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表題作飼育係・理伙 テツ×リカ

テツ,暴力的なセックスアイドル
リカ,テツの求めるモノを体現した

その他の収録作品

  • テツ×ヒロ
  • テツ×テツ

あらすじ

帝王(カリスマ)として学園に君臨するテツの、弟ヒロに対する愛と性は常軌を逸していた。泥沼と化す兄弟愛。そんな時、もう一人のカリスマ・理イ火が現れる。弟を“聖域”に仕立てる代わりにテツが破滅への道連れに選んだのは理イ火だった…!! 大量描き下ろしあり!!

作品情報

作品名
飼育係・理伙 テツ×リカ
著者
本仁戻 
媒体
漫画(コミック)
出版社
ビブロス
レーベル
スーパービーボーイコミックス
シリーズ
飼育係・理伙
発売日
ISBN
9784835215662
4.6

(45)

(35)

萌々

(6)

(2)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
7
得点
207
評価数
45
平均
4.6 / 5
神率
77.8%

レビュー投稿数7

読後しばらく現実に戻れなくなる1冊

先日出た新刊(グラン・ギニョール)を読んでる時に自分の中にこの作品のことが比較対象としてずっと浮かんでたので、こちらもこの機会にレビューしてみます。
内容も結末も「グラン・ギニョール」以上に万人受けとは程遠い作品ですが、私にとってはどうしたって神評価以外は考えられない1冊です。
怖いもの見たさで手にとって、まんまと取り込まれてしまいました。

未完のまま休筆となってしまっているシリーズの途中作ですが、この巻自体はこの1冊で完結していますので、こちらだけ読んでも十分面白いと思います。

母親が男達にレイプされている現場を目撃し、その後首を吊って自殺している母の姿まで目撃してしまった兄弟〔テツ〕と〔ヒロ〕。
その数年後、今度は兄が同じ方法で自ら命を絶ってしまう。
兄にもまたレイプされた痕が残っていた。
兄はなぜ自殺してしまったのか───
本編にあたる「飼育係・理伙」(上/下)の前日譚です。

本巻の主人公は兄の〔テツ〕。
母親のレイプを目撃した少年が取り込まれてしまった「闇」について描かれています。
その闇は10代の少年がたった独りで取り込まれるには、深く、暗く、救いようがない。
これが漫画でなく小説であれば純文学にも引けをとらなさそうな、かなり文学的なストーリー体裁はこれぞ本仁作品の真骨頂かもしれません。
ページをめくればめくるほどどんどん救いがなくなっていくストーリーは息が詰まりそうな閉塞感ばかりで、しかもその先にある結末は最悪のバッドエンドであることが先に分かっている。
最後の数ページで襲われる絶望感たるや…
テツが自分を「保つ」にはもうこの道しか無かったのかと思うと、やるせない涙でいっぱいになります。

先に「たった独りで」と書きましたが、テツは“道連れ”を必死に探しているのですよね。
最初は弟を道連れにしようとするのですが、彼は自分と同じ人種ではないことに気付く。
替わりに見付けたのが〔理伙(リカ)〕。
2人は一目で恋に落ち、最初こそ高校生らしい穏やかな恋人ごっこに興じていますが、次第に2人の想いにはすれ違いが生じ始めます。
テツは、リカに「ママ」を重ねて、レイプされ死んでいった母親に対して自分が抱いた感情が何だったのかを知ろうとする。
リカは、テツが欲しいのは「自分」ではなく自分の中にある「ママ」の部分であることに気付き、必死に「自分」に繋ぎ止めようとする。
思い通りにならないリカに対してどんどんサディスティックになるテツ。
愛とはほど遠い暴力で痛ましく傷付けられるだけの日々なのに、それでもリカがテツに執着するのを止めないのは、テツが初めて「自分」を見てくれた相手だから。
ここでテツがリカの想いを受け入れて過去に決別出来れば良かったのだけれど、テツの「闇」の正体はもっともっと果てしなく深いところにあったのです……

レイプされて死んでいった母親の最期の姿を見て射精してしまったテツの「闇」。
自分がレイプされる立場になって初めて、自分の心の中にずっと巣食っていた「闇」の正体=自分の望みが何だったのかを知ることになる。
そして彼は自分の母親と同じように首を吊る───

悲しいとしか言いようがないラストです。
母親の死の真相なんてそれこそテツの思い込みも多分に入っているでしょうし、自ら選ぶ「死」に肯定の余地なんてありません。
そもそも父親は何をしているのかと腹立たしくなる。
10代の少年が独りで追い込まれるには余りにも過酷な人生です。
弟〔ヒロ〕を“聖域”とし、道連れにしなかったことだけが偉かったと思うけれど、残されたヒロは兄の死に囚われ、本編のストーリーに至るわけですから、やはり兄の死は独りよがりでしかなく、残るのは言いようのないやるせなさのみ。
死ぬ以外にテツが救われる道はなかったのだろうかと、何度読んでも問いたくなります。

