ぱるりろん![]()
「特務刑事オメガパンチ」シリーズの番外編。元作品はコミックですがこちらは小説です。りーるー先生は小説もお書きになるんですね。
元作品がコミックのため、目では文字を追っていても脳内に浮かぶのはコミックのあの二人なので、差し詰め二次創作の同人誌を読んでいるような気分でした。不思議な感覚です。
謹慎中の四門を週に一度連れ出して、どんな様子だったか報告するようにと上から軍資金までいただいてしまった岸が、やむを得ず二人でドライブをするというお話。片や無敵のハイアルファ、片や作品中は不遇だったアルファ。興味深かったです。
読む前はどうしてマンガじゃないんだろうと思っていましたが(購入するまで半信半疑だった)、確かに内容的に小説の方がいいかもです。というのは、事象としてはドライブが主のため運転しているだけで(一応PA寄ったりほかにも寄り道はありますが)主人公の岸視点でずっと内心の葛藤やら苛立ちやらツッコミやらが主に綴られているので、四門のハイアルファ的要素があまり出ないですし、マンガだとこの静かな可笑しみは伝わりづらいかもなどと思ったりしました。とはいえ、奥付の4コママンガはとても楽しくて笑ってしまったので、コミカライズ(という言い方がいいのかももはや謎です)を見たくもありました。岸はいいキャラですね。
このシリーズが好きなのでまたどんな形でよいので番外編や新シリーズを読むことができたら嬉しいなと思います。
オメガパンチシリーズを愛読していたので、春庭で商業番外が出るということで楽しみにしていました。
しかし、なぜ漫画ではなく小説なのか、不思議でした。
シナリオなのか、没ネームの転用なのか、などと勘ぐってしまいましたが、今作は、小説の形がとても似合っています。
高飛車アルファの四門はやらかしたせいで謹慎中。
その四門を誘ってドライブに行け、と嵯峨野に命じられた岸。
岸は大物ではないけれど、小物ではなく、アルファの、社会の、警察の、いろんな世界の中を、うまい具合に浮遊しながら、要領よく生きていくタイプだったのだと思います。その岸は、異能オメガの高森と関わったことでいろいろ調子が狂い、大失態はないものの、思っていたよりうまく世の中を渡れていない状態です。
個人的に、岸の姦計を巡らし、自分が第一で、計算高いけれど、ちょこちょこ憎めないところがある人となりが、お気に入りです。
そんな2人の、本人同士が望んでいないドライブ、絵面だけで笑えて来ます。
車内の空気感と岸の内心を想像しただけで、にやついてしまいます。
本作は車内の2人の盛り上がらない会話と、岸のぼやき、が大半です。
絵はないので表情は見えませんが、文字の濃淡やフォントの違いで、声色が伝わるのがおもしろいです。
ドライブ後半にちょっとした事件があり、四門のハイアルファとしての強つよなところと、意外な人間味が見えてきて、少し元気になった、というか調子を取り戻した感じがしました。
岸は今後も姦計を巡らせてはうまくいったり、うまくいかなかったりして、昇進したり、ペナルティを課されたりして、上層部と本人が望まないつながりを持ちながら、警察組織の中を漂って行くのだろうなと思いました。
りーるー先生の作品はストーリーの魅力ももちろんですが、絵も好きなので、小説での新作は購入しようか実はちょっと迷いました。
岸がメインの1人ということで、これは読むしかないと思ってお迎えしたのですが、大満足でした。同じように迷っている人がいたら、ぜひ手に取ってみてほしいです。
