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ネバーランドと渡り鳥 下

neverland to wataridori

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あらすじ

両親を亡くし祖父母と3人で暮らす高校生の燕。
ある日高額な報酬と引き換えに、
名家の子息が集う全寮制の男子校を司る、
大企業社長の御曹司・黛椎名の目付け役を任される。
「お前に世話をさせる気はない。僕に構うな」
傲岸不遜で気難しい椎名と、他人を蹴落とすこと
だけを考えている鬱屈した生徒達。
今までと全く違う慣れない生活に戸惑う中、
椎名と彼の取り巻きに襲われてしまう。
こんなくだらない奴らの
言いなりになんてなってたまるか――
「これは俺の意思で始めた仕事で、選ぶのはあんたじゃない。
あんたに付き纏うためなら、俺は何だってやる」
大事な目的を果たすため、啖呵を切り
椎名の傍にいることを決めた燕。
けれど彼の隣で過ごすうちに、暴君だと思っていた
椎名の優しさと孤独を知っていき…!?

作品情報

作品名
ネバーランドと渡り鳥 下
著者
青梅あお 
媒体
漫画(コミック)
出版社
徳間書店
レーベル
Charaコミックス
発売日
電子発売日
ISBN
9784199610417

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80

4.6

(13)

(9)

萌々

(3)

(1)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
4
得点
60
評価数
13
平均
4.6 / 5
神率
69.2%

レビュー投稿数4

そして、たった一つの愛に辿り着く

上巻から引き続き。

大企業の御曹司・黛椎名のお目付け役に選ばれたことで
名家の子息が通う全寮制男子高校に転校させられ、
そこで一見暴君で本当は孤独な青年・椎名に出会った燕。

最初の内は燕に反発していた椎名でしたが、
いつでも一生懸命でどれだけ突き放しても自分にまっすぐに
向かってくる燕に少しずつ絆されていった椎名。

この下巻ではすっかり燕に心を許してしまっている椎名でしたが、
燕がこの全寮制高校にやってきたのにはある目的がありました。

実は出会う前から椎名のことを知っていた燕。
幼いうちに両親を失った燕でしたが、
その当時母の家庭教師の生徒だったのが椎名だったのでした。

密かな復讐を果たすため椎名に近づいた燕。
けれど、気付いたときには椎名も燕も
お互いを愛おしく感じるようになっていました。

後継者として望まれているのに父親には見向きもされず、
孤独な椎名を救い出すために燕は彼を連れて学校を飛び出し…


全寮制高校という名の鳥籠から逃げ出した二人の1日限りの逃避行。
初めての買い食いに、ゲーセン、外泊…
たった1日だけれども、それは二人にとって一生に一度の特別な1日でした。
その後、連れ戻され引き離されることをわかっているからこそ、
楽しそうに笑い、愛おしそうに抱き合う二人が、その瞬間が、
尊いものに感じられました。

翌日、学校に連れ戻された二人は離れ離れに。
当初の目的通りに母親の遺品も取り戻した燕でしたが、
椎名のいない学園生活は彼にとってもはや何の意味もなく、
全寮制高校から再び元の学校へ戻ってゆくのでした。

それから10年の時を経てー
大人になった燕はある雑誌記事で椎名の姿を見つけます。
けれど、それは燕が当初思い描いていた椎名とは違う姿でした。
将来の夢もわからないという椎名に、燕が見出した“絵を描く”という未来。

そんな椎名に少しでも近づきたいと芸術誌を扱う
小さな出版社で働いていた燕はある日、椎名と再会を果たします。

大人びてはいるけれど、変わらない椎名に押し込めていた感情がぶり返す燕。
椎名もまた時折何か言いたげにしているものの核心には触れてこず、
もう大人になってしまった二人は別の道を歩むしかないのか…?と
切なさに胸を締め付けられました。
けれど、燕の「待って」という一言で二人は昔に引き戻され…

椎名への想いを諦めきることができなかった燕。
いつも我慢ばかりで自分の感情を抑え込んできた燕が
初めて自らの願いで椎名に手を伸ばすこのシーン、ぐっときてしまいました。

そうして、10年の空白を経てようやく結ばれた二人。
ずっと大人びた表情をしていたけれど、
一度蓋が開いたらしまい込んできた感情を溢れ出させるみたいに燕を求め、
燕への愛を囁く椎名にやっぱり彼も忘れられなかったんだな…と
感慨深いものがありました。

だけど、本音を言えば椎名からも手を伸ばして欲しかったな…と。
高校時代もそうだけど、いつだって燕の行動に流されるばかりだった
椎名だからこそ、彼が必死になって燕を求める姿が見てみたかった…。

描き下ろしでは再会から2年後、椎名が日本に戻ってきて
燕と一緒に暮らし始めるエピソードが描かれていて、
長い時間を経て一緒になれた二人に多幸感を噛みしめました。

0

なんども読みたい

椎名の卒業後にどうするのか、モラトリアム期間が終わろうとしています。

椎名の人となりを知って憎しみも薄れていき、燕は椎名との身体の関係も心地よくなっていきます。でも椎名は燕に謝り、自分が海外へ留学すれば燕を自由にできると思い込み、燕から離れようとします。そんなことを望んでいない燕は椎名の手を掴んで、学園の外へ連れ出します。

