな家族を作りスタートさせたことは、まさに光と闇から生まれるものの1つだったのではないでしょうか。
終盤、大地震が起きます。
中原からもらったものが燃えて無くなります。
亮二は一瞬、未練を残します。
しかし、とうとうその未練を手放し、中原との過去を捨て、エドと。
4人とで、先へ進もうと決意します。
葛藤があったであろう、あの時の決断。
こちらまで辛く、けれどその強い決意に大きな拍手で送り出したいと思わされました。
ここから復興していく日本。
そして、4人。
4人の未来に幸あれ! そう願いたくなる素敵な続編でした。