イラスト付き
登場人物が多いので何度か読み進めたものの、久しぶりに続きを‥という頃には人物の詳細を見失ってしまい、ようやく相関図を理解した状態で完読。
他の方のレビューでもちらほらと有りましたが、イザクとアリオス‥。
完璧なまでのラブストーリーを望むならば愛する人は生涯一人であって欲しいと思ってしまうけれど、セナとアリオスはいわゆる政略結婚なので劇的な展開や心境の変化がないと‥という心配も『こう来るのか』と思わず唸る結末でした。
セナ自身が愛するという感情を知らなければ、後に命が尽きかけたアリオスに愛を告げられてもセナには響かなかったと思うし、レスキア帝国へ差し出された段階でセナがアリオスに好意を抱く事になっていたなら、その後赤月をやり過ごす為に形だけイザクと番になったセナは不貞を無かった事にしてアリオスと幸せになれたか?
攻めが二人‥と内心複雑でしたがどちらが欠けてもこの結末にはなり得ない。
イザクを失い長い年月をかけてセナに再び『愛する』感情が芽生え、一方のアリオスの本心はセナが生きている間は慈しみ守り、ただそれはイザクの元に旅立つまで、と思っていたのなら切なすぎる‥と思っていたら『セナの魂を受け止めてやってくれ』と語る一方で『百五十年後に俺が死ぬ時には、セナを戻してもらえないか』皇帝としても一人の男としても自分の為に何も望む事は無かったアリオスのたったひとつの願い。アリオスの人となりがよく表れていた一言。
先にイザクの元へ逝くセナと二人で幸せな逢瀬を過ごした後、イザクは新たな命に生まれ変わる為に一足先にセナの元を離れ、今度はセナがアリオスの魂を受け止める‥。こんな風に解釈するとモヤモヤせずイザクが‥アリオスが‥とはなりにくいのかも。
佐伊先生の作品は主人公以外の登場人物もしっかり描かれており、サガンとアーテルのストーリーが素敵でした。
―この婚姻は、幸せだったか。
この問いに対するセナの答えが何度読んでも本当に心に残ります。
激動の世界を、陛下とイザクがそれぞれの愛し方でセナを想うふたり。
セナと出会い心を取り戻し、全てをかけてセナを生かし心の宿る言葉を伝えたイザク。
そして、「どうかセナが生きる世界が美しくありますように。」とセナを想う陛下の愛し方がとても好きです。
ついに合冊版の発行、そして紙書籍化!本当に素敵な地図まで!こんな素敵な商業化を実現してくださった関係者の方々に感謝の気持ちしかありません。
たくさんの方に読んで欲しい名作です。
電子のみのときも小山田あみ先生の表紙絵と人物紹介絵でこの壮大な物語に想いを馳せていましたが、ついに紙(神)書籍として販売され、こうしてノミネート対象になって感無量です。無謀な政略結婚の果てに見出される道。それは定められたものだったのではないかと、真の神とは苦難の道程を躓きながら突き進んだ先に見出された姿。それは全ての世界に等しく光を与える聖母だったのでは?とフレスコ画のような物語の世界観に圧倒されます。
佐伊先生は長編小説の名手です。私も、初めての長編でのファンタジーを読んでみましたが、読み始めたら止まりませんでした!主人公セナを、皇帝アリオスと護衛官イザクがそれぞれの形で愛する話です。セナが、彼らそれぞれを想う気持ち、過程が良く分かり、とても共感しました。セナの気持ちに同調しながら、私も読みました。小山田あみ先生の作画、表紙、カラーイラスト、国旗、中のイラスト、全てが美しく素晴らしいです。地図があり、一緒に、見ながらストーリーを読みました。セナと皇帝アリオスの息子アスランの運命に沿って話が進みます。竜王の世界観、人種の問題、3人を、取り巻く周りの多くの登場人物の話もあります。それら全てが一つのお話にまとまり、終盤にかけて、一気にゴォ〜と感動の渦が、うごめきます!。3人の愛の形に本当に感動しました。美しいお話です。何回も読み返して、竜王の婚姻の世界に、私も入り込んでいます。今年、私はこの作品に出逢えて幸せです。
お試し読みでピンときた方はまず買って間違いないです。そして厚さにビビることなく迷わず上下巻購入し連休初日に読み始めることを激しくおすすめします。なぜなら冒頭の面白さがもうずーっと本当に最後の最後まで続くので日常生活に支障が出るからです・・・!連載中に読まれていた方々はご無事なのでしょうか・・・
このボリュームで中だるみ一切なし。次から次へと迫り来る波乱、こまやかな人物描写、そしてなんといってもセナを愛するふたりの攻め様がどちらもいい男すぎて・・・それだけにつらいシーンは胸に迫るものがあります。
必読は上巻ラストシーン!BL史上に残る名場面だと思います。