特典付き
上巻以上に本音が見えて、そして上巻以上に緊迫感のある下巻でした。
ヒロムが慶太に心を許し始めているように見えるシーンが増えてきた一方で、どうしても演技なのか本音なのかを正確に読み切ることはできず、だからこそ余計にヒロムが苦しんでいるように見えて切なくてたまらなかったです。
特に客としてではない慶太と交わったときに最後まで意地でも好きを言わなかったことでどうにか本心を隠そうとしていることが見えてしまってもう…
また慶太と別々に暮らすようになって慶太と会える機会を得たときの嬉しそうな顔!!
1人の時の顔を見たら存外わかりやすいからこそ、慶太の前ではどれほど作っていたのだろうと。
でもヒロムのそういうところも分かった上で全部受け止めてくれる慶太だからこそきっとヒロムは慶太を好きになったし、2人ならきっと幸せになれるだろうと思えるラストでした。
どうか、できるだけ永く幸せでいられますように。
下巻は少しだけ評価に迷いましたが、色々と考えてやはり神しかないと思って評価させて頂きました。
何故なら九谷とヒロムの関係の変化に激萌えしたからです。ありのままのヒロムを受け入れる九谷が格好良かった…
共同生活の企画が終わりに近づいた時に九谷が起こす行動にヒロムへの思いを感じました。また、本音をなかなか明かさないヒロムの為に、わざわざ予約を取って部屋の外で会う2人の様子にギュンと来ました。抱き合う2人のシーンから思い合う気持ちが伝わって来るんです。それが堪らなかった。
下巻のレビューでヒロムに固執する客が気になると書きましたが、彼が悪役になり切れてなかったのが残念に思いました。
もし、続きがあるのなら九谷が敏腕ルポライターとして、彼の一族を社会的に抹殺するお話が読みたいです。その時はヒロムがバーのマスターとして活躍して欲しいな。。。
とにかく久谷ことキューさん博六ことムーさん二人が幸せ指標に向かって進んでいってくれて良かったです。スッキリハピエンで読んだ後気持ち良かったです。
個人的には沢木の人となりをもっと知りたかったのでスピンオフを是非…。あとお隣の大学生もメッチャ可愛かったです。ムーさんと仲良くなれて何よりですね。
全然モブなところでヒロムの勤め先のBOSSのYOSHIさんが何気に商才のある方で大阪にもお店展開しちゃうだなんて!と尊敬の眼差しで読んでましたw
さささ……サイッコウだった!!
夜の街に縋って居場所を求めて生きてきたヒロムのバックボーンや胸の内に深く触れる下巻。九谷への想いに素直になれない理由や、この街を切り捨てられない理由など、グッとくるものがありました。
過去の失敗から"底辺"に落ち、這い出せないのか這い出したくないのか複雑なヒロムの心境をベースに、抱いてしまった恋心に向き合っていくことになる物語後半戦。自分の本心に向き合いたいのに向き合いきれないヒロムの不器用さが、まーー…なんとも言えません。
金を払って九谷に抱かれてる関係だけど、その時間だけは恋人を演じることができるヒロムの嬉しくて堪んない反応と表情……はーめちゃ可愛い。隠せてるようで隠しきれない想いがなんとも健気です。
九谷は好きってもう言っちゃってるし、その想いに応えてしまえば楽なのに、そうしないのは大事な居場所を失うことの怖さをよく知っているからなんだけど。"怖い"と思うこと自体、九谷のことをめちゃくちゃ好きって言ってるようなモンなんですよね。ルームシェアを解消して九谷が側にいない寂しい顔と、九谷から指名が入ったときの喜び顔のギャップは、かわかわ度100パーセントでした^ ^
ヒロムが九谷に出会ってどんどん救われていく気持ちの変化は一番の見どころです。心に抱えた闇が九谷によって明るいものに変わっていく救済の側面もあるストーリーだなと思いました。
表紙もまさにそんな感じ。歌舞伎町の夜明けのシーンかな?2人の恋人感溢れるしっとりとした佇まいが美しいです。
描き下ろしも甘くてデレてて最高でした。晴れやかで清々しい読後感は間違いなく神。
神作家様
ウノハナ先生の新刊!
まず最初に、連載お疲れ様でございました。
こうして上下巻で拝読できてとても幸せです。
ありがとうございます。
ウノハナ先生作品に登場するキャラクターはみんな顔が饒舌ですよね。
口では全然違うことを言ったりしても、表情を見れば何を思っているのかすぐわかります。
今作のふたりも同じく、表情が全てを語っています。
攻はかなり早い段階で潔く想いを伝えていましたが、受はウノハナ先生が描くキャラっぽさ全開でした。
読者からしたらバレバレなのに...笑
上下巻ということもあって話はややゆっくりじっくり進んでいきますが、他の方が仰るように帯が少し大袈裟な気はしました。
(とはいえ、一般文芸の文庫の帯なんかと比較すると大したことないです)
ワケアリの主人公たちに光が照らされるまでのお話。
ウノハナ先生作品の萌えポイントが沢山詰まった素敵な物語でした!