イラスト付き
『千』がつく言葉に惹かれてしまう傾向があります。
まずすぐに思い出す古代ペルシアの『千夜一夜物語』、キリスト世界の終末論『千年王国』、はたまた今敏監督の映画『千年女優』や光瀬龍先生、萩尾望都先生の『百億の昼と千億の夜』などなど。
『千』は、有限の数でありつつも数え切れないような大きな数や時間を表す言葉として用いられているように思います。
百と千は違います。百はちょっと頑張れば到達できてしまい、あまり果てしない量の多さを感じることができません。
また、万でもいけません。万にはどことなく生々しさがあります。億万長者というような言葉からもその生々しさはうかがえます。
やはり、千の持つロマンチシズムは千だけのものです。千にはなぜか想像力を掻き立てる余地があるように思います。
そんな遥かな悠久の時を感じさせるタイトルに惹かれ購入した『千年後宮』。
私にとって初めての宮緒葵先生作品でした。
すべてが非常に絢爛でした。
幾重にも幾重にも書き連ねられた官能的な描写。その濃厚さのあまり文章からあふれこぼれ落ちてきてしまいそうなのに、どことなく一枚の紗がかったような幻想的な印象を受けます。
千々に乱れ狂う。
まさに、『千』という言葉の持つ不思議な魅惑を表したような物語でした。
これを機に他にも宮緒葵先生の作品を読んでみようと思います。
しびれましたねw
いやぁ、新感覚・複数BL!
5人でひとり、
ひとりが5人。
いや、6人でひとつ……!?
発売前から、宮緒先生の超ハイカロリーとのご申告と笠井あゆみ先生の美麗なイラストで話題だったこちら。
最初っからぶっ飛ばしです。
読めども読めども、まぐわいだらけw
宮緒先生といえば執着、だと思ってるけど、
此度は千年ですよ。
年季が入ってます。
濡れ場で思わず笑ったのは初めてですwww
巻末、おだまき様が出てきてハッとしました。
そうだ!忘れてたよ、おだまき様のこと!!
本編が濃厚すぎてすっかり抜けおちてた!
おだまき様にも幸せな結末が来ますように!
宮緒葵先生の作品は複数、拝読させて頂き、今作も作家買いさせて頂きました。
個人的、各項目5段階で
エロ 5
執着 5
溺愛 5
不穏 2
な感じだと思います。
月季さん、聖蓮さん、沙羅さん、銀桂さん×玉還さんのカプです。
生まれた時から神に愛されていた伽国の皇帝、玉還さん。皇帝の義務として複数の妃を娶る為、集められた妃候補達。その中で目に止まった月季さん、聖蓮さん、沙羅さん、銀桂さんと閨を共にすることとなる。妃達から、人々から、神から愛される玉還さんだが、時折見る夢では誰からも忌み嫌われていて…。
まず、今作は受けの玉還さんは皇帝で、複数の妃を娶るのですが、その妃達が攻めです。そして、妃と呼んでいますが勿論全員男性で、受けである玉還さん夫ということになります。
そして、今作は攻めが複数人います。妃候補で集められた、月季さん、聖蓮さん、沙羅さん、銀桂さんです。4人のことが気になった玉還さんは、それぞれと閨を共にします。しかし攻め達は、玉還さんが閨での知識が無いことをいいことに、手始めに、玉還さんの甘露は妃に恵むこと、それ以外の者、玉還さん自身も搾らないこと、妃達の種を孕むこと等、言葉巧みにあんなことやこんなことを玉還さんに教えて込んでいきます。
他にも、母性や父性に溢れた妃達を母親や父親に見立てて身体を重ねたり、搾乳させるようにおっぱいを吸わせたり、恥ずかしい言葉を教えたり言わせたり、それぞれの妃達とのそれぞれ違った絡みが味わえます。
因みに、攻めは複数人いますが、基本的には攻め1人と玉還さんの2人っきりでの絡みで、複数プレイ自体は物語り終盤にしかありません。でも人数が人数ですし、とんでもない執着と物凄い溺愛と漲る絶倫が織り成す絡みなので、それはもう今まで以上に凄艶で濃厚な絡みとなっております。二輪挿しは勿論、口での奉仕も2人同時に致します。
絡み描写の読み応えは勿論ですが、それ以外にも、玉還さんの妃達への想い、妃達の玉還さんへの執着、画策する脇役キャラ達、そして何が正しい何かがおかしいと、不穏を孕んだ雰囲気でしたが、それが徐々に明確なものになっていく不気味さがクセになってページをめくる手が止められなかったです。
そして、圧巻の最後のページに脱帽致しました。
宮緒先生があとがきで、本編の半分以上は濡れ場だと思う、と書いてあった通り、魅力的な攻め達と健気な玉還さんによる色々な奉仕や数々のプレイが堪能出来ます。読み応え充分なので、最後の最後まで気を抜かず、是非とも読んでほしいです。
SNSからも宮緒葵先生の意気込みが伝わって来て、苦手な複数攻めらしいけど頑張ってみようと思いましたが、自分の認識の甘さを痛感させられました。宮緒葵先生らしいお話で凄く面白かったのも事実です。
でも宮緒葵先生自身がこれまでにないエロのページ数とあとがきにも書いてますが、エロを抜いたらいったい何ページなんだろうと途中で思うほどでした。カバー表紙には分かる通り4人の攻めと背後にもう1人顔の分からない謎の人物が居ると思います。
この顔の分かる4人とのまぐわいがこれでもかと書いてあり、特に1人目の月季と玉還との閨が最初なので果てしなく長かったです。初めてですから丁寧に身体を開かれてました。また、それぞれとまぐわった後に神からの祝福があるので、それぞれとの初夜があるのは分かるんです。それと先生が使命感に燃えてそれぞれ2回はそのシーンを書かれたそうです。
エロとエロの間にちゃんとストーリーや謎も含まれているので、最初は必死になってエロも読んでました。実に宮緒葵先生らしい攻めたちでしたが、いかんせん魅力どうこう言う前にエロが長すぎました。せっかくの伏線とか面白さが霞んでしまったと思いました。
後宮で起こる事件とか、それに関わる人物たちの背景とか凄く面白いんですよ。玉還の見る謎の夢や世話人である阿古耶たちの不思議な佇まいとか、玉還から離れない神の正体や、皇帝の妃たちが男たちなのはどうしてとか、あれだけのエロのなかにこれだけ入れてるのは流石でした。
でもね、個人的にエロは無ければ無いほど良いと変わって来た私には苦行でした。頑張って読んでたけど四六判の重さもキツくて最後の方はフラフラでなかなか頭に入って来ませんでした。私にはもう複数攻めはムリだと理解しました。
先生の執着攻めは大好きなのでこれからも楽しみにしてます。