お金もない高校生が「楽園」の外へ行っても暮らして行けるわけもありません。それでもふたりはできる限りの時間で外の世界を楽しみます。そして椎名は自分の過去について詳しく語り、燕は椎名のことと自分の親との関係を知ります。
椎名よりも肉親からの愛をたくさん貰っていた燕は、親の気持ちがよくわかったのかもしれませんね。高校2年生なのに大人のように椎名を抱きしめて、すべてを受け入れます。

結局、ふたりはすぐに補導されてその後、会うことも話すこともないまま10年の月日が経ちました。

大人になってふたりは再会します。ふたりの職業はなるほどね、と思うものになっていました。自分だけが過去を引きずってずっと好きなのではないかと互いに考えていましたが、音信不通になっていてもふたりは相手を求めて、ずっと愛し合っていたのだと感じられました。
タイトルの「渡り鳥」がここで回収されます。「ネバーランド」を出た「渡り鳥」の椎名が「家族」である燕の元に「帰巣」します。

親や社会的クラスに振り回された幼い子どもたちにとって、一番欲していたのはやっぱり側にずっといてくれる人からの愛情だったんだと、この作品を読んで痛感します。
青梅あお先生の絵柄と描かれる空気によってストーリーがふんわりと流れているように感じられます。無駄な熱さがない分さらりと読めてしまうのですが、逆になんども読み直したくなる作品になっています。再読しながら、ここはそういうことかな?と毎回楽しめます。
全寮制の中で男子高校生の大人とも子どもとも言えない時期のふたりのアンニョイさがよく描かれていると感じました。

1

全寮制高校という箱庭、そして二人を縛り付けるものからの脱出と旅立ち

健気受け・燕の健気さと頑張りが光る下巻だったなあ…

グッとくる夜明けの物語だったのですが、
攻めのカッコ良さも感じたい自分としては、
椎名にももうちょっと自分から動いて欲しかった、
頑張ってほしかった…という思いも残りました

両親の事故死に絡んだ椎名を恨み、
”お目付役に”という使命をチャンスと捉え、
復讐のために椎名に近付いた燕。

上巻では、全寮制高校の箱庭の中で歪に始まる二人の関係、
そして互いに絆されていく様が描かれていました。

この下巻で描かれていたのは、その箱庭からの旅立ち。

椎名視点で語られる幼少期、燕の両親との思い出が..
切なくて、胸を切られるような思いでした。

椎名と燕、どちらも”自分のせいで”二人が亡くなったー
と、自分自信を責め続けてきたのですね( ; ; )

特に自分が言い出したことで車移動することになり、
二人と共に事故に巻き込まれた椎名の傷は
大きかったのだろうなあ..

「本当は、両親の死が椎名のせいではないことは分かっていた」
という燕の独白。

事実として分かってはいても、それを受け止めるまでには
とてつもない葛藤があったことが分かるだけに。。
”赦す”こと、椎名を受け入れることができた燕の成長と強さが
光って見えました。

そして10年後の再会ー

ここ、感動的でうるっときたんですが、
取材後に「この後話したい」と切り出すのも、
別れ際呼び止めるのも、どちらも燕からなんですよね。。
(取材後、椎名の方からも何か言いかけてはいるのですが)

欲を言えば、特に最後の呼び止めシーンは、
椎名の方から(たとえカッコ悪くても)縋り、
”燕が必要だ!!”と言い切って欲しかったかな..

と思いますが、その分燕の一途さ、健気さに
心打たれ、グッとくるシーンでもありました。

その後の二人、描き下ろしの番外編では
椎名視点で”二人で家を借りよう”という独白もあり、
やっとやっと見えた二人”共に生きる”未来に拍手…!

ここから3年後、5年後、そして10年後の二人の姿も
見てみたいなあ。

長髪攻め好き人(びと)としては、
再会時には長髪になってた椎名の見た目も
萌えツボを刺激してくれました(*´˘`*)

長い長いトンネルを抜け、
幸せを手にした二人。
これからはずっと一緒に、たくさん笑っていてほしいー…!

そんなふうに思い本を閉じた、夜明けの物語でした・:*+.


★修正:tnトーン(電子シーモア)

1

鳥籠からの逃避行が切なく感動しました

全寮制、ブラザー制度のある男子校で椎名の「弟」として彼のお世話兼監視役をする事になった燕。最初こそ暴君のわがままに噛みつき対抗していましたが、いつしか憎しみの対象から守りたいと思える存在へ。
椎名の進路をいよいよ決めなければならない時期になり、彼が海外留学をする事を耳にした燕は手を掴み取り学校から抜け出し!?

父親が敷いたレール(鳥籠の中のような日々)から抜け出し、限られた時間の逃避行へ。椎名と燕の両親の過去の関係が語られるのですが、燕の両親が燕と同じぐらい椎名の事を大切に思ってくれていて、椎名もまた、彼らはもちろん、彼らの口から語られる「燕」の存在が大好きになっていたこと、涙無しには読めませんでした。
唯一心許せる存在だった燕の両親の死は幼い2人にとって辛い思い出であると同時に、大切な思い出だったのだと思います。

逃避行の後の別れから10年…。再会の仕方も素敵だなと思いました!共に大人になった2人。もう何ものにも縛られることなく、自由に過ごしていって欲しいです。


1

この作品が収納されている本棚

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