冒頭で「グラン・ギニョール」を読んでこの作品のことが浮かんだと書いたのは、どちらも同じ「破滅」への憧れのようなものを描いた作品だから。
けれど「グラン・ギニョール」にはあるロマンティックさが、こちらの作品には一切ない。
同じ題材で対極のような2作品。
でも間違いなくどちらにも本仁さんの作品だなぁと感じる本質のようなものがあって、この本質に「ブレ」がないからどんなに悲しい結末でも本仁作品は好きだ‼︎と叫びたくなるのです。
迷いのない「神」作品です。

12

みみみ。

迷宮のリコリスさん

ふふ、また一緒に祭りですね(*´艸`*)
耽美主義ももちろん手元に引っ張り出してきましたよ〜!
やっぱこういう暗いのが好きなんだなぁと実感しております。
私もしばらく本仁ワールドに浸かろうと思います。

迷宮のリコリス

みみみ。さん

みみみさんはこっちでしたか!
私は『グラン・ギニョール』から『耽美主義』を本棚からチョイスしました。
どちらにしろ本仁作品は麻薬のような中毒性がありますね。
私もしばらくはあれこれ読み返してしまいそうです。

過去の清算

「飼育係・理イ火」の続編で、テツを中心とした短編を集めた作品集。テツが自殺した経緯が描かれている。殺伐としていて、救いがない。
テツは弟のヒロに執着している。兄を拒めないヒロの優しさに付け込んで肉体関係を持つ。後にテツは全寮制の男子校に進学し、そこで自分と同じように人をたぶらかす蜜のようなものを持つリカと出会う。ふたりは一目で恋におちた。だが、穏やかな日々は長く続かなかった。リカがレイプされているときに言った言葉がテツのトラウマを刺激し、テツが暴力を振るうようになる。

テツとヒロの母親はレイプされて自殺している。そのことがトラウマとなり、話全体に関係してくる。異常な愛であふれているけれど、萌えはない。近親相姦、レイプ、暴力、マザコン、ナルシズムなどなんでもありで、モラルなんてあったもんじゃない。けれど作品としては神です。

8

あまりに凄惨で救いようのない過去とトラウマ

『飼育係理火』の第2部になり、ヒロの兄・テツのお話になります。
ここで明らかになるあの「タスケテ」「ママ」の言葉の意味。
衝撃的なテツとヒロの母の自殺とテツの過去。
それが根深いトラウマとなるのですが、すでに母の自殺の時点で壊れている?
テツが唯一求めたもの、それは「ママ」
テツが「アレ」を使えば・・・という「アレ」とは一体?
11歳にして大人の女性をよがらせるその魔性。
弟との禁忌の関係から逃げるようにして入った学園での「アレ」を使った君臨は、ヒロを聖域にするためのものだったのか。

理火にママを見て、その身体を思う存分傷つけ、「タスケテ」の言葉を引き出そうとするテツのサディスティックな嗜好は、理火を「ママ」であると認めさせたいからなのか?
テツに訪れる凄惨で、かつ清らかな最後。
病んでいる。心も身体も蝕まれ、誰にも救えなかったテツの心。
彼の生はただ死へと一直線に向かっていたのだと思う。

こんな余りに壮絶な生きざまを見た後では、他のほのぼの学園ものが幼稚園に見えてきてしまうくらいのインパクトが大きい。
いくら特殊な世界とはいえ、そこまで人を壊すことができる人の力は恐ろしいのだと、テツは身をもって教えている。
本仁作品渾身の作品のシリーズ、第3部いつか再開してほしい。
テツの魂を救ってほしい。

7

何回でも引き込まれる

BL、という言葉だけで語れない、素晴らしい作品だと思います。
痛さ、辛さ、苦しさ、そんな気持ちが至るところに描かれ、そこに狂気が重ねられています。打ちのめされそうになりますが、一度ページを開いてしまったら、読み続けられずにはいられません。 
明らかに絶望に向かって進んでいく話なのに、こうも惹きつけられるのは何故なんでしょう…
リカやヒロ、そしてジルのその後も気になります。一体どういう結末が待ち構えているのか。

続き、はやく書いてくれないかなあ…

5

神にも、色々な種類があるね。

胸が痛いです。これは、確か。
この話を、初めて読み終わった時、びっくりして
「えっ」と思って、そのまま二回目を読み始めました。
少しでも理解したくて隅々までを読み返したが、いまだ、
自分の中で、まとめきれてないお話であります。
会話してても、笑っていても、暴力を振るっていても、
主人公達の、見えているものが、私には、想像もできない。
違う次元の話をしているよう。それでもまた読みたいと思ってしまう
何故でしょうかね、もう本仁戻先生に聞きたいよ~(笑)

4

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