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宝石好きなのでタイトル買いしてみたものの、攻め受けともキャラにシンクロできず、お話にも?だったため中立としました。シリアス好きな方ならもう少し評価が違うのかな。本編190頁超+後日談20P+あとがき。
店のありかを顧客には告げず、伝書鳩などの通信で顧客と商売をしているクラリス宝石店。宝石の妖精と同じように紅い瞳をもつルベルが一人で営んでいます。ある日工具を買いに出かけた先で、やっかいな店に当たってしまったところ、自警団のゼーに助けてもらい・・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
受け父+父の担当医、受け幼馴染、リリー(厄介な店の店主)、攻め婚約者(♂)、受け母ぐらいかな。気になるサブキャラは無し。
++攻め受けについて
攻めは国王様なんだけど国王らしくしているところはほぼ無く、庶民として町になじんでいる記載の方が多い印象。だから国王様★と敬愛する感じはないですねー。そこらへんをふらふら歩いているイケメン(チャラ寄り)という印象でした。なんか強いという感じも少ないし・・・仕事しようよ、王様。
受けは訳アリ、不思議な能力?もちな方。父親を亡くし、独りぼっち森の中の工房というか店?で宝石を磨いてセッティングして・・・という生活。寂しくないんかい?と思います。健気だよなあ。その不思議な能力というか病というか、そこがちょっと苦手でした。「石吐病」というもので、恋すると喉から宝石を吐いちゃうんです・・ひっかかったら血まみれで出てくるらしく、そんな病にも耐えちゃうんです。健気ですよね?合ってます?スプラッタ苦手なので読んでいて「うわあ・・・喉痛いやん・・」とちょっと気分下がってしまいました。
攻め受けとも、ぴんとくるところがなく、お話も上述の石吐病のところで「ええーそれは嫌」と気分下がってしまってなかなか盛り上がれなかった一冊でした。うーーーん・・・
主人公が宝石商だからか、宝石がたくさんでてきますし、宝石がキラキラ輝いてるような描写が多くて読んでて新鮮でした。宝石には全く詳しくないのですが、そんなわたしでもキラキラした美しい世界を見せてくれるお話!
森の奥で、ひっそりとお店を構える宝石商であるルベルと、自警団のリーダー、ゼーの物語。
ふたりが出会い、ゆっくりと距離を縮めていく過程は微笑ましくもあたたかいものでした。
片思いの苦しさや、ふたりのすれ違いも本当に切なくって!面白かったのです、が…
ルベルがゼーの正体に気づき、奇病が発症したあとくらいからでしょうか、全体的に駆け足気味なのが残念でした。
盛り上がる、見せ場のシーンは多々あるのです。それがばばん!と一気に押し寄せてきて、さーと終了、みたいな。
舞台の国が「家族を大事にする」というだけあり、周囲は家族仲良く当たり前、のような国です。片親だったり両親がいなかったら揶揄されるような土地で、他人と距離を置いて隠れるように暮らしてきたルベルの一族や、異国出身の母親をもつゼーがその風習に染まりきっていないのは理解できます。が、後半の展開で、親世代にもやもやしまくりまして…。
さらっと出てきてネタばらしして、またさっといなくなる。
めちゃくちゃもやもやしました。
ルベルとゼー、ふたりの物語ですからさくっと退場されたのかもしれませんが、ルベルとゼーはそのことに傷つき涙したこともたくさんあるでしょうに…。幼なじみくんも言っていましたが、せめてルベルには伝えてほしかった。なんのために隠したのか、主治医のパパに問い詰めたい気持ちでいっぱいでした。家族を大事にするお国柄はどこへ?
そのもやもやがずっと残っちゃったので、ルベルとゼーのあまあま同棲生活に浸りきれなかったのが残念です。親たちが勝手すぎる。
奇病のこともあり、気持ちは伝えられない云々は理解できなくもないですが、親も子も、みんな言葉が足りなすぎます。
会話をしなさい、会話を。
途中まですごく面白かったので、その後が駆け足で残念でした。
作者の一条珠綾先生は、前作の星詠みのお話といい、今作の宝石のお話といい、透明感のある美しいモチーフをベースに書きこなすのが非常に上手い作家さんだと思いました。
今作は、宝石がモチーフとなっていて、たくさんの石が登場します。
この作品の中で、宝石は特別なものであると同時に人々の日常生活にも根付いているというのが特徴的な設定。高価な宝石は単なる宝飾品ではなく、石が人々の心の拠り所にもなっていて、宝石のお祭りがあるなどちょっとした信仰心の対象となっていることもまたユニークで面白いです。
そんな宝石を取り扱ったこの作品。まさに宝石の名を冠したルビー文庫さんから発売されたことに何か運命を感じたのは私だけでしょうか^ ^
宝石の妖精の愛し子とされる赤い瞳を持つルベルの瞳の色は、ルビーと同じカラー。ルビー文庫さんとの相性もバッチリな作品だと言えるでしょう。
煌びやかなたくさんの宝石に囲まれたこのお話は、運命の力に引き寄せられるが如く、自然に惹かれ合っていく2人の恋のお話がとっても素敵なストーリーです。街中で助けてくれたゼノとの出会いや、徐々に想いを寄せていく恋の導きはウブさや戸惑いが好意に滲んでドキドキの嵐でした。
実はゼノの身分は……といったところのサプライズにもぜひご注目を。
ゼノの身分を知らないままに、恋を芽生えさせていく展開は分かっちゃいるけど楽しいです(笑)
とは言え。ゼノやルベルの抱える生い立ちや生き様は重くて暗く、宝石の持つ幸せの象徴とは別のベクトルで生きてる2人の背景には心掴まれるものがありました。"孤独な宝石商"とタイトルにはあるけど、ゼノの方も気持ちの上では孤独に生きてきたという点で2人よく似ています。
惹かれ合っていく過程の中で、ゼノの婚約者の存在にモヤついたり、ルベルの家族特有の病が発症したりと、2人の恋の道はなかなかに波乱です。
特に。恋の病とも言えるルベルの抱える病気の謎は、その真相を含めて驚きの事実のオンパレードでした。
色んな事実が露わになっていく終盤は見せ場が盛りだくさんでしたが、やや駆け足気味にも感じました。大事なターンだけに、もう少しタメがあっても良かったかもです。
ルベルの幼馴染の医者の息子の失恋の後処理の仕方とか、ちょっと雑さが見える部分もあったりと、少しだけモヤッとする場面もちらほら。お騒がせな親たちに振り回されてきた子どもズに同情してしまう思いも拭えませんでしたし、終盤の駆け込みエンディングの回収はもう少し話を詰める余地もあったかなと思いました。