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表題作兎の城 鹿乃しうこ初期作品集

柴原純平,元孤児
章悟,同じ施設の孤児

同時収録作品さよなら僕のドルフィン

同時収録作品秘密の僕ら

大貫茂,高校生,双子の弟
大貫大,高校生,双子の兄

その他の収録作品

  • あとがき。

あらすじ

それは嫌悪、それとも執着? 昔はいつも凶暴な目をしていた。年下の省吾に対して、激しい怒りを向けていた。そんな純平が5年振りに孤児院を訪れる。美しくも切ない目をして、しかも省吾を引き取りに…。愛は官能の手触り、鮮烈のしうこワールド!

作品情報

作品名
兎の城 鹿乃しうこ初期作品集
著者
鹿乃しうこ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
ビブロス
レーベル
ビーボーイコミックス
発売日
ISBN
9784835213767
3.3

(6)

(1)

萌々

(1)

(3)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
5
得点
19
評価数
6
平均
3.3 / 5
神率
16.7%

レビュー投稿数5

切ない水族館

 鹿乃しうこ先生の2冊目のコミックスの再録版です。収録作品は同じでカバーとフリートークのみ描き下ろしです。
 
・『兎の城』
 先生がファースト画集の作品解説ページで「すごい時代を感じる設定です」と書かれているまま、登場人物がみんなすごい過去を背負っています。まさにJUNEな世界観。最近はこういった作風のものは描かれていないしうこ先生ですが、近作の明るくあけっぴろげな主人公たちの過去にも、この頃に通じるような暗く重いものがさらりと描かれるときに、初期の作品を思い出します。そして私はこのお話がものすごく好きです。「未熟だ」とあとがきされていますが、これを未熟と言うのだろうか・・・!?
・『さよなら僕のドルフィン』
 私にとって水族館がとても切ない場所になってしまった名作です。ピラルクの巨大水槽の前の一瞬時間が止まったようなシーンから、二人離れて見る最後のイルカショー。どうすることも出来ない子供の彼らが、それでも前に進もうと向き合ったキスに泣けます!
・『秘密の僕ら』
 原案「安寿」となっています!原案とは双子が下半身の感覚を共有するという設定の所なのかな?初期の頃はエロは控えめだったしうこ先生ですが、この作品で開花されてきたように感じます!はっちゃけた作風も今に通じるものがあります。
 表題作とドルフィンがとても好きなので『神』です。JUNEがお好きな方にお勧めです。

3

バラエティに富んだセカンドコミック(の新装版)

しうこさんの90年代のコミックなら、『ラストキスから始めよう』と、このコミックが特に好きです。
ダーク、胸キュン、コミカルとバラエティに富んだ3作ですが、どれもそれぞれに面白いです。
表題作のダークさは『$10』収録の「美しく、やさしい君。」に匹敵するレベルなんですけど、こちらは好きなんですよね。耽美だと読める人種なんです^^;

1993年〜1994年に描かれた作品集。
3カプ入り。

「兎の城」(全2話)
孤児院で育った少年達のお話。
ダークかつ、ドロドロかつ、メリーバッドエンド。
かなりの問題作です。
だけどある種「耽美」のお手本のような作品。
引き込まれます。
目の前でバタンと重い扉を閉められてしまうような結末まで含め、全体に漂うしうこ流の耽美に惹かれます。

「さよなら僕のドルフィン」
大阪を舞台にした大阪弁の作品です。
小さい頃からずっと一緒に過ごしてきた少年達が離れ離れになってしまう悲しいお話。
兄弟のような友達のような恋人のような二人がお別れの間際に交わす可愛くって切ないキスにぎゅーっとやられます(;_;)

「秘密の僕ら」(全2話)
これはコミカルです!
下半身の感覚がシンクロする双子ちゃんの切実だけど笑っちゃうお話。
実際にこんなことがあったら大変だと思うけど……萌える(*´艸`*)
下半身の感覚が繋がってると分かってて、毎回弟に邪魔されるのも分かってて、それでも果敢に女の子とのエッチにのぞもうとするお兄ちゃんのおバカさ加減が愛おしいです。

なおこのコミックは、竹書房から出ている新装版『DIVE』にまるっと全部再録されています。

1

鹿乃さんの初期作品

鹿乃しうこさんが初田しうこというペンネームで描いてたころの作品集です。
作風の違いに軽く驚きましたが、さすが面白かったです。

『兎の城』
うひょー、暗っ!!
知らずに読んだら、これが鹿乃しうこさんの作品だということに全く気づかなかったと思います。
それほどに絵もストーリーも全然違う。
非常に暗い話でしたが、ゾクゾクする背徳的な面白さがあって、引き込まれました。
いいですね、このどうしようもなく歪んだハッピーエンド。たまらんです。

『さよなら僕のドルフィン』
きゅうううん。
イルカ味のキスにめちゃくちゃ萌えました。
幼なじみ同士の淡い恋心と、子供にはどうにもならない別離。
心地よい切なさが味わえる良作でした。

『秘密の僕ら』
双子の兄弟のラブコメ。
設定がカッ飛んでました。
感覚を共有してるせいで、片方が射精するともう片方も射精しちゃうという、不幸な状態。
もうこれはお互いに抜きっこするしかないわな。
鹿乃さんの今の絵で読んでみたいなと思わされました。エロ部分をねちこく描写して復活、なんてしてくれないかな~。

2

『兎の城』(1995年発売)の復刻版

1995年発行の『兎の城』の復刻版のようですが、作者さんのコメントによると表紙とトークのみ描き下ろしだそうです。「中身に関してはもう今更ジタバタすまい…。」とのことです(笑)。
鹿乃さんが初田しうこさんのお名前でデビューしてから2冊目の作品集の復刻版に当たるわけですが、デビュー作の『永久磁石の法則』の流れをまだ色濃く残している作品が収録されています。
表題作が特にそうなのですが、現在の鹿乃さんの作品からは余り想像できないようなダークで痛い作品です。
この頃は私はBLの作品を読んだこともなかったので、BLもこういう時代があったんだな~という興味と鹿乃さんの昔の作品という事で今の作品と通じる何かを探してみたり、と個人的には興味深い1冊でした。
こういうダークで切ない作品(特に『さよなら僕のドルフィン』)は決して嫌いではないんですよね。読後の余韻も楽しめるというか。
ラストに収録されている双子の兄弟が登場する『秘密の僕ら』は収録作品中では一番コミカル。
茂が尻軽そうに見えて実は結構健気だったり、大に対する執着ぶりも好きでした。

0

初期とは思えぬ

初期短編集だと絵がまだまだこれからだな〜と思ったりするものも多いですが、鹿乃しうこ先生、もとい初田しうこ先生は最初期から絵が安定してお上手です。やっぱり少年愛の人だなというのもひしひし。

◾︎兎の城
鹿乃先生の作品はコメディ寄りのものと狂気を感じるものとあり、これは後者。先生、擦れた若者もお好きよね。ご本人が「絵も話も青い」「これはこれで2度と戻れぬ」と仰ってる通り、このときにしか生み出されなかったと思うと感慨深い。
純平の不安げな表情での終わり方が良いです。城を閉ざして2人で生きていくのでしょう。

◾︎秘密の僕ら
コメディに純愛を混ぜてくる先生らしいスタイルです。実兄弟で初手69!このナリの兄が弟に押し切られる様も特定の層のツボをしっかり押しそうな。これで当て馬ポジションが完全な美形ではないところが先生。

0

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